2014年8月5日 商工文教委員会
DIOジャパン鰍フコールセンター問題に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
最悪の事態になってしまったと思う。
報告を受けたが、県の調査は中身がない。河北新報の記事では、秋田県では昨日県議会に調査結果を報告したと。4981万円の未報告の収入があったと。そして、給料の未払いは6030万円だと具体的に示している。秋田で分かることがなぜ岩手では分からないのか。岩手の実態はどうなっているか。
【雇用対策課長】
収入の部分については、本社への収入という部分については、やはり国の行う調査に協力する中で県として把握するという方針で臨んでいる。
【労働課長】
給料の遅配の関係だが、県で集めた情報を集約すれば、資料記載の通り6事業所中5事業所であり、対象従業員や未払い額の総額については残念ながら把握できていない。
DIOジャパンの賃金関係については、実質機能が本社にあり、県内のセンター等に確認しても詳細な情報がなかなか掴めないという状況になっている。
今後においては、未払いの状況や事実関係のみならず、見通し等も含め、実質本社機能が今承知しているような状況にあるが、なんとか国と一緒になって展望を見出していきたい。
【斉藤委員】
なぜ秋田県は調査結果を発表しているのか。秋田と岩手の違いは何か。
【雇用対策課長】
秋田県では、事業休止する前に、秋田県と市町村の方が本社に出向き、事実関係について調査したということを聞いている。
【斉藤委員】
秋田県は本社に行って調べてきた。あなた方は、本社に行かないと分からないと言って、申し入れだけして調査もしてこないというのはとんでもない話ではないか。被害状況が分からない。未払い賃金は厚労省の中間報告では7320万円と言っている。少なくともそのうち岩手県分はいくらなのか。それも聞いていないのか。
【労働課長】
国の公表した未払い額の総額のうちの岩手県分については承知していない。
【斉藤委員】
あなた方は全然調査する気がないということではないか。山田のNPO問題であれだけ大失態をして、その教訓を踏まえて、業務休止する前にやれば分かるということではなかったか。まともに調査もしないというのはとんでもない話である。
秋田県はまじめに調べてやったと。岩手県は申し入れだけしてやらなかったと。これでは調査にならないのではないか。
【商工労働観光部長】
本県としては、まず国で6月に調査を開始するという連絡があり、6月中に報告を求め、その状況の公表を待って対応をしているという方針の下に動いてきた。一方では、県内の各閉鎖に至っているコールセンターの存続をいかに図るかという後継の企業を探すという対応に重点を置いて取り組んできたと。その矢先に業務休止という状況になったことで、岩手県としては、一定のスキルを身につけていただいた方が、引き続きコールセンター業務に従事できるような環境づくりを第一に考えて対応してきた。
国の調査に協力する中において、県と市が情報を共有しながら状況を把握してという方針で進めてきたものである。
【斉藤委員】
7月3日の委員会でもこの問題を指摘した。給与未払いはいくらと聞いたが「本社に行かなければ分からない」と。だったら本社に行って調べなければいけない。秋田県はやっているのだから。
DIOジャパンの被害は岩手県が一番多い。43億円のうち15億円余は岩手県である。一番真剣にこの問題を調査・追求しなければならないのに、まったくおざなりのことしかしていない。話にならない。
研修中の収入の問題でも、新聞報道もあり私も指摘したが、例えば洋野のコールセンターから8人、奥州からは20人、一関から10人ぐらいが東京の本社に出張研修をしている。これは完全にDIOの仕事を請け負ったということである。この収入だけ調べても報告されていない収入額が分かるのではないか。そういう意味で、本当にやるべきこともやっていないのではないか。
この問題については、いわて労連が洋野のコールセンターの労働者から相談を受けて、1月に県に調査依頼を出して、2月に室長・労働課長とやりとりをしている。早い時期からこの問題は指摘されていた。それをまともに対応せず、後手後手になって、つぶれるのを待つということになってしまったのではないか。
【雇用対策労働室長】
本県でなかなか把握できず申し訳ないと思っている。県としては、国との連携の視点の中で調査を進めていくという中で進めており、直接本社に行って、預金通帳を見せてくれと言ったことは申し上げなかった。
東京への研修についてだが、これらについては1つ1つ事実がどの程度の日数であるかについて調べるところであり、内容に応じて返還を求めるものであるのかどうかを判断されていくものと考えている。
大きく分けて7月以降、雇用の維持、事業の継続について取り組んできており、つぶれるのを待っていたということではない。
【斉藤委員】
さまざま具体的な指摘が1月6日にいわて労連からあり、2月に交渉している。そういうときから洋野の事態は報告されている。それが洋野だけではく県内に広がり、ついにはこういう事態になった。
そして閉鎖、事業継続できないとなっている中でも被害の状況を把握しないと。この研修でどれだけの研修されたか、初年度で535人、2年目が303人の計838人研修した。企業立地なので、基本的には研修した人を採用するという建前だった。本質的には838人が雇い止め・解雇の対象になるのだと思う。7月末の解雇者が52人と報告されているが、企業立地して事業継続するということを建前にして、この緊急雇用事業はやられた。この人たちはどうなったのか。税金をかけて研修した人たちの雇用を守る立場で本気でやらなければいけない。見限ってやめた人はたくさんいる。
だいたい洋野はまともな研修がなかったと。パソコンは町から借りたとか、大野のセンターは最後までパソコンがなかったなど驚くべき事態だった。そういうことが早くから指摘されていたにも関わらず、まともな対策がとれなかった。そして838人という研修した人たちの雇用、再就職がどうなっているのか、きちんと調べる必要があるのではないか。
【雇用対策労働室長】
最終的に現在94名の従業員数、その他の方についてはいずれかの形で離職しているということで、それについては把握していないところであるが、当然コールセンター事業で働きたいという意欲をもって勤められたと思うので、こういう事態を迎えたことは遺憾である。
こうしたことのないよう、現在いる方々に対する支援等に努めていきたい。
【斉藤委員】
前回の常任委員会でリース料が高すぎると指摘し、検証すべきだと。あなた方も問題意識を持ち、厚労省と連絡をとり翌年の5月に厚労省が通知を出した。きちんとした見積もり・入札をさせよと。そしたら7つのうち5つはリース契約をせず買い取ったと。この買い取り価格は分かるか。初年度のリース料そのものも不当に高い。2年目それができなくなり買い取ったというが、いくらで買い取ったのか。こういうのは決算報告書を見れば分かるのではないか。調べたか。
【雇用対策課長】
リース料の取得価格等については、国の調査の中で実態の把握に努めていきたい。
【斉藤委員】
やっていないということではないか。何もやっていない。先月の委員会審査は何だったのか。
15億円余の国民の税金がまともに使われたのかが問われている。すでに事業所は閉鎖して838人のうち94人しか残っていない。
盛岡でもBPOがやっているが、不当なリース料をとったのはコールセンターだけである。そして緊急雇用事業のほとんど50%がその他の費用が主にはリース料である。異常な高いリース料だったということを検証しなければいけない。やった2つの事業所も激減した安いリース料だった。だったら1年目の高いリース料は何だったのか。同じ事業ばかりリース・レンタルしている、これもおかしい話である。そういうのは調べたのか。
【雇用対策課長】
リース料については、24年事業当時は、リースとして行われたものについては、額の多寡をもって事業としての適正を判断するという制度になっていなかったので、リースとしての経費を各市町で認めたということである。
国から通知が25年5月に出たが、今後における取り扱いとして、リース契約時に所有権が自動的に移るものは対象としないという通知が出ている。それは今後における取り扱いということで理解している。
【斉藤委員】
使ったものは仕方がないというのは官僚の発想で、県民は納得しない。額の多寡で判断しないということはない。適正な価格でリースするのは当たり前である。不当に高ければ不当である。常識から考えて高ければ不当である。あなた方がめくら判を押したということではないか。不当に高くても50%以内なら認めると。だから食い物にされた。コールセンターの事業を継続しようというときに、機器を全部税金で賄おうとする発想事態が間違いだと。企業立地課長にはそういう認識はなかったか。企業立地協定を結んで、洋野町なんかは10年間無償で場所を貸すということをやっている。そのときに、まともなパソコンその他機器は全部リースで。やる気がないのではないか。その段階で分かる話だと思うが、税金丸抱えのやり方をどのように見ていたか。
【企業立地推進課総括課長】
DIOジャパンが岩手県への進出にあたっては、経緯については前回も申し上げたが、当時の23年9月の状況で、各地に雇用が生まれるということに関しては、大変前向きに企業誘致の中でも考えていた。先行した宮城県登米市の実態調査も見た中で、かなり活気にあふれて、まさにパソコンが整備され、100人の雇用があったと。そういったものをまざまざと見た中で、各市町も誘致していこうということで誘致に至った経緯である。
その後、リース料等については、詳細については、当時正直なところ立地課長の私の中ではそれを確認することなく事業を見守ってきたという内容になっている。
【斉藤委員】
今日の岩手日報で、大船渡市は断ったと。事業計画に根拠がなかったと。事業計画をまともに見たら、根拠のないものだと分かるのではなかったか。
例えば、二戸コールセンターの事業計画は、1年研修して、2年目1億6000万円の事業収入、翌年は2億円を超える事業収入となっている。1年目にどれだけの仕事があるのかという、1年目の実績もないのに翌年に1億6000万円、2億円という、何の根拠もなかったのではないか。この事業計画そのものも全く中身のないものだったのではないか。
立地協定の中で、例えば、人材育成をしたらきちんと雇用するとか、何割は雇用するということはあったと思うが、それは努力義務かもしれないが、どこでどういう形で雇用を確保する立地協定になっていたか。
【企業立地推進課総括課長】
立地協定の中の拘束力についてはご指摘の通りであり、いずれ地場企業として今後とも地元に定着していくということを理念に掲げての協定となっているので、研修終了後1、2年で撤退するということは、協定の中でも読みとれないところと思っている。
【斉藤委員】
前も指摘したが、だいたいコールセンターの人材育成事業はイカサマである。基本研修は4〜6ヶ月といっておいて、加算措置をあなた方は認めた。加算措置というのは、フルタイムの正社員の養成、離職率ゼロの労働者の養成である。こんなのはウソだった。他のコールセンターがこんなことをやっていないのに、今回だけ税金で研修すると。それも1年まで延長して。離職率ゼロをめざすといって、終わった途端にゼロである。おかしいと思わなかったか。今でも1年間必要だったと思っているか。加算措置は必要なかったのではないか。
【雇用対策課長】
事業が行われていた当時、地域の雇用情勢が厳しい中で、研修事業を通じて、コールセンター業務に従事できる人材が育成できるということを期待して期間の延長を行ったと考えている。
【斉藤委員】
コールセンターの人材育成で、どこのコールセンターで採用されるのか。その保障はあったのか。
【雇用対策課長】
基本的には、研修が行われている各コールセンターにおいて継続的な運用がされるものと期待していた。
【斉藤委員】
結局、二重に欺かれた。税金による緊急雇用事業は加算で倍にして、採用されると思ったら雇い止めと。
【雇用対策労働室長】
我々は、地域の雇用として継続的に当該のコールセンターに勤務できるということを期待しており、それが成し遂げられなかったということが大変遺憾な事態だと思っている。
【斉藤委員】
遺憾の一言で済まされる問題ではない。15億円かかっており、山田のNPOに続いてこういうことが起きているので。この問題は徹底的に調査し、せめて他県がやっていることぐらいは岩手県がそれを超えるような調査をしなかったらいけない。一番被害が大きかったので。
いま盛岡のコールセンターは事業継続中で株式譲渡手続き中だと。具体的見通しについて、いま28人だが、本当に存続するのか、どこが譲渡を受けるのか。
奥州のコールセンターはDIOジャパンが直接やっているが、責任者は今どうなっているのか。自前でもやるという決意なのか。仕事は保障されているのか。
洋野町は、明日別企業が運営に着手となっているが、それはしっかりした企業なのか。仕事の見通しがあるのか。
二戸は、経営法人に変更がされたが、わずか12名で、この規模で継続は可能なのか。
【企業立地推進課総括課長】
盛岡コールセンターの見込みだが、事業継続中ということで、資料記載の通り、株式の譲渡手続き中と聞いているが、実際の運営はすでに譲渡先によって運営されている。したがい、譲渡手続きについては承知していないが、DIOジャパンとは直接関係なく運営していると聞いている。
奥州コールセンターの責任者については、一番の現場の責任者としてセンター長がいるということで、こちらについては、現場をハンドリングする立場と聞いている。なお、社長については、本社の本門社長が奥州コールセンターの社長にもなっている。仕事の保障ということでは、ここについても、クライアントの立場を考えると、契約相手先はDIOジャパン本社ということになると思うので、ここについてはまだ先行きも分からないということで、私が明日クライアントと調整していきたい。
洋野コールセンターについては、7月中にだいたい内定はいただいていたが、DIOジャパンの問題、一連のコールセンターの問題を受けて、なかなか後継企業も発表に踏み切れなかったということである。それで、明日洋野町役場で記者会見し、仕事内容等について発表していきたいということである。業務については、ここはコールセンター業務ばかりではなく、関連会社ももっているところなので、コールセンター単独というよりは、関連会社も含めたグループ企業の中で経営をしていくものと考えている。
二戸コールセンターについては、すでに経営法人の変更済みということで、当初DIOジャパンからは、事業譲渡という話があったが、実際には従業員の方が共通しているだけで、DIOジャパンとは関わることなく、機材等も自前で用意しやっていると聞いている。
【斉藤委員】
洋野コールセンターの採用規模はどのくらいか。
【企業立地推進課総括課長】
洋野の後継企業が予定しているのは、洋野コールセンターで働いていた20人を雇用したいと聞いている。