2014年10月7日 9月県議会・本会議
議案に対する質疑(大要)


・公務災害補償費について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号と議案第17号、第43号について質問します。
 議案第1号は、2014年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。349億円余の補正予算のうち震災関連が約174億円となっています。その内容について質問します。
 第一に、公務災害補償費が2億7037万円余の補正となっており、総額3億3205万円となります。東日本大震災津波により死亡した民生委員・児童委員にかかる遺族補償費でありますが、今回の補正による対象人数、これまでの対象人数はどうなっているでしょうか。被災地における民生・児童委員に占める比率はどうなっているでしょうか。
 公務員の特殊公務災害の申請状況、認定状況はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 東日本大震災津波で死亡・行方不明となった民生委員・児童委員は、25名となっており、このうち5名については、消防団活動等を行っていたことから、他の災害補償が適用されている。残る20名のうち、25年度に13名分の申請があり、全て認定したほか、今年度新たに6名分の申請があり、本年9月に全て認定した。今回の補正は、昨年度認定した13名のうち、補償の請求がなかった4名分に、今年度認定した6名分を加えた計10名分について予算を措置しようとするものである。なお、平成23年2月現在、沿岸12市町村で委嘱されていた民生委員・児童委員は全部で1007名であり、うち25名が被災したことから比率は2.5%となっている。
 東日本大震災津波で死亡・行方不明となった常勤職員のうち、126名を公務上の災害と認定しており、うち25年度までに、警察職員および消防吏員18名のご遺族から特殊公務災害として認定請求が提出され、全て認定する。
 残る108名は、全て一般行政職員である。地方公務員災害補償基金本部から26年5月1日付で、補償の公正性を確保する観点から改めて特殊公務災害の認定について審査を行う旨の通知が出され、各任命権者等へ周知したところ、26年9月末までに63名の認定請求があり、現在、取り扱いについて基金本部と協議している。

・防災拠点等再生エネルギー導入事業費について

【斉藤議員】
 第二に、防災拠点等再生エネルギー導入事業費が1億6405万円余の補正となっています。繰越事業費の確定によるものと言うことでありますが、総額52億1819万円余となります。今年度の導入件数、これまでの導入件数の実績はどうなっているでしょうか。

【環境生活部長】
 地域の防災拠点や避難所となる市町村の庁舎、学校、公民館・集会所などへ導入を進めており、これまでの実績は160箇所、今年度は173箇所を予定している。

・保育所整備の見込みと定員の増員について

【斉藤議員】
 第三に、保育所等整備事業費補助として6867万円余の補正となっています。総額7憶5851万円余となりますが、今年度の保育所整備の見込みと定員の増員はどうなるでしょうか。

【保健福祉部長】
 今年度の対象施設は7ヶ所、定員増は214人となる見込みである。
 昨年度からの繰越分の7ヶ所・250人を加えると、対象施設は14ヶ所、定員増は464人となる見込みである。

・難病患者の実態と軽減策について

【斉藤議員】
 第四に、特定疾患対策費として2億8118万円余が補正され総額18億4936万円余となります。難病法施行により特定疾患の対象者が広がることによるものですが、対象疾患数と対象患者数はどう拡大するのでしょうか。また、市町村民税非課税の患者、重症患者の場合はこれまで医療費の負担がゼロでしたが、今後は自己負担となります。新たに負担増となる難病患者の実態はどうなっているでしょうか。その軽減策は検討されているのでしょうか。

【保健福祉部長】
 難病の患者に対する医療等に関する法律は、27年1月1日から施行されるが、指定難病として指定される疾病は、これまでの56疾患から第一次実施分として110疾患の指定が予定されており、本県の対象患者数は、9月末現在の9642人から約11600人と推計している。
 新たな医療費助成制度では、患者の自己負担率が現行の3割から2割に軽減されるが、全ての患者に対して自己負担が求められることとなり、新たに自己負担が求められる市町村民税非課税の患者と重症患者の数は合わせて約3500人と見込まれる。
 国では、指定難病に対する公費負担医療の給付化に当たり、他の公費負担医療との公平性の観点から、一定の負担を求めることとしたものであり、所得状況に応じて段階を設定しながら負担をお願いしている。

・生活再建住宅支援事業今年度の利用見込みと実績について

【斉藤議員】
 第五に、生活再建住宅支援事業費が1億5311万円余補正され、総額24億5095万円余となります。当初の予想を超えて利用されているということで歓迎するものですが、今年度の利用見込み、これまでの実績はどうなるでしょうか。

【県土整備部長】
 今回の補正予算では、予算の不足が見込まれる一部の市町村について増額を行うこととしたものであり、利用件数で222件増え、年間で4453件の利用を見込んでいる。
 これまでの実績は、23年度が668件・3億1665万円余、24年度が4647件・17億8332万円余、25年度が4065件・17億8508万円余となっており、面整備事業の進捗にともない、今後は特に新築にかかる利用が増加していくものと考えている。

・災害公営住宅の整備状況について

【斉藤議員】
 第六に災害公営住宅整備事業費として5億4900万余が補正され、総額234億円余となります。今回の補正の主なものは用地費のようですが、県が整備する災害公営住宅の用地確保の状況はどうなっているでしょうか。今年度中の災害公営住宅の整備の見込みはどうなっているでしょうか。6月のロードマップどおりになるでしょうか。

【県土整備部長】
 8月末時点で、県が整備する53団地3011戸中、42団地2342戸(77.8%)の用地を取得もしくは地権者の内諾を得ている。この他に、市町村の要望を受けて、いわゆる面整備区域内に建設を予定している団地が7団地312戸あり、これらを含めるとおおむね9割(88.1%)の用地の確保の見通しがたったと考えている。
 また、今年度の災害公営住宅の整備見込みは、6月のロードマップでは年度内に11団地421戸を完成させることとしている。職人不足などの問題が顕在化しているが、請負者との連携を密にするなど、1日も早い災害公営住宅の完成に向け今後も取り組んでいく。

・幼保連携型認定こども園の設備及び運営に関する基準を定める条例について

【斉藤議員】
 議案第17号は、幼保連携型認定こども園の設備及び運営に関する基準を定める条例であります。幼保連携型認定こども園は、学校及び児童福祉施設としての法的位置づけを持ち、財源も施設型給付費に一本化した施設です。都道府県、政令指定都市が内閣府、文部科学省及び厚生労働省が定める省令に基づいて施設・設備及び運営の基準を定めるものです。
 今回の議案は、全て国の不十分な基準を踏襲するものであり問題です。具体的な課題について質問します。
 第一に、学級編成基準が1学級35人以下となっていますが、小学校でも35人以下学級となっています。実質は20人程度です。幼児の発達状況からみて、年齢差による少人数学級編成が必要です。3歳児は15人、4歳児は20人、5歳児は25人以下にすべきと考えますがどう検討されたのでしょうか。さいたま市では3歳児20人以下としています。
 第二に、職員の配置基準ですが、現行の保育所基準と同じとなっていますが、これは極めて不十分で保育所では上乗せしているのが実態です。京都市では1歳時5対1、3歳児15対1、4歳児20対1、5歳児25対1に引き上げられています。新潟市では1歳時3対1としています。保育所の実態に合わせて引き上げるべきではないでしょうか。現状をどう把握しているでしょうか。
 第三に、園舎に関する問題です。国の基準は2階建て以下を原則としているものの、特別な事情がある場合は3階以上も可としています。緊急時の避難を想定した場合、例外を設けず2階建て以下に限定すべきと考えますがいかがでしょうか。県内ではどういう特別な事情が想定されているのでしょうか。
 第四に、園庭に関する問題です。園庭は、園者と同一の敷地内または隣接する位置に設けることを原則としていますが、既存施設からの移行特例として(当分の間)代替え地面積もカウントしてもよいとしています。特例を認めず、園庭は園舎に隣接すべきものとするべきと考えますがいかがでしょうか。
 第五に、食事の提供について、1号認定(3歳児以上の教育/4時間)の子どもの食事の提供は園の判断、2号認定(3歳以上の保育/8ないし11時間)の子どもの食事は外部搬入を容認するものとなっています。3号認定(3歳未満児の保育/8ないし11時間)の子どもの食事は自園調理の給食となっています。子どもによってまちまちの基準となっていることは問題です。全ての子どもへの自園調理による給食を提供するようにすべきであり、そのための調理室の設置を必須とすべきと考えますがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 少人数学級編制の検討状況について。国が定める基準は、現行の幼保連携型認定子ども園に適用されている基準を基礎とした上で、幼稚園と保育所の基準の内容が異なる事項については、より質の高いサービスを提供できる体制を整備するとの観点で策定されたものである。1学級35人以下の学級編制の基準は、幼稚園の基準を基礎としたものであるが、国の子ども・子育て会議における議論では、職員配置の改善を行った上で1学級35人以下としたところであり、この議論の経過等をもとに、国の基準を本県の基準としたものである。
 職員の配置基準について。新たな幼保連携型子ども園については、質の高いサービスを提供する観点から、現行の3歳児から5歳児の短時間利用児にかかる35対1の職員配置基準を適用せず、保育所と同様に、3歳児は20対1、4歳児および5歳児は30対1の基準を適用することとするもの。保育所においては、県が条例で定める職員配置基準を順守した運営が行われているところだが、子ども・子育て支援新制度の実施にあたり、国においては、基準を超えた職員配置の改善を行う施設に対し、加算措置を講ずることについて検討がなされているところである。
 園舎の構造基準について。園舎の階数は2階建て以下を原則とし、特別な事情がある場合は、3階建以上も認めるとしているが、平常時および緊急時の安全対策の観点から、園舎を2階建て以上とする場合であっても、保育室等は1階に設けることが原則とされている。保育室等を2階以上の階に設ける場合においては、国の基準と同様に、園舎を耐火建築物とし、避難用の階段、屋外傾斜路の設置などの安全対策を講じることを条件として認めることとしているところであり、厳格に審査した上で認可するものである。また、特別な事情であるが、用地の確保が困難な場合など、地形の特殊性、土地利用の現況、その他地域の実情等を考慮する必要がある場合を想定している。
 園庭の基準について。幼稚園および保育所から幼保連携型こども園への円滑な移行を進めるため、基準の特例として、園庭の全体面積が不足している場合にあっても、満3歳以上の園児にかかる園庭の必要面積が確保されている場合に限り、園舎の敷地または隣接地以外の場所に園庭を設けることを認めることとしている。この場合、園舎の敷地または隣接地以外の場所の園庭は、園児が安全に移動することができる場所であるとともに、園児の教育および保育に支障がないようにしなければならないなど、一定の条件が付されるものである。
 食事の提供基準について。保育所における3歳未満の子どもについては、食物アレルギーの有病率が3歳以上のこどもより高いことや、離乳食をはじめとした個別の対応が必要となることなどから、自園調理による食事の提供が必須とされている。保育所における3歳以上の子どもについては、食事の提供は必須とされているものの、給食メニューの多様化や施設運営のより一層の効率化等の観点から、自園調理方式に加え、外部搬入方式による食事の提供が可能とされている。幼稚園児については、保育所に比べ施設の利用が短時間であることなどから、食事の提供が義務付けられている。教育・保育を一体的に行う幼保連携型認定こども園は、これら現行の食事の提供の考え方を基礎とし、自園調理を必須とした保育を必要とする3歳未満の子どもにかかる食事の提供を除いて、子どもや保護者の多様なニーズに対応するため、それぞれの実態に応じた食事の提供方法を選択することを可能としているものである。

・宮古港鍬ヶ崎地区海岸防潮堤工事について

【斉藤議員】
 最後に、本日追加提案された請負契約案件、第43号、宮古港鍬ヶ崎地区海岸防潮堤工事について質問します。
 この防潮堤工事は、10月3日の宮古市議会で「地区住民に十分な説明を行うこと」を求める決議が全会一致でなされたものです。直立型の防潮堤の工事ですが、この間どのように地区住民に説明され、合意がなされたのでしょうか。この請負契約案件は、海岸法の趣旨に立って、地区住民への十分な説明と合意を踏まえて提案されるべきものと考えますがいかがでしょうか。

【県土整備部長】
 10月3日の宮古市議会本会議において、「鍬ヶ崎防潮堤計画について地区住民に十分な説明を行うこと」の決議が全会一致で可決されたと承知している。
 その内容としては、防潮堤を建設し鍬ヶ崎地区を守ることは、復興まちづくり検討会やまちづくりの会において、十分議論し、合意を得たうえで事業を進めていることは確認しているものの、直立式防潮堤の構造や強度などの詳細な部分の計画について、住民の不安を取り除くために、丁寧かつ適切な時期に、説明会を開くことが適当であるとの判断により、可決されたものと聞いている。
 防潮堤計画については、これまで、宮古市が行った6回の区画整理事業等の説明会や県が25年11月22日に行った防潮堤に関する説明会の中で、一定の説明はさせていただいており、県としても、地元の理解はいただいていると考えている。
 今回の宮古市議会の決議の内容を確認した上で、宮古市と調整しながら、住民説明会を開催したいと考えている。
 今後も、事業の進捗に応じて情報を提供するなどの取り組みを通じて、さらに理解を深めていただけるよう努めていく。


≪再質問≫

・幼保連携型認定こども園について

【斉藤議員】
 県の基準案だが、まったく国の基準そのもので知恵が全然出ていない。事態を改善しようとしていないところに一番の問題があると思う。学級編制基準で、5歳児が35人学級と、小学校低学年より多い。3歳児も35人学級など成り立たない。だから、例えばさいたま市は3歳児は20人以下にしている、大阪市は25人以下、神戸市も25人以下としている。政令市は6月からやっているので。乳幼児の発達段階から見て、35人というのはまったく現実離れした問題だと思う。
 食事の提供で、幼稚園児は園の判断、3歳児以上は外部搬入は良くて、3歳未満は自園調理だと。幼保連携でやろうといっているときに、こんなごちゃごちゃした基準があるか。幼保連携でやるのだったら、自園調理できちんとした食事の提供をするのは当たり前である。なぜ1つの園でバラバラな基準を導入しなければいけないのか。幼保連携の意味が全くない。
 やはり全国でも、あまりにも基準がひどいから、そういう上乗せ基準をしているところがあるので、きちんとそういうことを考えるべきである。上乗せしている自治体をどう見ているか。把握しているか。

【保健福祉部長】
 この基準については、都道府県・政令市が条例化するとなっている。政令市はもちろん自分の市だが、都道府県が条例化する基準については、政令市以外の市町村すべてに関わるということで、やはり地域の事情がいろいろあるということを考えれば、国の基準についても幼保連携型認定こども園の円滑な移行を進めるということが目的の中でいろいろ記されていると思っているので、県としてもやはりいろいろな市町村の状況も考えれば、国の基準に沿いながら定めるのが適当ではないかと判断している。

・宮古港鍬ヶ崎地区海岸防潮堤工事について

【斉藤議員】
 宮古市議会が10月3日にそういう決議をあげることが残念でならない。担当者から聞いたが、7回は説明会をやったと。それは平成24年から昨年11月22日まで、その説明会はまちづくり事業、区画整理事業の説明会である。そこで直立型の今回やろうとしている防潮堤の説明は、最後の昨年11月に初めて出された。これではあまりにも稚拙である。防潮堤に反対している決議ではない。きちんと説明してほしいと。こんなことは請負契約を提案する前に本来やっておくべきことではなかったか。7回の説明会のうち1回しかまともな説明がなかったと。これは県の手落ちではないか。

【県土整備部長】
 あの地区の防潮堤については、東日本大震災津波の前から計画・事業化の検討を進めていた。その段階から、直立型の計画で地元には説明をしてきているところである。区画整理事業の中でも、アニメーションの形で示したりしており、11月22日一度だけ直立型を説明したということではないと認識している。
 それはそれとして、詳細な構造について、お聞きしたいということを聞いているので、そういうことについてさらに説明をしていきたい。


≪再々質問≫

・宮古港鍬ヶ崎地区海岸防潮堤工事について

【斉藤議員】
 これだけの説明資料を全部見たが、直立型の防潮堤が説明されたのは去年の11月だけである。
 事実を認めて、十分な説明をしなかったということではないか。

【県土整備部長】
 議員に提供している資料を見ていただければ分かるが、アニメーションの形で、決して十分ではないかもしれないが構造や形も示している。
 ただ、詳細な構造や強度ということについては、十分な説明をしていないので、その部分については今後しっかり説明していきたい。