2014年10月7日 9月定例県議会・本会議
高田一郎県議の一般質問(大要)


1.被災者の命と健康守る課題について

【高田議員】
 日本共産党の高田一郎でございます。
 東日本大震災津波から3年7ヶ月が経とうとしています。いまでも応急仮設住宅には23957人(8月現在)が生活し、先の見えない不自由な避難生活を送っています。
 大船渡のケアマネージャーから被災者の状況を聞く機会がありました。「高齢者は、生活不活発病、痴呆症、筋力低下の被災者が多く、介護保険料の値上げや消費税で生活が苦しくなっています。仮設住宅での生活は限界にきており、今こそ、見守りや支援が必要です」と強調されました。寄り添いホットラインによる被災3県の相談件数は、昨年度54万件、うち28%が自殺に関するものです。今後ますます被災者の命と健康を守る取り組みが重要となっています。被災者の実態についてどんな調査が行われ、どんな結果となっているのでしょうか。今後の対策を含めて示されたい。

【保健福祉部長】
 岩手医大の平成25年度の東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査の結果によると、睡眠障害と心の健康度については、全体として改善傾向が見られたが、応急仮設住宅の居住者には、健康状態の良くない者、睡眠障害のある者、心の健康度に問題のある者、肥満者の割合がいずれも高い傾向が見られた。このため、応急仮設住宅における生活の長期化等の影響で、運動不足や食生活の偏り、飲酒等による生活習慣病の発症や症状の悪化が懸念されることから、県ではハイリスク者への重点的な支援を行うなど、引き続き健康支援を推進していく。
 また岩手県心のケアセンターを設置し、震災心の相談室での専門相談や、訪問による個別支援などを行っているところだが、今後の災害公営住宅の整備にともなうコミュニティの変化による心理的ストレスの増加も懸念されることから、引き続き心のケアセンターを中核とした被災者の心のケアを進めていく。

2.被災者の医療費、介護保険利用料の免除措置について

【高田議員】
 被災者の医療費、介護保険利用料などの免除措置は、平成27年12月まで1年間延長することを知事は明らかにしました。不自由な避難生活を送っている被災者にとっては医療費などの免除は命綱であり知事の決断を評価するものです。
 これまで免除した対象者数、県・市町村の免除総額はどれくらいだったでしょうか。被災地の復興はなかなか進まず、社会資本の復旧・復興ロードマップにおける27年度末の災害公営住宅の供給戸数は4348戸73%、面整備は47%となっています。住宅再建は用地の確保や資金問題などもありなかなか進まず、不自由な応急仮設住宅での生活は2〜3年となる被災者も出てきます。せめて、自立するまで延長すべきですが知事の見解を伺います。

【保健福祉部長】
 これまで免除した対象者数については、平成25年12月末時点の免除証明書交付者数では、約4万人となっている。平成24年10月から平成25年12月までの免除に対する負担額は、4事業を合わせると県負担が約10億4千万円、市町村負担が約5億5千万円となっている。
 応急仮設住宅等での生活が長期化する中で、被災者の多くは健康面や経済面での不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があることから、今回財政支援を継続することとしたところであり、平成28年1月以降の対応については、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を勘案し、改めて検討したいと考えている。

3.土地売却の収入による介護保険料等の負担増について

【高田議員】
 防災集団移転事業で土地売却による収入が所得扱いされ、被災者が介護保険料・ホテルコスト等の負担増に苦しめられています。介護施設のホテルコストがこれまで低所得者による軽減措置で、月38000円だった被災者が105000円に跳ね上がりました。保険料の負担とあわせ年間86万円余の負担は被災者としては耐えられるものではありません。介護保険料については、介護保険法第142条で市町村では独自減免できることになっていますが、独自減免が実現できるよう県としても取り組むべきです。ホテルコストについても特別の手立てが必要ではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 第一号被保険者の介護保険料は、負担能力に応じて負担いただく観点から、所得に応じた段階別の定額制としており、住民税均等割の課税基準と同様、合計所得金額をもとに保険料段階を区分している。
 土地売却による譲渡所得は、合計所得金額の算定にあたり、特別控除の対象とならないことから、防集による売却であっても、翌年度の保険料段階が変わり、介護保険料が増額となる事例が生じていることは承知している。
 市町村は、介護保険法第142条により、このような事例にたいし市町村自らの判断で減免を行うことが可能だが、減免に要する費用は、介護保険財政の中で措置することとなっている。また、ホテルコストと言われている食費や居住費に対する補足給付については、保険料と同様、所得に応じた段階区分により対象者が定められ、仮に保険料の減免が行われた場合でも、段階区分は変わらないため、今回の事例を給付対象とすることは制度上困難である。

4.被災地福祉灯油について

【高田議員】
 今年の灯油価格は1リットル108円と「被災地福祉灯油」を実施した昨年よりも上回っています。灯油価格は今後下がる要因はなく、円安政策で更なる上昇が懸念されます。「被災地福祉灯油」は3年連続実施されています。今年も福祉灯油の実施を早く決断し内陸への避難者を含め被災者が安心して冬を過ごせるようすべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 平成23年度から25年度まで、東日本大震災津波により甚大な被害を受け、内政事情がきわめて厳しい中で、福祉灯油を実施しようとする沿岸部の市町村が多数あり、これら市町村に対しては重点的な財政支援が必要と判断して、被災地福祉灯油等特別助成事業を実施したところである。
 なお、内陸に避難した世帯についても、実施主体である市町村が助成対象とした場合は、補助事業の対象としている。
 今年度は、灯油価格が例年より高い水準で推移していることは承知しているが、9月末時点でほとんどの市町村が福祉灯油を実施するかどうかについては、これから検討するとうかがっており、福祉灯油の価格や国による支援の動向等を注視し、実施主体である市町村の意向を十分確認しながら、県の補助の必要性を検討していく。

5.被災者の住宅再建について
 
【高田議員】
 被災者は住宅確保の見通しがつかないことが最大の悩みです。特に用地確保の問題とともに、建設資材などの値上がりで住宅建設の坪単価が震災前と比べても10万円も増えています。30坪の家を建てる場合、300万円も負担増となり、県と市町村で行っている独自の支援がすべて消えてしまいます。時間の経過とともに住宅再建を諦め、災害公営住宅や内陸に移住する被災者も出ています。住宅再建への支援の拡充を国に強く求めるとともに県としても更なる支援をすべきですが、知事の答弁を求めるものです。
 岩手における二重ローン対策は、相談件数1044件、成立・準備中などの見通しは346件で33%です。これから再建する被災者で、すでに被災した住宅でローンを払い続ける被災者の実態はどう把握されているでしょうか。昨年12月、金融庁と東北財務局は、住宅ローンを払い続けている人が活用できるよう徹底する通知を出しました。県としてその後どのような対応、努力をされてきたでしょうか。改善が図られているのでしょうか。

【達増知事】
 復興を進める上で、住宅の再建は喫緊の課題の1つであり、県においては、資材高騰や人手不足など諸課題についての情報共有等を図りながら、全庁をあげて住宅再建を推進している。
 現在の支援策としては、国の制度である被災者生活再建支援金加算支援金のほか、本県独自に市町村と共同で実施している被災者住宅再建支援事業費補助がある。さらに、追加交付された震災復興特別交付税215億円を活用し、沿岸被災市町村がそれぞれの実情に応じた住宅再建支援策を講じている。これまでも被災者生活再建支援金の増額と震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大について国に対し要望してきたところだが、住宅再建を促進するため、引き続き国に対し粘り強く要望していく。
【復興局長】
 二重ローン対策について。金融庁の公表資料では、被災三県の債務者のうち、発災後から本年6月末までの間に住宅ローンの条件変更契約を締結した債務者数は9972件となっているが、この件数は被災者に限定されたものではなく、内陸部も含む被災三県全体の数字であり、本県の被災された方々の内訳までは把握できないとのことである。
 昨年12月の金融機関に対する通知を受けて、県としても被災者の方々への周知に努めてきたほか、今年度は住まいの展示相談会で相談コーナーを開設するにあたり、盛岡財務事務所ガイドライン運営委員会のほか、金融機関の担当者にも協力をいただき、被災された方々の二重ローンにかかる相談対応のより一層の充実に努めてきた。
 今後とも、関係機関との緊密な連携のもと、被災された方々への周知や丁寧な相談対応を行い、債務整理が円滑に図られるよう努めていく。

6.生業の再生について
 
【高田議員】
 仮設店舗・施設は362箇所1811区画で、宮城・福島両県の合計を上回っています。大船渡夢商店街など仮設商店街も17整備(10区画以上)され空き店舗もなく集客力を増やし観光の拠点にもなりました。しかし、復興需要も減少する中、仮設店舗では6割が売り上げ減少となっています。本設での再開を希望する事業者数及び仮設店舗でこのまま続けたい事業者の実態を県はどう把握されているでしょうか。高齢化と後継者難から今の仮設店舗で継続したいという商店も出ています。5年間という仮設店舗の使用期間を延長し譲渡後の解体費用、地代(陸前高田市で3600万円)も含めて支援できるようにすべきですが県としてどう対応しているでしょうか。
 漁船や養殖施設は、震災前の7割前後、生産量も6割前後まで回復しています。しかし、魚価の低迷、養殖わかめの価格低下など風評被害対策が課題となっています。現状と対策はどうなっているのでしょうか。震災前よりも漁業経営体は37%も減少しました。担い手確保についてはどう対策がとられているのでしょうか。水産加工業では販路縮小と売り上げ減少、人手不足に直面しています。現状はどうでしょうか。県としてどんな対策を講じてきたでしょうか。

【商工労働観光部長】
 昨年10月に岩手県産業復興相談センターが仮設店舗で営業している事業者を対象として実施した調査では、約8割が本設での再開を希望すると回答している一方、仮設店舗の存続期間の延長を希望する事業所も約8割となっている。
 仮設店舗の使用期間については、特区制度を活用することにより、被災地の状況に応じて柔軟に設定することが可能となっている。仮設店舗の解体費用については、今年度から国の助成制度が創設されたところであり、地代については、設置主体である市町村が民有地の賃借料を負担することとされている。県としては、市町村と連携し、グループ補助金などの制度の活用を促すなど、本設での事業再開を支援していく。
 水産加工業の現状と対策について。本年8月に復興局が実施した被災事業所復興状況調査では、現在抱えている課題について、「雇用・労働力」の確保と回答した事業者が58.3%でもっとも多く、次いで「業績の悪化」が43.3%となっており、今なお厳しい状況にあるものと認識している。県では、水産加工業の本格的な復興に向けて、平成24年に県・岩手県産株式会社および岩手県工業技術センターの3者で「三陸復興商品力向上プロジェクト」を立ち上げ、魅力ある商品づくりをはじめ、商談会や大手量販店と連携したフェアの開催、さらには平成24年度および25年度にいわて希望ファンドや農商工連携ファンドの助成率や助成限度額を引き上げるなど、より利用しやすい制度改正を行い、販路開拓の支援の充実に取り組んできたところである。また、労働力の確保に向けては、水産加工現場のイメージアップ、工場見学会や面接会の開催など、企業と求職者とのマッチングの促進、企業向けセミナーの開催による職場定着の支援、事業復興型雇用創出事業の活用促進のほか、水産加工業協同組合連合会に対して、岩手労働局と連携し、雇用管理改善についての要請活動に取り組んできたところである。
【農林水産部長】
 風評被害対策について。わかめ等の海藻類については、関西圏での取引量が回復しないなど、水産物の風評被害はいまだ払しょくされていないと受け止めている。県では、これまで首都圏を中心に、鉄道広告や生活情報誌等を活用した生産者の一生懸命な姿の発信や料理人を招いた産地見学会の開催などに取り組んできた。今年度は、新たに関西圏における取り組みを強化し、11名の有名料理人の協力をいただき、JR西日本全線への鉄道広告の掲出、産地見学会の開催と料理専門誌への記事掲載、県産食材を利用した特別メニューの提供などに取り組み、消費者の信頼回復と販路回復・拡大を図っていく。
 担い手対策について。県は震災後、漁協を核とした漁業、養殖業の構築を図るため、漁船・漁具・養殖施設などの生産基盤を支援するとともに、新規就業者への確保や定着を図るため、漁業就業フェアの県内開催支援、漁業研究会等への加入促進支援などに取り組んできた。さらに、地域漁業の復興に向けた戦略・戦術を盛り込んだ地域再生営漁計画の策定と実行の支援を行うこととし、漁協ごとの具体的な担い手確保や所得向上の対策が進むよう支援していく。

7.JR山田線、大船渡線の早期復旧について

【高田議員】
 JR山田線は、三鉄への経営移管案が示され協議が続けられています。山田町長から「三鉄となれば通学定期が月8500円から18500円になる。超優良企業の責任で復旧をお願いしたい」と話されました。被災者や被災自治体への負担が増えるようになってはなりません。あくまでJRの責任で持続的な経営ができることを前提に早期の復旧を求めていくべきです。赤字補填、運賃への補助、災害対策の対応などこれまでどんな交渉がされてきたのでしょうか。
 JR大船渡線は、2月19日にルート変更案を示し、事業費400億円の提案をしてきました。あまりにも無理難題な提案であり撤回を求めていくべきです。これまで県は、現行ルートで復旧できない根拠、危険箇所の特定などの説明を求めてきましたが、JRの対応はどうなっているのでしょうか。

【政策地域部長】
 山田線については、先般の沿岸市町村首長会議で確認した、山田線の三鉄による運営を「鉄道復旧に向けた有力な選択肢」とする対応方針に沿って、JR東日本と条件詰めの協議を行っている。現在JR東日本に対しては、関係自治体の負担増を回避する観点に立ち、持続的な運営が可能となるよう、鉄道施設等の強化や、災害時・施設設備更新時の費用と一定期間の赤字想定額の補てんについて要請しているほか、利用者に負担を強いることのないよう、三鉄とJR東日本の運賃差額の補てんについても要請している。
 大船渡線については、JR東日本から乗客の安全を確保するためには、山側にルート変更を行わなければ復旧が難しいとの意向が示されたことから、まずは現行ルートで復旧できない理由について、大船渡線復興調整会議の場において明確に説明するよう、同社に対して求めるとともに、国に対しても、同会議の早期開催を要請している。これに対し、JR東日本からはいまだ明確な説明がないことから、引き続き沿線自治体と連携しながら復興調整会議を早期に開催し、説明を行うよう求めていく。

8.広島土砂災害の教訓と県の対応策ついて

【高田議員】
 広島での大規模土砂災害は、死者74名という大災害となりました。本県の土砂災害危険箇所は14348箇所と東北で一番多く、警戒区域の指定はわずか2割、ハード対策も遅れています。なぜ遅れているのでしょうか。いつまでに警戒区域の指定をするのか示していただきたい。
 土砂災害のハザードマップを作成し、住民に危険箇所を周知し、避難や自主防災活動にも役立つようにソフト面での対策も大事です。県は広島での大規模土砂災害を受け県内の危険箇所を総点検する補正予算を提案しました。これは評価するものですが、まず危険箇所を県民に周知することこそ急ぐべきではないでしょうか。

【県土整備部長】
 土砂災害警戒区域等指定は、9月末時点で土砂災害危険箇所14348箇所中、3154箇所を指定済みであるが、指定には区域を確定するための基礎調査から住民説明会等の一連の事務手続きが必要であることや、地域によっては、指定により土地の開発規制等が生じるため、地域の理解を得るのに時間を要している。また、砂防ダム等の施設整備には、多大な時間と費用を要することから、一気に進捗を図ることが困難であり、整備効果を早期に発現させるため、老人ホーム施設等の要配慮者関連施設や避難所、学校・病院等の公共施設のある箇所、被災履歴のある箇所を優先的かつ集中的に進めてきている。土砂災害警戒区域等の指定完了には、まだ年数を要する見込みであるが、現在、国において土砂災害防止法改正の検討が進められており、指定の迅速化に向けた制度面の改善等が見込まれていることから、その動向を踏まえて迅速な指定に取り組んでいくとともに、指定にかかる体制の強化や業務の外部委託の拡大等についても検討していく。
 土砂災害危険箇所の周知について。把握済の土砂災害危険箇所14348箇所については、これまで県のホームページ上で公表しているほか、ハザードマップで公表している市町村もある。今回、広島県の大規模土砂災害発生にともなう国の土砂災害危険箇所の緊急周知の要請を受けて、本県においても、県ホームページ上の土砂災害危険箇所情報の充実やアクセス改善を行い、また各市町村においてもホームページへの掲載や回覧板による周知、説明会開催、公共施設での掲示などによる緊急周知を行っている。住民の迅速な避難や自主的な防災活動ためには、土砂災害警戒区域の指定や土砂災害警戒情報の提供などとあわせ、土砂災害危険箇所の周知も重要と認識しており、平成26年度および27年度で県全体の土砂災害危険箇所の再確認を行う予定であり、その成果についても市町村と連携して周知を図り、地域の安全・安心の確保に努めていく。

9.子どもの医療費無料化の拡充について

【高田議員】
 子どもの医療費は子育て世代の大きな負担になっており、わが党は対象年齢の拡充や現物給付となるよう繰り返し求めてきました。窓口負担を求める償還払いの制度は、岩手を含めわずか10道県にとどまり、東北では岩手県だけとなっています。医療費助成の対象年齢の拡充も9年前に就学前に広げただけで、達増県政になってから何も改善もありません。償還払いでは、他県から転勤してくる若いお母さんからも驚きの声が寄せられています。「岩手県総合計画審議会」での提言も「日本一子育てにやさしい地域にすること」が提起され、学費と医療費の無料化、子育て期間の子どもの経費を一定額継続助成することまで提言しています。対象年齢も県内に広がっており、せめて小学校卒業まで拡充し、窓口負担も現物給付にすべきです。少子化対策にとっても緊急な課題であり知事の決断を求めるものですがいかがでしょうか。

【達増知事】
 本県の乳幼児医療費助成について、現在の就学前までの対象を小学校卒業までに拡充するためには、多額の県費負担が見込まれるところであり、県単独政策において、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、直ちに実施することは難しいと考えている。
 また、窓口負担を現物給付とした場合、市町村の国保に対する国庫支出金が減額されることから、現行の償還払いが市町村等と協議した上で実施している。
 しかしながら現在、人口問題対策本部において、人口減少対策として総合的な子育て支援施策について検討しているところであり、今後助成対象の拡充と窓口負担の現物給付について市町村等と協議していきたい。

10.子育て支援策について

【高田議員】
 来年4月から子育て支援に関わる制度が根幹から見直しされます。新制度は介護保険制度をモデルとしており、最大の特徴は市町村の責任で保育を提供する現物給付から利用者と事業者の直接契約への変更です。
 しかし、実施を前にして矛盾が噴出しています。第一に、施設への補助金となる公定価格の仮単価が示されて以来、新制度による認定子ども園等を目指した私立幼稚園が全国的で2割にとどまっています。27年度に県内の新制度への移行はどうなっているのでしょうか。保護者への説明がしっかりされているのでしょうか。保育料もまだ決まらない中で、来春から実施できる状況にあるのでしょうか。
 第二に、小規模保育事業では、資格要件緩和など国の規準が設けられました。小規模保育事業のC型では、保育士がいなくとも運営できることとされたところですが、子どもが育つ環境で保育に携わる職員の資格に格差があることは、児童福祉法の理念にも反するものです。本来資格を持った保育士で保育すべきでありますが、国基準を超える設置基準とした市町村の状況はどうなっているでしょうか。
 第三に、今度の子育て支援制度で待機児童は解消されるのでしょうか。どの子も最善の保育が保障されなければならず、それは保護者の声でもあります。子育て支援制度が大きく変わっても市町村の保育実施義務をうたった児童福祉法24条1項は残りました。待機児童の解消は認可保育所の増設を基本とし県もそこに支援をすべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 平成27年度の入園者募集で予定している県内の認定こども園以外の私立幼稚園60園のうち、本年7月11日現在、新制度への移行を検討している施設は16施設となっている。保護者への説明については、これまで事業者を対象とした制度説明会や、新制度にかかるパンフレットを配布しているほか、県や市町村の広報誌を活用し周知を図った。保育料については、これまで市町村にたいし、国で示した保育料の想定額を参考に、事業者に示すよう助言してきたところだが、国の基準額が決定するまで市町村の保育料が決定できない状況になるので、このような地方の実情を国に伝え、早期に対応方針を示すよう強く求めている。
 国基準を変える設置基準とした市町村の状況だが、小規模保育事業C型については、家庭的保育者が15人以内の児童を保育するものであるが、家庭的保育者は、保育士または市町村長が保育士と同等と認めた者で、市町村の研修を受けた者とされている。県内33市町村のうち、家庭的保育者を保育士に限定するなど、国の基準を超える基準を設けた市町村は7市町村となっている。その内訳は、家庭的保育者をすべて保育士としたのが4市町、家庭的保育者のうち1人は保育士とした自治体が3市となっている。
 待機児童の解消について。子ども子育て支援新制度については、消費税の引き上げなどにより新たな財源を確保し、すべての子ども子育て家庭を対象に、幼児教育保育地域の子ども子育て支援の量的拡充と質的改善を図ることを目的として実施されるものである。国においては、新制度の着実な取り組みと効果的な活用を図ることにより、平成27年度から31年度までの5年間の計画期間内で、保育ニーズのピークを迎える平成29年度末までに待機児童の解消を目指すこととしているところであり、県ではこれに呼応し、市町村が子ども子育て支援事業計画を作成する際に、待機児童の解消が図られるよう市町村にたいし適切な助言を行っていく。また、待機児童の解消は、認可保育所の増設はもとより、それぞれの地域や実情や利用者の希望に応じ、幅広い選択肢の中で対応していく必要があることから、市町村においては利用者のニーズ把握に努めるとともに、子ども子育て会議の意見なども踏まえながら、待機児童の解消を図るべきものと考えている。

11.国民健康保険の広域化について

【高田議員】
 都道府県への広域化が検討され次期通常国会に法案提出が予定されています。
 市町村では税負担を抑制するために一般会計からの繰り入れを行い、値上げを抑えています。どれだけの市町村で繰り入れが行われ総額はいくらでしょうか。広域化では繰り入れが困難となり、国保税の軽減につながらないどころか値上げになってしまいます。広域化によって市町村国保が抱える問題が解決されるものではありません。広域化に向けた動向はどうなっているのでしょうか。広域化に反対すべきですが県としてどう対応されているのでしょうか。

【保健福祉部長】
 平成25年度市町村国保会計の決算において、一般会計から法定外繰入を行っているのは、9市町村9億3千万円で、内容は、決算補てんや国保税負担の緩和等となっている。
 国保の都道府県化については、将来にわたる安定的な制度運営が可能となるよう検討されているものであり、本年1月以降、国と地方による国保基盤強化協議会において議論され、この8月に中間整理が行われた。この中間整理では、財政上の構造問題解決への道筋が国から明確に提示されず、その財源等については、国保税の賦課徴収の仕組みなど、都道府県と市町村の役割分担と合わせて引き続き検討することとされている。
 県としては、全国知事会等を通じ、できる限り早期に追加公費の規模や財政基盤強化策を提示するよう国に求めているところであり、今後とも国保基盤強化協議会や社会保障審議会、医療保険部会の議論の方向性や他県の動向を注視していく。

12.介護保険制度について

【高田議員】
 介護保険制度は制度の根幹に関わる大改悪がおこなわれました。
 第一に、要支援者の訪問介護、通所介護サービスが介護予防給付から市町村の地域支援事業に移行することとなりました。在宅介護は単なる家事代行ではなく、高齢者の変化を気づき医療や介護につなげる役割を果しており、介護サービス切捨ては在宅生活が困難になる事態を招きかねません。要支援者こそ専門的で丁寧なケアが必要と考えますがいかがでしょうか。
 介護事業所を訪問し調査しました。どこにいっても地域支援事業を「まる投げされるのではないか」という不安の声が寄せられました。委託単価は介護報酬以下となっており事業所収入の減少は避けられません。地域支援事業になっても高齢者が今までどおりのサービスを受けることができるようにすべきです。市町村の地域支援事業はどうなるのでしょうか。
 第二に、特養ホームの入所は要介護3以上となりました。すでに入所している方は継続して入所できますが、要介護度1、2の待機者はどのぐらいでしょうか。
 第三に、特養ホーム待機者は入所まで長期の待機待ちとなり、重度と高齢にならないと入所できず、入所してもわずかな期間の入所となっています。もうひとつの特徴は高齢者の貧困化と家族介護力の低下であります。有料老人ホーム、高齢者住宅が急増していますが、特別養護老人ホームでなければ利用できない高齢者が確実に増えています。
 特別養護老人ホーム待機の解消をめざし大幅に増設すべきですが、待機者の現状と整備計画はどうなっているでしょうか。一方事業所では、資材の高騰にくわえ補助金があまりにも低いことから施設整備と修繕をためらう要因となっています。施設整備に対する補助金の拡充、修繕に対する支援などが必要ではないでしょうか。
 第四に、介護現場での一番の切実で共通した課題は介護人材の確保です。介護人材不足は県全体でどのぐらいになっているのでしょうか。高校生を採用し育てることで介護人材を確保している事業所もあります。県として介護人材確保の対策を示してください。

【保健福祉部長】
 地域支援事業に移行した後も、介護保険制度によりこれまでと同様、地域包括支援センターがケアマネージメントを実施する仕組みとなっており、利用者の意向や心身の状況等を踏まえ、専門的なサービスを必要とする方には、訪問による身体介護や生活援助、通所による機能訓練などのサービス提供につなげることとされている。これら専門的なサービスに加え、例えば訪問介護では、NPOや民間事業者等による掃除・洗濯などの生活支援や、住民ボランティアによるゴミ出しなど、多様なサービスの提供を可能としている。県としては、市町村等が開催し事業者等が参加する制度説明会に担当者を派遣し、制度への理解が図られるよう努めるほか、県内外の先進事例の紹介、担い手育成等を行う人材の確保などにより、市町村等の円滑な移行に向けた支援に努めていく。
 特養ホームに入所を申し込んでいる方は、26年3月末時点で6642人、うち在宅で市町村が早期の入所が必要と判断した待機者は1321人となっている。うち要介護1・2の方は267人となっている。今年度の整備計画では、広域型特養270床、地域密着型特養291床の計561床が年度内に開設する予定。施設整備については、県単事業の老人福祉施設等整備補助金、介護基盤緊急整備等臨時特例基金を活用した介護サービス施設整備等臨時特例事業のほか、国直轄の地域介護福祉空間整備等施設整備交付金により新設あるいは増改築などを行っており、基金事業と国交付金事業については、年度内に状況の変化に対応した単価増額を行う予定である。なお、来年度からは新たに、地域医療介護総合確保基金を施設整備に活用することも検討されているが、いまだ具体的な方針が示されていないことから、情報収集に努め、来年度の施設整備が円滑に行われるよう準備を進めていく。
 介護人材の確保について。岩手労働局が公表している労働統計では、平成26年8月現在、介護関係の有効求人数は1652人となっており、有効求人倍率は1.53倍と全産業の0.96倍に比較して高く、介護人材の確保は依然厳しい状況である。県では、昨年度に引き続き、介護人材確保事業により、介護事業所の労働環境整備・改善やITの活用などを促すセミナーを開催しているほか、介護事業所で働きながら資格取得を支援する介護職員育成・定着促進事業を行ってきた。特に、人材確保が困難な沿岸被災地においては、介護事業者が行う新規採用職員用の住宅確保に要する経費の一部を支援することなどにより、介護人材の確保を促進している。また、介護事業所での就業を支援するため、県内4圏域に7名のキャリア支援員を配置し、就職面接会や職場体験、潜在有資格者への再就職支援など、きめ細かな支援を行っている。さらに今年9月には、岩手労働局や介護労働安定センターと連携し、介護事業者団体にたいし、介護人材の確保・定着のための魅力ある職場づくりを要請したところである。今後も、国・県・関係団体および養成施設で構成される岩手県介護労働懇談会などを通じ、関係機関と連携しながら、介護人材の確保・定着に努めていく。

13.公契約条例について

【高田議員】
 公契約条例は、自治体などが発注する業務で働く労働者が低賃金を押し付けられている「官制ワーキングプア」の解消を目指し自治体と契約する事業者に一定額以上の支払いを求める条例です。
 建設現場では建設労務単価は上がっても現場の労働者の賃上げに反映せず、市町村が発注する委託事業でも入札が行われるたびに賃金が低下しています。県発注契約でワーキングプアをつくってはなりません。このような課題を解決するには「賃金条項」を明確に盛り込んだ条例にすべきであります。
 全国で賃金条項を盛り込まず理念条例になっている自治体もありますが、賃金条項を明確に盛り込んだ全国から注目されるような条例にすべきです。知事の答弁を求めます。

【達増知事】
 本県においては、契約の公正性や提供されるサービスの質の確保などに加え、公契約に携わる労働者の労働条件の改善等を目指した条例の制定に向けて現在検討を進めている。
 これまで都道府県としてすでに条例を制定している長野県や奈良県の調査を行ったほか、県内の労使関係者へのヒアリングや懇談会等を通じて意見交換を重ねてきたところである。
 今後、県内の市町村において公契約条例が制定されることも考えられることから、法制面からの検討も行ってきたところである。
 県としては、労使関係者の方々から賛同を得られる条例となるよう、2月県議会での提案に向けてさらに検討を進めていく。

14.県立花泉高等学校の学級減の見直しについて

【高田議員】
 県教委は、来年度の学科改編の計画として県立花泉高校を1学級減とする方針を8月5日の商工文教委員会で示しました。
 今月の教育委員会議で決定することになっていますが、あまりにも拙速すぎるといわなければなりません。私も関係者と会って話をうかがってきました。花泉高校では、生徒の進学希望にも就職にも応えられるさまざまな努力が行われていました。就職希望の9割は地元に就職しており、地域に貢献する重要な役割を果たしています。今年の学校公開では、藤沢中学校からも10人が参加しており、制服も斬新なものに変えようと検討しているさなかの学級減の提案でありました。地元の花泉中学校では、近隣の高校の学校説明会も開催し花泉高校についても紹介しています。花泉高校の2学級から1学級への学級減は、クラブ活動や教員の数でも大きく制約され、生徒減に拍車がかかります。「今年の生徒数の急減だけで結論出すのではなく、2〜3年の改革の努力を見守ることが必要ではないか」という声も寄せられました。「県立高等学校教育のあり方検討委員会」では、小規模高校のあり方がその中心的な議題の一つとして検討されています。学級減は見直し、地域住民の声を聞き「県立高等学校教育のあり方検討委員会」の議論をふまえ慎重に検討すべきですがいかがでしょうか。

【教育委員長】
 次期高校再編計画策定までの間における学級数調整については、県立高校の管理運営規則の規定に基づき、今後の中学校卒業予定者数の推移や、入学者選抜の実施結果等を勘案しながら、東日本大震災津波以降、ブロックごとの学級数調整ではなく、個別の学校についての検討を毎年実施している。
 花泉高校については、平成26年度入試において入学者が大幅に定員を割り込んだことや、花泉地域の平成27年3月の中学校卒業予定者数が今年度よりさらに減少すること等を踏まえ、同校への入学者数を想定した場合に、来年度も1学級以上の欠員が生じると見込まれることから、1学級の減を案として公表した。
 地元におけるさまざまな議論等もあるので、生徒の進路選択の動向等の状況をさらに見極めたうえで、総合的な見地から検討を行い、今月開催する教育委員会定例会において最終的な方向を決定したい。

15.特別支援学校について

【高田議員】
 盛岡みたけ支援学校を調査してきました。雨漏りする天井が放置され、物置併用の教室、木工室が狭く、外にテントを張っての授業、独自のグラウンドもなく、生徒が情緒不安になったときには行動観察室もなく校長室か外で対応しています。子どもたちに負担を与え教職員にも大変な苦労をもたらしています。県内の特別支援学校も同じ課題を抱えているのではないでしょうか。県内の特別支援学校の教室不足の現状と改善の取り組みはどうなっているのでしょうか。
 北上市では父母の要望に応えて特別支援学校の「新設」または分教室の設置を求める要望が北上市から県に提出されました。花巻清風支援学校の児童生徒の44%が北上市からとなっており、地元花巻を上回る児童生徒数になっています。保護者から「毎日2往復している」、「送迎のために仕事も辞めてしまった」など切実な声も寄せられています。
 二戸市からは高等部分教室の設置と小中高等部からなる独立校の設置も要望され、釜石祥雲支援学校においても県議会請願採択を受けて「釜石祥雲支援学校環境整備検討協議会」が設置されました。県教委は劣悪な特別支援学校の現状や保護者からの要望をどう受け止めているのでしょうか。緊急対策と抜本的な施設整備を含め「施設整備計画」を作成すべきと考えますがいかがでしょうか。
 学校給食は一関清明など3校で弁当給食となっています。保護者からも「小・中学校では温かい学校給食なのになぜ支援学校では冷たい弁当なのか」との声も出ています。改善を求めてきましたがどう検討されているのでしょうか。

【教育長】
 教室数については、児童生徒数の増加と、小中学校部6人、高等部8人を基準とする通常学級に対し、1学級を3人とする重度・重複障がい対象の特別学級の増加により、昨年5月1日現在における教室数不足は68と、盛岡みたけ支援学校など8校において教室不足の状況がある。これらの学校においては、特別教室の活用等により対応してきているところである。県教委では、これまでも一関清明支援学校本校舎の移転増築をはじめ、前沢明峰支援学校の作業実習棟や花巻清風支援学校の特別教室棟の新築などに取り組んできているところではあるが、児童生徒数の増加などに追い付かないこともあり、さらなる対応を検討していく。
 保護者からの要望に対する認識と今後の整備計画について。現在、国においてインクルーシブ教育への取り組みが推進されているところであり、この動向も踏まえていく必要があると考えているが、具体的な環境整備については、それぞれの市町村教委とも協議し、保護者の要望等も踏まえつつ、県立学校等の全体的な整備の方向を見据えながら、緊急度・優先度等を勘案するとともに、現有学校施設の活用なども併せて検討し、課題の解消に取り組んでいく。
 学校給食について。給食調理施設を有しない学校においては、保護者からの要望等を受け、これまで順次調理委託による弁当給食を導入してきている。一部の学校においては、市町村の共同調理場から給食の供給について協力をいただいており、この3校についても、同様の協力を要請してきているが、共同調理場の供給能力の面などから、この実現にはいたっていない。近隣市町村における児童生徒数の変動などもあるので、改めてその可能性等について市町村教委などと協議していく。

16.米価暴落対策と「農政改革」について

【高田議員】
 14年産米の概算金の大幅な引き下げに農家に衝撃が走っています。岩手の主力品種であるひとめぼれは2800円引き下がり8400円となり生産費の6割となりました。大規模農家ほど影響が大きく「もうやりきれない」という声も出ています。県としてどう受け止めているのでしょうか。今年は米の直接支払交付金も半減となりましたが、あわせて農家所得と県内経済への影響はどの程度になるのでしょうか。15ヘクタールの担い手農家ではどれだけの減収になるのでしょうか。
 暴落の原因は、過剰米対策をとらず平成30年産からの生産数量目標配分の廃止が主な要因です。北海道・東北地方知事会として対策を緊急申し入れしました。しかし、この間の政府の対応は、「市場からの隔離は困難の繰り返しであり減反は断行する」との姿勢です。地方再生、農業所得倍増を掲げながら暴落は当然視する無責任な姿勢です。市場任せではなく、米の需給と価格の安定は農家と地域経済を安定させる不可欠なもので、これを基本にしなければ同じことが繰り返されます。過剰米を市場から隔離し、価格と需給に国が責任を持つこと、経営所得安定対策の半減の見直しを求めることが必要ではないでしょうか。
 飼料の自給率を高める飼料米の水田活用は重要な課題です。県は飼料米の需要調査をこの間を行いましたが、26000トンの需要に対し今年はわずか2000ha約10900トンにとどまっています。「主食用米並みの所得確保が可能」といって国は誘導しましたがなぜ進まないのでしょうか。取り組みの現状と課題はどこにあるのでしょうか。  
 農政改革というなら多くの農家が農業に励むことができる条件整備こそ必要であり、担い手確保に総力を挙げることです。安倍政権の「農政改革」は、大規模農家の育成し企業の参入を進めるためにその規制を排除するものです。その中身は農協や農業委員会の解体を目指すもので「改革」に逆行するものですが、県の見解を求めます。

【農林水産部長】
 米価の下落は、生産者のみならず地域経済及ぼす影響も大きく、きわめて深刻な問題ととらえている。米価下落による影響額は約140億円であり、ナラシ対策等による補てんが約50億円と見込まれ、農家経済への影響額は約90億円となる。また、本県経済全体に対する影響額は、産業連関表を用いた試算では、132億円程度と見込まれる。これを15ヘクタール規模の農家で見た場合、概算金が約390万円の減収、ナラシ対策による補てんが約310万円と見込まれ、差し引き80万円の減収と試算される。これに直接支払い交付金の減収分約110万円を合わせると約190万円の減収と試算される。
 過剰米処理について。今般の米価下落については、全国的な米の需給緩和によるものであることから、まずは、国による対策が必要と考え、北海道・東北地方知事会において、過剰米の市場からの隔離、経営所得安定対策の十分な予算の確保、万全なセーフティネットの構築について緊急要望を行ったところである。また、米の直接支払い交付金については、単価がこれまでの半分とされたところであるが、国においては、農業経営全体の収入に着目した収入保険制度の導入を検討しており、それらの状況等も踏まえ、引き続き必要な対応を国に求めていく。
 飼料用米の取り組みについて。26年産については、利用希望があった畜産経営体や飼料メーカーとのマッチング、多収性専用品種の作付等を進めたが、一方で、主食用米と一体的に取り組むことができ、価格も安定していた加工用米と備蓄米の需要も増えたことから、飼料用米の作付面積は、前年産に比べ、400ヘクタールほど増加の約2000ヘクタールにとどまった。今後、米の需給動向や飼料用米の需要調査に基づき、これまで以上に飼料用米への転換を進めることとしており、数量払に対応した単収の向上、主食用米への混入防止、数量の増加に応じた施設の確保の取り組みが必要と考えている。
 農政改革について。農協や農業委員会の見直しなどの農業の改革にあたっては、農業者が意欲と希望を持って農業経営に携わり、所得向上が図られ、さらに地域も豊かになっていくことが重要と考えている。農協のあり方については、県内において、JAグループが各JA等の役員で構成する検討組織を設置し、組織・事業の検討を開始しており、組合員の声も広く集めながら、27年1月を目途に結果を取りまとめる予定と聞いている。国においては、このような地域における自主的な改革の動きも踏まえつつ、農業者などの現場の意見を広く聞きながら、農業・農村の振興につながるよう検討を進めてほしいと考えている。

17.国政の重要課題―消費税増税について

【高田議員】
 第一に消費税増税問題です。
 消費税の税率が8%になってから丸6ヶ月になりました。4月以降の消費の落ち込みで政府は景気判断も下方修正しました。国民の多数の反対を押し切って強行された消費税の増税の打撃は日本経済にはっきり表れています。働く人の実質賃金が低下し、家計消費が冷え込み、GDPが落ち込むという増税不況が始まり、日本経済は「好循環」どころか悪循環の危険水域に入っています。この上再増税が行われれば消費がさらに落ち込み経済が一層悪化し国民の暮らしも経済も破綻してしまいます。岩手にとっては東日本大震災からの復興に影響をもたらすもので二重の深刻な被害となります。どの世論調査でも再増税反対が圧倒的となっています。10%への再増税中止を国に求めるべきです。知事の見解を求めます。

【達増知事】
 消費税の増税は、経済的に弱い立場にある方や我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活の多方面に多大な影響を及ぼすことが懸念される。
 実際、消費税増税が行われた4月以降の本県の経済状況を見ると、大型小売店販売額や乗用車新車登録台数の指標は前年割れが続いているところであり、県内景気は増税にともなう駆け込み需要の反動もあり、このところ足踏み状態にある。
 県としては本年6月、国に対して消費税再増税の判断にあたっては被災地の経済実態を的確に把握した上で慎重に判断すること、また増税により被災地の経済の落ち込みや復興の遅れを招くことがないよう、国において被災地に配慮した実効性のある対策を講じることを要望したところである。
 今後においても、消費税増税が地方経済の落ち込みや復興の遅れを招かぬよう、しっかりした対策を国に対して求めていく。

18.集団的自衛権、オスプレイの低空飛行訓練問題について

【高田議員】
 第二に、集団的自衛権、オスプレイの低空飛行訓練問題について質問します。
 集団的自衛権をめぐっては、国民的な議論もないまま7月1日に「閣議決定」されました。今回の閣議決定は、日本に対する武力攻撃がなくとも他国のために武力の行使をするということです。国会論戦を通じてアメリカが戦争を起こした際に自衛隊が「戦闘地域」まで行って軍事活動する任務遂行のために武器の使用も明らかになりました。「アメリカの戦争に日本の若者が血を流す」これが正体です。「閣議決定」の撤回を求めるべきですが知事の見解を求めます。
 陸上自衛隊東北方面隊は、11月の上旬に震災対処訓練として「みちのくALERT2014」を行おうとしています。しかし、看過できない内容があります。オスプレイを使用して患者・物資輸送訓練をすることです。オスプレイは米海兵隊に所属し他国への侵略作戦を強化するために導入された新型輸送機で日本の防衛にまったく関係ありません。オスプレイの参加は東北での低空飛行訓練と岩手山演習場を訓練基地の地ならしになりかねません。知事に質問します。
 第一に「みちのくアラート」へのオスプレイの参加に知事は反対を表明すべきです。第二に岩手県上空での低空飛行訓練と岩手山演習場の基地化にも反対すべきですが答弁を求めます。

【達増知事】
 政府においては、日本を取り巻く安全保障環境の根本的な変化を理由に、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定がなされたところだが、国際情勢の認識、わが国の安全保障のあり方、また閣議決定による憲法解釈変更の是非などについて十分に議論されたとは言えず、国民の広範な支持が得られている状況にはないと思われる。したがい、政府として安全保障法制の整備にあたっては、集団的自衛権の行使の是非も含め、国民的な議論が十分に尽くされ、国民の納得の上で行われることが必要だと認識している。
 みちのくアラート2014へのオスプレイ参加については、オスプレイが参加する訓練は、宮城県および宮城県周辺海域・区域で実施される日米豪共同による災害対処訓練の中で行われるものであり、本県では、海域・区域を含めオスプレイが参加した訓練は実施されないと確認しているところである。こうした本県以外の地域での訓練の実施について、本県は可否を表明する立場にはないと考えている。
 オスプレイによる岩手県上空での低空飛行訓練については、オスプレイの飛行訓練等については、全国知事会においてその具体的内容を明らかにし、関係自治体の意向を十分に尊重して対応するよう国に強く求めてきた。県としても、東北防衛局に対し、飛行ルートの詳細や訓練頻度等を明らかにし、その安全性を含め県民の不安の払しょくに努めるとともに、訓練が実施される場合には、情報を事前に提供するよう要請してきた。東北防衛局からは、可能な限り情報提供を行う旨の回答を得ているが、これまでのところ、本県上空で低空飛行訓練を行う旨の連絡は受けていないところである。
 岩手山演習場におけるオスプレイの訓練については、そうした報道があったことを受け、東北防衛局にたいしその検討状況等について確認を求めたところだが、沖縄負担軽減の観点から現在も沖縄以外での訓練拡大を検討中だが、具体的な場所等については決定していないこと、検討終了時期は決定しておらず、決定した場合には関連する地方公共団体に速やかにお知らせすることなどの回答があった。国において具体的な場所の決定がなされていない現状においては、県として意思表示を行うことは困難であると考えているが、仮に米軍単独でそうした訓練が行われることとなった場合には、地方自治や国民主権が及ばない領域が新たに県内に設定されることとなるので、にわかに承諾することはできないと考えている。

19.原発問題について

【高田議員】
 最後に原発問題について質問します。
 関西電力に対し大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決、避難中に自死に追いこまれ賠償を東京電力に命じた福島地裁判決が出されました。二つの判決は「人類と原発は共存できない」ことを示すもので、原発再稼動に対す痛打を与える画期的な判決となりました。しかし、安倍政権はあくまでも再稼動と原発輸出を推し進めています。
 どの世論調査を見ても原発再稼動に過半数を超える国民が反対しています。二つの地裁判決と再稼動に対する知事の見解を求めこの場からの質問を終わります。

【達増知事】
 原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きくゆらぎ、エネルギーに対する問題意識や再生可能エネルギー導入への意欲が高まっており、こうした意識の変化を踏まえた政策が求められているものと考える。
 岩手県としては、再生可能エネルギーは、地産地消のエネルギー自給率の向上はもとより、地球温暖化防止や防災のまちづくり、地域振興など多面的な効果をもたらすものであり、再生可能エネルギーによる電力自給率を倍増する目標の達成に向けて力強く導入を推進している。
 大飯原発の運転差し止め訴訟については、控訴審において係争中と聞いており、コメントは差し控える。また長期避難中の方の自死に関する福島地裁判決は、事故による被害の実態に即して東電が賠償責任を認めたものであり、東電もこれを控訴せずに受け入れ、判決が確定したものと受け止めている。


≪再質問≫

・住宅再建について

【高田議員】
 この間グループ補助金については、建設資材の高騰に対応し6割を上限に追加補助を国が決めた。そうであるならば、国も住宅再建への支援がさらにあってもいいと思う。知事も、さらに粘り強い要求をしていくということなので引き続き努力してほしい。
 しかしここで言いたいのは、国はなかなか増額するという姿勢に立っていない。被災者の状況を見ると、「時間がない」「早く再建したい」という声が強くなっている。県がさらなる支援をしないと、被災者の自力再建は進まないのではないかと思う。さらなる支援をどう考えているのか。
 
【達増知事】
 県としては、東日本大震災津波のような広域災害においては、本来国において住宅再建が十分に図られるよう制度設計を行うべきと考えており、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と、震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を引き続き国に対して強く要望していきたい。

・防災移転事業に伴う土地売却による介護保険料・ホテルコスト問題について

【高田議員】
 保健福祉部長の答弁は冷たいものだった。制度上できないとか、市町村財政の負担ということだったが、大事なことは、防集にともなう土地の売却というのは、売りたくて売ったわけでない。失われた資産の再建にあてるもので、生活費にまわるとか貯蓄にまわるわけではない。こういうところに負担増はあってはならない。それは回避すべきではないか。そういう立場で県も努力すべきではないか。
 介護保険料は、減免によって保険財政に穴があくのか。保険料収入は当初計画通りで決まっているわけで、減免しても財政に穴があくわけではなく保険財政への影響はない。だから、仙台市や名取市では法律に基づき減免措置をしている。制度上可能であり、ぜひ市町村に徹底していくべきではないか。
 ホテルコストについては、制度上困難である。しかし昨日も議論があったように、店舗と住宅の問題で抵当権設定の問題が出たが、ホテルコストの問題でも国に対して特例措置を設けて減免の対象にするとか、そういう努力をすべきではないか。今まで38000円だった人が10万円を超える負担なので。

【保健福祉部長】
 介護保険料の減免については市町村の判断ということで、その費用がいわゆる介護保険財政の中で措置するということで、それが即介護保険財政が破たんするということではなく、その中で減免をまかなうということである。
 いわゆるホテルコストだが、介護保険財政の中で、例えばこの部分を給付するということはできない。もし仮にやるとすれば、別の制度、いわゆる福祉施策の一環の中で何かしらということになると思う。
 こういう状況だが、県としても市町村といろいろ状況を話を聞きながら…と考えている。

・福祉灯油について

【高田議員】
 市町村の意向を確認してからということだったが、市町村の意向は調査していないのか。私は担当課から市町村の意向調査の資料をいただいたが。
 福祉灯油を実施する2つの理由があると思う。1つは市町村からの強い要望で、県の調査でも、沿岸市町村では9つの自治体、内陸も含め24市町村が是非やってほしいと。そして2つ目には今の灯油価格の実態である。昨年の、いわて生協組合員の冬の灯油代(10月〜3月)が102916円、昨年はじめて10万円を超え、10年前の倍(2003年48802円)になっている。さらに今回高止まりなので。市町村の要望や灯油価格の現状から見ても、やらない理由はない。
 応急仮設の生活は4度目の冬を迎えようとしており、老朽化もあり冬の寒さは厳しい。こういう状況が続けば当然実施すべきではないか。

【保健福祉部長】
 市町村の意向を確認してという話をしたが、市町村に対しては、現段階でどうなのかと問うたところ、県の支援があれば検討するということだった。ただまだ検討段階なので、やるというところまでは確認していないので、「確認しながら」と申し上げた。

・子どもの医療費無料化について

【高田議員】
 従来の答弁の延長だったと思う。知事は、市町村とも協議しながら検討していきたいということも話された。一歩前進なのかとは思うが、ただ市町村の動向だが、いま、子どもの医療費の拡充、現物支給に対する県内の市町村、議会からの要望はどうなっているか。
 達増県政になってからは、医療費の拡充はまったく前進がない。子どもの医療費無料化を求める岩手の会も結成され、県民運動も始まっている。そのアンケートを見ても、「喘息とアトピーの2人の子どもをかかえながら、医療費の窓口負担は大変だ」「子育てをしながらの病院通いで、申請を忘れてしまう」という声もある。小児科医の先生からは、「慢性疾患でお金がなく、治療を継続できずに発作を起こして病院に駆け込む子どもたちもいる」と。子育て世代の経済的困難は本当に深刻だと。今の現状というのは、節約してはならないところを我慢して、財布と相談しながら病院に行くという実態である。こういう子育て世代の切ない思いを知事はどう受け止めているのか。

【達増知事】
 持ち家再建もそうだが、医療についても、財政学で言われているのは、金銭に関する減免や給付というのは全国一律な制度にするのが良く、地方自治体はサービスの提供について地域事情に合わせ創意工夫をこらしてやるのがいいという中で、岩手においては県立病院ネットワーク、医療サービスの提供の部分について地域事情に合わせ、また創意工夫を凝らして力を入れているという実情がある。一方、岩手県内市町村、国民皆保険制度の中の医療費に関して、子どもについては無償化するという国の政策を待たずに市町村がそれぞれすでにさまざまやっている中で、また実態としても、ご指摘の通り子育て世代の切実な課題があるということは、このまま放置していていいことではない。
 現物給付にしていくということについては、市町村の負担も増えることになるわけなので、よくそこは市町村と相談しながら検討を進めていきたい。
【保健福祉部長】
 要望や意見書の状況だが、平成25年度の状況だが、市町村からの要望が17、市町村議会からの要望が14出ている。


≪再々質問≫

・土地売却による介護保険料、ホテルコスト問題について

【高田議員】
 これは失われた資産の再建に充てるもので、これは絶対に解決すべきだと思う。介護保険については、条例に基づいて対応できるわけなので、実際減免している自治体もあるので、制度上できるということを市町村に徹底していただきたい。
 ホテルコストについても、やむを得ないという立場ではなく、何らかの対応を市町村と協議するとは答えたが、国に対してもしっかりと改善を求めて負担増にならないような対応をとっていただきたい。

【保健福祉部長】
 介護保険料・ホテルコスト等について、関係市町村から十分話を聞いていきたい。

・子どもの医療費無料化の拡充について

【高田議員】
 市町村や議会からの要望も強くて、県内では15の市町村議会から現物給付を求める意見書もあがっており、市町村段階でも、矢巾・奥州・久慈などからも要望が実際に出ている。
 新年度予算編成方針を見たが、来年度の予算編成については、特に次の点について留意し事業を検討することを通知している。
 第一に、「人口減少問題対策中間報告をふまえ子育て支援など人口減少問題への対応に関する取り組みの推進」を掲げている。そして「岩手の子育て健やかにはぐくむ条例」をつくっていくと。子育て支援を本当に重視していくという方針になっている。そうであるならば、子どもの医療費無料化現物給付の移行というのは当然ではないか。
 石川県が来年からで現物給付を検討しており、償還払いは岩手含め9道県のみになる。東北では岩手県のみである。先進地である群馬県では、中学校卒業まで現物給付で実施しているが、いろいろ調べると、時間外診療や、あるいは患者が減少して医療費の削減につながっている。県民からも大変喜ばれている。ぜひこれは少子化対策を強化する点でも、ぜひ知事が決断すべきである。

【達増知事】
 ご指摘の通り、いま副知事名で担当部局に改めて検討させているところなので、その趣旨・流れについて副知事から答弁させていただきたい。
【副知事】
 いずれ現物給付の話については、私も保健福祉部長時代にいろいろと市町村とも議論させていただいた。最近の動向、個別に市町村議会からも意見もいただいているので、改めて今回きちんと協議する時期だと思っている。そういうことも含め、予算編成方針、少子化対策、子育て対策についてはきわめて重要な課題ととらえている。市町村と十分議論をしていくよう保健福祉部長にも指示したい。

・花泉高校の学級減問題について

【高田議員】
 来年度も1学級減となるという答弁があった。この根拠は何か。
 改革の努力をしているときに、わずか2ヶ月3ヶ月で学級減を決めていいのかと。8月5日の商工文教委員会で示されてから、2ヶ月3ヶ月。
 花泉高校でも、進学にも就職にも応えるような学校にしていきたいという努力も始まっている。しかし1クラスになってしまえば、その地域の要望に応えられなくなって、部活動も制約され、ますます学級減に拍車がかかってしまうのではないか。地域の皆さんが、いま改革の努力をしているので、2年3年待って、その努力を見て、住民の理解を得ながら進めるのなら分かるが、こういう状況の中で、今月の教育委員会議で決めてしまうのは、教育の分野でそういうことをやってはならない。

【教育委員長】
 根拠を示せということだが、管理運営規則、それだけを盾にとるわけではないが、過去に何校かで同様のケースがあったので、そういう形でやるということである。
 ただご指摘あったように、学校の取り組みや地域の声もある。一関市議会からは、要望等も出されているので、多くの声もあるので、今なお子どもたちの声なども聞いているところなので、総合的に判断したい。
 ただ、考え方としては、子どもの夢や願いを無視するような体制だけはとらないようにしようと思っている。


≪再々々質問≫

・子どもの医療費助成について

【高田議員】
 子どもの医療費助成については、市町村とよく協議して対応を議論していきたいということで、これは前向きに受け止めていいか。ぜひ協議して、市町村は、県の支援があれば是非やりたいと言っているので、15の市町村議会からも現物給付をやってほしいという意見書も出ているので、それに応えていただきたい。ただ協議するだけではなく、県としてどういうスタンスなのかと。是非やりたいのでという立場で議論に臨むかどうかということだと思う。県としてはどういう姿勢で臨むということか。

【保健福祉部長】
 先ほど知事が答弁した通り、人口減少対策として総合的な子育て支援施策を検討している中で、助成対象の拡充、窓口負担の現物給付を市町村と協議するということで進めていきたい。

・花泉高校の学級減について

【高田議員】
 お聞きしたのは、教育委員長から「来年も1学級の減になる」と。その根拠を聞いたので、なぜそうなるのか。
 総合的に判断して決めたいということだが、商工文教委員会でも激しい議論があり、ほとんど学級減はやるべきではないという意見が多数だったと思う。その後の地域の声も、拙速だという声が多かった。少なくとも、10月の会議での結論というのはあるべきではないと思うがいかがか。

【教育長】
 1学級減する根拠だが、委員長からも申し上げた通り、管理運営規則に根拠はあり、1学級以上の定員を割った場合には、検討することがあるという規定があり、それに基づいて前期計画が終了した以降、ブロック管内での学級減を全体としてやってきたと。ただ、大震災発災以降、生徒たち、父兄の動きも沿岸部を中心にあるので、これはブロックごとの調整ではなく、各学校ごとに見直しをするということで、昨年度までも行ってきており、同様の対応である、そういう方向での検討をしてきたということで、先般の商工文教委員会で説明申し上げさせていただいた。