2014年10月8日 商工文教委員会
補正予算(教育委員会関係)に関する質疑(大要)


・いじめ対策について

【斉藤委員】
 児童生徒健全育成推進費が、いじめ防止対策連絡会議の費用だと。この間会議が開かれたと思うが、経費は当初予算で組んでいたのか。今回の補正ということになるのか。

【生徒指導課長】
 9月25日に第1回目が開かれた、岩手県いじめ問題対策連絡協議会の経費については、今回の補正予算のもとで開催されたものである。

【斉藤委員】
 いじめ対策は、滝沢市における自殺事件を含め、きわめて県政の重要な教育課題になっていると思う。
 滝沢の自殺事件についてはどういう対応になっているか。
 9月25日に開催された会議の目的と内容はどういうものだったか。
 これだけ重要な状況で、すべての学校がいじめ対策防止法に基づいて、きちんとした議論を踏まえて対策方針と体制というのがつくられるべきだと思うが、それはどうなっているか。

【生徒指導課長】
 滝沢市の件の現在の動向だが、第三者委員会を設置し、所掌事務としては、重大事態にかかる事実関係(いじめの有無も含め)の調査、自殺の背景調査、同種の事態の発生防止にかかる提言の3つを調査委員会の所掌事務として立ち上げた。2回目が昨日10月7日、3回目が10月19日の予定と聞いている。年内を目途に調査結果をまとめていくという予定になっている。
 9月25日に開催された「いじめ問題対策連絡協議会」の目的だが、4月に策定した、県のいじめ防止等のための基本的な方針の中で設置することとしており、岩手県におけるいじめ問題の対策を総合的かつ効果的に推進することを目的としている。1回目の内容については、今回の連絡協議会については20名の委員により構成している。学識経験者・医師会・弁護士会・各小中高の校長会等に委嘱し進めているので、まずは20名の委員の共通理解を図るために、いじめ防止対策推進法や県の基本方針について説明し、県のこれまでの取り組みや、各委員が所属している団体等のいじめ問題への対策等の情報交換を図るということで、そのようなことにより、関係機関のより一層の連携を図り、いじめ問題の根絶に向けて取り組みのさらなる充実に努める中身としている。
 各学校の基本方針等の策定状況だが、昨年9月28日に施行された国のいじめ防止対策推進法では、学校において、これまでの学校でのいじめ防止基本方針と、いじめ防止にかかる組織を必ずつくることというものになっており、5月1日現在で、学校でいじめ防止基本方針を策定した学校の割合について、小学校においては72.7%、中学校58.9%、高校60.3%、特別支援学校50.0%。学校におけるいじめ防止等のための組織を設置した割合は、小学校84.0%、中学校72.0%、高校67.6%、特別支援学校64.2%となっており、100%にはなっていないが、いずれいじめ防止のために学校でさまざまな議論を重ねながら、その方針を定めるとともに、組織についてもできるだけ早く設置するようにということについては、5月〜7月のところで開催した各小中高の会議等でも話をしている。

【斉藤委員】
 滝沢市の問題については、第三者委員会が設置されているので、我々もこれを注視して、滝沢市の問題ということではなく、まさに岩手県でこういう事態が起こったということが残念なことで、絶対に起こしてはならないという気持ちを、教育委員会はもとより学校全体のものにすることが必要である。
 それにしては、今のいじめ対策を見ると、いじめ対策方針の策定で、中学校が58.9%とか特別支援学校で50%など、やはり受け止めにアンバランスがあると。風化現象というか、滋賀県大津市での自殺事件があり、岩手県でもいじめ件数が急増した。まだ公表されていないが、この間の会議を聞くと、中学校長会の調査ではかなりのレベルになっていると。こういうことこそ県教委がきちんと全ての学校に徹底しなければいけない。子どもの命が関わっているので。ある意味で教育の最優先課題である。それが5割から6割になっていることに危機感を感じて、この問題は対応していただきたい。

【教育長】
 いじめ防止の重要性については、おっしゃる通りであり、子どもの将来を生き抜く力を育成するということで学校教育があるわけであり、そういう中で将来を左右するような、人生に大きく影響するものであり、あってはならないと。これは組織的に取り組むべき課題だと思っている。
 それぞれの学校での指針については、学校はもとより学校関係者、共有の進むべき方向性として、まずもってそこから目指すところを策定していくというのはきわめて大事であり、県教委としてそれぞれの学校が策定するにあたっての準則的なものを示しながら、策定に向けて強力に取り組むよう要請してきている。残念ながら全学校という段階に至ってはいないが、これは大きな課題ととらえており、今後全学校でそういう一定の方向を同じベクトルで進むような方向で策定に向けて取り組んでいただくよう、それぞれの学校において市町村教委や、県立学校については我々が責任をもって対応していきたい。


・高校授業料無償化について

【斉藤委員】
 公立学校等修学支援金の交付金事業が今回11億2400万円余補正されている。
 高校無償化が一部形骸化されたが、これは大変大事な制度なので、今回の補正による対象者、対象外の人数はどうなっているか。

【予算財務課長】
 今年度の新規入学者について7月末現在で所得の確認を行っている。県立高校の対象となる生徒だが、全日制・定時制・通信制合わせて9530人中認定されている生徒は8381名87.9%となっている。

【斉藤委員】
 12.1%が対象にならないと。おそらく世界でこういう国はないと思う。高校の授業料で所得制限を導入して一部から徴収するということは先進国には例のない異常なことである。
 日本政府は、高校教育の無償化を定めた国際人権規約を保留していたものを批准して無償化したのに、それに背くようなやり方というのは自民党政治の悪政の1つだと。今後改善されるべきである。


・特別支援学校の施設整備について

【斉藤委員】
 特別支援学校の施設整備費について、花巻清風支援学校の作業実習棟の整備に要する経費だが、一般質問で高田県議も特別支援学校の教室不足が68あると。今回この整備により、教室不足がいくつ改善されるのか。今年度全体ではどういう手立てで解消される見込みなのか。

【学校施設課長】
 教室不足の状況は現在、県内14の支援学校も含め、昨年10月で68教室の不足、うち5教室以上不足しているのは盛岡みたけ支援学校・花巻清風支援学校などである。この中で今回は、花巻清風支援学校の特別教室棟を別途新設し工事しているが、特別教室として使われていた教室を新たに設けるということで、それに先立ち昨年度既存の教室を至急改修工事した。そうしたことから、特別教室の不足が4教室解消され、あわせて普通教室については5教室改善されるというところである。花巻清風支援学校は、16教室の不足となっているが、実質は5教室増えるという改修である。その他の支援学校の改修は、これは従前から限られた予算の中で、それぞれが要望され施設の改修に努めている。今年度は花巻清風支援学校の5教室の改善だが、今後は現在設計業務が進められている盛岡河南支援学校の移転改築をはじめ、既存校舎の利活用等を含め、可能な限り教室不足の解消へ教育環境の改善を行っていきたい。

【斉藤委員】
 そうすると、今年度は花巻清風支援学校で5教室改善されるだけということか。
 昨年来、特別支援学校の教室不足は何度も取り上げられてきた。県の教育行政のもっとも遅れた分野の1つだと思う。
 みたけ支援学校を見てきたが、雨漏りで新聞紙を天井に貼っていた。そして古い建物で、どんどん生徒が増えて完全にキャパオーバーしている状態。本当に教室を仕切ってやっている。着替えをする部屋もないので大変だと。特別に支援が必要な生徒にこそきちんとした教育条件を整備していく、ある意味では最優先してやっていくのが教育の精神ではないか。一番条件の悪い人たちが教室不足に陥っていること自体が教育の姿勢が問われる問題ではないか。
 今年たったこれだけの整備でいいのかという問題、それから北上市からは北上に特別支援学校がほしいと。二戸市からも市として、中学校2年生まで分教室であと2年で高校、行く高校がないと。盛岡にとても行けるような状況ではない。今から県北に特別支援学校をつくっていくという計画がなかったら間に合わない。そういう点についてしっかり今検討しなければ間に合わないのではないか。

【教育長】
 特別支援学校の環境整備については、6月定例会の常任委員会でもさまざまご意見をいただき、釜石祥雲支援学校については請願が採択されたという経過については十分頭に入れながら対応する必要があると考えている。
 今回の補正では、花巻清風支援学校の整備ということで提案させていただいている。そういう経過の中で、計画的に優先性等を勘案しながら、できるだけ財源確保に努める中で前向きに対応していかなければならないと考えている。今後においても、それぞれの実情等をよく見極めながら計画的な整備に努めていきたい。

【斉藤委員】
 前向きと言っているが中身がない。
 提起したのは、北上にしても二戸にしても、今検討して対応しなければ間に合わないと。花巻清風支援学校の生徒の出身地はどうなっているか。

【特別支援教育課長】
 花巻清風支援学校の生徒の出身地は、花巻市が74名、北上市98名、遠野市14名、西和賀1名、紫波9名、矢巾2名、盛岡9名、その他5名となっている。

【斉藤委員】
 北上市が一番多い。花巻まで送り迎えしている親が多い。そのために仕事を辞めたという人も出ている。父母の方々は北上市に要望し、今年北上市は県要望として提出した。根拠のある大事な要望である。そして北上市には県立病院の跡地がある。その気になれば条件はあると思う。そういうことをやれば花巻清風支援学校の教室不足も改善される。
 二戸はあと2年後に迫ってその対応が問われている。前向きという言葉だけではなく、やはり今遅れた状況、切実な要望にどう応えるか、そのためのきちんとした検討組織を立ち上げてやっていく必要があるのではないか。

【教育長】
 北上市、二戸市からの要請については直接受けており、具体的な内容についてそれぞれの市教委からもお聞きしている。特に二戸については、早い段階から準備するということで、具体的にどういう対応をしたらいいか具体的な詰めをやらせていただいている。
 花巻清風支援学校だが、みたけ支援学校もそうだが、大きく教室不足があるということで、実は都南支援学校の移転にともない、そこの施設二十数年ということで比較的新しい学校なので、その辺の活用も含めながら全体的な教室不足をどう解消していくかという検討を進めている。
 北上市については、新しい学校も選択肢ではあろうかと思うが、インクルーシブ教育の観点から、それぞれの既存の学校の中で、特別支援教室で対応可能な子どももいるので、具体的にどういう対応がいいのか市町村教委と十分話し合っていきたい。

【斉藤委員】
 国のインクルーシブ教育の方針は何年も前から言われていて何の方針も出ていない。だいたい特別支援学校の基準がないというのは国の失政である。これを待っていては対応できない。子どもたちの今の成長に責任を持つ、そういう姿勢でやっていただきたい。
 釜石祥雲については、いち早く検討委員会を立ち上げたというのは県議会の請願を踏まえてよかったと思う。どういう議論になっているか。

【特別支援教育課長】
 釜石祥雲支援学校の環境整備検討協議会については、9月17日に設置している。初回ということで、それぞれの立場でのご意見をうかがう回にしている。関係機関で構成する協議会として、各機関からの意見聴取により、最適な整備の方向性について合意形成を図るために、まず1回目の会議ということで開催している。


・県立高田高校の新校舎移転にかかる課題について

【斉藤委員】
 学校災害復旧事業費で、高田高校の新校舎への移転にかかる経費ということだが、確実に今年度中に移転できるのか。
 グラウンドの整備はどうなるのか。体育館はできたが、高校の場合だと第一グラウンド第二グラウンドがないと、クラブ活動ができないので、そういう整備はどうなるか。
 新しい学校への通学ルートについて、今はまとまって旧大船渡農業に通っているが、新校舎に通う中で町の中は工事の最中。きちんとした通学のルート、安全の確保は大事な課題になっていると思うがその点はどうなっているか。

【学校施設課長】
 高田高校の校舎等の建設工事だが、ほぼ予定通りの進捗となっている。一部人材不足等もあったが、何とかカバーして頑張っており、来年2月に完成予定である。
 その後の移転だが、詳細は学校と協議しながらだが、新年度から待望の新校舎で授業をするのが目標であるので、なかなか入試や入学式など限られた時間だが、手際良く引っ越しが完了できるよう詰めていきたい。
 グラウンドだが、第一グラウンド第二グラウンドとあるが、第一グラウンドは盛土の試験地となっており、現在8m程度の盛土がなされているが、地盤のかさ上げ試験が終わったので、跡地を仮設グラウンドとして使用することになっており、26年度事業でグラウンドの表土や関連施設を整備し27年度から使用見込みとなっている。既存の第二グラウンドは仮設住宅が現在建っており、解消の見込みがたっておらず、こちらは時間がかかると思うが、先んじて体育館、27年度に柔剣道場ができるので、こちらの活用も合わせて効率的な運用を図っていきたい。
【高校改革課長】
 新校舎への通学の関係だが、現在大船渡の仮校舎への通学バスを県教委で運行しているが、来年度移転後については、高校・市・JRの方でBRTの運行ということについての詰めの協議をしているので、近々正式な発表があるのではないかと考えている。