2014年10月8日 商工文教委員会
花泉高校の学級減問題、高校再編問題に関する質疑(大要)
・花泉高校の学級減の問題について
【斉藤委員】
10月の教育委員会議で決められるということなのでお聞きしたい。
私も高田県議とともに花泉高校と花泉中学校の校長先生に会い詳しく聞いてきた。今年の入学者の減少は「想定外」だったと花泉高校の校長先生は言っており、花泉中学校の校長先生は「今年だけの学級減で1学級にするのはいかがなものか。2〜3年ぐらい余裕を持ってやってほしい」と。
高田県議も一般質問の中で「改革の努力」の話をしたが、私も聞いてきて、「進学にも就職にも対応できる地元の生徒の期待に応えたい」ということでやってきて、今年は4年制大学の希望者もあり、進学の実績をつくりたいということで大変頑張っていると。校長先生は、一人一人の教員と面接をし、この花泉高校をどうすればいいかという努力をしている。その中には、花泉高校のイメージも変えなくてはならないということで、制服も斬新なものに変えようとしていた、その矢先に学級減が出され、制服を変えようとしていることが頓挫している。高校を改革して、地元の子どもたちの期待に応えたいという、努力と改革の芽を摘んではならない。
絶対的に生徒が少なくて1学級しか維持できないというところではないので、努力次第では十分2学級規模で成り立つ高校なので、逆にそういう高校が1学級になってしまうと、進路選択からさらに外れてしまう。本当に花泉に高校がなくなっていいのかという問題である。2学級から1学級になるという単純な話ではない。改革の努力がされている時なので、そういう努力を教育長はどのように見ているか。
【教育長】
県内の学校規模については、県立高校だと最大7学級から最小で1学級までである。そういう中で、望ましい学校規模とすれば、子どもたちのクラブ活動だとか、教員の配置等を含め、大きい学校の方がより弾力的に学年全体を通じて支えるというような体制が望ましい姿としてはそういうことかと思う。
一方で、小規模校には小規模校の地域を子どもたちを育む、また他の地域へ通学できないという経済的な事情等もあり、地域で学びたいという要請もあろうかと思う。そういう中で、小さな学校を維持できる限り、そしてそういう中で入ってくる子どもたちに責任をもって進路選択を保障するということで、学校をあげて力を尽くしているということはきわめて大事だと思う。
小規模校で1学級校は現在住田高校がある。そういう学校についても、子どもたちの進路選択に適切に対応できるようにということでやっており、また校長はじめ教員たちも責任をもって対応していくというような基本的な考えである。
いずれ、それぞれの学校にはそれぞれの課題があるが、よく学校と話し合いながら適切に対応しなければいけないと思う。
【斉藤委員】
今年の学級減の急減には何か理由があるはずだと。聞いて驚いたのは、花泉中学校の野球部で、花泉高校が平成27年度に募集停止になるという噂が広がっていた。これは何の根拠もないと思うが、しかしそういう噂があった。花泉中学校の野球部というのは強豪校で、まとまって進学している。それは野球部だけではなく広がっていたということで、校長先生がこのことを話されていた。今回の学級減というのはそれに輪をかけるような話である。その背景には、教育振興会が花泉高校で平成24年に解散したということがあるようだが、そこの因果関係は分からないが、そういうことが噂として流れた。そういうこともよく見て、それに抗して学校は改革の努力をしている。
花泉中学校の校長先生は今年から赴任された方で、中高の連携が悪いのかと思ったら、今年の校長先生は決してそうではなく、高校の学校公開をやったり、花泉高校の体験入学など、だから花泉中学校の校長先生も地元の高校として大変期待していると。地元の高校としてきちんと維持されることを期待している。そういうことで、たしかに今年は急減したが、そのあおりを今受けている。
ただ、来年の春の花泉高校への希望者は、春の段階では少なかったかもしれないが、体験入学では26人行っていると。その改革の努力が伝わるのなら、進学希望は秋には変わると。しかしここで学級減となってしまったら減る一方である。そういう状況もよく把握して、本当に地元の高校を大切にした判断をすべきではないか。
【教育長】
これまで花泉高校で大きく定員を割っている状況にあるということで、地元でさまざまな危機感をもっていたということはその通りだと思う。そういう中で、今年度の入学者がこのような状況になったということはきわめて残念なことである。これまで地域と学校でもさまざま改革の努力をしてきたのはその通りだと思っている。
やはり学級減というのは地域にとって大きな変化だと思っているが、それらも含めて教育委員会の中でさまざまなご意見をいただいているので、それらも含めて教育委員会の方で検討させていただきたい。
【斉藤委員】
花泉高校の問題でもう1つ強調したいのは、いま県立高校教育のあり方検討委員会で、岩手県の高校のあり方を検討している。これはセットだと思う。花泉高校は学級減してしまってということではなく、その検討の中で花泉高校についても対応すべきではないか。
東日本大震災津波の教訓というのが検討委員会でも1つの論点だと思う。最大の教訓は、地域と結びつき地域に支えられ地域に貢献する高校なのだと思う。これは被災地だけではなく、内陸でも地域と結びついた高校をどう守るか、発展させるかと。そういう点では、花泉高校というのは条件のあるところである。進学の選択肢もあるが、地元の高校として成り立つ、発展する条件・可能性をもった高校なので、そういう大震災津波の教訓を踏まえ、そして今それ自身が最大の議論のテーマになっている県立高校の全体のあり方の中でこの問題も議論していく、方向性を出していくということが大事だと思うがいかがか。
【教育長】
基本的な考え方だが、前回平成21年度までの高校再編計画に基づいた計画が21年度で終了し、具体的な今後の方向性について基本的方向を見直した上で新しい再編計画をつくるということで、基本的なプロセスを考えていたところで大震災がきたと。そういう中で再編計画の策定を一時凍結したということはご案内の通りであり、その間にも少子化が進行している中で、教育行政に責任を持つ県教委として、有効な活用という視点で必要な学級数調整に取り組んできている。これは、学級減にするところはどこも厳しいという受け止め方をしていただいたところもさまざま議論したが、そういう中でやむを得ないということで最終的にご理解をいただいたものと承知している。
今回の花泉高校については、前回の委員会の中で、学校の廃止に直結するものではないとお答えさせていただいたが、いずれ地域との関わりを深めて、より子どもたちに入っていただくというような努力を期待したいし、今回最終的な結論は次回の教育委員会議で決めるが、どちらにしてもいずれ状況が変わって、さらに花泉高校に希望する生徒たちが仮に増えてくるということであれば、これも固定的なことではなくまた弾力的に対応するということも検討しなければならないと思っている。
【斉藤委員】
花泉高校は、県議会の全体の議論、商工文教委員会で2回にわたり議論されることも例のないことで、ぜひそういう議論も今月の教育委員会議にはしっかり報告するようにしていただきたい。
・県立高校の再編問題について
【斉藤委員】
この間、各ブロックごとの懇談会が開催され、第三回の検討委員会に詳しい資料も出された。よくまとめたとは思うが、議事録そのものはあるのか。論点ごとにまとめているが、一人の発言がどういうものなのか分からない。
【高校改革課長】
ブロック別懇談会の関係については、議事録をホームページに公開させていただいている。
【斉藤委員】
第三回の検討委員会を傍聴したが、そのときには整理されたものしか出ていないので、議事録そのものは公開されていると。
それで、検討委員会の進め方について疑問を持った。そもそも主催がどこなのか。検討委員会なのか、県教委事務局なのか。そして第三回検討委員会でも意見が出たが、進め方の冒頭で、盛岡の場合だが、「地域の高校存続の話ではなく、高校のあり方について建設的な意見を出してほしい」と。こんな進め方はないと思う。自由な議論をするときに。そして地域の高校を残すということが大事なテーマになっているときに。第三回検討委員会でも、そういう進め方で発言しづらかったという意見があった。これは上から目線というか、皆さんの意見を忌憚なく聞くというようなスタンスではなかったのではないか。
【高校改革課長】
今回見直しを行っている今後の高校教育の基本的方向の部分だが、これは今後の高校のあり方に関するグランドデザインについて検討しているということで、個別の高校の再編については、基本的方向の改定版を策定後に協議することから、そのような手法として、個々の高校の存続についての要望などは避けていただき、今後のあり方などを建設的な意見をいただくようあらかじめお願いするという形で進行させていただいている。
8月27日の盛岡でのブロック別懇談会の後に、委員からのご指摘もあったので、事務局として再検討して、9月3日の二戸、4日の釜石・遠野では見直しし、この部分は削除している。そして会議の方は原則公開、議事録も公開することを説明して、要望も含めて提言いただいているので、二戸の会場では、冒頭に二戸市長から要望があったところである。
主催については、ご案内の方は、いま検討しているのは県立高等学校教育のあり方検討委員会の主催ではあるが、我々が事務局ということでやらさせていただいているので、ああいう形になってしまったが、委員の都合等もあり1会場しか回れないということもあるので、こちらで代わりに進行等をさせていただいた。
【斉藤委員】
こういう懇談会は今後も開かれると思うので、検討委員会の主催であれば、検討委員会から盛岡の場合は2名出ている。おそらく各会場も複数は出ていると思う。最後の感想的意見を述べて終わっている。やはり主催者あいさつをきちんとして、進行は事務局がやってもいいが、やはり検討委員会として皆さんの意見をお聞きしたいというスタンスが必要だった。だからきわめてあの進め方というのは不明確だったと思う。そして冒頭のやり方も、議会人から見たら許されない。民主的な運営にならない。一定の発言を制限するようなやり方は。本当に皆さんの意見を聞いて、どのように反映させるかと。学校の先生は、一人一人は皆良い人だが、教える立場である。そういう感覚が強い。そういうことではないと思うので、これは苦言としてきちんと受け止めてほしい。
今たくさんの論点で検討委員会がやられているが、不十分だと思うのは、特に第三回検討委員会は、論点ごとに前の基本方針に何を付け加えるかという実務的な議論だった。東日本大震災津波からの教訓というのがあるが、被災の状況を触れるだけではいけない。やはりあの教訓を踏まえて高校はどうあるべきか。あの教訓を踏まえてどういう高校をこれからつくっていかなければならないのかという、議論が不足しているのではないか。だから前回の方針に何を足すかという議論ではなく、戦後最大の大災害を受けて、教職員や生徒が素晴らしい役割を果たしたのだから、それはみんな評価している。ある意味では教育の成果は出たと言ってもいい。それを今後の教育に生かすと、そこを深めていただきたい。そしてみんなの確信にすると。
この前の方針からの大きな変化は何かというと、高校授業料の無償化である。高校生は社会で支えるという状況の劇的な変化が生まれた。率直に言うと、準義務教育化に近い。一部自民党により改悪されたが、基本の考え方は変わらない。それはどういうことを意味するかというと、高校に入って当たり前と。すべての希望者は高校に入れる、進学できるという状況をどうつくるか。
それから、今でも300人が中途退学している。中退というのは義務教育ではないことである。そしてこの中退した人たちはみんなワーキングプアである。高校教育でそういう子どもをつくらないということも、社会で高校生を支えるという点で大事なことで、そういう点でも高校のあり方、適格者主義ではいけない。高校が必要としない子どもは辞めさせる、そのことも根本的に見直される必要があるのではないか。希望する人が入学でき、そしてすべてを成長させて卒業させていくというような高校のあり方というのは、残念ながらテーマにも論点にもなっていない。この間の大きな劇的変化なので、そういうことも議論を深めていくべきではないか。
【教育長】
検討委員会の役割、教育委員会との関係だが、広く第三者的な立場から、専門的な立場から、客観的な検討をお願いしたいということで検討委員会を立ち上げた。我々は、検討委員会の自由闊達な議論を事務的にサポートするということで教育委員会の職員が事務的な仕事をさせていただいており、これからもたたき台はたたき台として、それ以外の話もこれまで出ているので、そういう中で一定の方向を我々が上から目線での関わりを持つべきではないと思っており、今後とも委員の自由闊達な議論ができるような環境をつくっていきたい。
高校の役割だが、これまで授業料無償化や就学支援、大きく言うと全入時代を迎えたという中で、高校のあり方を考えていかなければならないというのはその通りだと思う。ただ一方で、義務教育ではなく根本的な仕組みは変わっていないので、高校教育の仕組みの中で適切に対応する必要があるだろうと思っている。それぞれの学校では、入ってきた子どもたちをより育てて卒業させたいという思いで取り組んでいるので、ただ中には、さまざまな問題が発生している。やはりそこは毅然とした態度で臨むというのも必要だと思っているので、バランスをとりながら適切な学校運営に努めていくべきだろうと思っている。
【斉藤委員】
高校再編の問題で、特別に支援が必要な高校生の問題はかなり議論されて注目をしている。あわせて、特別支援学校の高等部も高校再編の一翼なので、これを別にしないで、特別に支援の必要な生徒と特別支援学校高等部をどうするかというのは一体で議論すべきではないか。
そして、いま生徒がたしかに大幅に減少している。この間の経過を見ると、60年代から70年代にかけて子どもたちが増えていった。それにどう対応したか、高校多様化政策である。専門高校をどんどん独立させ、70年代には総合学科もつくったり。今の高校生の数は60年前後の数字、あのときは進学率が7割だった。おそらくもっと60年代というのは生徒が多かった。生徒は60年前後に比べ少なくなっているが高校は20校多い。そうした場合にどうするか。地域に必要な高校はしっかり守ると。どうやって守っていくかというと、戦後の高校の民主的な原則は何度もここで強調しているが、総合性というものも再び立ち返ることなのではないか。ある意味でいくと、今の高校の数では無理である。地域の高校をどう残していくのかという高校のあり方を議論すべきだし、そういう点では高校多様化政策は行き詰っている。みなさんは総合学科はうまくいっているという評価だが、うまくいっていないし行き詰っている。生徒減少の中ではもたない。そういうことをもっと掘り下げて、生徒が減少する中で地域の高校を守り、あるべき高校の姿をもっと掘り下げていかないといけないのではないか。
【教育長】
検討委員会はこれから第4回目を開催するが、そういった中で、委員からいただいたご意見も紹介させていただきたいと思う。
60年代というお話、それも1つの考えだとは思うが、県内の都市部と地方の人口のあり様というのは当時と全く同じ状況ではなく、全体的に進んだ状態ではなくそこで偏在も出ている。検討委員会でも議論をいただくということで答申をいただくので、そこは具体的な再編計画、教育委員会として策定していく。そういう中で、委員からいただいた話も含め、具体的な検討をさせていただきたい。