2014年10月8日 商工文教委員会
補正予算(商工労働観光部分)に関する質疑(大要)


・事業復興型雇用創出事業について

【斉藤委員】
 4億5374万円の補正だが、今年度の見込みとこれを補正した見通し、申請状況はどうなっているか。これまでの実績も含めて。

【雇用対策課長】
 この制度は23年度から始まっており、23年度〜25年度までの3年間で延べ13371人の方を助成している。
 今年度は、9月17日をもって締め切っているが、その時点での概数で約4800人ほどの方が申請している。この数字については、受付している機関で精査するので、若干変動はあるかもしれないがおおむねそういう数字である。
 今回の補正により、500人以上の方は助成できるのではないかと思っている。

【斉藤委員】
 当初予算ではたしか3500人分、プラス500人といっても4000人にしかならない。4800人の申請があるというのなら、なぜ申請分を見込まないのか。
 先ほどの補正予算の中には、基金の積立金がある。4800人の申請があったら基本的にそれをカバーする補正にすべきではないか。

【雇用対策課長】
 4000人の根拠というのは、全員の方が1年間4月から8時間近い勤務をされる方という前提で積んでいるものである。しかしながら、現実の申請は、年度の途中からの採用だとかパートに近い就業の方がいるので、単価の違いにより1人当たりの助成する金額の違いが出てくるので、申請で出ている4800人近い方については今回の補正でおそらく全員が助成対象となるものと考えている。

【斉藤委員】
 陸前高田市の地域振興株式会社に行き話を聞いたら、去年の10月に申請したが、予算オーバーしていて受け付けられなかったと。そういう要望が出ている。復興というのは時間との勝負である。せっかく再建して人を雇ったときに使えない、1年間待たなくてはいけないというのはおかしいと思う。財源があるのだったらきちんと補正してやるべきではないか。
 4800人の申請は、フルタイムやパートで基本的には対応できると。しかし昨年のような事態はなぜ起きるのか。

【雇用対策課長】
 当事業については、国からの交付金で全て賄われているもので、現在の予算の状況では国からの追加交付は見込めない状況になっており、交付金をすべて使うという前提での予算になっており、今後の予算については難しいという状況であり、予算の中でできることをやっている状況である。残念ながら予定より早い時期で打ち切らざるをえなかったということは残念だが、限られた予算の中でやるということである。

【斉藤委員】
 国の制度というのなら、国が杓子定規で復興の実態を分かっていないのだと思う。復興というのは時間との勝負である。早く復興しないと成り立たないというのが事業者の実態である。せっかく再建して人を雇ったが、この制度が使えないという事態は矛盾なので、きちんと見直すべきではないか。
 今年は一応、申請分には対応できるということなので、その点は部分的には改善されたのかとは思うが。

【雇用対策労働室長】
 この助成金については大変重要だと思っている。現在の状況については、基金がある中で、3年間ということであるので、認定枠とすれば全部使い切ってしまっているという状況である。したがい、今年度分として追加のお願いができないかということで国にお願いしているが、別な話として、国が補正を組んでということになるので、なかなか厳しいのだろうと思う。
 今後についても、本県や宮城県・福島県と連携しながら、来年度予算の確保について努力をしていきたい。一方で、復興予算についての見直しといったところもあり、厳しい状況にはあるのかもしれないが、県としては国に対する要望書等を出しているので、予算の確保に努めていきたい。

【斉藤委員】
 事業復興型雇用創出事業費というのは、再建した事業者にとっては大変力になるものだと思う。
 この事業は、新規の受付は今年度で終わるということになるのか。

【雇用対策課長】
 現行の制度としては、新規の受付は今年度までとなっているので、この点について復興に資する事業ということで国に対して事業費採択からの新規の受付の延長をお願いしている。

【斉藤委員】
 国の概算要求の状況はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 厚労省の27年度概算要求書では、基金の積立増しと実施期間の1年延長が要求されている。要求額は242億円と承知している。

【斉藤委員】
 その概算要求がもしその通りとなれば、この事業はさらに1年延長され、来年まで新規可能になるということか。

【雇用対策課長】
 予算がついたならばそういうことになると思う。

【斉藤委員】
 国の姿勢が厳しく問われていると思う。
 昨年度までの13371人の実績だが、沿岸と内陸の内訳はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 昨年度までの累計で、内陸が6割、沿岸が4割となっている。

【斉藤委員】
 この事業は、需要も高いし期待もされているが、予算が成立しても4月から実施されない。申請は7月から9月まで。なぜそうなるのか。この間継続した事業で、予算が成立したら4月から受け付けて、早期に必要な事業者に活用されるべきだと思うが、なぜそうなっているのか。

【雇用対策課長】
 年度当初の作業として、前年度の実績の支払いをまずやっているということである。その上で、新年度の受付を開始するということで、今年度も早期の対応ということで7月からできるように取り組んだ。

【斉藤委員】
 3年目4年目になっても、この取り組みは不十分だと思うが、同じ予算のところに、事業復興型雇用創出助成金支援事業費が9500万円。これはどう使われるものか。

【雇用対策課長】
 この事業は、当助成金の受付相談対応をしている事務センターに委託する経費で予算化しているものである。そのセンターにおいて申請する事業所の方から一時的な受付、あるいは制度に関する相談対応をやっていただくということである。

【斉藤委員】
 事務センターの正式名称は。どういう組織なのか。

【雇用対策課長】
 事業復興型雇用創出助成金事務センターという名称で、民間のパソナというところに委託している。

【斉藤委員】
 パソナというところに委託していると。委託して9500万円も補正して、県庁の動きを見ると、4月8日付で商工企画室が「平成26年度事業復興型雇用創出事業にかかる業務支援について」というのを出している。これはどういうことか。業務支援について、部内だけでなく部を超えた業務支援体制をとっているということだがどういうことか。

【雇用対策課長】
 年度当初、前年度の実績の支払いをするという事務がある関係で、パソナで受付で、あとは雇用対策労働室で最後のチェックをして支払いするという流れになるが、雇用対策労働室のマンパワーだけでは足りないという状況があり、部内の応援もいただいた。それでもなおかつ業務量として、厳しい状況にあったということで、全庁的な応援をお願いしたということである。

【斉藤委員】
 4月21日から5月16日、6月16日から7月4日までそういうことをしている。今でさえ大変なときに、これは異常なことではないか。必要な人員を確保してやるべきではないか。

【雇用対策課長】
 県全体として限られた人員体制の中で、復興業務をやらなければいけないと思っている。常時我々のところに、相当な人数が必要な業務ということになるが、そこについては、部内の応援等をいただきながら行い、調整をしていくということで取り組んでいるところである。

【斉藤委員】
 県庁内でこういう業務支援体制をとるということは今までもあったのか。これはかなり限られた事業で、期待もされている事業である。必要だったら、臨時でも任期付きでも職員を配置してしっかりやるべきではないか。そうでなくても、山田NPOの問題、DIOジャパンの問題を抱えているときに、業務支援を受けなくてはいけないような体制というのは異常なことではないか。

【商工労働観光部長】
 この事業については、ご案内の通り3カ年継続して毎年受付をして、業務量が積み重なっていくということで、年々増える一方の業務となっている。前年度においては、商工労働観光部内での対応ということで業務支援体制を敷き、それで何とか事業の処理を進めたわけだが、これは臨時職員などの対応で可能ではないかというご意見もあるが、補助事業の最終的な支払いのチェック、確認というものは正職員がしっかりと確認する必要があるということで、臨時職員での対応には限界がある。したがい、総務部にも定数等の要求増も、また他県の応援職員等の配置もお願いしているわけだが、要求通りの人員配置になっていないという実態であり、全庁的にも応援職員についての配置も不足している中にあっては、やむを得ない部分もあるということで、全庁的な業務支援体制を敷きながら業務処理にあたったところであり、このような例については、復興局でかつてアパートの賃借契約等の処理について全庁的な応援体制をとりながら業務処理をしたという経緯もある。
 今後、増加する事業や業務量に対応した定員増の確保に全力をあげ、なるべく事業が早くスタートし、早く必要な支払い等も可能となるような体制に努めていきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ必要な人員を確保し、最終的にはもちろん正職員のチェックが必要である。たださまざまな事務処理があるわけだから、必要な人員を確保して。復興も4年目である。今年4000人というのは特別に増えた数ではない。それなのにこういう体制というのは異常なことである。そしてミスも犯していると。
 パソナには9500万円の補正になったが、年間でどのぐらいの予算でパソナは仕事をしているのか。

【雇用対策課長】
 4月当初、40人規模の体制で事務を行っており、その後事務的に一度少なくなる時期があるので一旦減らしているが、今回の補正により来年度の事務量が増大することが確実に見込まれるので、人員増をしたいと思っている。
 最終的には、1月3月では50人以上の体制がとれるようにということでの予算化である。年度当初は1億1960万円余、今回補正で家賃の増にともない、追加スペースを確保するということもあるので9500万円余の増額である。

【斉藤委員】
 4年目を迎えて、あなた方も大変な状況だとは思うが、これ以上ミスは犯してはならないわけだから、きちんとした体制も確立してやっていただきたい。


・沿岸地域人材確保支援事業費、三陸観光復興支援事業費について

【斉藤委員】
 復興にかかわることだと思うので、具体的な中身、実績について示していただきたい。

【雇用対策課長】
 沿岸地域人材確保支援事業は、沿岸地域の人材確保のためには、地域内あるいは地域外から労働していただける方を掘り起こすことが大切だと思っており、沿岸地域人材確保支援事業では、UターンIターンに取り組みたいと思っている。また地域内についても、地元のハローワーク等との連携により、地域の働ける方の掘り起こしというのを考えており、これを民間からいろいろな知恵や手法等を活用したいということで、公募という形で進めたいと思っている。
【観光課総括課長】
 三陸観光復興支援事業費だが、あまちゃん効果により久慈を中心に全国的に知名度が高まったということもあり、今年度に入ってもあまちゃんを活用した形での首都圏等での情報発信、あるいは受け入れ態勢に力を入れている。
 その中で当初、2名ほどの観光案内人を緊急雇用で配置していた。具体的には、久慈地域におけるいろんな観光素材であるとか、震災学習について情報発信していたわけだが、今回9月補正でさらに2名配置し、特にこれからの秋同期の観光素材の掘り起こしだとか、食に関連した観光メニューを発掘してブラシアップしていくと。またそういったものをエージェントに対して、しっかり提案し誘客につなげていくということで事業を実施しようとするものである。

【斉藤委員】
 沿岸の復興にとってこの人材確保は大変大事だと思う。
 人材確保の問題で、8月の雇用状況が岩手労働局から発表になり、沿岸は震災前に比べ被保険者数は2188人増えている。一方で食料品製造業、いわば沿岸の地場産業が1534人減っている。人口が減少し、働く若い世代が減っている中で、労働者は増えているが地場産業が十分確保できないという厳しい状況にある。UターンIターンはもちろん必要だし、地域の掘り起こしも必要だが、そういう厳しさを踏まえて真剣にやらないと成果が出ないと思うがいかがか。

【雇用対策課長】
 被保険者数の増はご指摘の通りであり、人口が減っている中で、働いている方はある程度働いていらっしゃるのではないかという認識は持っている。しかしながら食料品製造業等は求人を出してもなかなか応募がない、これは復興を進める上で大きな障害となっていると強く思っている。
 今回の事業を通じ、こういった観点でより効果的な施策を打ち出せないかという観点で公募審査等をして、的確な事業を進めていきたい。

【斉藤委員】
 沿岸地域人材確保事業(671万円)は新規であるので、思い切って取り組んでいただきたい。
 水産加工関係の人材不足打開のカギは、新規高卒者の受け入れである。地元の高校生にとって魅力ある職場になると。これが大事だと思う。そういう意味でいけば、いま水産加工会社も新しい施設設備を導入し、そして生産工程も改善し、震災前とは違った改革・改善も進んでいると思う。やはり地元の高校生に魅力ある企業にして、雇用確保の道筋をつけるということが特別に大事ではないか。

【雇用対策課長】
 水産加工業の新しい設備の導入などの事例が実際あるので、これまで当室としても、水産加工に関するDVDを作成し、最近の水産加工現場の環境、きれいな中で仕事が行われているということで、そういったものを就職面接会等の場で流すということで活用している。ハローワークの話を聞くと、そういったDVDは非常に効果的なイメージアップにつながっていると聞いている。そういったことを引き続きやりながら、水産加工に多くの高校生が目を向けていただけるように取り組んでいきたい。