2014年10月8日 商工文教委員会
山田町NPO問題、DIOジャパン問題に関する質疑(大要)
・山田町NPO問題について
【斉藤委員】
知事は本会議で、県が出した報告書に対して「外部の所見を求める」と、それを検討中だと述べた。そのスキーム、進め方についてお聞きしたい。
【副部長】
決議への対応だが、外部の方に検証委員会における検証結果の内容について所見をいただくような方向も1つの選択肢ではないかと答えているところである。
具体的な検討の方法については、関係部局とも連携しながら検討を進めている。
【斉藤委員】
本会議での知事の答弁なので、商工労働観光部はもとより、庁議も踏まえてそれなりの検討を踏まえた知事答弁ではないかと思うが、あれは知事のアドリブか。検討を踏まえた答弁だったのか。
【副部長】
知事が答弁した件については、検討の方向性について1つの選択肢ではないかということで示したものだが、それについて具体的な内容について、議会の決議に「適切に対応しなければならない」という中にあって、どういう形が可能かということについては、関係部局と検討を進めているところである。
【斉藤委員】
知事の答弁というのは、庁議を踏まえたものか。それにしてはあまりにも曖昧である。検証結果について外部の所見を求めるという話、それはそういうスキームではないのか。それを「検討中」ということなのか。外部の所見を求めるということは決まっているのか。
【商工労働観光部長】
外部の方の所見も求めるということも選択肢の1つとして検討していると認識している。
【斉藤委員】
決まったことではないと、今の部長の答弁はそういうことでいいか。
【商工労働観光部長】
知事の答弁された通りであるので、検討しているということである。
【斉藤委員】
きわめて曖昧である。そういう曖昧な答弁が本会議で堂々とされること自体に、知事・県の対応の問題が示されている。おそらく決算特別委員会の総括質疑でも取り上げなければならないと思う。
決議の精神というのは、「第三者機関できちんと検証すべき」ということである。個別に意見を聞けばいいということでは絶対にないし、きちんと決議を踏まえ、中途半端なことではなく対応すべきである。
県議会は、決算特別委員会を含め集中審議し、県の検証結果の問題点も具体的に指摘しているので、県の検証結果だけではなく、県議会でどういう議論がされているかも含めて第三者機関できちんと検証されるべきである。
・DIOジャパンのコールセンター問題について
【斉藤委員】
134人の解雇者があったが、再就職状況、賃金未払いの解決状況を具体的に示していただきたい。
【雇用対策労働室長】
求職の申し込みをされた方が119名おり、ハローワークの紹介等や自己求職で就職された方を除き、現在未就職者の方が74名である。その中で、水沢のところが34名いるが、この方については今度新規のところがくればだいぶ改善されると思っている。残り40名の中で見ると、現在照会中の方や訓練を受けている方が16名おり、まったくの未就職の方は24名となっている。盛岡や洋野町の方が多くなっている。
【労働課長】
賃金の未払いが発生していた4事業所のうち、花巻・釜石・洋野の3事業所の元従業員の方々については、国の立て替え払い制度による立て替え払いがほぼ終了している。
奥州の事業所の元従業員のうち、当該事業所の所属となっていた方々の未払い賃金については現在手続きが進められており、10月中旬ごろには本人宛に確認書が発行され、それを機構に提出して建て替え払いが進められていくと聞いている。
奥州の事業所で働きながら、本社の所属となっていた従業員の方々については依然未払いとなっている。
【斉藤委員】
具体的な人数や額は分かるか。
【労働課長】
未払い賃金の立て替え払いの関係については国の方で行っているわけだが、労働局では人数や金額は公表しておらず、正式には分からない。
【斉藤委員】
前回の委員会でも労働局と情報共有すべきと指摘し、度々新聞報道されている数を聞いている。県が分からないということは絶対ないはずなので、県の不始末の結果なので、責任をもってきちんと答えられるようにしていただきたい。
DIOジャパンの問題については、いま厚労省の通知に基づいて各市町で調査されていると思うが、その調査項目、期限はどうなっているか。
【雇用対策課長】
調査項目については、収入・委託事業を通じた収入等で申告がなかったか、事業での不適切なものがなかったかということについて調査している。
期限は具体的に示されておらず、今後のDIOジャパンの法的手続きがどうなるかに合わせて、その期限に間に合うようにまとめるということになっている。
【斉藤委員】
調査項目は、不適正事案、収入の未申告ではないか。期限については、DIOジャパンの法的整理に間に合うようにとなっているのではないか。
【雇用対策課長】
事業を通じた収入がなかったかということは調査しており、事業を通じた不適切なものがなかったということについても調査している。
期限については、法的整理がなされた場合の必要な届け出期間に間に合うようにということは示されている。
【斉藤委員】
DIOジャパンの弁護士は、9月中に方向を出すと、それが10月になったようである。これも無責任な対応だが、本来9月中だった。9月中にあなた方はきちんと調査し、必要な支払いを求める、返還を求めるものについては確定してやらなければいけないのではないか。遅れているのではないか。調査の状況はどうなっているか。
【雇用対策課長】
調査については、市町で鋭意行っており、現在の考え方に基づいて、国に対して各市町においていろいろな作業を行っているが、この考え方でいいのかといった部分について、国と盛んに整理しているところであり、その考え方が固まったならば今後の請求に必要な額を決めるものであり、具体的な内容について方向が出ているものではない。
【斉藤委員】
DIOジャパンの今後の整理等がどうなるか分からないが、そんなに続くものではない。きちんと早く整理してやるべきである。
調査の中身について、前回の委員会でもリアルに示したが、1つは、研修の実態がほぼないということである。盛岡の場合でも、3ヶ月ぐらい研修してあとは仕事をさせられていた。奥州もそうだった。盛岡の場合は、3ヶ月研修を受けた人が別のコールセンターに講師で派遣されようとしていた。1年間の研修の実態はほとんどなかったと言わなければならない。そういう講師もいなかったというのがどこでもそうである。研修の実態がなかったら、緊急雇用創出事業は成り立たないと思う。研修の実態について具体的に指摘したが、調査しているか。
【雇用対策課長】
県に寄せられた内部通報で、市町にその情報を提供し実態を確認してもらっている。内部告発を受けて、不適切なものがなかったかという観点で、研修日誌等を含めて再精査を行っている。
【斉藤委員】
内部告発自体を確認するのは当然だが、内部告発というのはその人に限らない。全体がそうだったということである。特定の人だけがまともに研修を受けなかったということではない。研修の実態が緊急雇用創出事業には当たらないような実態だったと思う。少なくとも1年間はやられていない。それをしっかり調査すべきである。
それから事業収入について。これも前回の委員会で、盛岡・奥州・洋野でも、3ヶ月経ったら仕事で東京に1ヶ月3ヶ月仕事した、九州で仕事したと。ところが、業務日誌には書かせなかった。虚偽報告をした。あなた方が業務日誌を確認するだけではいけない。ほとんど改ざんされているので。そういう認識で事業収入の問題は調べているか。
【雇用対策労働室長】
現在の調査については、市町において実施しているものだが、すべての従業員を対象としており、ただ一方で協力しにくいと言っている方もいるのは当然なので、そういうことも含め市町でいろんな情報をとって対応しているところである。
業務日誌については、事業完了の時点でそれが正しいかどうかというのは、複数の業務日誌や出勤簿とか、複数の方たちを突合するような形で調査している。現在市町において同じように業務日誌と関連するもの等の突合、あるいは本人のアンケート結果等を踏まえて調査を進めている。
【斉藤委員】
業務日誌の改ざん、虚偽報告は共通だと思うので、そういう認識で、書式だけ確認ということでは調査にならない。元従業員の聞き取り調査をきちんとすべきとなっているので、それを踏まえてしっかり事業収入を認定することが必要である。
例えば盛岡で、平成24年7月以降仕事が入ってきて、ツアーの案内・ウィラートラベルバス24時間受付業務・深夜業務・コンサートなどの仕事をさせられたと。従業員の中には、1年間東京で仕事、半年間東京で営業・事務の仕事、九州の都城のコールセンターに6〜7人派遣、東京国際映画祭の受付業務、東京プリンスホテルに6〜7人派遣―。これは盛岡コールセンターでの例である。本当に徹底して調査していただきたい。
リース料の問題について。盛岡コールセンターで、什器一式2993万円が無償譲渡されている。1億3805万円のコールセンター業務用機器が88万9900円で取得されている。これは実質1年目のリース料で支払った、実質買い取りではないかと指摘した。これが認められるのだったら、50万円の財産取得を禁じるという原則が全く無視されてしまうが、どういう認識か。翌年の無償譲渡というのは、事実上の財産取得に当たらないか。
【雇用対策労働室長】
緊急雇用創出事業においては、買い取りは禁止されており、したがい1年間リース料を払い、それが所有権が移転するという考え方というのは、実質的に「抜け道」と理解している。したがいこれについては厚労省に対して、そういうことでいいのかと疑問を呈し、その後国から通知が来たと。25年度に再リースまたは最後は買い取るといった中で無償のものがあったということは大変遺憾だと思っている。
【斉藤委員】
翌年の厚労省の通知は、「高額なリース料があったのでそれを正すためにきちんと入札し、見積もりをとること」となった。実際にリースが終わって、無償で譲渡されたとなったら、これは新しい事態である。そういうことが分からない高額リース料の問題で、それでいいのかということで通知が出たと思う。あのときはまだ譲渡されていないのだから。この無償譲渡について、高額なリース料を払って翌年無償譲渡されたら買い上げではないか。室長は「抜け道」と言ったが、実質買い上げである。
【雇用対策労働室長】
この中には、1年間終了した後で所有権が移転するという計画が記載されていたものが完了検査の時点であり、それは抜け道だと思ったので、そのように国に対し照会し、その後25年度以降認めないとした通知が出た。
【斉藤委員】
そうすると厚労省は1年目は認めたということか。例えば、盛岡の場合、1年目リースで、2年目は緊急雇用創出事業をやっていないのだから什器一式無償譲渡。これは厚労省は認めたということか。
【雇用対策労働室長】
簡単に言えば認めたと。当該通知については、その後の契約に当てはめるということなので、リースの名称であったものについてはリースとして認められたと。通知後のものについては、リースであったとしても、後に所有権が移転するものは不適切だとうかがったところである。
【斉藤委員】
リース契約で翌年は無償譲渡という契約があったということか。それはどこか。
【雇用対策労働室長】
これは山田町NPO問題での反省でもあるが、完了検査の時点で、リース料の契約書の提出については求めていなかったが、24年の実績報告から求めた。その中に、二戸コールセンターにおいて、所有権が移転するということが分かるものがあったので、それは確認した。
【斉藤委員】
二戸コールセンターについては、実質無償譲渡の契約だったということですね。盛岡はどうだったのか。
【雇用対策課長】
盛岡については、そういった明文化されたものはなかったと認識している。
【斉藤委員】
盛岡は明文化されていなかったがそうなってしまった。
二戸コールセンターは、什器一式が314万5936円、コールセンター業務用機器が4803万円である。1年間のリースで翌年は無償譲渡という契約だったとしたら、こんなリースあり得ないのではないか。1年間で終わってしまう、買い取ってしまうのだから。あなた方はそれに疑問を感じて厚労省に問い合わせた。それは認めらないという認識ではなかったのか。こんなリースが認められるのだったら、リース契約は成り立たない。50万円以上の財産取得が禁じられているのに、4803万円が認められるという話はない。もし厚労省がそれを黙認したとするなら、厚労省も共犯である。そういうことではないか。
【雇用対策労働室長】
ご指摘の趣旨はよく分かるし、私もそういう疑問を持ち国に問い合わせ、国もこれではいけないと考えたわけだが、これは想像だが、過去のものにさかのぼって適応するのはいかがかということで、「その後の契約」ということになったのではないかと思う。
【斉藤委員】
いまDIOジャパンによるコールセンター事業はみんな破たんしているが、緊急雇用創出事業の中身が問われている。研修の実態があったのか、仕事をしていたのではないか。あわせてこのリース契約も問われている。最初から1年間のリース料で翌年無償譲渡といったら、商取引上買い取りである。本当にDIOジャパンのやり方は悪質である。最初からそういう契約だったとしたら、高いリース料で事実上買い取りということはありえない。山田のNPO問題と同じである。国民の税金を食い物にするやり方は。国が認めたからいいということにはならない。そこも含めてDIOジャパンの問題は徹底的に検証されるべきではないか。
【商工労働観光部長】
一連の問題に関しては、現在厚労省も調査しており、それに市町も対応しているが、そういった調査の中で明らかになってきた問題点、そういった部分においては改善点を早急に、今までの見解等も変える場合もあろうかと思う。そういったことをしっかりと県としても踏まえて、提案できる部分を提案しながら適切な業務執行が担保できるような制度設計にしていきたい。
【斉藤委員】
山田町NPO問題も、1年目認めた、2年目の途中で事業が破たんしたから、認めた1年目も含めて返還をしている。これも同じである。2年目で破たんしている。だとしたら1年目も含めてまともだったのかと山田と同じように検証するのは当然ではないか。構図は山田町NPO問題と一緒である。
二戸のコールセンターの完了検査の資料を出していただきたい。無償譲渡が分かっていたということはきわめて重大なので。そして実際には盛岡の什器一式、花巻の什器一式、釜石の什器一式・コールセンター業務用機器、洋野の什器一式、これら全て無償譲渡である。同じパターンでDIOジャパンはやった。それをあなた方が完了検査でやった資料は出していただきたい。
DIOジャパン問題は第二の山田町NPO問題と同じような形で、県の完了検査の中身も問われていると思う。必要な資料をしっかり出して、厚労省も共犯的な役割を果たしているとすれば、国がいいからといってそれに追随することには絶対にならない問題である。正すべきものはしっかり正してやることが必要だと思う。