2014年10月10日 9月県議会・本会議
議案および消費税10%増税の中止を求める請願不採択に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第17号と請願陳情第121号の不採択に反対の討論を行います。

 議案第17号は、幼保連携型認定子ども園の設備及び運営に関する基準を定める条例であります。
 本会議での質疑で明らかにしたように、この条例案は、学級編成、職員配置、園舎及び園庭、食事の提供に関わる調理室の設置など、全てが不十分な国の基準を踏襲したものであります。
 学級編成の基準は35人以下としていますが、小学校の低学年でさえ35人学級で、実態は20人規模となっています。3歳児を含めて35人学級以下というのはあまりにも子どもの実態を無視したものであり、まともな教育も保育も保障できないものであります。
 職員の配置基準も、乳児が3対1,1・2歳児が6対1,3歳児は20対1,4・5歳児は30対1と国基準そのものです。現状の保育園ではこの基準では職員が不足し加配しているのが実態です。引き上げるべきであります。
 食事の提供については、3歳未満児については自園調理、3歳以上は外部搬入も可、幼稚園児は園の判断とするなど、幼保連携と言いながら年齢と利用形態によってそれぞれ食事の提供が異なる基準と言うのは理解しがたいものです。
 1日4時間の標準的な教育を行うとしていますが、保育園児の場合、9時から1時まで4時間の教育を行えば昼食も昼寝も取れないことにもなりかねません。また、3歳時の子どもが1日に何度も教室を変わるような状況で、まともな教育も保育も保障されないと言わなければなりません。
 だからこそ、全国の政令指定都市では、学級編成にしても職員の配置などについても独自の上乗せ基準としているのであります。県内の7市町村も家庭的保育の基準では独自の上乗せ基準を定めています。
 子ども子育て新制度は、これまでの保育所、幼稚園の制度を根底から改変するものであり、保育の市場化をめざしたものです。最大の問題は、これまでの市町村の責任によって保育を提供する現物給付の制度を改悪し、利用者と事業者の直接契約の現金給付の仕組みに変えることであります。 新制度では、施設型給付の保育所、幼稚園など6類型、地域型保育給付の4類型など、複雑怪奇で、事業所ごとに保育の質と量が異なるなど、保育に重大な格差をつくるものであります。
 子ども子育て新制度そのものが根本的な見直しを求められています。待機者の解消は、父母が切実に要望している市町村が責任を持つ認可保育所の増設で対応すべきであります。

 請願陳情受理番号第121号は、消費税の10%増税の中止を求めるものであります。
 総務常任委員会ではまともな反対の議論もなく、自民党といわて県民クラブが反対し、可否同数となり、委員長裁決で不採択となりました。これは消費税の10%増税に反対する世論が72%を占めていることにも示されているように、県民の切実な実態と声に背を向けるものであります。
 4月に消費税8%大増税が強行されました。その結果は、4~6月期のGDPは年率マイナス7.1%の大幅な落ち込み、とくに家計消費はマイナス19.5%と、この20年間で最大の落ち込みとなりました。その最大の要因は、労働者の実質賃金が、前年比で14カ月連続マイナスとなっていることであります。消費税の大増税と円安による物価上昇によって実質賃金が低下し、家計消費が落ち込んでいるのであります。今、日本経済は深刻な悪循環、危険水域に落ち込んでいます。
 こんなときに消費税を10%にさらに引き上げることは、国民のくらしを破壊するだけでなく、地域経済、日本経済を破滅に追い込むものであります。被災三県の復興にも逆行するものであります。
 暮らしと経済を立て直すためには、第一に、消費税の10%増税はきっぱりと中止すること。第二に、285兆円にも膨れ上がった大企業の内部留保の一部を活用して、大幅賃上げと安定した雇用を増やすことです。第三に、社会保障の切り捨てから充実へ、抜本的な転換をはかることであります。第四に、税金は負担能力に応じてと言う「応能負担」の原則に立った税制改革によって財源を作り出すことです。
 日本共産党は、消費税に頼ることなく、国民のくらしと社会保障の充実をはかる建設的な提言を具体的に示しています。
 国民のくらしと経済を破滅に追い込む消費税の10%増税を許してはなりません。県民の切実な実態と声を踏まえ、本会議での採択で岩手県議会から消費税10%増税の中止を求める大きな声を上げていこうではありませんか。皆さんのご賛同を心から訴え、総務常任委員会での不採択に対する反対討論といたします。

 ご清聴ありがとうございました。