2014年10月15日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・決算の状況、税収について
【斉藤委員】
法人事業税が173億1594万円となっているが、前年比でどう増加しているか。法人事業税の対象とならない赤字の事業所数、率、中小企業の場合はどうか。
県はたばこ税(11億5593万円余)、自動車取得税(1億8863万円余)、自動車税(1億5147万円余)が減額となっているが、その要因は何か。
地域の元気臨時交付金は歳入を見ると95億1301万円となっているが、昨年度、今年度どういう分野で活用されているか。
消費税の増税による県政への影響、県民への影響はどうなるか。
【税務課総括課長】
法人事業税の25年度決算額の増加状況は、増加率は前年比で107.5%、増加額は12億1511万円となっている。これは復興需要を反映して建設業をはじめとする非製造業が顕著に推移したことによるもの。法人事業税の対象とならない事業所数だが、申告義務のある法人は平成25年度において23694社あり、事業税が発生しない赤字法人は13592社で全法人の57.4%を占めている。資本金が1億円未満の中小法人は21985社で92.3%となっており、赤字法人は13560社であり中小法人中61.7%を占めている。
県たばこ税の減収は、税制改正があり県たばこ税の一部が市町村たばこ税へ税源移譲され、これが25年4月から施行されたことによるものである。税源移譲の理由は、法人県民税の課税標準となる国の法人税の税率が引き下げられたことにより、県・市町村の税収が減るわけだが、法人県民税よりも市町村の法人市町村民税の減収額が大きいための措置としてそのような措置がとられたものである。自動車取得税については、エコカー減税対象の車が増加したもので、取得税の対象である軽自動車も含め、非課税車両を若干含んでいるが、25年度の非課税車両が前年度よりも9500台ほど増加している。自動車税については、維持費の安い軽自動車へのシフトによるものであり、県税の自動車税の課税台数が前年度比4700台・0.9%減っている。
消費税の県民への負担増についてだが、地方消費税が平年度ベースの税収となるには約2カ年度間かかり平年度ベースでお答えさせていただくが、25年度の地方消費税額などから推計した国・地方合わせた消費税のうちの家計負担分の増収額を26年8月1日現在の県内の世帯数51万7796世帯で割り推計すると、税率が5%から8%になったことに伴い、1世帯あたり年間61100円の負担増という数字が出ている。仮に今後税率が8%から10%になった場合、1世帯あたりさらに年間41400円の負担増となるものと見込まれる。
【財政課総括課長】
地域の元気臨時交付金は、総額で108億6300万円余交付されており、25年9月補正で13億5000万円ほど活用し、残額の95億1300万円余について26年2月補正で21億9000万円余、26年度は現在の9月補正時点で65億6100万円余、併せて101億200万円余の活用見込みとなっている。
主な充当先だが、分野別で申し上げると、例えば医療関係では、県立病院の医療機器の整備に15億2000万円余、いわてリハビリテーションセンターの機器整備に1億9800万円余など17億1800万円余となっている。福祉関係では、いわて子どもの森の遊具等の改修に7400万円余、ふれあいランド岩手の施設改修に5000万円余など1億9000万円余となっている。教育関係では、県営野球場や県営体育館の施設改修に3億1000万円余など6億9100万円余となっている。その他として、交通安全施設の整備に11億円、いわて花巻空港のターミナルビルの機能向上に10億9500万円、農業大学校の施設整備に4億500万円余、警察署や交番・駐在所などの警察施設整備に3億1000万円余など75億200万円余となっており、広く県民に還元されるような事業に活用してきた。
【斉藤委員】
中小企業が61.7%赤字企業だということと、10%に消費税が上がれば10万円を超える負担増になると。県議会は意見書を採択したので、ぜひこういう増税は許してはならないと思う。
・防災対策について
【斉藤委員】
東日本大震災津波の市町村における検証が行われている。陸前高田市でも8月にまとめた。こうした検証を県としてどう受け止め、今後の防災活動にどう具体的に生かすのか。
昨年の7・8・9月の豪雨・台風災害の検証と防災上の教訓、対策はどうなっているか。
【総合防災室長】
一部の市町村で取り組んでいる独自の検証については、市町村地域防災計画の充実や防災体制の強化につながるものと考えており、また県としても今後防災に関する広報啓発や、自主防災組織の育成強化に向けた支援など、さまざまな防災対策を検討する際の貴重な現場からの参考資料として積極的に活用していかなければならないものと思っている。
昨年の豪雨災害の検証では、市町村における災害対応体制が不十分であったことや、県としての災害情報の収集や分析、関係機関等の調整等に課題があったことなどが挙げられたことを踏まえ、本年3月に県地域防災計画の修正を行った。この修正の中身としては、被災市町村に対し、振興局職員を現地連絡員として派遣すること、県の災害対応組織として新たに災害特別警戒本部を設置すること、これは災害警戒本部と災害対策本部の間に特別警戒本部を設置するという中身である。さらに、市町村において避難勧告等の具体的な発令基準を作成すること、また市町村が行う避難勧告等の判断にたいし県等が助言を行うことなどを新たに規定し、県として市町村の災害対応を支援する体制を構築するとともに、県の対応・体制の充実を図ったところである。県としては、こうした修正内容が今後の防災対策において有効に機能するよう、防災訓練の実施やマニュアル等の整備に取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
津波災害でも昨年の豪雨災害でも、1つの大きな共通の教訓というのは、やはり避難の問題だったと思う。
いま地域防災計画の見直しで、避難勧告の発令基準、助言というのがあった。今回の台風19号でも避難勧告が結構出された。しかし避難している人は少ない。だから自治体が的確に避難勧告を出すということと、それを受けて地域住民が避難するのはまた別の問題。地域住民が避難して当たり前というような状況をどうつくっていくか。陸前高田の保育所では毎月避難訓練を行っている。そういうような取り組みをしていかないと、避難勧告を出しても避難する人が少なかったとなってしまう。なぜ避難しなければならないのかと。また避難場所が体育館だけでは高齢者は行けない。避難しやすいところ、そこに暖房施設があるのか、横になれるのか。そういうことも含めて教訓を生かすべきだと思うがいかがか。
【総合防災室長】
避難の勧告・指示といったことについて、今回の台風19号については、避難準備情報という避難勧告・指示の前のものがたくさんの市町村で出された。これは台風の接近が夜半にかかるという中で、要支援者の方などには早めに準備していただきたいというようなことについて、非常に市町村の意識が高くなっていると感じた。これについては、県の地域防災計画の中で判断基準を作成してほしいということで中身に入れ、また4月には内閣府からそういったマニュアルもできたという中で市町村に対してそういったことを基準をつくるように強く求めてきたところである。
そういった中で、避難する人が少ないというご指摘だが、避難ということが実際に避難所に行くということと、いわゆる垂直避難―2階に上ったり崖とは反対側の部屋に移るということも避難だということも災害対策基本法や国のマニュアルの中等でも示されたところなので、そういった数の捉え方も検討していかなければならないと感じている。ただ、避難については、できるだけ避難していただいた方がいいと思う。オオカミ少年的な、ムダになってしまうということもあるが、そうではなく、良い訓練だったと思えるような防災文化といったものを地域の中でつくっていくことが大切だと思っており、そういったことにも努めていきたい。
・入札の状況と改善について
【斉藤委員】
入札不調の状況について最新の状況はどうか。1社入札の状況はどうか。今後の対策を含めて。
入札制度の改善について、県建設業協会からの要望に対する県の対応はどうなっているか。
【入札課長】
入札不調の状況は、東日本大震災以降の推移を見ると、23年度が9%、24年度12%、25年度21%と年々増加している。今年度においては、9月末で発生割合は20%となっている。1社入札の状況は、23年度12%、24年度22%、25年度26%となっておりこちらも年々増加している。今年度は6月末までで21%となっている。入札不調や1社入札の増加要因だが、設計単価と実質単価とのかい離、技術者・労務者の確保や資材調達が困難などのほか、国・県・市町村における復旧・復興工事の本格化に加えて、昨年度に発生した大雨等による災害復旧工事の急増なども要因の1つと考えている。県としては、入札不調等への対応としては、入札参加資格において施工実績要件を付さないことや、沿岸地域の地域要件の拡大などを図ってきたほか、今年に入ってからも、県外建設企業の参入に配慮した入札要件の緩和、労働者や資材確保のための施工準備期間の設定、工事費の補正などさらなる対策を進めているところであり、引き続き関係市町村や業界団体と情報交換・連携を密にし、これまでの対策を推し進めながら、できるところから必要な対策をとっていきたい。
建設業協会から提出された要望のうち、入札関係の要望は、予定価格の事前公表の廃止と失格基準価格の引き上げの2項目ある。予定価格の事前公表の廃止については、予定価格の事前公表が企業の適正な積算による価格競争ではなく、予定価格からいくら値引きして入札するかということだけを助長していることから、事前公表を廃止し事後公表とされたい旨の要望内容である。県としては、予定価格の事前公表はこれまでの入札制度改革の中で、入札手続きの透明性の向上、不正行為の防止の観点から導入した経緯があり、受注者双方の入札手続きの簡素化等にも効果があると考えていること。また企業による適正な積算により入札に参加してもらうため、詳細な工事費内訳書の作成・提出を義務付けており、現時点では過度な低価格競争も生じていないことなどから、当面入札状況等を注視しながら状況に応じて必要な対応を検討していく旨の回答をしている。失格基準価格の引き上げについては、失格基準価格の引き上げによる落札率の向上を図る趣旨の要望である。県としては、これまで調査基準価格の引き上げや失格基準価格の引き上げを図るなど取り組んできた。近年平均落札率が90%を超えるなど落札水準も向上してきている状況であり、今後とも入札動向や落札率の状況等を見ながら、低入札価格調査制度の適切な運用を図っていく旨の回答をしている。
【斉藤委員】
失格基準価格の問題は、制度が複雑なだけであまりメリットがないのではないか。おそらく東北各県や全国も最低制限価格の導入の方が多いと思う。最低制限価格を導入した方が業者にとっても分かりやすい制度になるのではないか。
県庁舎等の消火設備・庁舎清掃の事業で、落札率が28.6%とか24.6%と、あり得ない話である。なぜこういうものにきちんと最低制限価格が導入されないのか。末端の労働者に犠牲が押し付けられるような入札制度はあってはならないことだと思うがいかがか。
【総務部長】
入札に際しては、国交省の定める建築保全業務労務単価等を参考にし、県の最低賃金を上回る労務単価で積算しているほか、入札参加資格審査において雇用時の最低賃金を記入させ、県の最低賃金を上回っていることを確認するなど、従業員の労働福祉に問題がない業者を参加させている。
一方で昨日知事が答弁申し上げた通り、庁舎等の管理業務委託については、最低制限価格の導入については一定の基準価格を下回る入札参加を排除することにより、品質の確保および労働環境の改善に一定の成果を挙げているということ、また労働者の適正な条件の確保を図る上でも有効な手段の1つであると認識していると答弁している。いずれかなり低い落札率での例も見受けられることから、落札状況なども注視しつつ公平な競争環境の確保を図るため、最低制限価格の導入等も含めさまざまな方策を検討していきたいと述べたので、我々もその方向にしたがいさまざま検討していきたい。
・応援職員、任期付職員の現状と対応について
【斉藤委員】
待遇改善を求めたいが、県への応援職員、任期付職員の状況と配置はどうなっているか。
労働条件、心のケアを含めた健康維持の対策はどうなっているか。
【人事課総括課長】
他県からの配置職員は現在173名の派遣をいただいている。本庁など内陸部に62人、沿岸広域振興局など沿岸部に111人配置している。任期付職員については、市町村の派遣も含めて、現在295人を任用している。内陸部に72人、沿岸部に223人を配置している。
待遇面だが、任期付職員については県で採用なので、県の一般職と同様に給与決定している。40歳前後で高卒の方で申し上げると27〜28万円の給与となっていると承知している。諸手当等については、一般職員と同様に支給される形になっている。
健康維持対策だが、超過勤務の縮減については、事務事業の緊急度や優先度を勘案した適切な業務執行体制の確保、グループ性のメリットを生かした随時の事務分担の見直しなどについて各所属で徹底を図っているほか、超過勤務が一定時間以上の職員をかかえる所属長との面談を実施し、縮減に向けた意見交換をしている。応援職員や任期付職員を多く抱える沿岸部に出向き、所属長と職員管理の面や悩みなど相談を行っている。職員のメンタルヘルスの対策として、派遣職員を含めた全職員を対象としたストレスチェックの実施、高ストレスや抑うつ状態にあると認められる職員に対する精神科医による個別相談、管理監督者を対象とした研修会を開催するとともに、応援職員や任期付職員を対象としたメンタルヘルスセミナーの開催や、所属長または人事課との面談により職員との意思疎通を図り状況把握に努めている。こうした取り組みを通じ、応援職員や任期付職員に限らず、復興事業に関わる職員全体の健康維持を図っていきたい。
【斉藤委員】
40歳前後で27〜28万円というのは待遇が悪いのではないか。任期付職員というのは、それなりのキャリアを持っている。現場の方々から聞くと、応援職員は交代で次も来てもらわなければならないので県の対応は温かいと。任期付職員は3〜5年で切れてしまうので、使い捨ての雰囲気があると。これはぜひ改善していただきたい。
・みちのくアラート2014について
【斉藤委員】
みちのくアラートへの県と県内市町村の参加の仕方はどうなっているか。
震災対処訓練と言うが、そういうのは県や自治体が主体となってやらなければ震災対処訓練にならないと思う。なぜ自衛隊主導になるのか。
そして一番の問題は、これは宮城県だが、オスプレイが飛行すると。事実上の軍事訓練である。オスプレイの既成事実をつくることになってしまうのではないか。宮城県だからものを言えないということではなく、本来自治体が主体でこういうものはやるべきで、きちんと訓練全体にも岩手県はものを言うべきではないか。
【総合防災室長】
みちのくアラートについては、11月6〜9日までの4日間実施される予定となっており、県は自衛隊や警察・消防・市町村と連携した災害応急対策の総合調整にかかる図上訓練に参加するとともに、広域医療搬送訓練等の実動訓練にも参加する予定としている。県内では17市町村が参加する予定だが、参加市町村は災害応急対策の実施要請にかかる図上訓練や実働訓練に参加する予定となっている。
自治体主導の訓練であるべきということだが、県地域防災計画では、防災訓練の実施の基本方針として、「県・市町村防災関係機関(自衛隊も含む)は、単独または合同で計画的に訓練を実施する」と規定している。また県は前回のみちのくアラート2008にも参加しているが、東日本大震災津波での災害対応は、こうした訓練が生きたものと考えている。
県としては、自治体のみならず、自衛隊を含めた防災関係機関においても、単独または関係機関の参加協力を得ながら、災害時における責務や役割に応じた訓練を計画的に実施し、防災実務の習熟や関係機関との協力体制の構築を図り災害に備えていくことが重要と考えている。
オスプレイの低空飛行訓練に関しては、東北防衛局にたいし飛行ルートの詳細等を明らかにし、その安全性を含めて県民の不安の払しょくに努めるよう要請してきたところであり、その飛行については、みちのくアラートへの参加如何に関わらず、十分な安全性の確保と県民の不安の払しょくが必要であると考えている。
・旧盛短跡地の利活用について
【斉藤委員】
実態と現状はどうなっているか。
【管理課長】
旧盛短校舎は現在も県の行政文書などの保管場所として活用しているほか、県体育協会が体操競技の練習場に使用し、グラウンドについては盛岡二高テニス部の練習場として使用している。
跡地利用については、建物の老朽化も年々顕著になっており、現在県による公共的な利用について庁内3つの部局から利用希望があったが、その活用案については各部局における事務レベルの構想段階の内容であり、今後内部検討に時間を要する状況にある。また昨年度に引き続き今年6月に地元町内会などで構成する旧盛短跡地利用促進期成同盟会から盛岡市にたいし、地域住民などの利用者を対象としたアンケート調査の結果を踏まえ、盛岡市が旧盛短跡地を地域活動の拠点施設として活用できるよう敷地を確保し、整理してほしいとの要望があり、現在盛岡市において検討している状況とうかがっている。
今後の対応については、引き続き県や盛岡市による公共的な利用について、庁内関係部局との協議や、期成同盟会から要望を受けた盛岡市と情報交換を行い、市の検討状況も踏まえながら、跡地の利用方針について検討していく。