2014年10月15日 決算特別委員会
高田一郎県議の総務部に対する質疑(大要)
・消防団員の確保と待遇改善について
【高田委員】
それでは、私は、先ほども議論もありましたが、消防団員の確保と待遇改善について質問いたします。消防団の強化を支援する新法が昨年成立いたしまして、待遇、装備、訓練などの強化を求める中身になっています。
そこで伺いますが、消防団の現状ですね、とりわけ消防団の装備の基準というのがありますが、この基準に照らしてどうなっているのか。また、消防団員の定員と充足率については先程答弁をいただきました。県内の状況を見ますと、加入率が70%から96%と大きな開きがあります。これはなぜこうなっているのか、県としてどう分析しているのかも含めて答弁いただきたい。待遇の問題ですけれども、この間どのような改善がされているのでしょうか。団員の報酬については地方交付税で措置されておりまして、団員については年36,500円、出動では7000円となっておりますが、この基準に照らして、支給されているのかどうか、この辺も含めて答弁をいただきたいと思います。
【佐々木防災消防課長】
消防団の充実に関しましては、委員おっしゃったとおりで、消防団新法が成立し、強化が図られるということでございますけれども、消防団の装備の基準が改められて、市町村で整備をすすめるということになったわけでございますけれども、改正が本年の2月ということでございまして、消防庁告示が行われたのが2月ということでございまして、平成26年度の当初予算に基準に即した装備の充実にかかる予算を盛り込んだ市町村は残念ながらあまりなかったというようなことで、承知してございます。これについては改正のタイミングが遅かったというのもございます。それから、実際の交付税で措置がされるわけでございますけれども、その交付税措置額を見極めたいとする市町村が多かったためというふうに認識してございますので、今後、平成26年度の補正予算でありますとか、来年度の当初予算における措置について、促してまいりたいというふうに考えてございます。
それから充足率につきましては、先ほどの答弁でもございましたけれども、86.1%となってはございます。この傾向につきましては、ここ数年ずっと低下傾向にございます。社会情勢の変化等もあるものというふうに考えてございますし、災害等の多様化といったような事情もあろうかと思います。いずれにいたしましても、地域防災力の確保の観点からとても大きな課題であるというふうに認識してございますので、関係機関、団体と連携しながら確保につとめてまいりたいというふうに考えてございます。
それから消防団の待遇改善につきましては、市町村の条例におきまして会期ごとに定められているということでございますけれども、一般団員の交付税措置が3万6000円程度ということでございますけれども、これを上回っている市町村が残念ながらないというような状況でございます。一方では平成25年におきましては、5市町村において、若干でございますけれども引き上げが行われたということでございますし、平成26年度におきましては1町で団員の報酬引き上げの改定を行っております。徐々にではありますけれども、改善のとりくみもあるということで認識しているところでございます。ただ、申し上げました通り、交付税措置額との乖離が大きいので、消防団の果たす役割等にかんがみまして、それから確保を図る観点などをふまえて処遇の改善につとめるように市町村に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
【高田委員】
装備の充実については当初予算に間に合わなかったということで、これからだと思いますので、ただ県の役割として消防庁の通知でも、装備本当に充実になるように県としてもしっかりと役割を果たしなさいという通知がありますので、市町村の消防団の要望に即して対応していただきたいと、充実、最大の支援をしていただきたいと思います。
それから消防団の報酬についても、3万6500円をすべての自治体が下回り、出動手当についても、資料いただきましたけれども、7000円に対して2000円前後と、出火の、火災の出動手当については、手当を出していない自治体もあるわけであります。ですからこれらの点についてもですね、しっかりと県がですね、役割を発揮していただいて、消防団の活動にふさわしい適切な報酬になるようにですね、支援していただきたいと思います。
それで自主防災組織の役割というのが大変大きいと思うのですが、その中で、消防団の役割というのはどのように発揮されているのでしょうか。
【佐々木防災消防課長】
自主防災組織でございますけれども、災害発生時におきましては、避難所開設ですとか、炊き出しですとか、消防団活動の後方支援などが自主防災組織によって担われているということでございます。地域の実態とか組織の内容に応じた連携が行われているものと認識しておりまして、この間、訓練などの参加にも積極的に参加していただいているというふうに考えてございます。
それから消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律で、消防団の役割として、自主防災組織等の指導的な役割を担うということも期待されているところでございまして、自主防災組織のリーダー育成等の強化を図るとりくみを推進することにより、いっそう連携を深めてまいりたいというふうに考えてございます。
【高田委員】
私はこの間、二度の大災害を経験してね、自主防災組織、機能したところと、ほとんど機能しないそういう組織もありました。したがって、岩手県全体として、自主防災組織がまだ79.5%でありますので、この組織率を高めるということと、やっぱり自主防災組織にふさわしい活動内容にするようにですね、やっぱりしっかりと実態把握をして、様々な支援をしていくべきだというふうに思います。それがひとつ。
それからもう一つは、やっぱり地域の土砂災害危険個所とか要援護者がどのぐらいいるのかとか、あるはそういうのの実態把握をして、やっぱり災害があったときにどういう活動をしたらいいのかというワークショップですね。これをきめ細かくやっていく必要があると私は思うんですね。そのための人的な財政的な支援体制というのも必要だというふうに思いますし、その中で消防団員の果たす役割が大きいと思います。そのためには、消防団員の訓練がね、必要だというふうに思いますけれども、それが十分な団員の訓練がされていないのではないかと思いますけれどもその辺の対応についてお聞きしたいと思います。
【佐々木防災消防課長】
消防団員の訓練につきましては、今年の3月に消防団員の訓練の基準というものも新法の施行・成立に伴いまして、改正されてございます。それで、自主防災組織に対する指導の役割を期待されているということもございまして、団員の中級幹部科の教育課程についても消防学校のカリキュラムの見直しをすすめることにしておりまして、その中で充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
【高田委員】
いずれあの、新しい法律が作られたばかりでありますので、それに即してね、本当に具体化になるように、充実になるように、県としてもしっかりと努力をしていただきたいというふうに思います。
・私学助成について
【高田委員】
次に、時間がないので、私学助成について伺いたいと思います。
現在の岩手県内における高等学校就学支援認定状況、そして生徒の年間の納付金額がどの程度になっているのか、また実質的な負担、保護者の負担というはどうなっているのか、その現状について伺います。
【千葉私学情報公開課長】
就学支援金の認定状況についてでございますが、平成26年度は県内の私立学校生徒6611人のうち、94.1%にあたる6219人を対象に総額9億6000万円余の支援を予定してございます。次に生徒の年間納付金額及び実質負担額についてでございますが、現在制度の移行期でもあり、学年や世帯収入等によって負担額は異なりますが、新制度に移行した1年生のうち、世帯収入250万円未満程度の世帯の場合でご説明いたしますが、入学時負担金を含む年間納付金額は生徒一人あたり県内の私立学校平均で51万5815円となっております。この金額から就学支援金年額25万2000円を差し引いた実質負担額が26万3815円となっております。
【高田委員】
実質負担額は25万円という話でありますけれども、学校によっては高いところもありますので、岩手の場合は年間の納付金額が42万4000円から62万円ほどになっていますので、所得階層によってはですね、年間も40万、50万と支払わなければならない、そういう実態になっていると思います。現在でも支援金がスタートした以降もですね、実際はバイトする学生とか、あるいは経済的に大変で退学せざるをえない。学校の同じクラスの中でも修学旅行に行ける子と行けない子がいると、こういう実態になっているんですね。ところが岩手の場合ですね、就学支援金が始まって以降、県の単独授業料補助がどんどん削られまして、今年からゼロになってしまいました。なぜこういう状況になったのか。支援金が始まる21年から5年間、今日までの県の授業料免除額の推移について、数字を示していただきたいと思います。
【千葉私学情報公開課長】
授業料の免除に対する県単の授業料の推移ですけれども、平成21年度につきましては902名を対象に1億411万8000円。就学支援金制度が始まりました平成22年度には、679人を対象に1289万2000円、平成23年度は642人を対象に1536万8000円。平成24年度は874人を対象に2369万4000円。平成25年度は942人を対象に2244万3000円の交付をしたところであります。
【高田委員】
就学支援金制度の始まる前の年には、県単の事業の補助として、1億円をこえるですね、補助金があったんですが、現在はまあ2200数十万円ということで大幅に落ち込みました。全国的な状況を見ますと、高等学校の支援金制度が始まった以降もですね、これまで県単独事業として授業料補助していたものを削らないで、そのまま制度の授業料免除に上乗せをして、埼玉県とか長野県では更に支援を厚くしたとそういう自治体もあれば、岩手や沖縄のようにですね、国の就学支援金制度を導入した直後に県の単独事業予算・補助事業を削ったというね、こういう状況が2つに分かれているんですね。先ほどの就学支援金制度が導入されても年間40万から50万の、負担をさせなければならないという状況を鑑みますとですね、やっぱり岩手県も更なる支援の拡充っていうのをね、やっぱりあってもいいんじゃないかと私、思います。私立と公立の格差、こんなに開いていいのかというふうに思いますけれども、そういった検討がこの間、されなかったのでしょうか。
【千葉私学情報公開課長】
県単補助金の推移、充実についてでございますけれども、授業料の県単補助につきましては、本年度に就学支援金制度が改正されまして、支給対象世帯の所得制限が設けられた一方で、低所得世帯に対してはかさ上げが増額されるなど支援は手厚くなったところでございます。さらに国では低所得者世帯に対しましてですね、授業料以外の、例えば修学旅行費とかにも充当できる奨学のための給付金制度というのを本年度から創設しまして、このような措置状況を背景といたしまして、今年度授業料の県単独補助金の通常分については見直しさせていただいたところでございます。
私立学校の授業料等につきましては、国の就学支援金に加えまして、これまでと同様に不慮の災害とか、家計の急変によって収入が減少になった世帯に対する授業料減免補助事業により支援を行いますとともに、被災者に対しましては、岩手のまなび希望基金による教科書購入費等の給付など各種事業により充実につとめてまいりたいと思います。
【高田委員】
授業料の補助についてもそうなんですけれども、私立学校の運営に対する助成も岩手県の場合、非常に少ないというふうに思うんです。そこで、関連してお聞きしますけれども、県内の私立学校の耐震診断、あるいは改修に実態がどうなっているか、生徒一人あたりの経常費助成額がどのようになっているのか、お伺いいたします。
【千葉私学情報公開課長】
私立学校の耐震診断・改修の実態についてでございますが、最新の文部科学省の調査によりますと、平成25年4月1日現在の数字になりますが、県内の私立小・中・高および特別支援学校につきましては、耐震診断が必要とは昭和56年以前に建設された建物28棟のうち、耐震診断実施済みの建物は14棟であり、耐震診断実施率は51%となってございます。また、私立幼稚園につきましては、同様に建物23棟のうち耐震診断実施済の建物は4棟であり、耐震診断実施率は17.4%となってございます。
次に耐震改修の状況でございますけれども、県内私立小・中・高および特別支援学校のうち、耐震診断によりまして、耐震補強が必要だと判断された建物全3棟のうち、1棟は改修済でございまして、残り2棟は今後の改築を予定してございます。また私立幼稚園につきましては、耐震補強が必要な建物は1棟あり、今後改築を予定しているというふうに伺ってございます。
【高田委員】
耐震診断についてはね、公立学校についてはね、かなり国の支援も厚くて90%以上の耐震化率になっていると思うんですが、私立については今お話したようにですね、35.3%の耐震実施率です。これはもう、子どもたちが1日の大半を過ごす場所にふさわしくないような数だと思うんですね。やっぱり耐震診断にもかなりのお金がかかりますし、耐震診断やれば、これは改修しなければならないということで、なかなか私学の場合は経営状況見て、なかなか前に進まないっていうね、そういう状況になっています。
私は岩手県の私学に対する一人あたりの経常費補助金がですね、全国で41番目になっているというこの現状ですね、そして長野や埼玉では授業料補助、今まで県単独補助金としてやていたものを削減しないで、さらに上乗せしていると、この違いがね、非常に今回の就学支援金制度が出されてから、こういう開きがでているのではないかというふうに思います。
そこで部長にお聞きしたいのですけれども、今、就学支援金制度が導入されてもですね、経済的な問題で、アルバイトをしながら高校に通わざるを得ない、同じクラスでも修学旅行に行ける子と行けない子が今でも私立学校にあるというね、こういう状況を見るときに、今の岩手県の就学支援金制度っていうのは、もっと拡充すべきではないか。経常経費運営費補助についてももっと改めるべきではないかというふうに私は思うんですが、この点について、部長の見解をお伺いしたいと思います。
【総務部長】
今回は就学支援金について、県単補助金の廃止ということに、検討結果は今ご答弁申し上げた通りでございます。低所得者世帯について厚くする国の制度、こういうことが設けられたことを背景に廃止をしたものでございますけれども、今、委員ご指摘のいろんな状況も把握しながら、また国や他県の動向も勘案しつつ、検討は続けてまいりたいというふうに考えております。
【千葉私学情報公開課長】
ただいま、経常費の助成額がどうなっているかどうかということに対して、答弁もれがありましたので、たいへん失礼しました。答弁させていただきます。生徒一人あたりの経常費助成額についてでございますけれども、平成25年度における国の交付税措置等により生徒一人あたり31万3229円に、県単、かさ上げ分2万2703円を加えますと、総額で33万5932円となっておりまして、これは前年度と比較しまして、3560円、1.07%の増となってございます。たいへん失礼いたしました。
【高田委員】
いずれ私学に対する支援というのは岩手は全国的に遅れている分野でありますから、ぜひ全国の状況をね、よくしっかりつかんで対応していただきたいと思います。
・原発の賠償問題について
【高田委員】
最後に原発の賠償問題について、先ほどの議論もありましたけれども、お聞きしたいと思います。現在の賠償請求の請求額と実際の支払状況、どうなっているのか。未払いの主なものは何か。支払の見通し、これについてお伺いしたいと思います。
【工藤放射線影響対策課長】
損害賠償請求額と支払状況については、県はこれまで6次にわたり県が平成25年度までに対策に要した費用78億2千万円余について賠償請求を行っておりまして、うち平成23年度、24年度分の請求額47億4千万円余のうち41億1千万円余について、直接交渉により支払をうけております。
次に残りの未払いのもの、約6億3千万円余についてでございますが、東京電力は政府指示等によらず自治体の判断で実施した放射線対策用務に対して要した経費などについて、一方的に必要性、合理性がないとして応じておりません。たとえば風評被害の払しょくを目的とした広報経費や汚染された農林業系副産物の焼却処理費用など、それから平成24年1月以降の空間放射線量の測定などでございます。また職員人件費につきましても、東京電力が認める業務にかかる超過勤務手当分のみを認め、それ以外については支払に応じておらず、こうした経費が未払いとなってございます。この未払いの経費につきましては、東京電力の直接交渉によっては支払の見通しがたたないというふうに考えられたところでございまして、そのため本年4月、原子力損害賠償紛争解決センターに対して、和解仲介の申し立てを行ったところでございます。
【高田委員】
わかりました。ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)の和解申し立てについてもお聞きしたいと思います。特に人件費が26.5%になっているということで、非常に残念な中身になっていますけれども、これは23年、24年の和解案ですから、これは25年以降にもこんな和解案にどういう対応をするかによって影響がでてくると私は思うんですね。今回残業代は和解案として認められたけれども、通常の業務の内容については認められないと。これは少し、相当因果関係があると、賠償についての相当因果関係があるということを認めておきながら、時間内の人件費が認められないというのは少しおかしいのではないかなっていうふうに私は思います。
この点について県は十分な説明を継続していくっていうことを述べていますけれども、これからどういう視点でね、強く求めていくのかっていうことがひとつ。それからもう一つは、今まで産直の賠償なんかについてはですね、かかります経費については賠償の対象にならなかったと。家に持ち帰って事務作業をしていたっていうことなんですけれども、今回の和解案の中身を見るとそういったものも賠償の対象になるのではないかなと私は思うんですが、この点についても答弁をいただいて、私の質問を終ります。
【工藤放射線影響対策課長】
人件費にかかる和解案骨子についてでございますけれども、県としましては放射線影響対策業務に従事したすべての人件費について損害賠償を請求・主張しているところでございますが、原子力損害賠償紛争解決センターからは判例に照らして就業時間内に行われた放射線影響対策業務のすべてを損害と認めることは困難であるというふうに説明をしております。一方で同センターでは就業時間内に放射線影響対策業務に従事したことによって通常業務を就業時間外に行わざるをえなくなるということは経験則上認められるということで、同センターの算定の考え方によって県の主張をうけまして一定程度認めたというような説明をしてございます。そういう状況ではございますが、正式な和解案においては、和解案骨子において認めていない部分についても賠償を認めるように先日すでに同センターに対して改めて県としての主張を改めて申し入れたところでございます。
それから産直のかかわりまし経費についてのご質問をいただきましたが、これについての具体的な検討というのはいまのところはしてございませんが、いずれにしましても東京電力に対しましては、県はじめ行政、それから民間事業者、すべてが被った損害について実態に即して賠償するように強く求めているところでございますし、東京電力としても直接交渉の場では相当因果関係と認める必要はあるけれども、そういった方向で対応したいというふうに回答を得ているところでございます。引き続きそういう姿勢で交渉を続けて参りたいと思っております。