2014年10月16日 決算特別委員会
復興局に対する質疑(大要)
・被災者の状況について
【斉藤委員】
9月末の状況が出ているようなので、応急仮設、みなし仮設、その他入居状況と率、ピーク時との比較はどうなっているか。応急仮設の目的外使用の状況も合わせて。
【参事】
9月末で、応急仮設住宅には全体の47.8%の23621人、みなし仮設住宅には13.4%にあたる6621人、県内の自宅や親類宅等には32.8%の16236人、県外には3.5%の1714人、災害公営住宅には2.5%の1221人、計49413人となっている。ピーク時と比較すると、応急仮設住宅およびみなし仮設住宅の入居者数の合計が30242人で、もっとも入居者数の多かった23年10月43738人と比較し13496人・30.9%減少している。
応急仮設住宅の目的外使用は、9月末現在で117件となっている。
【斉藤委員】
応急仮設住宅だけで見るとピーク時とどうなるか。
被災者生活支援金、加算支援金の状況と県の100万円補助の実績はどうなっているか。
【参事】
応急仮設住宅に入居されている方の数字では、9月末現在で23621人、ピーク時は23年10月の31728人で、8000人余減少している。
被災者生活再建支援金については、9月末現在で基礎支援金受給件数23192件の37.5%にあたる8686件が加算支援金を受給している。
県と市町村が共同で行っている被災者住宅再建支援事業費補助については、9月末現在で3928件の申請を受け付けている。
【斉藤委員】
災害公営住宅に627戸、1221人が入居しているが、コミュニティの確立、自治会の確立とこれに対する支援策はどうなっているか。
【参事】
すでに入居が始まっている県内の災害公営住宅30ヶ所のうち、8月末でみると、自治会が組織されているのは26ヶ所・86.7%となっている。そのうち地域の自治会に組み込む形で21ヶ所が組織されている。
町内会や自治会などの地域コミュニティづくりについては、その地域で暮らす方々が自助から共助へ進む過程で自発的な取り組みを基本とし、まず基礎的自治体である市町村がその地域に入り、コミュニティづくりを支援することがまず必要だろうと考えている。
災害公営住宅については、住民相互の交流を促すために集会所等を整備するとともに、入居の募集に際してグループ募集など、地域ごとのコミュニティの維持に配慮した形で募集も進めている。市町村で手が足りない分等については、県としてのコミュニティの維持、新たなコミュニティの形成に向け人的アドバイザーの派遣だとか、自治会が活用可能な財政支援制度の紹介等の形で支援を進めていく。
【斉藤委員】
災害公営住宅に入ると、また新しいコミュニティをつくると。3年かけてつくって、また新たにということになるので、よくフォローしていただきたい。阪神淡路大震災のときも、3年後から孤独死が発生するということで転換点にあるので、環境が良くなる一方で人間関係が断ち切れてしまう。
被災地から、災害援護資金の貸付が厳しくなっているのではないかという声を聞いていたが、この間災害援護資金の活用状況の推移はどうなっているか。
【参事】
貸付の実績件数は、平成23年度が444件、24年度219件、25年度199件、計862件の貸付がなされている。今年度については、9月末現在で39件、計901件となっている。
【斉藤委員】
今年度の活用が急激に落ちているが、何か予算上、もしくは審査上厳しくなっているということはないか。
【参事】
予算上の制約については、必要な額を当初予算で確保しているつもりである。
貸付を厳しくしているという声については、特に市町村からやり方を改めたとかそういうことは聞いていない。
【斉藤委員】
これは保証人を付ければ無利子、付けなければ有利子ということで、自治体は保証人を付けるようにきつく指導するので、そこで諦めるということがあるようなので、保証人を付けない場合でも活用できるので、ぜひ積極的な活用を進めていただきたい。
・住宅ローン解消の取り組みについて
【斉藤委員】
いよいよ自立再建が本格化するが、すでに被災ローン、失った住宅ローンを返し続けている方々は少なくないと思う。住宅ローン解消の昨年度の相談件数と実績、本年9月末までの相談件数と実績はどうなっているか。
【参事】
昨年度の相談受付件数については、県別の数値が公表されておらず、全国ベースで申し上げると、昨年度の相談については全国で1060件。うち債務整理成立件数は、全国で584件、本県では159件となっている。
今年度分では9月末現在で、全国で331件、うち債務整理成立件数は223件、本件では63件となっている。
【斉藤委員】
そうすると、昨年が159件で今年は63件、計222件。債務整理成立の見通しが立ったものを含めると350件ぐらいになるのではないか。
【参事】
昨年度の実績227件と申し上げた。それに23年度24年度の成立件数68件を合わせ、9月26日現在で250件の債務整理が成立している。
【斉藤委員】
聞いたのは、債務整理の見通しが立ったというのもある。
【参事】
累計の数字で申し上げると、債務整理申し出件数が56件、それに債務整理が成立した件数290件合わせ346件となる。
【斉藤委員】
そうすると、相談件数が1000件ほど、34%ぐらいしか債務整理の見通しが立っていない。3分の2が排除されている。審査が厳しいのではないかと思う。この実態をよく掴んでいただきたい。なぜこれだけ排除されるのか、それが妥当なのか、それは把握しているか。
【参事】
弁護士会等と定期的に意見交換等をしており、それが伸びない理由はやはり一定額の収入があるということ、資産があるということなどにより返済が可能ではないかと判断されるケースがあると聞いている。また震災前からのローンの滞納があるということで制度利用の対象外だとされるケースがあると聞いている。
【斉藤委員】
申請した3分の2が排除されていることについては、やはり制度として機能していないと言わざるを得ない。収入基準がガイドラインでは730万円と言われている。夫婦で共稼ぎしている現役世代というのはここに引っかかる可能性もある。例えば2000万円の被災ローンを抱えて、さらに2000万円の家を建てるとなったら、これから復興の中心になるべき働き手がこの対象にならなかったら、結局は被災地で家が建てられなくなってしまう。ここをよく分析し、せめて半分以上は活用できるような制度に改善を強く求めるべきだと。これは弁護士会とも協力してやっていただきたい。
今後の問題として、昨年の12月に金融庁・東北財務局が立ち入った通知を出した。すべての金融機関に、二重ローンが発生する際に、ガイドラインの活用をきちんと説明せよと。ところが最近の相談件数は少ないと思う。被災ローンを返していれば条件変更で決着済となってしまっているのではないか。東北財務局の通知は違うので、いま返済している方々にもきちんと、二重ローンが発生する場合にはこのガイドラインの活用を徹底せよということなので。改めて聞くが、きちんと金融機関とも連携しやっているか。
【参事】
金融庁・東北財務局からの通知を受け、各金融機関においても、個人版私的整理ガイドラインのお知らせというものを作成し、各債務者にお知らせしていると聞いている。
【斉藤委員】
聞いているという程度ではいけない。実際相談件数が増えていないし、これからが本番である。これから仮設住宅にいる方々が高台移転や区画整理で家を建てていく。今まで家を建てている人は、資金にも土地にも一定の見通しがあった人である。これから家を建てる人が一番大変である。そういう意味で、金融機関から聞いているという程度ではなく、本当に通知通り徹底しているのか。数が伸びないのはなぜかということで、せっかく立派な通知が出ているのだから、本当にガイドラインが活用されるように金融機関と連携してやるべきではないか。
【復興局長】
被災者の方々の自力再建は重要な課題だと思っている。金融機関や弁護士会、盛岡財務事務所等とも連携しながら周知徹底していただくよう努めていきたい。
・高台移転・区画整理事業など面的整備事業について
【斉藤委員】
大槌町の被災者と懇談したときにこういう要望が出された。80代の方で、「高台移転の対象になっているが、造成されるまで亡くなってしまうかもしれない」と。そうした場合に移転の権利がなくなってしまうと。高台移転の造成が延びた場合、防集の対象になっている人はその権利が継続されるようにやるべきではないか。大槌町役場でこの話をしたら、仮の申請を早く受け付けるようにしてそれが生かされるようにしたいということだったが、復興というのは時間との勝負なので、実態をよく把握しそういう改善を図るべきではないか。
高台移転にしても区画整理にしても、対象の地域住民がどういう街をみんなで一緒につくっていくのか。被災者が主体となって、まちづくりに参画していくということが大事ではないか。ただ待っているだけでなく。この点での県の対応はどうなっているか。
【まちづくり再生課総括課長】
住まいの再建等を含めたまちづくりについて、住民の方の意向を十分把握した上で、そしてそれに沿った形で住まいの再建等を果たしていけるよう、県としても市町村と一緒にやっていきたい。まちづくりに向けた住民の参加については、東日本大震災からの復興の取り組みにあたって、県・市町村ともに計画づくりの段階から住民の参加に配慮させていただいた。特に、区画整理事業や防集など面整備事業においては、被災者の生活再建に直接関わり将来の街の姿を形づくるものであることから、市町村ではまちづくり検討会への住民の参画、住民全員を対象とする意見交換会などにより意向確認を行い、住民の方々の合意形成を図りながら事業を進めてきていると思っている。
今後、復興まちづくりを進める上で、住民の方が安心して住み続けられる、また魅力ある街とするためには、住民自らが行うまちづくり活動を行政が支援することが重要であると考えている。
県では、地域のまちづくり協議会等へ専門家を派遣する復興まちづくり活動等支援制度やワークショップなどの開催により、市町村とともに住民のみなさんのまちづくりの積極的な参加をうながす、環境づくりをさらに進めていきたいと考えている。
・復興財源の確保について
【斉藤委員】
大震災津波による被害総額と必要な復興財源はどうなるか。これが平成27年度にどこまでいくのか。先日の答弁では平成28年度以降1兆7000億円かかるという話もあったが、この確保の状況はどうなっているか。
私も政府交渉をしてきたが、「必要な事業には予算をつける」という言い方だった。結局必要な事業には予算をつけるということは、選別するということである。また岩手県の対応を見ると、地元負担が出てきたら大変だという声も聞いているが、皆さんが実際に国に要望して、28年度以降の財源確保についてどういう見通しを現段階でもっているか。懸念する課題は何か。
【復興推進課総括課長】
大震災津波による被害総額は、23年4月に日本政策投資銀行が4兆2760億円、これを本県の資本ストック被害推計額ということで公表している。
今後の復興財源の確保に向けて、国・市町村も含めた本県の復興事業費の再試算を本年6月に行い、復興事業費総額を約5兆7000億円と見込んでいる。
復興財源の確保状況は、25年度までの第1期における復興事業費は約2兆2000億円となっているが、復興交付金あるいは震災復興特別交付税などの国の特例的な財政支援措置を受け、地方負担を抑えつつ、復旧復興事業を実施できているものと考えている。
28年度以降における国の復興財源の見通しは、これまでの要望にたいし国からは、真に必要な事業については28年度以降も実施する必要があるとの回答を得ているが、一方で今後の状況によっては復興事業に要する地元負担の増加も懸念されることから、復興交付金や震災復興特別交付税などの特例的な財政措置について、これまでと同様の措置の継続を求めるとともに、それらの方針を早期に示すよう引き続き強く要望していきたい。
【斉藤委員】
本当に復興財源なしには復興は一歩も進まないので、今の安倍政権は本当に無責任だと。 東日本大震災津波の復興に真剣に取り組んでいるのかと。そういう点で自民党の方々にも頑張っていただきたい。県も被災三県力を合わせて、これは国政の最優先課題なので、必要な財源確保に全力で取り組んでいただきたい。