2014年10月16日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・県警への全国からの応援の状況とその活動について
【斉藤委員】
復興に関わって、全国から県警に70人緊急動員があったということだが、全国からの応援の状況とその活動について、来年度の見通しはどうか。
【警務部長】
発災後、被災地の復旧・復興過程における治安事象の変化等に対応するため、本県警察官の緊急増員については、今年度は50人の増員を継続措置されており、うち10の県警から30人の特別出向者を受け入れている。
特別出向者を含めた緊急増員にかかる警察官は、主に被災地域を中心としたパトロール活動、仮設住宅を中心とした巡回連絡、行方不明者の集中捜索、さらには各種事件・事故の初動捜査活動に従事している。
来年度の見通しは、30人の緊急増員が予定されているが、うち本県採用警察官を除く他の都道府県警からの特別出向者の数は現在警察庁と調整中である。
・警察職員の超過勤務と超過勤務手当の支給の状況について
【斉藤委員】
警察職員の超過勤務と超過勤務手当の支給の状況について、一人当たりで示していただきたい。
【警務部長】
昨年度の数字で、全職員の年間超過勤務時間総数が59万8455時間、これを職員一人当たりにすると年間平均で約266.4時間、月平均で約22.2時間になる。
超過勤務手当については、全職員への手当総額が12億6848万円余、支給時間数で47万4184時間、一人当たりでは約56万円余、年間平均支給時間数が約211.1時間、月平均で約17.6時間である。
【斉藤委員】
毎回この問題を取り上げてきたが、この5年間、超過勤務手当の支給状況・率はどう推移しているか。
【警務部長】
職員一人当たり月平均に換算した数字で、超過勤務数は21年度は約27.6時間、22年度約33.8時間、23年度約35.5時間、24年度約25.8時間、25年度約22.2時間となっている。
支給時間数は、21年度約16.2時間、22年度約19.8時間、23年度約25.6時間、24年度約19.6時間、25年度約17.6時間となっている。
超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は、21年度約58%、22年度約59%、23年度約72%、24年度約76%、25年度約79%となっている。
【斉藤委員】
私が取り上げてきた成果はあったと。県警本部は、超過勤務数はしっかり明らかにして手当を改善されてきたことは評価したい。しかし、不払い労働はサービス残業で本来あってはならないことなので、引き続き改善に取り組んでいただきたい。
・捜査報償費の状況と推移について
【斉藤委員】
裏金の最大の財源になっているが、捜査報償費の執行額の5年間の推移を示していただきたい。
【警務部長】
決算ベースの数字で、21年度1907万1千円、22年度1712万8千円、23年度1499万円、24年度1234万1千円、25年度1149万円の執行となっている。
【斉藤委員】
確実に減っている。半分強ぐらいに減っている。確実に減ってきた理由は何なのか。本来必要でなかったものに使われていたのではないか。
昨年度の決算額で唯一大幅に増えたのが北上署で108万円も増えているが、なぜこれだけ増えたのか。
【警務部長】
捜査報償費の執行については、事件の規模・性質・形態・捜査の期間などさまざまな要因により執行金額が異なるものであり、事件の数等により執行金額の多寡が決まるものではない。増減理由については、一概に申し上げることはできない。
北上署の執行額の増加理由だが、これについても、事件の規模・性質・形態・捜査の期間等のさまざまな要因によるものだが、そういった事件捜査を行った結果である。
【斉藤委員】
北上署で実は巡査が行方不明事件となった。9月23日に自殺の置き手紙を残して行方不明になった。これは事実ですね。そして置き手紙があったとすれば、何の理由で行方不明になったのか。
【参事官兼首席監察監】
職員が9月23日に所在不明になった事実はある。10月2日に無事発見になっている。具体的な内容については、個人のプライバシーに関することなので答弁は控えたい。
【斉藤委員】
捜査報償費が増えたことと関連があるのではないか。裏金作成を苦にして置き手紙を残していなくなったのではないか。死に切れないで見つかったと。置き手紙の中身は把握しているか。
【参事官兼首席観察監】
置き手紙についてだが、詳しい部分については個人のプライバシーであるので差し控えるが、捜査費との関連はないということでお話させていただきたい。
【斉藤委員】
現職の警察官が置き手紙を置いて自殺をほのめかして行方不明になるのは異常なことである。幸い見つかったから良かったが、それなりの理由があるわけなので、プライバシーはプライバシーとして、警察に関わる問題だったら大変である。裏金作成に関わる問題がなかったかしっかり調べていただきたい。
・昨年度の不祥事の実態と県警の対応・対策について
【斉藤委員】
昨年度は残念ながら10件の懲戒処分・不祥事があり、全国1位という不名誉なことになった。昨年の不祥事の実態、その後の対応はどうだったのか。最近の不祥事事案はどうなのか。
【参事官兼首席観察監】
25年中の懲戒処分者数は10人を数えている。県民の信頼を大きく損ねたところであり、誠に遺憾である。不祥事の要因については、法令順守の模範となるべき立場の警察職員としての職務倫理意識、自覚の欠如、幹部による身上監督・指導が十分ではなかったということが背景にあると考えている。このような事案の背景を踏まえ、再発防止対策としては、業務管理および人事管理の徹底や、職員の自覚を促す工夫等を推進するため、警察署長会議等における再発防止に関する協議、また再発防止のための職員個々の資質向上と自覚の醸成および士気の高揚等を内容とする警察本部長の通達や、監察供与資料の発出をしている。また非違事案の発生しやすい業務・業域に重点を置いた相互観察の実施など、それぞれの対策に現在努めている。今後も、県民の安全安心の確保のため、本来業務に邁進し、県民の信頼回復に努めていく。
【斉藤委員】
去年は10件、今年は2件と聞いているが、1月10日に酒気帯び運転・物損事故で免職と。今年もそういう不祥事が起きている。
奥州市のストーカー事件について。この容疑者に前科があったのではないか。
【生活安全部長】
個人のプライバシー・身上に関係するものであるので答弁は差し控えたい。
【斉藤委員】
これはきわめて重大なことである。もし強姦致死傷とか強姦目的の住居侵入があったとしたら、この相談は重大な事案だった。9月14日付の岩手日報に、この事件に関わる記事が出ているが、「交際同居中に暴力はあっただろうか。危険な奴で何をするか分からないなどの危険性・緊急性を察知できる前提事実があれば、ストーカー問題に限りなく近づく。被害者がその相談をしていたのなら、警察の対応は甘いということになる」との弁護士の意見である。もし前科があるのだったら、もっと真剣な対応をしなければいけなかったのではないか。
【生活安全部長】
身上関係については、個人のプライバシーに関するので答弁は差し控えたい。
危険性の察知についてだが、リストカットの画像は今回は消去されていたものだが、画像がどのような意図で送信されたものか判然としなかったところである。また、彼女は警察の指導・警告に従う旨、返答したことは、遠隔地にいることなどから差し迫った危険性がないとして対応したものである。
【斉藤委員】
わたしの指摘をきちんと受け止めていただきたい。対応が適切だったかと聞いている。
盛岡女性センターのアドバイザーはこう言っている。「手首を切った写真は脅迫だ。別れたら死ぬと脅すケースはよくある」と。あなた方はプロなので、手首を切った写真というのはある意味でいけば脅迫・無理心中という中身だと専門家はいっている。そして相談されたときに、その場で電話をかけたと。それで済む話ではない。逆上して行動を起こすことがあるわけだから。そういう点でいけば、本当に1つ1つ、警察に相談に行くということはよっぽどのことである。命の危険を感じて相談している。そういう点での対応に不十分さがあったのではないか。
【生活安全部長】
客観的な事実が確認できていなかったほか、画像がどのような意図で送信されたものか判然としなかったことということで、ストーカー規制法の前提要件となる恋愛感情等についても、「貸した本を返せ」「買い換えたテレビの費用を返せ」などの相談内容からは、恋愛感情その他の好悪の感情またはそれを満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的を判断できず、相談時においてはストーカー規正法の要件を充足していないと判断したところである。
なお、今回の結果を踏まえ、今後とも事案の危険性・切迫性を的確に見極め、認知の段階からその経過をしっかり確認しながら、加害行為の防止、関係機関と連携した被害者の安全確保を最優先に考え、常に最悪の事態を想定し被害者の保護対策を徹底していきたい。
【斉藤委員】
昨年2月に、県警本部職員の首つり事件があった。これはパワハラではないのかという指摘があるが、この事件はどう対応しているか。
【参事官兼首席観察監】
自殺の背景の中にパワハラがあるのではないかということだが、この点については調査を尽くして、そういうことはないということで、調査を尽くしているということである。
【斉藤委員】
本部の中でこういうことが起きるのは異常なことだと思う。
もう1つ指摘したいのは、盛岡東署の女性職員が最近辞職し、運転免許センターの女性職員が休職中だと。セクハラがあったのではないか。
【参事官兼首席観察監】
東署の職員だが、この方は辞職しており、ただ「一身上の都合」であり、セクハラではない。
【斉藤委員】
女性初の本部長にお聞きしたい。あなたが本部長のときに警察本部の中でセクハラがあったということは大変だと思う。ぜひ本部長自身の目でしっかり確かめて、セクハラのないようにやっていただきたい。
【警察本部長】
ご指摘のあった東署の女性職員については、セクハラ等の事実はなかったということを確認している。
一般論として、組織の中でセクハラやパワハラ等があるのは適切な組織とはいえないので、きちんとした組織運営をしていくためにもハラスメントがないような組織づくりに努めていきたい。
・山田町のNPO問題について
【斉藤委員】
大雪りばぁねっと。について、いま捜査があって裁判もされている。捜査は終結したのか。これからも続くのか。
大雪りばぁねっと。から酒食のもてなしを受けたような警察官はいなかったか。
【刑事部長】
大雪りばぁねっと。の関係については、現在鋭意捜査中である。新聞等で今後の捜査についてもいろいろ報道されているところだが、今後の捜査の見込みについては、具体的な答弁は差し控えたい。
警察官が大雪りばぁねっと。の関係者から飲食等の接待を受けた事実は把握されていない。