2014年10月17日 決算特別委員会
高田一郎県議の保健福祉部に対する質疑(大要)


・福祉灯油について

【高田委員】
 前年度の福祉灯油の実績はどうなっているか。それから内陸で避難生活している被災者にはどれだけ利用されたのでしょうか。

【千田地域福祉課総括課長】
 まず昨年度の福祉灯油の県補助事業の実績でございますが、沿岸12市町村において、被災地福祉灯油を実施しまして、助成世帯数は1万7158世帯、県の補助額は4289万1千円となってございます。なお、内陸への避難世帯についても福祉灯油の対象となる要件を満たし、かつ市町村が助成する場合には、県補助の対象としてございます。市町村に昨年度の取り扱いを伺ったところ、沿岸12市町村のうち、8市町村が住民票を移さずに内陸部に避難している世帯についても助成対象としたとのことですが、この市町村では、内陸避難世帯の申請状況を確認していないので、その助成件数の実績は把握していないと聞いてございます。

【高田委員】
 被災地福祉灯油については、3年ですか、4年ですか、連続実施したということは、たいへんいいことだと思いますが、ただ内陸に避難生活をしている方々に対する支援というのは十分にやられなかったということで、非常に課題を残したというふf思うんですね。それで25年度の福祉灯油の教訓を生かして、今後取り組む必要があると思いますけれども、福祉灯油について新年度9月30日に行われました意向調査でも、県が支援をすればね、実施したいというのが圧倒的多数でありますし、またこの間県議会での福祉灯油の実施というのの採択をうけましてね、いよいよ実施できない理由っていうのはね、ないのではないかっていうふうに私思うんですけれども、いかがでしょうか。

【千田地域福祉課総括課長】
 委員お話の今年度の9月末時点の調査によりますと、これは「国および県の動向にかかわらず実施を検討中」が4町村で、「今後実施の要否を検討する予定」と回答したのが29市町村となっており、このうち「県の支援があれば検討する予定」これが13市町村、全体の約4割となっているっていう状況でございます。そういうことで、9月末時点ではほとんどの市町村が福祉灯油を実施するかどうかの検討は、これから行うと伺ってございます。先に採択されました請願もふまえまして、灯油価格の推移や国による支援の動向を注視し、実施主体である市町村の意向をさらに確認しながら、県の補助の必要性を検討してまいりたいと考えております。

【高田委員】
 まあ、灯油価格の推移を検討して対応したいということですけれども、もう10年前の2倍を超える価格になっているというのが動かしがたい事実でありますし、それから市町村の意向についてもですね、9月30日の地域福祉課が行った意向調査においても、被災地福祉灯油についても、内陸の自治体のですね、ぜひやりたいというのが圧倒的多数なんですよ。だからこれまでの、25年度まで行ってきた被災地福祉灯油というのは、沿岸自治体が実施すれば、内陸部に住んでいても支援しましょうという、そういうスキームなんですよね。だから実際は住所が移ってしまった方々については対象にならないということです。この意向調査から見れば内陸の自治体もぜひやりたいというのがほとんどの自治体ですから、私は、市町村が実施主体になれば支援できるってそういうスキームにすればですね、私は矛盾なく対応できるっていうふうに思うんです。私はそういうふうにすべきだと思いますし、やっぱりどうせやるんであれば早く決断するということが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

【千田地域福祉課総括課長】
 9月末で、10日で意向調査した結果は、先ほども申し上げましたが、福祉灯油の実施主体である市町村、「今後実施の要否を検討していく」というところがほとんどでございます。そういうことから先ほども申し上げましたが、灯油価格の動向を注視し、さらに市町村の支援有無、意向等を確認しながら、実施の要否について検討していきたいと考えてございます。

【高田委員】
 県議会の全会一致の請願採択を重く受けとめて、早い時期にぜひ決断していただきたい。
 
 
・介護保険制度について

【高田委員】
 次に介護保険制度について伺います。
 まず介護職員の人材確保については、先ほど神崎委員からも質問がありましたので、同じような質問はいたしません。それで、かなり議論を聞いていますと、人材不足っていうのはたいへん深刻でね、施設整備をしてもなかなか人材が確保できなくて整備ができないというね、そして離職率も激しいと。本当に力を入れてとりくまなければ大変なものだと思います。
 お伺いしたいんですが、先ほど斉藤参事はですね、イメージアップを図っていかなければならないと述べましたけれども、やはりこの人材確保の最大の問題はですね、やはり人件費だと思うんですよ。やっぱり熱意をもってそういう職場で働いてもですね、結局出産、介護、低賃金で、やめざるをえないと、ここを解決しなければ問題は解決しないと。全労働者の7割以下になっているこの労働条件を改善しなければ、根本的な解決にならないと思います。
 そこで、今、財務省のなかで議論されているのは介護報酬改定率を6%削減すると、そういう議論がされていますよね。それで、社会福祉法人には内部留保があるから報酬を削ってもいいんだという、とんでもない議論が財務省の中でやられています。先ほど斉藤参事がお話した厚生労働省の中で設置されている福祉介護対策検討会、先ほど紹介ありました。この報告書を見てみましたが、この報告書を見ても根本にある人材確保に欠かせない賃金をあげるという視点がまったく欠落しているんですね。やっぱりこんなことが、国の省庁の中で議論されていたら、この介護人材確保についての根本的解決できないと思うんですよ。私はここをただして、賃金水準をあげるっていうそういう方向で、国に向かって強く要求していくべきだと私は思いますけれども、これいかがでしょうか。

【斉藤参事】
 委員今ご指摘、お話しがあったような人件費を含む介護報酬についての議論が今、国のレベルで行っているところでございまして、これらの最終的な決着というのは12月の国の予算のとりまとめまで、様々な議論が続くのであろうというふうに承知しているところでございます。(  )この間の議論または各関係団体などの今後報酬をめぐって様々な意見の表明をされていくであろうと思いますので、それらの動向なども注視をしてまいりたいというふうに考えております。

【高田委員】
 動向注視ではなくて、今、国でやられている議論というのは、介護報酬を下げると、人材確保にとって一番大切な賃金をあげるという議論がまったくなされていないので、そこはきちっと国に対して要望していただきたいということでありますので、その点も含めてよろしくお願いしたいと思います。
 次に特養ホームの入所要件の原則が要介護3以上になったということであります。一般質問でも申し上げましたけれども、26年3月末の早期入所必要な待機者は1321人、これに対して要介護1、2が2割になっていると。この方はもう入所できないということになるわけですけれども、これはいったい、こういう人たちはどうなっていくのでしょうか。

【斉藤参事】
 特別養護老人ホームの要介護1、2の方の入所要件についてでございますけれども、国が示します特別養護老人ホームの特例入所にかかる国の指針、これはまだ骨子案ではございますが、この指針では、要介護1および2の方であっても、認知症等で常時の見守り介護が必要などのやむをえない事情により施設以外での生活が著しく困難であると認められた場合には、一定の手続きを経て、特例入所が認められることとなっております。実はこの特例入所の要件につきましては、現在特別養護老人ホーム等で構成する岩手県社会福祉協議会高齢者福祉協議会において国の指針にもとづきまして、検討しているところでございます。

【高田委員】
 やむをえない場合についてはね、基準を設けて入所ができるというお話でありましたけれども、今検討されているのは知的障害などで生活できない、そういう待機者、あるいは家族の虐待、認知症高齢者でやむをえず日常的な見守りがたいへんな高齢者ということで、3つわけるんですよね。これはですね、この通りになってしまえば圧倒的多くの方々が入所できないと、いうふうになってしまうと思うんですね。私はこういった、今検討中っていうお話ありましたけれども、入所対象を広げていかないとですね、居住問題とか介護力がなくてとても限界だっていうそういう方々が要介護1、2でもたくさんあるわけですから、そういう対象を広げる方向で国に強く求めていってほしいなと思います。
 それで介護保険問題の最後に、地域支援事業でありますけれども、これも来年度から市町村事業として移行されるわけですけれども、一般質問の本会議の答弁では、2つの自治体が今移行を考えているという話で、多くの自治体がまだ定まっていないっていう、こういう状況です。これはどこに原因があるのかということをお聞きしたいと思いますし、私は在宅サービス、通所介護っていうのは、要介護にならない介護予防であって、要支援者こそ丁寧なケアが必要だと思うんですよ。地域支援事業に移行しても絶対に今のサービスを後退させてはならないという立場で、県も支援していくべきだと私は思うんです。その辺についての考え方についてお伺いしたいと思います。

【斉藤参事】
 まずあの、多くの市町村において現在、その移行の時期について検討している背景ということでございますけれども、この制度について、様々な国からのガイドラインも示されておりますが、ただそれなりについての報酬の問題でありますとか、さまざま見えない部分がございまして、そういうところもあって、各市町村とも今のところ、検討を続けているという状況であろうかというふうに思ってございます。
 また、要支援者の訪問介護と通所介護が地域支援事業に移行したのちにも、介護保険制度によりこれまで同様に地域包括センターがケアマネージングを実施する仕組みとなっておりまして、利用者の意向や心身の状況等をふまえ、専門的なサービスを必要とする方には、訪問による身体介護や生活援助、通所による機能訓練などのサービス提供につなげることとされております。このような専門的なサービスに加え、例えば訪問介護では、NPOや民間事業者による生活支援、住民ボランティアによるごみ出しなどの多様なサービスの提供も可能としているところでございまして、県といたしましては、市町村事業である地域支援事業への移行後も要支援者の方が必要とするサービスがうけられますよう市町村等に対して先進事例などの情報提供や担い手育成等を行う人材の確保などにより市町村等の円滑な移行にむけた支援に引き続きつとめてまいりたいと考えております。

【高田委員】
 これまでと同じようなサービス提供ができるように引き続き市町村に対して支援していきたいということで、それでいいと思うんですけど、ただ国が検討しているのは介護報酬っていうんですか、報酬っていっていいんですか、公定価格っていうんですか。これをさらに削減するって方向ですから、かなり大変なことになると思うんですね。ですからそういったこと、また公定価格がまだ示されていませんけれども、ぜひ後退にならないようにね、そういう立場で支援をしていただきたいと思います。


・小児救急医療体制の充実について

【高田委員】
 最後に、小児救急医療体制を充実させる立場から質問したいと思いますが、今の現在の県立病院における救急患者の推移とそして小児救急患者の推移についてどうなっているのか、県内の夜間小児救急医療の実施状況、これについて伺います。

【高橋地域医療推進課長】
 まず県立病院における救急患者の推移についてでございますが、医療局によりますと、平成21年度には約15万4千人でございましたけれども、年々減少する傾向にございまして、平成25年度には約14万3千人となっているところでございます。このうち、小児科緊急患者につきましては、平成21年度の約3万4千人が平成25年度には約2万4千人と減少したところでございます。
 次に夜間の小児救急医療の実施状況についてでございますが、盛岡保健医療圏におきましては、小児救急医療体制の整いました5病院が輪番制の方式により救急患者の受け入れ体制を整備しておりますが、その他の二次保健医療圏におきましては、小児科医が不足している状況もありますことから、通常の救急医療体制の中で小児の患者を受け入れておりまして、県立病院をはじめとする地域の中核的な14病院で、オンコール体制等により夜間における小児救急患者に対応している状況でございます。

【高田委員】
 今お話がありましたように、県立病院における小児医療救急患者はですね、年々減ってきているっていうね、そういう数字になっています。これはやっぱり市町村とか医師会なんか中心に行っているね、夜間小児救急医療のとりくみも反映しているのかなというふうに思います。
 ただ私がここで質問したいのはですね、先日県立磐井病院におじゃましたときにですね、院長先生自身が花泉診療センターの所長も兼ねながら応援、応援診療じゃないんですね、所長ですから。1週間にいっぺん花泉に行っているとか、当直、夜間救急の体制に組み込まれている。また、県立大東病院の当直もやっているんですよね。私は、そういう話を聞いたときに非常にびっくりしたんです。基幹病院で、こういう状況になっているっていうのは、本当に大変なことだと思うんですね。それで私は、いま多くの自治体でやっている夜間小児救急ですね、だいたい6時から8時までやっているんですよ。これはいろいろ調べてみますと、人数的には数人なんですよね。でも大きな役割を果たしていると思うんです。いろんな先生から聞きますと、やっぱり6時から8時じゃなくて、8時から10時、11時が一番多いっていうんですよ。ですから、市町村とか医師会と協力しながら、独立した夜間の小児救急体制をつくっていけば、県立病院の医師の軽減にも私はつながっていくと思うんですよね。特に東北本線沿いであれば、(委員長「高田一郎委員、簡潔にお願いします」)応援の医師もたくさん来るっていうこともね、そういう条件もあるわけですから、そういう対応を検討して、小児救急医療の充実と医師の過重っていいますか、過酷な勤務条件を軽減するっていう両面からそういう検討をしていくべきじゃないかなと思います。その辺のことをお聞きして終わりたいと思います。

【高橋地域医療推進課長】
 市町村や医師会とも連携して体制の充実を図るべきではないかとそういうことでございます。岩手県の医師会におきましては、県の委託により小児救急医療に関する電話相談を実施しておりまして、小児救急医療患者の保護者の相談に対応しているところでございます。また、盛岡市や奥州市が開設しております夜間診療所に、地域の医師会が医師を派遣するなど、医師会の協力を得ながら運営されているところでございます。一方、市町村におきましては、先ほどお話申し上げました、盛岡保健医療圏における小児救急輪番制の実施に対しまして、財政支援をするなどしているところでございますが、残念ながら他の圏域におきましては、小児科医が不足してございまして、現状では輪番制などのとりくみを行うことは極めて困難な状況にあるというふうに考えております。このため、県といたしましては、本年3月に更新・整備いたしました小児救急医療遠隔支援システムを活用し、県内各地域の中核的な病院の当直医等が岩手医科大学の小児科専門医の助言・指導をうけながら、小児救急患者に対応できる体制を強化したところでございまして、当該システムの利用を促進しながら、夜間の小児救急体制の充実を図っていきたいと考えているところでございます。