2014年10月17日 決算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・昨年度決算の状況について
【斉藤委員】
27億7000万円余の純利益の黒字決算となったが、その具体的要因は何か。今年度の見通しはどうか。
消費税の負担額はどうだったのか。8%の負担増はどうなるのか。消費税の累積負担額も示していただきたい。
【経営管理課総括課長】
黒字決算の要因だが、平成25年度においては、在院日数の短縮や通院回数の減少等により、入院・外来とも患者数が減少したが、入院では上位施設基準の取得などにより患者一日当たりの収益いわゆる診療単価が増加したこと、また外来でもがん化学療法や検査の増などにより診療単価が増加したこと、一方費用においては、材料費や燃料費、委託費などが増加したものの、給料および退職手当の減額や退職給付金等の繰延勘定償却の減少により、費用全体では減少となったということが主な要因であると分析している。
今年度の見通しは、上半期においては、患者数の減少等により収益が若干減少している一方、費用では消費税増税等のため材料費や経費が増加するなど、昨年度に比較すると厳しい状況になっている。
消費税の負担額は、26年度においては、費用で10億2000万円余の負担増加を見込んでいるところである。これまでの消費税負担額の累計は、25年度までで148億円余と試算している。
【斉藤委員】
診療単価の増、一方で給与・退職手当が減額になった、その上での27億円余の黒字だと。これはやはり労働者に還元することを考える必要があると思う。
・医師確保について
【斉藤委員】
昨年度、今年度、医師はどれだけ増員となったか。臨床研修医、後期研修医の確保状況はどうか。
奨学生による医師確保の今後の具体的な見通しはどうか。
【医師支援推進監】
昨年度今年度の医師の増員の状況だが、昨年度4月1日現在の常勤医師数は500名となっており前年同期比で11名の増、今年4月1日現在の常勤医師数は515名で前年度比15名増となっている。
臨床研修医は、平成24年度は103名、25年度112名、26年度113名となっており、後期研修医は24年度は63名、25年度は68名、26年度は57名となっている。
奨学生による医師確保の今後の具体的見通しだが、現在医療局医師奨学金貸付事業による医学生の貸付者は113名となっている。今後の卒業見通しは、今年度末は16名、27年度末21名、28年度末22名、29年度末19名、30年度末19名、31年度末16名となっている。今年度卒業する16名のうち、14名が県立病院、2名が県外の病院で臨床研修を行う予定となっている。臨床研修終了後の具体的な勤務については、本人の意向や大学医局との調整などを踏まえ検討するとともに、今年度新たに設置された専任医師による面談等の実施により、確実な義務履行と県内定着の意識付けが図られるよう努めていく。
【斉藤委員】
確実に医師は増加をしており、これから奨学生がどんどん配置されていく。
一方で、例えば基幹病院でも、大船渡病院は今年の4月で3名減とか、宮古が1名減、久慈が3名減、中部が3名減、基幹病院で減っているのはなぜか。
【医師支援推進監】
常勤医なので後期研修医の上限があり、専門医研修を行う後期研修医、その他の診療科において専門研修ではない後期研修医もいるが、いずれ専門医研修という意味での部分が、沿岸の病院では減っているのが現状である。
【斉藤委員】
いずれにしても、基幹病院でもそういう条件で減ってしまうというのはなかなか全体とすれば厳しい状況だと思う。そうした中で、被災3病院の医師確保はどう取り組むのか。
この間中央病院の望月院長にお会いしてきた。小児救急や一般の救急もそうだが、地域病院へのかなりの支援も行ってきたが、中央病院による地域病院の支援状況はどうなっているか。
【医師支援推進監】
平成26年9月1日現在の常勤医数は、高田病院が内科7名、小児科1名、眼科1名の計9名であり、うち招へい医師が4名。大槌病院は内科のみ4名であり、うち招へい医師が2名。山田病院は内科1名、外科1名、うち招へい医師は1名である。常勤医師数を震災前の23年3月1日現在と比較すると、高田病院が3名、大槌病院が1名それぞれ増加しているが、昨年同期比で医師の退職等によりそれぞれ1名の減となっている。今後の常勤医師の確保については、発災後の時間の経過とともに、全国からの新たな診療支援の申し出が少なくなっていることや、大学から地域病院に対する医師の派遣が厳しいことなどから、大変困難な状況が予想されるが、引き続き関係大学への医師の派遣要請や、平成28年度以降本格化する奨学金養成医師の効果的な配置、即戦力医師の招へい活動等により、医師の絶対数の確保に努めるとともに、圏域の基幹病院や圏域を越えた県立病院との連携や地元医師会との連携を進めながら、必要な診療体制の確保に努めたい。
平成25年度の診療応援件数は、県立の15病院に延べ1140件、市町村の7病院等に延べ771件、平成26年度は9月末時点で、県立の16病院に延べ628件、市町村の6病院等に延べ392件の診療応援を行っている。県立病院の医師の偏在緩和を目的とした医師の1ヶ月以上の長期支援を実施しているが、26年度は磐井病院・釜石病院・千厩病院・二戸病院にたいし内科・麻酔科などの医師の派遣を行っており、年間で延べ18名の派遣となる見込みである。
【斉藤委員】
中央病院はそれなりの医師が配置されているが、望月院長は「あの規模だと200人の医師は必要」だと。少ない医師でこれだけの地域医療への応援をしているというのはきちんと評価していかなくてはいけないと思う。
・看護師確保について
【斉藤委員】
昨年度、今年度の看護師はどれだけ増員となったか。
来年度の看護師確保の見通しはどうか。今年の採用試験の状況はどうか。
【職員課総括課長】
助産師を含む看護職員数だが、養成所の新卒者が看護師免許を取得し、正規採用となる5月1日現在での病院現場における正規看護職員数は25年度3105人、26年度3136人となっており、前年度と比較し31人増となっている。
来年度の見通しは、今年度の職員採用選考試験においては、採用予定人員は看護師助産師合わせて185名として実施したが、採用予定人員を若干上回る194名の応募があり、試験を経て看護師170名、助産師6名を最終合格者として採用内定通知を行った。なお採用内定者が採用予定人員を若干下回っているものの、今年度上半期の普通退職者の実績が見込みを大きく下回る状況で推移していることから、来年度の看護職員確保については、一定の見通しがたったと考えている。しかしながら、今後採用辞退や国家試験不合格者等も見込まれるので、看護師10名、助産師若干名で特別募集を現在実施している。
【斉藤委員】
昨年度の増減は、看護師は正規で23名減、臨時で10名減と。きわめて残念である。今年31人増やしたといっても、昨年減った分と比べてはまだマイナスである。
9日夜勤の状況はどうなっているか。年休取得の状況はどうなっているか。
【職員課総括課長】
9日夜勤だが、平成25年度の状況は13病院で延べ628人。年次有給休暇の取得状況は、平成25年度の一人当たり取得日数は8.1日となっている。
【斉藤委員】
13病院628人が9日夜勤だと。これは深刻な事態である。看護師を減らして9日夜勤が増えたと。そして年休も平均で8.1日だが、中央病院では6.6日である。看護師が一番切実な願いは、子どもの運動会など必要なときに休みをとりたいがとれないと。そういう意味で看護師の確保というのは、今年の募集は185人に対し合格が176人と。募集を10人割っている。本当に看護師確保に全力をあげていかなくてはならない。ワーキンググループをつくってイメージアップということを言っているが、労働条件の改善にもっと本気で取り組まなければいけない。看護学生は何を基準に病院を選ぶかというと、その病院の労働条件である。いま看護学生が病院を選ぶ時代になっていると思う。そういう点では、抜本的に看護師の増員を図って労働条件を改善することが必要だと思うがいかがか。
【職員課総括課長】
今度の新しい経営計画においては、計画的に増員を図ることとしており、そうした中で勤務条件等にも波及してくるものではないかと考えている。
【斉藤委員】
例えば、今年中央病院は5人も減らされた。何度も中央病院の深刻な状況を取り上げているにもかかわらず。この間も中央病院の看護師から話を聞いてきたが、4西、いわゆる小児科病棟とか耳鼻科・整形・眼科、混合病棟だが、いま小児科救急をやっていて、月18日の輪番である。それだけ乳幼児の救急患者が殺到している中で、人工呼吸器(レスピレーター)を付ける乳児が1日で3台もあったと。ここの夜勤体制は4:3である。1人しかつけない。休むこともできずに終わるまでハラハラしながら働いているというのが実態である。そんなときに今年の看護師を5人も減らすやり方でいいのか。そういうところで看護学生は実習している。いま本当に看護師が安心して患者の安全のために働き甲斐のある職場にすることが必要だと思うがいかがか。
【職員課総括課長】
26年5月1日現在での休職者等を含めた正規看護職員数は548人となっており、前年度比8人の減員となっているが、うち産後休暇や育児休業取得者が前年度比17人少なくなっているので、実働人員ベースで見ると9人の増員となっている。
【斉藤委員】
中央病院で育児休業時間とっている、2時間など、そういう方々に夜勤を押し付けている。そしてあまりにも押し付けられるので月2回にしましょうといったら月6日もシフトされたと。あなた方の感覚と看護師の実態はかなりかい離している。育児休業時間をとりながら月6日夜勤させられている。そして中央病院は救急患者や重傷患者が多いから、それだけ入退院も激しく息の抜けない仕事をしている。単なる数だけ見ないで、いまの看護現場で本当に看護師が患者のために働き甲斐をもって働けるように抜本的に改善すべきだと思うがいかがか。
【医療局長】
ご指摘のあった個別の案件については詳しく存じていないが、育児休業者に夜勤をお願いしたというケースについては、想定以上に育児休業をとる方が増え、あるいは育児休業から復帰する予定だった方が延長したり、夜勤免除者が多い中で、どうしてもできる方にはできる範囲でお願いしたいということで、現場ではいろいろ相談しながらやっているものと承知している
いずれ看護師も含めたスタッフの増員については、今回の経営計画の中で増員ということを出しているが、個別に各年度どれだけ増員していくかについては、例えば被災した病院の再建の状況や医療の質の向上に応じて、どの病院で何人増やしていくのか、そこは個別に相談しながら考えていきたい。現場の職員がこれ以上疲弊しないようなことを考えながら取り組んでいるので、引き続きご理解をお願いしたい。