2014年10月20日 決算特別委員会
DIOジャパン潟Rールセンター問題に関する質疑(大要)


・DIO社進出の経過について

【斉藤委員】
 11月24日に県から全市町村に対して、コールセンター設置の情報提供をしたというのは、これは企業誘致の情報ということか。

【企業立地推進課総括課長】
 11月24日の物件照会については、企業立地の方から照会している。

【斉藤委員】
 企業誘致の情報提供だったかと聞いた。

【企業立地推進課総括課長】
 あくまでも、コールセンター設置の情報ということで、企業名を伏してここに記載の業種・規模・物件の大きさといった条件を照会した。

【斉藤委員】
 緊急雇用事業が活用できると市町村に知らせたのはいつか。

【企業立地推進課総括課長】
 県と花巻市と一緒に登米市の創造ステーションに行った12月に、そういった緊急雇用事業も活用できるのではないかということで、制度の紹介をしたところである。

【斉藤委員】
 文書で緊急雇用事業が活用できると知らせたのではないか。いつ行ったのか。

【企業立地推進課総括課長】
 12月27日に訪問した際には、緊急雇用事業を活用できるのではないかということの制度の概要を説明した程度で、文書でやっているものではない。

【斉藤委員】
 緊急雇用事業の対象になると、いつ市町村に知らせたのか。知らせていないのか。

【雇用対策労働室長】
 文書で知らせた事実はない。

【斉藤委員】
 大問題なのは、企業立地をする一方で、緊急雇用事業を使ったということが問題の発端なのである。市町村はいつ緊急雇用事業でコールセンターの人材育成をするという中身を知ったのか。

【企業立地推進課総括課長】
 市町村は、11月24日に企業立地推進課からきた物件の照会に対応するということで、その時点では緊急雇用事業ということについて了知していたものではない。
 23年12月27日に、花巻市と県が宮城県の東北創造ステーションに行った際には、制度のご案内をして、その際にはDIOジャパンでは「登米市のコールセンターもそれを活用させていただきました」というような状況だった。それで、市町村の方に物件を視察した際に、DIO社の方から持ちかけたのではないかと考えているが、いずれ活用についてはDIO社が知っており、物件の視察には立地課の職員も同行し、制度が活用できるのであればというような前提だったと思う。

【斉藤委員】
 市町村は最初から緊急雇用事業で申請しているのではないか。

【雇用対策課長】
 緊急雇用事業の活用の経緯だが、市町村がコールセンターの人材育成事業にかかる公募を行い、それにDIO社が応募したという経緯である。

【斉藤委員】
 最初は誘致企業の企業情報だった。コールセンターを誘致するかどうか。そして物件を12月1日を期日にして求めた。たった1週間で。この12月1日までには緊急雇用事業が活用できるということは知らされてなかったということか。

【雇用対策労働室長】
 雇用対策労働室から各市町村に「こういう事業をやりましょう」とかそういう通知をした事実はない。例えば、振興局の方から見ると、振興局の雇用担当の方は遅れて知っているので、それは市の方からこういう希望があるというのを教えてもらったと言っているので、県の方から提案したという事実はないと理解している。

【斉藤委員】
 そもそもこれは緊急雇用事業の問題である。


・高額なリース料と無償譲渡、超低額の譲渡について

【斉藤委員】
 二戸コールセンターの契約書に、特記事項というのはあったか。

【雇用対策課長】
 見積書の中に特記として「リース満了後に無償譲渡する」と書いてあるというのは確認している。

【斉藤委員】
 代表監査委員に聞くが、見積書というのは契約書の一部になるのか。

【監査委員】
 まったく同一とは申し上げられない。

【斉藤委員】
 二戸の契約書を見たが、契約書の中にはない。契約書の中には、「物件の返還」というものがある。もう1つは、「再リース」というものがある。そして最後に「特約」というのがあり、「別紙に特約の記載がある場合には、特約はこの契約の一部であり、他の状況に優先して適用される。この契約と異なる合意はここに記載するか、別に書面により甲および乙が事前に合意しなければならない」と。見積書ではダメではないか。見積書だけで無償譲渡などできないのではないか。契約にない。あなた方はなぜそれを認めたのか。

【雇用対策労働室長】
 認めたという意味には、24年度の委託事業費を認めたということだと思うが、あってもなくてもそれは認めるという結論になるのだと思う。あればあったでそれは25年度からだということで認めるわけなので、それを認めるということである。

【斉藤委員】
 厚労省の見解を聞いているのではない。この契約書に基づいて緊急雇用事業は締結されている。あなた方が把握もしない、契約書にもない、そんな特認事項が認められるのか。見積書にしか書いていない。
 そして二戸の場合には、日本GE梶ATSIにはない。見積書もなかった。それがなぜ認められているのか。他のところもない。

【雇用対策労働室長】
 繰り返しになるが、認めるか認めないかというのは、24年度の委託費の対象として認めるか認めないかということだと思う。そういう特約が明示されていたか、明示されていなくてそういう事態になっていたかは、24年度については、そういう明示がされていたことが認められていたということである。それで25年度はそういうものは認めなかったということである。

【斉藤委員】
 それはとんでもない話である。あの契約書になかったのは認められないのは当然ではないか。何のために契約を結ぶのか。厚労省は共犯である。厚労省が正しいなんてことは全くない。
 二戸の場合、日本GE梶Aたしかに見積書に特認事項があった。見積書であって覚書でも何でもない。甲と乙の署名もない。契約書には、「再リース」「物件の返還」という規定が本項である。普通なら再リースである。無償譲渡だったら、特認事項がきちんと文書でなければならない。そのようになっている。洋野の契約書もそうなっている。文書で覚書を交わさなければならないと。何もないのに、なぜ洋野も盛岡も他のところも、なぜ無償譲渡を認めたのか。
 無償譲渡はとんでもない額である。盛岡の場合は、什器一式2993万円が翌年0円、こういうのはリースとは言えない。契約にもない。部長は契約書を見たか。契約書を見た上でこれは可能だと思ったか。

【商工労働観光部長】
 契約書そのものは直接私は見ていない。いろんなご指摘の点については、委託契約をした市町とDIO社関連のコールセンター会社の間で取り交わされたものだと思っている。

【斉藤委員】
 私でさえ読んでいるのに、部長が見ていないのは問題である。契約書が一番重要である。洋野町のTSIとの契約書には、「第24条特約:別表記載の特約はこの契約の他の条項に優先して適用され、この契約と異なる合意はここに記載するか別に書面で甲乙が合意しなければ効力はないものとします」と。記載がなければ特認がないということである。ないものをなぜあなた方は認めたのか。

【雇用対策労働室長】
 無償であるかどうかというのを譲渡するのは、DIO社とリース会社との関係であり、それはそれぞれの契約である。認めるか認めないか我々が言うのは、委託事業の対象とするかどうかである。24年度は仮にそういう特約があっても厚労省の通知により認められるとなっており、25年度以降は認められないとなったということである。特約に書いてあるかどうかは、DIO社とリース会社との関係なので、見積書にあったからとか契約書になかったから無効だとかという風には理解していない。我々は見積書の中で、二戸市の調査の中で、実態としてそういう契約があるのだと理解したので、我々は厚労省に「これはいかがなものか、グレーゾーンではないか」との疑問を持ち照会したところである。

【斉藤委員】
 えらいデタラメである。50万円以上の財産取得はできないというのが緊急雇用事業の大原則である。それが何千万円ものリース料がタダになっている。それが契約上の根拠があるならまだしも、契約上の根拠もない。厚労省が認めたから良いと。こんなことで会計検査院が通ると思うか。こんな契約書の内容を無視した契約は成り立たない。
 このことについて、あなた方が不安を感じて厚労省に問い合わせたところまではまともだった。ところが今や共犯になってしまっている。何千万円もの無償譲渡が認められると居直ってしまっている。国民の税金である。そういう点で、このコールセンターの緊急雇用事業は、緊急雇用事業に値しないと思う。
 だいたい契約書を少しずつ見ただけでもすぐ分かる。例えば、PXSハードウェア356万円が無償譲渡になっている。356万円の買い物を1年間で行ったということである。ノートパソコン13台を113万円、officeは別口なので1台7万円、計1台15万7000円になる。これはリースではない。こういう高額のリースをあなた方は認めている。この高額のリース自身が事実上の買い取りだと思う。翌年無償譲渡というのは二重の誤りである。
 他の人材育成のコールセンターを見てみても、全然リース料が違う。億を超えるようなリース料をとっているのはDIOジャパンだけである。あとは数十万・数百万円単位である。二重の意味で高すぎるリースというのがまったく不当なものだったと思うがいかがか。

【商工労働観光部長】
 リース料の価格の問題だが、24年度に初めて確認の際にそういう疑問をもって厚労省に照会したものであり、それに対する厚労省の回答というものが先ほど来答弁している内容であるので、25年度以降についてはそれは認められないということが明確にされたと認識している。

【斉藤委員】
 結局あなた方は見過ごした。見過ごした分は認めるというだけの話である。
 盛岡で5つのコールセンターの事業をやっているが、パソナ670万円、コールセンター1億8200万円、ライフパートナー495万円などとなっている。桁が違う。事実上買い取りのようなリースだった、それが翌年には無償譲渡された、二重の意味で問題である。
 無償譲渡されないものもある。盛岡のコールセンター業務用機器1億3800万円、取得価格88万9000円、わずか0.64%である。他のところもほとんど1%。これはリースとは言えず、事実上の買い取りである。見過ごしたから認めるというのは通用しない。


・人材育成事業の実態について

【斉藤委員】
 そもそも人材育成事業の実態そのものが緊急雇用事業に値しない。まともな研修が行われていなかった。盛岡の経費支出内訳書で、どういうわけか研修費は1323万円の計画額がゼロになっている。一番大事な研修費がゼロだと。これで研修がされるのか。素人が講師に来たと。それも3ヶ月。4ヶ月目から仕事させられた。研修費ゼロで人材育成の研修ができるのか。

【雇用対策課長】
 委託事業の対象とした講師派遣についてはたしかにゼロである。そうなった経緯として考えられるのは、緊急雇用事業というのは、人件費に対して総額を超えてはいけないという原則がある。その中で、人件費以外の経費の中で、リース料が非常に大きな割合となっているので、結果的に見れば、研修も講師代を入れるすき間がなかった、認める余地がなかったということになったものではないかと理解している。

【斉藤委員】
 結局、高すぎるリース料で研修費を計上できなかったということではないか。実態も、素人しか教えに来なかったと。1年間の雇用契約の中で、研修は3ヶ月、4ヶ月目以降は仕事をさせられたというのは盛岡コールセンターの実態である。他のコールセンターが高額の研修費を出しているのは実態と違うと思う。まともな講師など来ていない。上げているとしたら、それはDIO社へのピンハネだと思う。盛岡コールセンターは実際の研修費はかかったのか。

【雇用対策労働室長】
 若干説明を訂正させていただきたい。このときは、全経費が2億円を超えていたが、実績により1億8000万円と下がった。そうすると、事業費も下げなければいけないので、どこで下げるかといったときに、元々あった1300万円の研修費の講師部分を削ったということであり、盛岡市についても、研修費がどれだけかかったのかというのは、領収書等を集めているわけではなく、実態とすれば分からない状況、委託費として払っていないということである。

【斉藤委員】
 高額のリース料という異常さがそういうことをさせた。リース料が事業費の半分を占めるということは考えられない。
 研修の実態についてリアルに紹介したい。「2012年2月に面接で入社した。その場で採用が決まった。3月から入社。研修は若い素人3人が講師だった。7月以降仕事が入ってきた。ツアーの案内、ウィラートラベルズバス24時間の受付業務、深夜業務もあった。研修ではなくすぐ仕事に入っていた。従業員の中には1年間東京で仕事、半年間東京で営業事務の仕事、九州の都城のコールセンターに6〜7人が派遣される。3週間東京国際映画祭の受付業務をやっていた。東京プリンスホテルに6〜7人派遣された」―。これが盛岡コールセンターの実態である。奥州コールセンターの場合は、「6月1日採用で8月までは研修があった。9〜11月の間東京で仕事をさせられた。4〜5月は宮崎に研修で派遣。5月13日から楽天の仕事をやった」と。素人の研修を3ヶ月受けて、あとは仕事をさせられた。極めつけは、仕事の日報は「研修と書け」と虚偽報告をさせられたと。ほとんど虚偽報告である。県にも市にもこういう告発がきた。だから業務日誌をいくら見てもいけない。改ざんされているのだから。研修の実態もなかった、せいぜい素人の研修。3ヶ月研修を受けた人が講師で派遣される、そして仕事をさせられる。私は元従業員の話を紹介したが、これが緊急雇用事業に値するのか。

【商工労働観光部長】
 いずれ市町の完了時において、従業員の業務日誌、研修計画、出勤簿等を突き合わせ、研修と認められないものは委託費の対象外としたものである。現在、国からの指示を受けて改めて市町において従業員のアンケート調査等を行っているところであるので、そういった中で明らかになってくるものと考えている。

【斉藤委員】
 先ほど消費税の話が出たが、盛岡市は消費税を計画額に入れていたが実績額では外した。他の実績報告書に消費税が入っていた。同じように完了検査したのになぜこれが分からなかったのか。実績報告書に消費税が入ったままというのはいくつあるか。総額はいくらか。

【雇用対策課長】
 盛岡市以外の市町では、消費税を払っていたということである。総額については現在調査中であり、総額については答弁を控えさせていただきたい。消費税の総額がそのまま返還対象になるわけではなく、これから事業費等を全体を精査する中で消費税相当額については算定することになるので、額そのものについては答弁を控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 返還額を聞いているのはない。実績報告書で消費税が算定されていたのは5市町で、総額はいくらと聞いているので。しっかり資料を示していただきたい。

【決算特別委員長】
 答弁が間に合わない場合は後日全委員に資料を配布願います。

【斉藤委員】
 この緊急雇用事業、コールセンターの人材育成事業というのは、不当なリース、無償譲渡という事実上の買い取り、研修の実態がない、虚偽の業務日誌で仕事をさせられていた。本当に緊急雇用事業に当たらないと思う。部分的にこれは外れるとかという話ではない。まさに全体そのものが腐敗にまみれたというか、税金泥棒と言ってもいいような内容になっている。だから元従業員は「第二の山田NPO問題だ」と言っている。本当にこれは責任をもって総点検するということが必要ではないか。

【商工労働観光部長】
 本事案に関して、全体的な部分について厚労省で調査を行っているので、その過程の中で明らかにされるものと考えている。