2014年10月20日 決算特別委員会
高田一郎県議の商工労働観光部に対する質疑(大要)


・仮設店舗について

【高田委員】
 仮設店舗の点について、お伺いいたします。
 仮設店舗についてはこの間使用期間が特区制度により柔軟に使用することができるようになりました。しかし、その後の解体費用ですね、あるいは地代の負担というのは、どういうふうになってくるんでしょうか。

【山村経営支援課総括課長】
 仮設店舗についてでございます。仮設店舗の解体費用については今年度から国の助成制度が創設されたところであります。地代については施設の設置主体である市町村が民有地の賃借料を負担することとされております。

【高田委員】
 解体費用については、今年度から助成制度が創設されたということですが、これは5年以上たっても将来的に解体費用は全部国が負担するということで、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
 それから地代については、市町村が対応するということであります。これは被災地の自治体が負担するということになるんですが、どの程度の負担となるのか、もし具体的な数字があれば示していただきたいと思います。
 それで陸前高田市におじゃました時にですね、年間の地代が3600万円という試算になっているようです。これは、被災した自治体にとってはたいへんな負担になるというふうに思うんですね。これから仮設店舗はおそらく多くの方々が延長を希望されていると思うんですね。昨年岩手県復興支援相談センターが調査した資料を見ますと8割の方々が延長したいとそういう要望になっております。したがって延長すれば延長するほど自治体も負担が大きくなってくると私は思うんですね。これはやっぱり国の責任で地代の負担もしていただくと、そういう要求をしていかなければならないんではないかなと思うんですが、その点についてもお伺いいたします。

【山村経営支援課総括課長】
 解体費については、今の制度では5年以内ということにされております。地代については、個々の市町村ごとの額については承知しておりません。その延長した場合、負担が大きくなるというお話であります。仮設店舗の用地については、公有地に建てている場合もございますし、民有地を活用している市町村もございます。その地代についても無料で借りているところもあれば、市町村が負担していることもあるということもございまして、それぞれ事情があるということでございますので、まずは本設に移行するというのが第一でございましょうから、本設移行にむけて市町村とも連携して支援してまいりたいと考えております。
 市町村の状況もそのような対応でございますので、市町村ともですね、相談しながら検討していきたいと考えております。

【高田委員】
 市町村とよく連携してね、対応していただきたいというふうに思います。やっぱりそういう意味では解体費用が5年を超えるとね、5年間以内ですから国が責任をもつのはね。5年以上になるとこれは地元負担になってしまうと。地代についてもね負担が伴うという。被害が大きい自治体にとってみれば、かなり大きな負担になってくると思うんですね。ですから、地代についての市町村ごとの実態が調査していないっていうことでありますので、その実態をよく調査をして、市町村と連携してね、やっぱりこの被災自治体に負担を負わせないようなそういう対応を要望してほしいというふうに強く要望しておきたいと思います。
 それで仮設店舗でこれから課題となるのは、本設再開にむけた支援だというふうに思います。先ほど紹介した岩手県産業復興支援センターの調査では、本設再開をしたいという希望が8割になっています。今でも売上状況を見ますと6割を超える方々が売り上げ減少になっていると。だけれども頑張って本設で再開したいというこういう要望にこたえていくべきだと思います。これまでいろいろな議論を聞いていますと、グループ補助金ぐらいしかなかなか答弁がきていない感じがしますけれども、具体的にこうした本設再開にむけた現在の県としての支援策はどうなっているのでしょうか。

【山村経営支援課総括課長】
 被災事業者の再建につきましてはグループ補助金、これが4分の3という特別の補助でございますので、まずこの補助の活用をしていただくというのが一番重要かと考えております。そこで、グループ補助金を活用する際に必要となる事業計画づくりなどを支援するため、専門家だけではなくて私どもの職員がですね現地に出向きまして、いろいろなご相談にのったり、計画づくりのアドバイス等をしているところでございます。

【高田委員】
 商店街のなかにはなかなかグループ補助にものれないような小規模な事業者もいるわけでありますから、やはりグループ補助金だけの支援ではなかなか要望に応えられないのではないかと思うんですね。やはり売上はほんとうに落ち込んでいるけれども、将来本当に頑張って再建したいという方々は、これから2重ローンも発生するわけですよね。そういう意味ではこれまでにない抜本的な支援策をやっていくべきだというふうに私は思います。その点についてもう一度答弁いただきたいと。

【山村経営支援課総括課長】
 グループ補助金、非常に大きな補助でございます。特別な補助であると考えております。また、県単のですね市町村と一緒にやっている補助もございます。あるいはその被災地、被災者向けの特別の融資制度もございます。こういった制度を組み合わせるなりご活用いただくように支援してまいりたいと思います。


・グループ補助金について

【高田委員】
 次に今お話にあったグループ補助金についてお伺いしたいと思います。
 東北経済(産業)局が行った被災4県のグループ補助金の活用企業の実態調査が発表されておりました。売り上げ状況とか経営面での課題とか岩手県における調査の実態はどうなっているんでしょうか。

【山村経営支援課総括課長】
 東北経済産業局の調査によりますと、今年6月時点での調査でございます。震災前の水準以上に売り上げが回復したと回答した割合は44.9%となっております。1年前の調査に比較して2.7%改善ということになっています。経営面での改善点としては人材の確保・育成、販路の確保・開拓などがあげられております。

【高田委員】
 売り上げについては前年度と比較して2.7%増えてはいるものの、まだ4割台ということですから、しかも人材の確保とか販路の確保・開拓についてもね、強い希望があるということで、さらなる支援というものが強く求められていると思います。
 先ほど部長から冒頭にですね、商品開発から販売まで総合的な支援をやっていきたいというお話でした。これまでも人材確保や販路拡大などでさまざまな支援も行ってきたと思うんですね。その実績、今後の課題について示していただきたい。

【山村経営支援課総括課長】
 まず人材確保につきましては、被災企業の人材確保するために、企業見学会や面接会など開催し、企業と求職者のマッチングを行っており、その結果一定の採用にむすびついているところでございます。販路開拓につきましては、商談会とか大手量販店と連携したフェアなどを開催しまして、その結果、大手量販店と共同した新商品の開発、コンビニエンスストアでの県産の食材を使った弁当の全国での発売、など新たな商品開発や販路の拡大につながっているところでございます。ただ、先ほどご質問の中にもありました東北経済産業局の調査でも、あるいは県の復興局が行なっている調査でも経営課題として人材の育成、販路の確保・開拓などと答えている事業所の方が多いですので、ひきつづきこういったことが課題になっていると認識しております。

【高田委員】
 それで人材確保や販路拡大についてはなかなか簡単にできる課題ではないと思うんですね。やっぱり粘り強くとりくむっていうことが大事だと思うんです。
 それで農林水産委員会で釜石の小野食品を視察したときにいろんなことを感じてきました。ここは新商品開発にかなり力を入れて取り組んで、震災前の通販での??も震災前の3倍になっているということでね、非常に頑張っている企業だなっていうふうに思いました。それでなぜこんなに成長できたかっていうことをお聞きしましたら、やはり外部のスタッフの支援が大きかったということを聞いてきました。マーケティング課題の分析とか、通販事業の収益管理など自社ではなかなかできないことをね、外部からの支援で、中小企業基盤整備機構からの人的支援が大きかったという話をされました。これがどれだけ活用されて、十分な体制で、そういう被災された事業所を支援しているのか、しっかりと要望にこたえられる体制になっているのかどうかということを感じてきましたし、その点についてどうかということと、もう一つは人材育成にもかなり力入れて取り組んでいるんですけれども、やっぱりなかなか人材不足への対応という点では、人がなかなか集まらないので、生産ラインの機械化で、付加価値率を向上しているという話も聞きました。やはりこういったところの設備投資をする上での支援策というのも、もっともっと拡充していくべきではないかなと思うんですけれどもこの2点についてです。お伺いしたいと思います。

【山村経営支援課総括課長】
 中小企業機構の専門家派遣をご活用になったということでございます。特に被災地に対しては専門家派遣事業ということで充実していると思いますし、県でも商工団体や産業振興支援センターなどを通じて専門家派遣という事業をやっておりまして、事業所の方のいろいろなニーズに応えることができていると。いろいろなメニューがありますので、応えることができていると考えております。設備投資につきましては、再建にあたってはグループ補助金活用、グループ補助金であったり民間の補助金であったり、水産庁の補助金などを活用いただいていると思いますので、そういった形で支援をこれまでしてきたところでございます。

【高田委員】
 次にグループ補助金の関係の、資材の高騰による追加支援についてですけれども、6割を上限に拡充になったということはやはりこれまでの運動の成果だったというふうに思うんですね。それが活用できる条件といいますかね、そして、県内の申請、採択された事業者で対象になる事業者っていうのはどの程度見ているのでしょうか。
 もう一つですね。通告していなかったんですが、昨日ちょっと採択をされた事業者の方々とお会いしたんですが、お話をしたんですが、追加支援策について知らなかったっていうんですね。これは7月末からもう追加申請が始まっているんですけれども、どれだけ採択された事業者に追加支援があるっていうことが徹底されているのかどうかということについてもお伺いしたいと思います。

【山村経営支援課総括課長】
 資材高騰の対象になる事業者数でございますが、この制度が創設された後、私どもで8月に県内3カ所で説明会を実施しました。それには45の事業者の方が参加いただいております。全員が対象ということではございませんが、そういった方が関心、説明会には参加をいただいております。
 それと周知につきましては、その対象者が限定されます。たとえば施設だけである、設備については対象にならないとかですね、施設だけが今回の対象になるとか、あるいは工事に着手していない事業者の方だけが対象になるとか、そういった対象になる事業者の方に対してですね、こちらでは通知等で周知をしております。

【高田委員】
 対象になる事業者にはもれなく案内したということで、理解してよろしいんですね。はい。
 

・公契約条例について

【高田委員】
 次に公契約条例についてお伺いいたします。これはあの労働団体からの請願採択をうけて県としても内部で検討しているものだと思いますが、やはりこの請願の趣旨というのは労働条件の改善をめざした中身になっているんですね。やっぱり請願の趣旨を踏まえた条例にすべきだというふうに思います。県として、現段階で、条例制定にむけた基本的な考え方について、まずお伺いしたいと思います。

【千田労働課長】
 公契約条例についてでございますが、具体的な条例案については、現在検討中でございますけれども、基本的な方向性といたしましては、契約の公正性ですとか、サービスの質の確保などに加えまして、公契約に携わる労働者の労働条件の改善等をめざした条例にしたいというふうに考えてございます。

【高田委員】
 労働条件の改善をめざした条例にしたいという基本的な考え方はいいと思います。やっぱり今大事なことは、賃金条項を条例の中にしっかり盛り込んでいくというが大事であって、この条項がない条例というのは制定する意味がないのではないのかなという思いをしています。今、建設労働者は非常に二次、三次、四次と重層下請け構造になってこれがどんどん下がっていくたびにですね、労働者の賃金が削られるっていうようなね、また委託契約についても私もいろんな方から相談をうけるんでうけるんですけれども、委託先が変わるたびに、雇用は継続になるんだけれども、賃金がどんどん下がってしまってね、とっても生活できないっていうような相談もうけたことがあります。だから県や市町村が発注するですね、契約でね、官製ワーキングプアを作ってはならないというふうに私は思うんです。そういう意味では賃金条項を盛り込むっていうのは、公契約条例の中身にしっかり位置づけるべきだし、やらなければ条例制定の意味がない、そういう思いをしているんですけれども、賃金条項の考え方について、まずお伺いしたいと思います。

【千田労働課長】
 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、公契約条例の具体的な条例案につきましては現在検討中でございます。先行県としては、長野県、奈良県などがあるんでございますが、そういうところの条例内容も分析をすすめながら今、町内の法務担当部局と協議・調整しているところでございます。

【高田委員】
 協議しているということでありますけれども、全国でも多くの自治体が公契約条例つくっています。賃金条項を盛り込んでいる自治体もあれば、盛り込まなくて単なる理念的な条例になっているそういう自治体もありますので、全国の先進的な自治体の条例に学んで、賃金条項をしっかりと盛り込むと、そういう方向で対応していただきたいと思います。


・中小企業振興条例について

【高田委員】
 最後に中小企業振興条例についてお聞きします。
 先ほども議論がされましたけれども、私は大事なことは2つあると思います。一つは実効性あるものとするために、県内の中小企業の実態と要求をしっかりつかむということが第一だし、もう一つは作った条例が力になってね、岩手県の経済を支えている中小企業が本当に振興されるっていうかね、そういう条例にしていくべきだというふうに私は思うんです。その基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

【山村経営支援課総括課長】
 条例の制定の検討にあたりまして、事業者の方の実態、要望をつかむというのは大事だと考えておりまして、これまでもヒアリングやアンケートなどを行って、幅広くご意見を伺ってきたところでございます。また、条例の制定を契機にですね、商工業や中小企業の振興がなされるように、そういった内容にすべく検討をすすめたいと考えております。

【高田委員】
 公契約条例もそうですけれども、中小企業振興条例についてもすでに作られている自治体もありますので、そういった自治体の経験に学んでいい条例にしていただきたいと思います。
 最後ですけれども、最近横浜市が中小企業振興条例にもとづく取り組み状況報告書っていうのを作りました。われわれちょっともらったんですけれども、この内容を見ますとね、前年度の中小企業振興施策の実施状況、どういう施策を実施したか、もう一つは市内の中小企業に対する市からの発注状況、昨年の成果と課題をしっかりと文書にして、そしてそれをふまえて予算編成方針を作って、それを議会や市民にきちっと毎年報告をして、そして中小企業家団体とも毎年毎年報告書にもとづいて懇談会をして、どうやったら前進するかっていうそういう議論をしているんですね。そういった先進県に学んでいい条例を作っていただきたいということを求めていきたいと思いますが、そういういい条例になるようにしてほしいと思いますが、部長最後に中小企業振興条例制定に向けて、基本的な考えについてお伺いしたいと思います。

【商工労働観光部長】
 中小企業振興条例につきましては、まず現在も進めています意見交換会、あるいはこれからのパブリックコメント、それからヒアリングアンケートなども幅広く行い、その結果をふまえまして、関係機関の参画、県民の皆様の理解・協力が得られるような形で、そのような条例となるように制定にむけまして鋭意取り組みを進めて参りたいと思います。