2014年10月23日 決算特別委員会
DIOジャパン潟Rールセンター問題に関する質疑(大要)
・企業立地の失敗について
【斉藤委員】
コールセンターの事業閉鎖により、どれぐらいの解雇者、賃金未払いの件数が出たか。
7つ企業立地し全て破たんした。このことについて部長はどう受け止めているか。
【商工労働観光部長】
緊急雇用事業を活用して、原則は短期間の雇用だが、それは常用の安定した雇用への移行を前提として、地元立地の市町・県もそれを期待していたが、そういった面からして、長いところでも17ヶ月程度で閉鎖してしまうことについては極めて遺憾であると感じている。
【斉藤委員】
県の責任が見えないが、DIOジャパンというのはコールセンターの実績があったのか。岩手で企業立地する前にコールセンターの実績はいくつあったのか。
【企業立地推進課総括課長】
コールセンターは九州で2ヶ所と聞いている。
【斉藤委員】
たった2ヶ所しか実績がないのに、岩手で7つ、東北で20近く展開し成功する保障など少しもない。
・緊急雇用事業の不正―リース料の問題について
【斉藤委員】
これには税金が15億4200万円投入されており、きわめて重大な問題である。この緊急雇用事業の不正の中心は、リース料である。リース料は5億8600万円余、ほとんどが無償譲渡されている。前回の集中審議で質問したら、室長は「厚労省が認めたから24年度は良い」と。
私は小池参議院議員を通じて、厚労省の担当の課長補佐に確認した。「24年度は認めていない」と言っている。25年5月13日の通知をよく読んでいただきたい。3項目あるが、
1.リース契約においては、各都道府県の財務規則等に基づき、効率的にリース契約が締結されるよう入札の実施や複数の者から見積書を徴取する等により適正に取り扱う必要があること。
2.リース契約終了後、無償等で借り手に所有権を譲渡する旨の特記のあるリース契約については、実態が購入による財産取得と変わらないこと等から、リース契約終了後、貸し手にリース物件を返還する(所有権の移転が生じない)リース契約とすること。
3.今後契約を締結する事業については、原則上記1および2を踏まえた取り扱いとし、現在実施中の事業においても指導・監督・点検を実施していただき、適切な措置を行っていただきたいこと。
とある。24年度は認めるということは一言も書いていない。「適正な措置をとりなさい」というのが趣旨である。だから厚労省の担当課長補佐は「24年度の無償譲渡を認めるということはしない」と。そういう趣旨とは違うようにあなた方は誰から聞いているか。
【雇用対策労働室長】
大変重大な、無責任な回答が出てきたものと思い大変驚いている。これについては、24年度に、県が「問題だ」と感じて厚労省に対し質問し、電話等の回答では不十分であるので文書で出してほしいということを申し上げ、この文書が出てきて、かつ当然この文書の意味も確認し、24年度はやむを得ず補助対象となると言われているものであるので、この文書もそのように読めると思っている。
【斉藤委員】
ここはきわめて重大なところである。私は今日確認した。国会議員を通じて、担当の課長補佐が「24年度の無償譲渡は認めていない」と。この通知の通り、「適正に指導・監督・点検を実施していただき、適正な措置を行っていただきたい」のが趣旨であるというのが回答である。
違うというのだったら、あなた方のやりとりの経過を全て出していただきたい。誰と、どういうやりとりをしたのか。この通知では認めているなど書いていない。私が聞いた通りだったら、あなた方の言い分は全て破たんする。責任を持ってこの経過を明らかにしていただきたい。
【商工労働観光部長】
厚労省の通知については、そういった今日の厚労省からの回答というのは初耳である。
我々としては、当方がおそらく各県の中でもっとも最初にリースの関係について疑念を持ち、照会をかけ、そして回答をいただき、解釈も確認し、25年度からは認めないということを明らかに回答をいただいているので、その経過については県内部として改めて確認したいと思うが、それについては私も何度も部内で検討し確認もしてきているので、相違ないと現時点でもそう思っている。
【斉藤委員】
いずれきわめて重大なことで、この文書には24年度認めるとは書いていない。そして私が聞いた回答もそういう中身だった。
決算特別委員長、この経過のやりとりについて、厚労省の誰がどういう形で、解釈についても、しっかり責任をもって対応していただきたい。
【決算特別委員長】
斉藤委員から商工労働観光部にたいし要求のあった、緊急雇用事業にかかるリース料の取り扱いに関する厚労省の見解を確認できる資料については、執行部に提出を求めることとし、委員会で配布するとの結論に至ったことから、お手元に配布しているのでご了承願います。
【斉藤委員】
文書が今渡されたが、このどこに24年度は認めると書いているのか。
【雇用対策労働室長】
3行目の、「それ以前については、市町村の財務規則等に照らし合わせて適当なものかどうか判断することになる。無償譲渡が問題ないとするものではないが、当通知を根拠に事業所に返還請求することはできないもの」ということで、「それ以前」というのは24年度を指すということだと思う。市町村の財務規則というのは、現実に存在するかといえば、これは例えば委託先については、自由な入札等の手続きがあるが、その先、委託を受けた人がその先の手続きというのは全くあり得ないことなので、存在しないということになる。そうすると、リース契約を補助対象外にする根拠というのはないとなってしまう。
【斉藤委員】
とんでもない県の勝手な判断である。この結論は、「市町村の財務規則等に照らし合わせて適当なものかどうか判断することになる」と、市町村に下駄を預けただけの話である。厚労省が認めるなんてどこにも書いていない。それどころかその前段については、「リース契約終了後、貸し手にリース物件を返還する(所有権の移転が生じない)リース契約とすること」と、原則をはっきりさせている。市町村の判断に下駄を預けただけである。
5月13日の通知に戻るが、1項目「リース契約においては、各都道府県の財務規則等に基づき、効率的にリース契約が締結されるよう入札の実施や複数の者から見積書を徴取する等により適正に取り扱う必要があること」とある。出納局長、岩手県の財務規則から見て、7ヶ月のリース契約で、何千万円、億単位の額が無償譲渡されるようなリース契約というのは成り立つか。
【会計管理者】
この通知で言っている各都道府県の財務規則等というのは、おそらく岩手県においては会計規則のことだと思う。これは会計規則の効力の及ぶ範囲というのは、あくまでも岩手県の公会計にのみ効力が及ぶものであるので、それでもって民間の事業者を従わせようとするのであれば、例えば委託契約書の条文に「岩手県の会計規則に基づきリース契約の事務を行うよう…」というような文言が明記されなければ岩手県の会計規則の効力が及ぶことにはならないと考える。
【斉藤委員】
厚労省の通知で、「各都道府県の財務規則等に基づき」とあるのだから、岩手県だったらそういうことができるのかと聞いている。できもしない契約だということではないか。
【会計管理者】
仮に岩手県がリース契約する場合と受け止めると、いま手元に会計規則と運用通帳を持ち合わせていないが、会計規則も基をただせば、地方自治法と施行規則により成り立っているので、その条文を勘案した上で、いわゆる随意契約が可能かどうかをそのケースに応じて判断することになろうかと思う。
【斉藤委員】
例えば盛岡コールセンターは、什器一式2993万円、これが1年間のリースで無償譲渡されている。こういうリース契約は岩手県の会計規則から見てあり得るか。
【会計管理者】
規則上あり得ないかと言われれば、すべて可能性を排除できるものではないと考える。
【斉藤委員】
どういうときにあり得るのか。例外的にあり得るのか。税金を使った事業である。
【会計管理者】
契約というものは、県も民間も対等な関係で契約するので、相互契約の中でそのような特約を設けようと思えば、できないことはないと思う。
【斉藤委員】
緊急雇用事業において、50万円以上の財産取得はできないと。2993万円の什器一式が無償譲渡になったら、財産の取得に当たらないか。
【会計管理者】
そのようなリース契約が存在したとした場合、理屈上はあり得るということになるかと思う。
【斉藤委員】
私が聞いているのは、財産の取得にならないかということである。
【会計管理者】
事業への適合性に関しては、この事業を実施している厚労省の見解にもよると思うし、厚労省以上の見解とすれば、会計検査院の見解に従うということになると思う。
【斉藤委員】
こういう不当な具体例についてまともな回答ができないのは本当に残念である。
リース契約書について、特約事項があったのはどこのコールセンターか。
【雇用対策労働室長】
結果的に無償譲渡されたところは全て特約条項があるものと理解している。
【斉藤委員】
驚くべき答弁である。
例えば釜石コールセンターの契約書だが、「第24条:特約」というものがあり、「別紙11記載の特約は、この契約の他の条項に優先して適用され、この契約と異なる合意はここに記載するか、別に書面で甲乙が合意しなければ効力はない」と書いている。この契約書と一体の特約がなければいけない。何もなくても「特約がある」という解釈がなぜできるのか。
【雇用対策労働室長】
リース会社とDIOジャパン子会社の関係において、所有権が無償で移転されているという事実を考えると、実質的に特約があるものと考えるのが通常だと理解している。
【斉藤委員】
それは密約があったというだけの話である。それは契約にもない。契約違反で、密約で無償譲渡された。事実上何千万円の財産の取得をした。これが緊急雇用事業で認められるという判断はできないと思う。厚労省は認めていない。市町村に下駄を預けただけである。官僚というのは自分たちの責任が最後まで追及されないようにしているだけである。あなた方が勝手に密約も特約だと解釈した。そんなことは通用しない。
契約にない特約事項などあり得るのか。
【会計管理者】
通常官公庁の契約においては、やはり明文化されたものでなければ効力がないと解されるが、民間同士の場合においては、契約は口頭でも成立するというのが民法の原則かと思う。
【斉藤委員】
契約書できちんと特約事項について規定されているのである。それに無かったら特約にならないではないかと聞いている。
【会計管理者】
書類の外形を見る限りでは特約はないものと解されると思う。
【斉藤委員】
こんな密約をあなた方が認めるような判断をしたら二重三重の間違いである。
そして特約があったとしてもこう書いている。「甲は乙の契約に基づく債務を完済したことを条件としてリース期間満了の翌日に無償譲渡する」と。債務を完済したとなっている。ところが契約書を見るとみんな「再リース」と書いている。いわば翌年もリースするときには再リース料が必要で年額がきちんと書いている。だとしたら完済していないということではないか。こういうものまで無償譲渡したらおかしいのではないか。
【雇用対策労働室長】
委員の質問の中身の「認める、認めない」のところについてだが、これはリース会社とDIOジャパンの関係であり、DIOジャパンと他のリース会社が実際無償譲渡されているということだと理解している。我々が認めると言っているのは、委託料の対象とするかしないかということで、例えばDIOジャパンにいったものは所有権ではなくて、リース会社に所有権があるのだという議論になってしまうのだと思う。そういうことの趣旨ではないのだろうと私は理解しているが、そういう意味で本来的には我々がしなければいけないことは、委託料として支払うべきか支払わないべきか、ということだと理解している。
【斉藤委員】
5月13日の通知は、「リース契約は、リース契約終了後、無償等で借り手に所有権を譲渡する旨の特記のあるリース契約については、実態が購入による財産取得と変わらないこと等から、リース契約終了後、貸し手にリース物件を返還する」というのが厚労省の見解である。あなたの立場と全然違う。厚労省はこういうのは認められないと言っている。そして24年度は市町村が判断せよと下駄を投げただけである。岩手県の解釈は、勝手に拡大解釈している。岩手県が勝手に拡大解釈したら二重の間違いになると思う。あなたが出した内部文書、これは電話であなたが聞き取りしてまとめたものである。厚労省の文書ではない。誰から聞いたか役職も書いていない。そして認めるとも書いていない。これで委託事業としてあなた方が認めたら、間違いを認めたことにならないか。
【商工労働観光部長】
電話口頭受付の解釈については、5月13日の通知について改めて確認したものであり、その趣旨から申し上げると、今後リース契約終了後、貸し手にリース物件を返還するリース契約とすることということをしっかり確認できているととらえている。
【斉藤委員】
それ以前については「市町村の財務規則等に照らし合わせて適当なものかどうか判断することになる」となっている。厚労省は認めていない。それがあなた方のまとめた文書である。ただこれは厚労省の文書ではない。厚労省が自らの責任で解説したものがあればだしていただきたい。そしてここには何の保障もない。
リースというのは、山田NPOの問題も御蔵の湯をリースで認めたということが最大の間違いだった。今回もそうである。何千万円・億単位の額の無償譲渡、事実上の財産取得である。それを認めるようなやり方は絶対許されない。会計検査院を通らないと思う。最後改めて部長にお聞きしたい。
【商工労働観光部長】
厚労省の職業安定局の地域雇用対策室から、「DIOジャパン本社および関連子会社の破産等の準備に伴う対応について」という事務連絡の通知がきている。その中において、リースに触れた部分について、「一部自治体の市議会議員や報道機関から、高額なリース料金とリース物件の所有権移転が問題となっているところである。平成25年5月13日付、職地発0513第1号地域雇用対策室長通達に基づき、同日以後にリース契約したものであって、上記問題が認められるものについては返還の対象とすること」と明確に明記された書類が届いている。
【斉藤委員】
そういう事務連絡があるのなら出していただきたい。なぜ隠すのか。
そしてそれは今後の話しか書いていない。それ以前については書いていない。
【雇用対策労働室長】
この資料について2種類ほど差し上げている。1つは、口頭を含めのもの、もう1つは厚労省からの調査に関するものである。
1つ目は、25年4月23日に雇用対策労働室の職員が厚労省に照会したものであり、4の要旨のところで、Qと書いてあるのが県の職員でAが厚労省である。Qの三行目のところで、「買い取り費用と同額を1年以内のリース料で支払う」というのがあり、これは二戸市の例だが、分割払いでは財産取得とも考えられるが、当該リース料を事業対象経費として認めてよいかというのが県からの質問である。答えは、「受託業者の会計処理で賃貸借処理とする場合は、リース料全額を事業対象費として構いません」ということで認めており、これでは24年度も認めるし25年度も認めるというのが厚労省の解釈であった。これは実は公文書としては成立しておらず、私は昨年も雇用対策労働室長だったが、この文書についての内容は非常に納得ができない、きわめて不完全なものだと思ったので、もしそういうことをするのであれば、文書で出してくれということで厚労省に掛け合ったところ文書できたわけだが、その内容は先ほどご覧いただいているように、少し違う内容になっていたというものである。それで私は25年度については今後はいけないが、24年度はいいと解釈したところである。
事務連絡についてだが、これは厚労省がDIOジャパンに関して各都道府県にたいし照会の文書を出してきたものである。
もう1ページめくると、最初から出すべきだったと思っているが、「自治体内限り」という文書があり、かねがね厚労省から出すなと言われる資料だったので、ここに事案のC高額なリース料金、事業終了後のリース物件の所有権移転ということで、疑義の概要のところで「一部自治体の市議会議員や報道機関から高額なリース料金とリース物件の所有権移転が問題となっているところである。平成25年5月13日付、職地発0513第1号地域雇用対策室長通達に基づき、同日以後にリース契約したものであって、上記問題が認められるものについては返還の対象とすること」とあり、この時点で明らかに24年度と25年度の差があるというものである。
なお、我々の解釈として、各都道府県の財務規則というところの考え方は、例えば、県がICSに委託して、ICSが委託するのと同じ条件で、それを縛る規則がないということを先ほどから申し上げている。直接ICSに県が委託することについては規定があるが、ICSがいろんなところに委託するところまで縛る規則はない、だから実際上は縛れない、だから補助対象として規制するものはないと申し上げたい。
【斉藤委員】
これはぜひ継続して議論していただきたい。