2014年10月23日 決算特別委員会
高田一郎県議の県土整備部に対する質疑(大要)
・インフラの老朽化対策について
【高田委員】
それではまず最初に、インフラの老朽化対策、維持・管理について伺います。
まず第一に橋梁のですね、あるいはトンネル、県内の市町村の管理はどのくらいになっているでしょうか。先ほど耐用年数には食い違いがあるけれども概ね50年というお話もありました。50年を超えるような橋梁とかトンネルの数、これを示してください。
【中村道路管理課総括課長】
委員長。橋梁、トンネルの管理数でございます。これ、県、市町村合わせまして、橋梁につきましては約13,000橋、トンネルにつきましては約200本、これを維持・管理しているところでございます。このうち50年経過しているものに関しましては、橋梁では約3300橋、トンネルでは18本となっている状況でございます。
【高田委員】
50年を経過している橋梁は1300橋のうち、25%、4分の1ということですが、トンネルについても200本のうち約1割ですか、9%ぐらいですから、かなりの数になっているのではないかなと思います。これらの50年を経過する橋梁やトンネルについて更新とか老朽化対策について計画的にすすめていくべきだと思いますけれども、こういう対策がとられているのかどうか、伺います。
【加藤道路環境課総括課長】
橋梁等のほうの施設の老朽化対策でございます。県では適切な施設の維持・管理を行うため、長寿命化の修繕計画や維持管理計画を策定することとしております。これまでに橋梁、舗装の計画を作成しております。今後、トンネルまたロックシェットなどの構造物についても順次計画を策定することとしているところでございます。また、市町村におきましても橋梁に関しましては長寿命化の修繕計画の方の策定をすすめているところでございます。本年4月1日から道路法の改正によりましてこういったトンネル、橋など主要な施設につきまして、5年に1度の点検、これが義務化されております。こうした道路施設の点検や補修など、これを着実に実行する仕組みといたしまして、国、県、市町村、また関係機関等によりまして組織します岩手県道路メンテナンス会議、これを本年の5月20日に設立したところでもございます。今後は、市町村におきますこうした計画の策定や点検・補修に関する市町村の支援などにつきましてはこの道路メンテナンス会議を中心にすすめますとともに、道路施設の老朽化対策をすすめてまいりたいと思います。
【高田委員】
今後のことを聞いているのではなくて、これまで橋梁に行けば4分の1が50年を超えると、トンネルについては1割ということでね、こういう修繕計画があるのかどうかということを、今いま急がなければならない施設だと思いますので、そういう対策がとられているかどうかということです。もう一つは部長が冒頭の報告の中で、橋梁やあるいはトンネルについては、点検を行い、(予防)管理につとめてきたということでありますけれども、25年度はどういう対策・対応をとられてきたのか、あわせてお伺いしたいと思います。
【中村道路管理課総括課長】
橋梁等に関しましては、県のほうでは、先ほど言いましたような橋梁の長寿命化修繕計画に基づきまして、補修のほう進めてまいりました。また、点検のほうに関しましても、順次進めております。点検の方に関しましては今年でだいたい二巡目の点検のほうを終える予定でございますし、また、橋梁の補修に関しましても先程言いました計画に基づきまして順次進めてまいりたいと考えております。
【高田委員】
それで、インフラのですね、維持・管理・更新費の将来推計、インフラといっても橋とかトンネルとか住宅とかダムとかいろいろあると思うんですけれども、県として、将来推計というものをどのように試算しているのか。この点についても伺います。
【佐藤企画課長】
インフラの維持管理更新費の将来推計についてでございますけれども、岩手県民計画第2期アクションプランで、維持管理計画にもとづく適切な維持管理の推進を掲げまして県で管理いたします橋梁や県営住宅などの分野で、限られた予算の中で、適切な維持補修更新を実施するための維持管理計画や長寿命化計画の策定をすすめてございます。このうち橋梁と舗装の分野におきましては、その維持補修更新に係る経費を推計してございまして、県管理の橋梁について申しますと、約2700橋を対象といたしまして、平成20年度から平成29年度までの10年間で約255億円の経費が必要となると試算してございます。
【中村道路管理課総括課長】
補修の実績でございます。先ほど言いました、県の方では約2700の橋梁があるわけでございますけれども、その中で、25年度末までに356の橋を補修の方、終えております。以上でございます。
【高田委員】
インフラの維持管理更新の将来推計については、道路・橋梁だけの説明でありましたけれども、これはおそらく10年間で255億円という数字は、おそらく更新費用は入っていない数だと思うんですよね。いずれ先程の答弁でも橋梁については2700カ所のうち、356カ所補修したというそういう説明でありますし、今までの答弁をお聞きしますと、インフラの老朽化対策、維持管理っていうのはかなり遅れている分野ではないかなっていうふうに私は思うんですね。それで、やはり今、公共事業政策で、今本当に優先すべきことはね、この遅れているインフラの維持管理、更新、老朽化対策ってものをね、公共事業政策の、数も相当多いものですから、中心にすえて対策をとっていくべきではないかなと私は思うんですが、その位置づけについて伺います。
【佐藤企画課長】
本県には依然といたしまして社会資本の整備を必要とする箇所が多く残っておるので、日常生活を支えるインフラの整備をしつつも、維持補修費の増加の抑制というようなとりくみが必要だと考えてございます。高度成長期に整備されたインフラが今後の対応に高齢化、老朽化していく見通しでございますので、これらの施設の適切な維持補修更新は重要な課題というふうに考えてございます。維持管理を着実にすすめていくためにも、予算の確保、それから新たな技術開発や省力化をはじめとします効率的な点検手法などによるコスト縮減などにとりくんでいくことが必要と認識してございます。
【高田委員】
国のほうも、インフラ長寿命化基本計画なんかを作って、先ほども答弁ありましたように5年に1回は点検を義務づけるということで、これから点検をしっかり行って、基本計画をつくって予算措置をして、長寿命化をはかっていくという大変膨大な仕事になるんではないかというふうに思うんですね。そこで、やっぱり今、県、市町村含めて技術者も相当減っていますしね、かなり技術者を養成したり、職員体制も強化し、予算もしっかりと確保していくということが求められていると思うんですけれども、これからの長寿命化計画を作る上での基本方針といいますか、何といいますか、スケジュールといいますか、課題といいますか、その辺についてお伺いしたいと思います。
【佐藤企画課長】
長寿命化計画でございますけれども、国のほうからも作成のほう要請をされてございます。それで、基本的に個別ごとの施設の長寿命化計画をつくるということで対象施設、計画期間、対策の優先順位の考え方、個別施設の状況、対策の内容と実施の時期、対策費用といったところを中心にきちんと計画を作れ、というふうに要請をされてございますので、これらの状況にもとづきまして、適時適切に対策・作成につとめてまいりたいというふうに考えてございます。
【高田委員】
岩手の県土整備部含めてですね、維持管理していかなければならない施設が相当あるわけで、かなり力を入れてとりくまなければならないというふうに思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
・磐井川の土石流対策について
【高田委員】
次に磐井川の土石流対策についてお伺いいたします。一つは、岩手宮城内陸地震による復旧状況ですね、6年を過ぎましたけれども、どういう進捗状況になっているのか、まずお伺いいたします。
【加藤砂防災害課総括課長】
岩手宮城内陸地震の復旧の進捗状況ですが、平成20年の6月14日に発生しました地震によりまして、磐井川流域におきましては、多数の土砂崩れ、あるいは地すべり等が発生したところでございます。磐井川本川で発生しました河道閉塞箇所でございますが、これは国の直轄砂防災害緊急事業によりまして、河川の付け替えを行って、これは平成21年度に中央が管理しております。また、磐井川本川および支川におきましては、国の直轄特定緊急砂防事業により、砂防堰堤の新設1基、既存の砂防堰堤のかさ上げ2基、さらには県事業によりまして、砂防堰堤の新設2基を整備してきたところでございます。これまでに、県事業につきましては平成24年度に事業完了しておりまして、国直轄事業につきましても、今年度で事業を完了する予定というふうに伺っております。これを持ちまして、本県分の岩手宮城内陸地震にかかわる砂防事業につきましては、すべて完了するという予定になっております。
【高田委員】
国の直轄事業、県事業にかかわる砂防関係の事業は、今年度中で終わるということですけれども、林野庁管轄の例えば治山事業とかね、国直轄の民有林工事についてはまだまだ目途がたっていないという状況で、6年4カ月たってもね、こういう状況なわけです。それで、磐井川の問題については、岩手宮城内陸地震のときにも斜面崩壊があって、そして自然のダムができてね、そして大きな被害をうけたわけですけれども、アイオン・カサリンの台風のときにも同じような現象がおきて、鉄砲水で市街地がたいへんな被害をうけたという、二度の同じような経験をしているわけです。そして、今でも山腹崩壊箇所が岩手宮城内陸地震の時の被害が1000カ所近くになっているとか、また火山灰土で、非常に脆弱な地質になっているということから、かなりゲリラ豪雨なんか何度も起きている中で、非常に災害が発生しやすい、そういう地理的な要因になっているんですね。それで先程答弁の中で、流域ごとに情報共有しているということでありますけれども、どういう情報共有しているのか。私はかなり国や県の事業が終ってもかなり力を入れて災害対策に取り組んでいかなければならない、そういう地理的要因があるんではないかと思うんですが、その点について答弁いただきたいと思います。
【加藤砂防災害課総括課長】
先ほどの答弁の中にありました流域ごとに情報共有している、これにつきましては国の方が主導でございますけれども、流域全体の砂防事業、あるいは河川事業等々の所管にかかわる国、県の担当課が、毎年でございますけれども、集まりまして、そういう事業の状況、流域の様々な状況につきまして、情報交換をしていると。何か必要であれば、その協議会の中でそういうやりとりした上で対応していくというような対応をしているところでございます。
【高田委員】
ハード面の対策とともに、ソフト面での対策もたいへん大事だと思います。この磐井川上流の栗駒山麓というのは非常に雨の多い地域で、毎年下流では浸水被害に陥っているっていう状況です。先ほども言ったこの地理的状況のなかで、やはり日常的な監視体制とか、あるいは住民への情報提供とか、こういったソフト面での対策も非常に大事な課題だというふうに思いますけれどもどういう対策が行われているのか、この点でも示していただきたいと思います。
【加藤砂防災害課総括課長】
日常的な監視体制ということでございますが、県の方では、定期的に河川パトロールというのを実施しておりまして、流域の状況、あるいは砂防、河川等の施設を監視しながら、定時パトロールを行なったりということでございまして、その状況につきましては必要に応じて関係市、あるいは地域住民の方に情報提供していくということで対応しているところでございます。
・土砂災害危険箇所の周知について
【高田委員】
それで次にですね、土砂災害危険個所の問題ですけれども、岩手県内には東北6県で一番多い14348カ所の土砂災害危険箇所があるということです。この周辺の学校、幼稚園、あるいは病院、高齢者などのそういった施設というのは、どのぐらい立地されているのか数字を示していただきたい。
【加藤砂防災害課総括課長】
土砂災害の危険箇所周辺に学校等がどのように立地しているかということでございますが、土砂災害危険箇所に立地する幼稚園、病院、老人福祉施設等の要配慮者関連施設でございますが、これにつきましては、平成22年度に調査しておりまして、この時点では337施設というふうになっております。また、学校につきましては、土砂災害警戒区域等の指定にむけた規制調査という段階で調べている数字でございますが、小学校、中学校、高等学校あわせて94校を確認しているところでございます。
【高田委員】
両方あわせて431箇所ですか、立地しているということですが、これは土砂災害危険箇所という括りの中での数でしょうか。それとも土砂災害警戒区域の中での立地箇所なのか、どちらなんでしょうか。
【加藤砂防災害課総括課長】
ただいまの数字につきましては、要配慮者関連施設につきましては土砂災害危険箇所、指定前の段階の危険箇所の中に立地している数字ということでございますし、学校につきましても、指定前に基礎調査っていうものを行っておりますけれども、その基礎調査の段階で把握している数字ということになります。
【高田委員】
土砂災害警戒区域っていうのは、がけ崩れとか土石流、地滑りが発生する恐れのある地域で、警戒体制の整備が義務付けられている施設ですけれども、この土砂災害警戒区域の中にある、いわゆる要配慮者関連施設、小中学校等の施設というのは、どの程度になっているのでしょうか。数字がありますか。
【加藤砂防災害課総括課長】
ただいまの特別警戒区域内の施設の数というのは、当然把握してございません。
【高田委員】
どうして把握していないんですか。
【加藤砂防災害課総括課長】
指定箇所、警戒区域および特別警戒区域の指定箇所につきましては、数字等把握しておりまして、その中にある施設といったものをデータとして蓄積はあると思いますけど、さらにその中で、個別の施設を拾い上げていくという作業になりますので、具体的に現段階で要配慮者施設がいくらという数字については把握していない、ということでございます。
【高田委員】
繰り返しますけど、土砂災害警戒区域っていうのは、がけ崩れや土石流、地滑りが発生する恐れのある危険な地域と、しかも開発行為も規制される区域であり、警戒避難体制の整備が義務付けられるわけですよね。そういう危険な箇所については、やはり該当する施設に徹底して、ソフト、ハードを含めた対策というのが求められると思うんですよ。そういう危険箇所に立地する施設を県土整備部で把握していないんですか。
【加藤砂防災害課総括課長】
警戒区域および特別警戒区域に指定いたしますと、例えば学校であれば教育委員会、そして要配慮者施設であれば保健福祉部等にこういった箇所を指定しますということで、一覧表、および指定範囲の図面をそれぞれの関係部局の方に通知・提供いたします。従いまして、基本的にはその担当部局さんのほうで、個別の周知なりはしていただくと形になっているところでございます。
【高田委員】
関係部局に通知しているっていうことは、該当する警戒避難体制、特別災害警戒区域ですか、これに指定されている施設がどれだけあるっていうことを当然把握しているから、各関連部局に通知するということができるわけですよね。今、数字を持っていないというだけの話ですか。
それともうひとつ。そういう該当する施設に対するハード面の対策ですね、そして避難対策とかそういうソフト面の対策、それは各それぞれの部局でそれぞれの予算で対応するということになるんですか。そして、どれだけ該当する施設でハード対策、ソフト対策を行っているかっていうのは、どの程度になっているんでしょうか。それも、もしわかれば示していただきたいと思います。
【加藤砂防災害課総括課長】
ただいまの数字の関係でござますけれども、これにつきましては、具体的に積み上げたデータはございますということで、さらにそれぞれの施設が何カ所あるかという集計につきましてはしていないということで、実際、集計すれば数字はでてくるということになろうかと思います。
ハード、施設関係の整備でございますが、基本的にはこういう要配慮者施設等のある施設につきましては、施設整備、私どもがやっている事業、急傾斜、あるいは砂防関係の事業につきましては、優先的に事業を導入するようにということで、すすめておりまして、地元の市町村なりと協議しながら、必要な箇所には事業を導入しているというところでございます。
あとは警戒区域、例えば要配慮者施設のところで、どの程度やっているかということでございますが、先ほど申し上げました337施設のうち、これまでにそういう施設整備をやった箇所というのは44箇所ございます。