2014年11月28日 決算特別委員会
DIOジャパンコールセンター問題に関する質疑(大要)
・コールセンター破たんによる解雇・賃金未払い等の状況について
【斉藤委員】
DIOジャパンが10月20日付で民事再生法の適用を申請して受理されたということだが、子会社のコールセンターの破たんによる解雇、雇い止め、賃金未払い、未払い賃金の立て替え払いの状況はどうなっているか。
【労働課長】
6事業所の離職者数だが、岩手労働局によると135人で、うち求職申込が122人、ハローワークから職業紹介を受けて就職された方や自分で働き口を見つけた方などを除いた未就職の方が43人となっている。本年10月末現在の数字である。
未払い賃金の状況だが、県内事業所に籍を置いていた方々については、国の制度による立て替え払いが行われ、支払いがほぼ終了しているものと見込んでいる。県内の事業所で働きながら本社の所属となっていた方々については、依然として未払いになっている。
【斉藤委員】
新聞報道では、4センターで約120人・3440万円の賃金未払いがあったと。未払いは未払いなので、国が立て替え払いしたというのはまた別な話なので。未払い賃金をあなた方は把握していないといけない。
本社所属10人、これは民事再生が申請して受理されれば立て替え払い制度の対象になるのではないか。それに対して県はきちんとフォローしているか。
【労働課長】
先般、DIO本社が民事再生の手続きの申し立てを行ったところだが、この再生開始が認められれば、元従業員の方々に、本社が法律上の倒産をしたという事実を証明する証明書が送られるので、これをもとに元従業員の方々に対して、国の立て替え払い制度の利用の道が開かれるということになる。仮に再生開始が認められない場合は、破たん手続きに移行すると思われるので、その場合にも破産管財人から証明書が発行されるので、同じく利用の道が開かれていくということだと思う。
昨日、本社の弁護士に現在の状況を問い合わせたところだが、DIOジャパンとしては、「できるだけ早期に従業員の方々に証明書を発行する等の手続きに入りたいと考えている」とのことで、また国からもそのような指導を受けているので、できる準備を進めているということである。我々としても、今後の事態の推移を注視し、必要な働きかけを行っていきたい。
【斉藤委員】
未払い賃金は新聞報道通り約3440万円ということでいいのか。
本社採用の分で、民事再生の決まった時点から破産かと。先ほど3月18日に債権者集会と、ここまでは決まらないということになるのか。
【労働課長】
本社の受任弁護士の話によると、民事再生の申し立てを行い、それを受けて東京地裁で申し立て内容について調査を行うわけだが、通常だと1ヶ月程度要すると聞いており、あるいはそれより若干かかるのではないかという話もうかがった。
未払い賃金の額だが、国から情報がいただけなかったことから、情報提供を何度かにわたりお願いし、その結果あげていただいた情報によると、未払い総額は約3400万円、人数は、月ごとに未払いとなっていた方の人数を足し上げた数なので延べ人数といいますか、未払いとなった給与の件数は315人となっている。これは地元に籍を置いていた方と本社籍の方すべて含めた数字となっている。
・事業継続したコールセンターの状況について
【斉藤委員】
子会社のコールセンターが破たんした後に事業継続したコールセンターの雇用状況はどうなっているか。
【企業立地推進課総括課長】
二戸コールセンターについては、そらべリゾート泉郷により7月1日から業務開始しており、現在18名雇用されている。
洋野コールセンターについては、海TI情報センターにより8月29日に業務開始しており、現在8名雇用されている。
奥州コールセンターについては、鞄本トータルテレマーケティングにより11月7日に業務開始を行っており、現在39名が雇用されている。
【斉藤委員】
なかなか厳しい状況だと思う。
・コールセンターの実態調査等について
【斉藤委員】
関係市町村によるコールセンターの実態調査・研修の実態、収入返還額の調査状況が行われていると思うが、盛岡市長も記者会見などでそれなりに話しているが、元従業員による調査というのは、何人から回答があってどうなっているか。
【雇用対策課長】
内容については、国において公表の判断がされるものと考えており、私どもでは公表できかねる。
【斉藤委員】
盛岡市長は記者会見で話している。98人の元従業員にたいしてアンケートをやるとなっているので。38人から回答があり、「30日以上長期出張していたのが16人だった」と。あなた方はこの程度の中身ぐらいきちんと把握してやらなかったら、まったく無責任ではないか。アンケートの回答の数も分かっていないのか。
【雇用対策課長】
盛岡市長が記者会見でそのような数を発表したのは承知しているが、県としては正式にまだ聞いていないので、県としての公表はできかねる。
【斉藤委員】
国の指導だと、債権者集会までに確定しなさいとなっているのではないか。遅くとも3月18日までということになるのか。
【雇用対策課長】
返還請求額の確定については、法的な期限を意識しながらとりまとめるということである。
【斉藤委員】
だから3月18日ではないのかと聞いた。そうではないのか。
【雇用対策課長】
そこについては、立地市町村と相談しながら対応していきたい。
【斉藤委員】
市町村と相談するという話ではない。国の通知がそうなっている。裁判所が指示する債権者集会までにやるとなっているのではないか。
【雇用対策課長】
国の通知では、債権届け出期間までにやると8月の時点ではなっていた。ただ現時点で再建届け出期間が設定されていないので、こういった状況を見ながら市町村と相談しながら取りまとめ時期について対応していきたい。
【斉藤委員】
いずれこういうのはダラダラやる話ではない。美里町は4千数百万円の返還請求をした。
・高額なリース料、無償譲渡について
【斉藤委員】
24年度は厚労省は認めたという言明はしていないと、前回の決算特別委員会で指摘した。24年度に「事実上の買い取りは認められる」ということはないと思うし、その後、各マスコミが厚労省に問い合わせた結果も報道されている。「24年度を認めたということではない」と。決算特別委員会の審議を踏まえて、いつどういう形で厚労省の見解をあなた方は求めたのか。その結果はどうなのか。
【雇用対策労働室長】
業務が終わった後の10月24日、厚労省と電話し、そのときの回答は「平成25年5月13日の通知が、今後の取り扱いを通知したものであるが、通知日以前については自治体の財務規則等に基づき自治体の判断で対象外とすることもできたのではないか」ということで、答弁申し上げたことと同じようなことかと思う。その後、11月13日に、お配りしている厚労省からのメールがきたところである。それによると、「実施要領上の財産取得制限と契約制度の経済性の原則を定めた会計法の趣旨に基づき個々の事案ごとに判断すると聞いている」と。返還の必要性については「個々の事案ごとの判断と聞いているので、24年度すべてが対象の返還となるものではないと理解している」との回答がある。したがい県としては、このように国の解釈がいろいろと変遷しているので見定めていく必要がある。
【斉藤委員】
今の回答や資料は私が指摘した通りである。厚労省は24年度を認めたものではないと。新聞報道でもそうなっている。今の国の回答は、「24年度事業については、実施要領上の財産取得制限と契約制度の経済性の原則を定めた会計法の趣旨に基づき個々の事案ごとに判断する」と。実施要領上の財産取得制限というのは、50万円以上の財産を取得してはならないということである。そして契約制度の経済性の原則というのは、基本的には競争的にきちんと見積もり・入札すべきだということではないか。
【雇用対策労働室長】
実施要領上の財産取得制限については、50万円以上の財産取得を認めないということだと思う。一方で我々の解釈とすると、これについても解釈通知を求めたところ、5月13日付の厚労省通知がきたのだと理解している。そこには何も書いていないものだと理解している。
契約制度の経済性の原則を定めた会計法の趣旨については、厚労省の示した考え方は理解できるが、具体的な規定がないものと理解している。
【斉藤委員】
厚労省の県への対応は変遷したかもしれないが、室長が前回の決算特別委員会で「24年度は認めた」という答弁は成り立たないと思うがいかがか。
【雇用対策労働室長】
最初にお答えしたときは常任委員会のときだったと思うが、簡単に申し上げるとその通りだと。その後、5月13日の通知はダメだとする根拠規定もなく、かつ会計規則等についてもダメだとする根拠規定がなく、我々は残念ながら認めるものと同じだと思っている。
【斉藤委員】
室長は、「特記事項がなくても無償譲渡は全て認められる」と答えた。それは間違いではないかと聞いている。
【雇用対策労働室長】
特記事項の話と無償譲渡の話は別な話だと理解しており、無償譲渡については、実際上の契約が後で分かったということで、契約にあってもなくても、それは実際上は特約があったものだと答えたもので、それが県として適切なものであるとかいう話ではなく、それに対して委託料を払わない根拠はないと答えたものである。
【斉藤委員】
私は会計責任者にも聞いた。契約があって特記事項がないというものは会計上成り立たないというのが答弁だった。
今までは高すぎるリース料だと思っていた。ところが、二戸コールセンターのリース料の見積書を見ると、ハードウェアが7ヶ月リースで月50万9300円、計356万5100円になるが、これは物件価格342万1千円で物件価格を超えてしまう。ソフトウェアは月のリースが245万8700円、7ヶ月のリースで1721万円、物件価格は1651万円である。これは高すぎるということではない。買い取り価格である。こんなリースはそもそも認められないと思う。こんなリースがあるか。事実上の買い取りリースではないか。
【監査委員】
ある意味で、私もうる覚えではあるが、所有権移転リースという形のものかと思う。リースという名前はついているが、おそらくは最終回の返済と同時に売買が成立するといった形のものではないかと思う。
【斉藤委員】
あなた方はこの事実を知っていたか。先ほど室長は、「県も疑問を持った」と。その時にこの見積書は見たのか。
【雇用対策労働室長】
その見積書は当時見ていない。
【斉藤委員】
私が見ているのにあなたが見ていないということがあるのか。
先ほど1つだけ紹介したが、18件ある。総額も書いている。総額の月額のリース料と総額の物件価格を示していただきたい。
【雇用対策課長】
物件価格総額は4610万円、月額は税抜きで7ヶ月のリースで686万2600円、7倍すると4803万8200円となる。
【斉藤委員】
18件すべて月額リース7ヶ月やると物件価格を超える。とんでもない話だと思う。高すぎるリース料ではない。買い取りリースである。こんなものが認められるか。部長はこの実態を知っていたか。そしてそれは妥当だったと思うか。
【商工労働観光部長】
前回の質問で、リース契約を見ていたかという質問に、当時「見ていない」と答え、その後すべてではないが一部のリース契約の内容について確認した。その時に確認したのは、委員からご指摘のような印象と受けたところであり、同様に腑に落ちない思いにかられたのは否めない事実である。
【斉藤委員】
重要な答弁だった。
5月13日付の厚労省通知の2項目は「リース契約終了後、無償等で借り手に所有権を譲渡する旨の特記あるリース契約については、実態が購入による財産取得と変わらないこと等から、リース契約終了後貸し手にリース物件を返還する」と、そういうリース契約にしなさいと。この上を行くような、悪質なリースだったのではないか。事実上の買い取りリースである。こういうのはリースとは言わない。だから契約があってもなくてもどこでも無償譲渡がやられた。こんなものは認められない。
もっと悪質なのは、二戸コールセンターで、2年目の事業計画を立てたときに、1年でもとをとっているのに、再リースの契約になっている。月580万円のリース契約である。国が認めたらさらに2年目はぼろ設けするという、こんな悪質な計画だったのではないか。これは徹底的にリースの相手方も含め、調査すべきだと思う。
【商工労働観光部長】
現在、各立地市町において調査しているので、そのような内容を確認する中で、リースの実態の把握にも努めながら、問題のあった部分については適切に是正措置を講じる方策をとっていきたい。
【斉藤委員】
本当にこれは緊急雇用事業では絶対に認められない不当・不正なものだと。そのことを県が完了検査でなぜ見逃したのかと、その責任が厳しく問われると思う。
先ほど室長が「途中で高すぎると思った」と言うのだったら、きちんと完了検査で調査すべきである。紹介した見積書は2012年の9月19日に出ている。少なくともこれを見たら、リース契約は成り立たなかったと思うが、どういう完了検査が行われたのか。見過ごしたのか。
【雇用対策課長】
完了検査については、事業として必要な現物があるかどうか。さらにはリース物件が研修事業に必要な物かという観点で確認している。あとは金額が払われているか。
先ほど物件価格について読み上げたが、物件価格は市場から調達する価格と認識しており、リース料を設定する場合には、物件価格にある程度リース会社としてのリース料を上乗せして設定されるものと認識している。
【斉藤委員】
そういう言い訳をしてはいけない。パソコンの料金を示したが、これはほとんどパソコンをそのまま買うような価格である。洋野町の出入り監視システムレンタル料、月19万円、総額152万円である。152万円を出したら買い取り価格を超えるのではないか。みんなこうなっている。これがリースの実態である。ほとんど買い取りである。
そういう意味で、県が市町に紹介して始まった。これは山田NPO問題以上に県の関与が大きい。責任が大きい。それだけに県はきちんとこの問題について、完了検査もし指導もすべきだったと。残念ながら結果はそうならなかった。その責任をどう感じているか。
【商工労働観光部長】
リース料の問題については、我々も大変遺憾に思っているので、不当なものと認められるものについては毅然とした態度で臨んでいきたい。
【斉藤委員】
緊急雇用事業は国民の税金を使った事業である。それだけに、不正な支出は認められない。そういう原則を貫くべきである。事業主体の市町の責任はきわめて重大である。ただ、今回は県が紹介して県も一緒になって進めてきた。山田NPO問題以上に県の関与が大きい。このことを踏まえて県は対応すべきである。また、厚労省ともさまざまやりとりもしている。不正は不正として、しかしきちんと調査し返還を求めれば市町が痛みを伴うということでは問題も生じる。厚労省の責任もあると思うので、市町の返還の問題は、厚労省の対応も含めて市町の財政負担が生じないような対応で臨むべきではないか。
【商工労働観光部長】
ご指摘の点については、市町の財政等に支障の出ないような方策を県として模索し、しっかり取り組んでいきたい。