2014年11月28日 決算特別委員会
山田町NPO問題に関する質疑(大要)
・検証報告書について
【斉藤委員】
改めて読んでみて、全くずさんで、言い訳、責任逃れだと。山田町はすでに6億7000万円近くの実態のない事業費を返還していると思うが、どうなっているか。
【雇用対策労働室長】
平成23年度は1億6000万円が補助対象外ということであり、それは一旦支払ったものなので返還という形になっている。24年度については、事業を清算する前だったわけだが、5億100万円が補助対象外となり、それがNPO法人から返還されないことにより負担となったものである。
【斉藤委員】
山田町は、6億7000万円近くを自腹で、町民のお金で事業費を事実上返還している。すでに痛みを伴っている。そこの問題を踏まえて、この事業に県はどのように関与したのか。責任を果たしたのかどうか。そういう検証をすべきだと思うが、県としてこの報告書について、会計検査院の検査も受けたと思うが、現時点でもこれで十分だと思っているか。
【管理課長】
実際に会計検査院の実地検査も披見しているところである。それが検査継続中であり、まだ一定の結果が公表されていない。実際、公表の結果が具体に分かったら、それに対する具体的な対応というのも必要になる部分があれば、それに真摯に対応していきたい。
【斉藤委員】
会計検査院の調査は何回、どういう形でやられたのか。
【管理課長】
会計検査院の検査の内容等について、回数についても検査結果が公表されるまでは対外的にお話できない形になっているのでご了承いただきたい。
【斉藤委員】
会計検査院の調査も受けている途中だが、現段階でも3月3日に出した報告書で十分だと思っているか。
【商工労働観光部長】
検証報告書については、24年12月に設置し、6回審議・協議を行いながら取りまとめられたものと考えており、課題等も5つに分けて検証したものであり、その時点においてしっかりとした事実の確認のもとに報告書がまとめられていると思っている。
【斉藤委員】
無反省だということがよく分かった。
・御蔵の湯の建設について
【斉藤委員】
改めてお聞きしたいし何度もここで具体的な問題を指摘してきた。この問題が大きくなるきっかけは御蔵の湯の建設問題だった。これは補助事業の対象になりませんでしたね?
【雇用対策労働室長】
一旦補助対象としたが、再度精査し補助対象外とした。
【斉藤委員】
御蔵の湯の建設は、リース・材料費・組み立て費で一度認めた。県も一緒になって認めた。この4項目の合意というのを県と山田町が合作でやったが、この4項目を示していただきたい。この4項目で認めたということについて県は責任がないと言い切れるか。
【雇用対策労働室長】
4項目について。1つは、御蔵の湯はリース物件であり、その組み立ては専門性を要することから業者に依頼し組み立て作業を行ったもので、組み立て及び解体完了までリース経費の範ちゅうに入るということ。2つ目には、御蔵の湯はリース契約に基づく借用物件であり、一定期間経過すればオールブリッジに返還すること。3つ目、本件は単にリース物件の組み立て費用の負担であり、リース費用に含まれるべき性質の経費であること。4つ目には、将来的には解体し返却することとしており、補助金計約で禁じられている財産取得に当たらないこと。以上の通りとなっており、これについては補助制度に合致しないものであるとは断定しがたいということから、全く成立していないということは一概に指摘されるものではないということで理解している。
【斉藤委員】
結果的には、これは建設事業だと。補助事業に当たらないと。リースの実態もないと。主な4項目はまったくデタラメだったということが明らかになった。
平成24年5月7日に作られた4項目の合意は、県の質問に答えた合意事項である。あなた方がこういう回答を誘導した。一緒になって認められないような御蔵の湯の建設を認めたのではないか。
【商工労働観光部長】
県として誘導したというような事実はない。
【斉藤委員】
私は4項目がデタラメだったのではないかと聞いた。県が認めた合意事項である。あなた方が質問項目を考えた。この4項目に答えなさいと。そして誘導して認めた。全部ウソだったのではないか。御蔵の湯はリース物件でも何でもなかった。あの建設事業はNPOが建設会社に直接発注した。こうやってあなた方は一度、4月17日に「御蔵の湯は建設事業に当たるから認められない」と宮古地域振興センターは山田町に回答していた。これは補助事業に当たらないと山田町は一度自覚した。それを逆転させたのが今紹介した4項目の合意事項である。平成23年度のきわめて重要な時期に、あなた方が町と合作でできないものを認めた。ところが検証報告では、「県の対応は一概に不適切であるとは言い難い」と。こんな検証があるのか。これでまともな検証と言えるか。誰が納得するのか。
【商工労働観光部長】
委員会としてこの説明について、補助制度に合致しないものであるとは断定しがたい内容であり、これがまったく成立しえないものではなかったことから、県の対応は一概に不適切とまでは言えないと取りまとめられているということで、それをその通り受け止めているものである。
【斉藤委員】
結果は出ている。御蔵の湯の建設事業は補助事業に当たらないと。リースの実態もなかった、リース会社も架空だった。結果が出ている問題について、こんなデタラメな4項目で認めたと。これで県に責任がないのか。
【商工労働観光部長】
第三者の方々にも有識者にも入っていただいた検証委員会で取りまとめられた報告書であるので、そのことについて真摯に受け止めているところである。
【斉藤委員】
だからこの検証報告書では検証に当たらないとみんな思っている。結果が出て破たんして、山田町が6億7000万円も自腹で返還している。その諸悪の根源がここだった。御蔵の湯のデタラメなことを認めたから不正が25年度にも広がった。そういう自覚がないのか。
【商工労働観光部長】
結果的に御蔵の湯についてそういう事態になったことについては、報告書は報告書としても、私自身としても重く受け止めなければならないと考えている。
【斉藤委員】
リース物件と言いながら、リース会社も確認していなかった。建設工事が行われていて、それを担当者が見て写真も撮った。緊急雇用事業では建設工事そのものが認められていない。なぜそれを認めたのか。開所式の新聞報道では「2億円」の事業費と書いている。これは他のところからの1億2000万円が入っているが、こんなものが認められないと自覚しながら、あなた方は完了検査でごまかした。そういうことについて、完了検査が不十分だったとは思わないか。
【雇用対策労働室長】
御蔵の湯のリースについては、23年11月に疑問を持ったというご指摘だが、その後、山田町から鉄骨等をリースして設置するという説明を受け、それが不可能ではないということで理解している。その後、御蔵の湯については、リースの話があったが、材料費について非常に疑問を持ち、リースについては完了検査の時点で議題にしているわけではなく、材料費が問題ではないかということでやっているものだが、そういう審査については4項目について回答いただき、それで納得したということである。
【斉藤委員】
御蔵の湯はリース物件だと言うが、リース会社をなぜ確認しなかったのか。
【雇用対策労働室長】
リース会社を確認するという項目もありませんでしたし、県も町も確認していなかったというものであり、県は24年11月にその実態がないことを、オールブリッジという会社の法人の台帳をとり初めて理解した。
【斉藤委員】
2億円余の御蔵の湯の建設がされている。その所有者はオールブリッジだと4項目であなた方は言っている。4項目の合意をしたときに確認もせず目くら判をしたということではないか。そのことについてあなた方は責任を感じないのか。4項目わざわざこういうでっちあげをして認めて、しかしその裏は全然とらなかった。リース・材料費・組み立て費、これで認めるなどと誰が考えたのか。
【雇用対策労働室長】
この3つの方式でやることについては、御蔵の湯の建設の前に当該NPO法人は簡易の風呂を造っており、すでにこの方式については可能であるということを知っていたものと理解している。県の担当者については、23年11月時点で初めて知ったということであり、具体的に御蔵の湯について指示した形跡は全くないものと理解している。
なお、山田町からいただいた議会からの報告書によると、元総務課長は、誰が計画したのか、誰が認めたのかについては全く分からないと答弁している。
【斉藤委員】
最終的には4項目で県と町が認めたということがはっきりしている。これについて「一概に不適切であるとは言い難い」という検証は検証に当たらない。そしてこのことが、大雪りばぁねっと。が不正を広げる大きなきっかけになった。
・5度にわたる契約変更について
【斉藤委員】
平成23年度に5回契約変更がなされている。私は町の担当者に調査した。今は副町長である。「4回目5回目は不足払いだった」と言っている。4回目は5000万円、5回目は1月25日という清算する時期に1億6900万円の増額補正をしている。私はNPO法人の従業員にも話を聞いたが、12月は賃金が未払いだった。12月で賃金が払えなかった。すると岡田代表は「簡単にお金が出た」と。これが4回目の契約変更の5000万円である。そして1月25日、雇用人員が増えないのに1億6900万円もの増額補正がされている。こんなデタラメな補正をなぜ認めたのか。
【雇用対策労働室長】
1月25日については、町の補正予算の話をされたものと理解している。5回目の契約変更については、23年12月に各市町にたいし、23年度事業の執行見込み額を照会し、24年1月9日に山田町の担当者から、当該NPO法人の事業について1億6000万円ほどの増額を希望するということで連絡をいただいている。その後、同センターは1つの契約ではなくまとめて契約したいということもあり、その旨を伝えているところである。24年3月13日に山田町から変更契約の申請書が提出され、同センターではこれを適当と認めて3月15日に変更を行い、翌日には当該担当者は、NPO法人に対して現地で実地指導ということで入っている。なお、不足払いであるというご指摘については、県の認識としては、町から説明いただいているわけでもなく、まったくそういうことであるということは承知していないところである。
【斉藤委員】
私は県が出した資料で話している。資料では、5000万円は前払いでやられている。5回目の契約変更は2月7日に全額が前払いで1億6900万円が払われている。県との正式な協議は3月15日で、これ自身がデタラメである。これだけの補正をしても、3月分の人件費は未払いになった。3月末で2億円の未払いがあった。なぜこれが完了検査でチェックされないのか。
【雇用対策労働室長】
県の決済については、4月11日〜13日にかけて、山田町役場において各課で行っている当該事業についてそれぞれ順番に検査しており、対象となっているのは山田町そのものであり、当該NPO法人からの通帳だとか収入に関する調書等は県として検査の対象となっていなかったので、当該NPO法人について未払いのものがあるといったことについては全く知らなかったものである。
【斉藤委員】
完了検査をしているので知らなかったでは済まされない。4回目5回目も不足払いだった。使い切っていた。そして増額補正をしても2億円の未払いが残った。全く契約変更の中身をチェックしないで県は認めた。1月25日の契約変更は、年度の事業が終わる時期で普通は減額修正する時期である。そんな時に雇用人員が増えないのに1億6900万円の増額補正を認めたことが間違いである。それだけのことをやっても、実は人件費は4518万円未払いだった。材料費も未払いだった。平成23年度でもう使い放題、乱脈経理という実態は、完了検査をまともにやっていたら分かったはずである。このことについてチェックできなかった責任をどう感じているか。
【雇用対策労働室長】
県の完了検査については、町から提出されたものをチェックするという形で、他にお金がないということや他に債務があるといったことを対象とするものではなく、実際に支出したものがあるのか、それに見合ったものがあるのかということを検査するものであり、法人そのものの運営に対する完了検査ではないので、なかなか難しかったものと理解している。
【斉藤委員】
あなたは全然責任について触れない。12月28日と3月15日に県が直接チェックして指導している。現金出納帳や支払伝票が確認できないと。これだけ指導していて、なぜ完了検査でそれをチェックしなかったのか。改めて聞くが、1月25日に1億6900万円の増額補正をなぜ認めたのか。人員は増えていないのに。不足払いそのものではないか。12月と3月にNPO法人も呼んで、これでは完了検査ができないと厳しく指導した。知らないでは済まされない。
【雇用対策労働室長】
1月25日については、町とNPO法人の契約変更であり、県が直接関与しているということではない。そして3月16日の検査については、調査が終わり、山田町に引き続き会計が適正に行われるように整理するようにとお願いし、山田町で後日指導し整理していると理解している。
【斉藤委員】
県は最終的には3月25日である。それはあなた方がミスして、後でいいとなってそうなった。中身を分かっていて、県の対応をミスしてそうなった。会計処理がずさんだということは県は分かっていた。分かっていながら完了検査で見過ごした。だいたい山田町自身が3月31日の完了検査はほとんどやっていない、5月までかかったと言っている。あなた方は全然チェックしなかった。全く会計処理能力がなくずさんだと分かりながら完了検査を通してしまった。
そしてその最中に、翌年の7億9000万円の事業費を認めている。二重の誤りをしたのではないか。
【商工労働観光部長】
完了確認については、山田町から提出されたものに基づいて県として確認したものである。知りうる範囲というのは、一定の条件のもとで行われるものであるので、最終的な個別の受託者に関わる証票等について詳細に中身まで確認することにはなっていない。そういう中で県として完了確認を行ったものと考えている。
【斉藤委員】
平成23年度で使い切っていた、不足払いの契約変更をした。完了検査の前に県が指導に入り、現金出納帳も支払伝票も何もなく、指導が入ったにも関わらず完了検査をすり抜けた。このことは全然検証されていない。これは山田町の第三者委員会でも指摘されていることである。こんなずさんな検証結果はあるか。
事業主体が山田町で問題だったとは本当に思う。しかし、県が時々に問題を感じながら山田町と一緒になり、認められないものを認めてきた。だから問題が大きく拡大した。少なくとも23年度きちんとチェックしていれば、24年度の誤りは防げた。なぜこれが検証されなかったのか。そしてそれで十分だと思うのか。
【商工労働観光部長】
十分かどうかということについては、検証報告書においても、それで全て良しとしているわけではなく、NPO法人の会計処理がずさんであるということについて指摘していたことは事実であるので、さらに踏み込んで詳細な事情を確認することもできたのではないかという意見も報告書で明記されており、その後に再発防止策、チェック機能、中間検査といった諸手続きを充実させることにより対策を講じてきているものである。
【斉藤委員】
この報告書は何度読んでも、言い訳、責任回避。御蔵の湯については、ここに書かれていることは県の責任が問われる中身である。デタラメな4項目で御蔵の湯を認めたと。これは結果的には否定されている中身である。
県の検証報告書は、県議会の理解も県民の理解も得られない。外部の人から個別に聞く程度ではまともに検証できないのではないか。決議が示すように、第三者機関できちんと検証するよう求めたい。