2014年12月10日 12月定例県議会・最終本会議
2013年度岩手県一般会計決算に対する賛成討論


 日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して認定第1号、2013年度岩手県一般会計決算について不認定とする決算特別委員長報告に反対の討論を行い、決算認定に賛成の立場を表明するものです。
 東日本大震災津波から3年9カ月が経過しました。11月末現在の犠牲者は死者4672人、震災関連死449人、行方不明者1130人、合計6251人となっています。震災関連の自殺が32人、孤独死が25人に及んでいます。まさに戦後最大の大災害であります。東日本大震災津波からの復興は、県政最大の課題であり、国政の最優先課題であります。2013年度決算、県政を評価する最大の基準は、東日本大震災津波からの復興の取り組みが、被災者の立場に立った取り組みだったのかどうかであります。
 県政の東日本大震災津波からの復興の取組は、被災者からみて不十分さや遅れはあるものの、基本的に被災者の生活再建と生業の再生を重視する前向きのものだったと評価できるものであります。
 2013年度一般会計決算は、歳出総額で1憶584億円、うち震災復興関連が4012億円に及びます。その主なものは、被災者の命綱ともいうべき被災者の医療費・介護保険利用料等の免除措置を継続実施してきたことです。この事業は来年12月まで継続実施されることになりました。特筆すべき成果であります。住宅再建に市町村とともに100万円の補助を行う被災者住宅再建支援事業は昨年度末で3175件、11月末では4219件となっています。これらの取組は被災県では岩手県のみで実施している事業であります。新築のバリアフリーや県産材の活用に限度額130万円の補助、被災住宅の改修等に補助する生活再建支援事業は、昨年度4436件、18億6543万円の補助額となっています。被災市町村独自にも住宅再建に100万円から300万円の補助、住宅ローンの利子補給に250万円から700万円の補助が実施されています。住宅の二重ローンの解消は354件となっています。被災地福祉灯油も昨年度は17158世帯に4289万円余の県補助で1億884万円余の補助額となっています。今年度も合わせると4年連続の実施となります。
 生業の再生の分野では、昨年度末で、漁船の確保が6324隻で目標の93%、稼働可能漁船数では10282隻となり、震災前の77.4%まで復旧しました。養殖施設の整備は17329台で目標の87.1%、震災前の67%の復旧です。魚市場の水揚げ量は震災前の63.9%、水揚げ金額は87.3%となっています。県独自の「被災資産復旧費補助」は昨年度82件、2億8537万円、累積では274件、8億9355万円余の補助となっています。グループ補助は、昨年度16グループ、85企業に29億円の補助を決定し、累積では115グループ、1248企業、782億円の補助決定金額となっています。自己繰り越し、再交付の運用の改善も図られました。建設費の高騰にも6割まで加算措置が取られるようになったことも重要です。二重ローンの解消では、県産業復興相談センターで98件、東日本大震災事業者再生支援機構で128件、合計226件の債権買い取りが実現しています。
 三陸鉄道は91億円の事業費で、今年4月5日・6日に全線が開通しました。被災地を励ます復興のシンボルにもなりました。584万tに及ぶがれき・災害廃棄物の処理が計画通り完了したことも重要な成果でありました。
 災害公営住宅の建設の遅れや高台移転、区画整理事業などの遅れがあるものの、岩手県の復興の取組は基本的に評価できるものであります。復興の遅れの最大の原因は、民主党政権下で、復興の本格的な補正予算が震災から8カ月後の11月と遅れたことにあります。安倍自公政権になっても、戦後最大の大災害にもかかわらず、従来の法制度から一歩も出ない消極的な取り組みが復興の障害となってきたことも明らかです。
 昨年連続した豪雨災害に対しても、県は被災者に独自に全壊の場合は建設購入で基礎支援金100万円、加算支援金200万円、大規模半壊には基礎支援金50万円、加算支援金200万円、半壊世帯には20万円、床上浸水には5万円の国の支援金の対象を上回る支援を行いました。温泉・観光施設等の被害に対しても特定被災地域緊急支援交付金を実施し、18件に7070万円余の補助を行いました。これらも評価できるものであります。
 復興以外の従来の県政では、簗川ダム建設などの不要不急の大型開発優先、全国的にも、東北でも遅れている子ども医療費助成などの問題がある事は率直に指摘しておきます。
 請願採択の見通しであるので、子どもの医療費助成の抜本的な改善を求めるものであります。
 この間、緊急雇用創出事業に関わって、山田町が事業主体となる「山田町災害復興支援事業」で6億7000万円の事業費の返還を求める不祥事が発生しました。県の検証委員会による報告書が出されましたが、御蔵の湯建設や不足払いだった事業計画の変更における県のチェック、完了検査がまともに検証されない極めて不十分なもので、「言い訳と責任回避」に終始するものでした。第三者機関による検証が求められます。DIOジャパンによるコールセンターの企業誘致は全ての事業が破たんし、解雇と賃金未払いが発生したことは重大でした。市町が事業主体の緊急雇用事業における不適正支出、高額リース料の事実上の買い取り、実態のない研修、県外出張などによる仕事と収入の未申告、業務日誌の改ざんなど、山田町のNPO問題の二の舞ともいうべき事態を引き起こしたことは重大であり、県の対応と責任が厳しく問われるものであります。
 しかしながら、こうした緊急雇用事業における不祥事があったとしても、県政最大の課題である東日本大震災津波からの復興の取り組みを否定するものではないことも明らかではないでしょうか。東日本大震災津波からの復興には、全国からの大きな支援を受けて取り組まれています。県への応援職員は昨年度163人、今年度は170人余、被災市町への応援職員は昨年度596人、今年度は703人となっています。こうした全国からの支援に背を向けることはいかがなものでしょうか。決算の認定に当たっては、県政全体の評価、とりわけ復興事業の評価が問われていると厳しく指摘しておきます。
 以上申し上げ、2013年度岩手県一般会計決算を不認定とする決算特別委員長報告に反対し、2013年度岩手一般会計決算に賛成の討論といたします。
 ご清聴ありがとうございました。