2015年2月27日 2月定例県議会・本会議
一般質問(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して、達増知事に質問します。
東日本大震災津波から4年が経過しようとしています。今、被災地では、災害公営住宅の整備や区画整理事業など、復興事業はピークを迎えようとしています。一方で、被災者は、1月末現在で、応急仮設住宅に22300人、ピーク時の70.2%の方々が生活しています。みなし仮設を含めると28511人、ピーク時の64.5%であります。狭い仮設での生活で心身ともに疲労は限界にたっしています。釜石のある仮設団地では、自殺者が5人も出たと訴えられました。災害公営住宅の入居者は825世帯、1649人にとどまっています。今だに住宅の再建、確保の見通しが立たず、「眠れない夜」を過ごしています。「手を伸ばして寝ることができるところへ早く行きたいと言っていた母親が仮設で亡くなった」など被災者のおかれた状況は深刻であります。岩手で6251人の犠牲者を出した戦後最大の大災害、東日本大震災津波からの復興は県政最大の課題であり、国政の最優先課題であります。復興の最大の課題は被災者1人1人の生活の再建であり、産業の再生と安定した雇用の確保であります。
1、被災者の命と健康、くらしを守る大震災津波からの復興の課題について
被災者の命と健康を守り、生活再建を支援することは復興の緊急課題であります。知事に具体的に質問します。
(1)被災者支援について
第一に、この間、震災関連死は450人に達し、内閣府と県警本部の調べでは、震災関連の自殺は32人、仮設住宅での孤独死は27人となっています。被災者の命、心も健康も脅かされています。「津波で助かった命、再び犠牲にしてはならない」の立場で、あらゆる対策を講じるべきと考えますがどうなっているでしょうか。
阪神淡路大震災から20年がたちました。その最大の汲み取るべき教訓は、1097人にも及ぶ孤独死を出したことであります。東日本大震災では決して繰り返してはならないことだと考えます。そのために、@被災者の命綱となっている医療費・介護保険利用料等の免除措置を、12月末で打ち切るのではなく、被災者が基本的に自立できるまで継続することが必要と考えます。A仮設から復興公営住宅等に大規模に移転が行われる年となります。残された仮設団地でも、復興公営住宅の集会所にも支援員を配置し、机や椅子、カラオケセットも設備し、新たな絆とコミュニティの確立に特別の取組を行うべきと考えますが、具体的な対応を含め知事の答弁を求めます。
【達増知事答弁】
斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
ア、被災者への健康支援等の取組について
まず、被災地への健康支援等の取り組みについてでありますが、被災者のみなさんは震災後の厳しい生活環境の長期化による心身の健康状態の悪化が懸念されております。県ではこころのケアや要支援者への訪問などにより、健康支援を行っています。
また、被災地においては、未だに応急仮設住宅での生活を余儀なくされている方がおられる一方で、災害公営住宅への転居等により生活環境が著しく変化する方々がおられることから、民生委員や生活支援相談員等による見守り活動など、きめ細かな支援を行っております。
今後におきましても、市町村や関係機関等と連携を図りながら、被災者一人ひとりに寄り添った包括的な支援を継続してまいります。
イ、医療費・介護保険利用料等の免除措置について
次に、医療費・介護保険利用料等の免除措置についてでありますが、県では、多くの被災者のみなさんが、未だ応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされ、健康面や経済面に不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があることから、県内統一した免除措置を講じるための財政支援を、平成27年12月末まで継続することといたしました。
平成28年1月以降の対応につきましては、被災地の生活環境や、被災者の受療状況等を勘案し、改めて検討したいと考えております。
ウ、仮設団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立について
次に、応急仮設住宅団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立についてでありますが、支援員については、現在、応急仮設住宅団地では復興支援員制度や緊急雇用創出事業など様々な財源を活用し配置しているところであり、災害公営住宅についても生活支援相談員による見守り支援の対象としているところであります。
今後においても、応急仮設住宅での生活の長期化や災害公営住宅への移転の本格化に対応するため、平成27年度に復興庁が創設する「被災者健康・生活支援総合交付金」を活用するなど、応急仮設住宅団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立に取り組んでまいります。
また、災害公営住宅の集会所の机や椅子などの備品については、復興交付金を活用して配備できないか、現在、国と協議をしているところでありまして、災害公営住宅をはじめ地域におけるコミュニティが維持されるよう、今後も適切に対応してまいります。
【斉藤議員】
(2)住宅再建の支援策について
第二に、住宅の再建は被災者の最も切実な要望です。しかし、住宅の建設費が高騰し、地元の大工さんに頼んだ場合でも坪55万円、震災前と比べて約7万円も引きあがっています。30坪の住宅で200万円以上の高騰です。大手ハウスメーカーの場合は坪70万円以上と言われています。住宅再建の最大の不安が資金問題であります。国に被災者生活再建支援金の500万円への引き上げを求めるとともに、県独自にも住宅再建がピークを迎える今こそさらなる支援策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。
【達増知事答弁】
次に、住宅再建の支援策についてでありますが、県ではこれまで国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してきたところでありますが、国にでは、個人の資産形成につながる更なる支援については、慎重な姿勢をとっているところであります。
このため、県では要望の実現にむけて、限られた財源の中で、100万円を補助する「被災者住宅再建支援事業」を市町村と共同で実施してきたところであります。
加えて、県が国に要望し、増額交付された震災復興特別交付税215億円を、全額、沿岸被災市町村に配分し、それぞれ、各市町村の実情に応じた住宅再建支援策が講じられているところであります。
県としては、国に対して、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と、震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を、引き続き、強く要望してまいります。
なお、厳しい財政状況の中で、県独自での更なる支援の拡充は極めて難しいものと考えております。
【斉藤議員】
(3)災害公営住宅の整備について
第三に、災害公営住宅の整備は、今年3月末で1574戸、5933戸の計画の27%にとどまります。来年3月末までに、2121戸整備され、3577戸、計画の62%まで整備される予定です。木造の戸建て・長屋形式の公営住宅が1268戸整備される計画となっていることは評価したいと思います。大事なことは、被災者の希望を踏まえた公営住宅の整備を進めることです。大槌町では町営の公営住宅は基本的には木造・戸建て・長屋の住宅を整備することにしています。最近のニーズ調査では、戸建てよりも長屋形式の希望が増加しており、長屋形式の住宅を整備するとしています。また、高齢者のみの世帯や1人暮らしで生活に不安のある高齢者向けに「支え合いハウス」(仮称)を整備するとしています。現在の災害公営住宅整備の状況はどうなっているでしょうか。市町村はもとより、県が整備する災害公営住宅も、被災者のニーズをしっかり把握し、それにこたえた整備をすべきだと考えますがいかがでしょうか。
【県土整備部長答弁】
災害公営住宅の整備状況についてでありますが、今年度末で1,574戸、進捗率で27%、来年度末で3,695戸、62%、平成28年度末で5,605戸、94%が完成する予定であり、平成30年度末までに全5,933戸の整備を終える予定となっております。
次に、被災者のニーズに応じた災害公営住宅の整備についてでありますが、県におきましても、@市町村が行った最新の意向調査等を踏まえ、適宜、整備計画の見直しを行い、大槌町の柾内(まさない)団地においては、鉄筋コンクリート造の集合住宅から木造長屋建てへの変更を行なったほか、A漁業従事者用のカッパ置き場の設置、ペット飼育に対応した災害公営住宅の整備、支援員等が活用できる事務室の設置などに取り組んでいるところです。
今後とも、被災者のニーズにできるだけ対応しながら、災害公営住宅の整備を進めて参ります。
【斉藤議員】
(4)防災集団移転事業による土地売却代金の介護保険料・利用料への影響について
第四に、防災集団移転事業によって、津波浸水地域の宅地等を自治体が買い上げることができることとなっています。しかし、土地の売却代金が被災者の所得とみなされ、住民税、国保税、介護保険料・利用料が増税・負担増となり、特に介護施設入居者が非課税だった場合、課税世帯となって、居住費・食事代などの軽減措置がなくなり、80万円から100万円余の増税・負担増となっています。土地の売却代金は、高台移転の土地代であり、生活再建の貴重な費用です。被災者に対するこうした増税・負担増に対して特別の減免の措置が必要と考えますが、県は実態をどう把握しているでしょうか。国に対してどのように要望し、その回答はどうなっているでしょうか。
【保健福祉部長答弁】
まず、防災集団移転事業による土地売却代金の介護保険料・利用料への影響についてでありますが、県としても、防災集団移転による土地売却代金には特別控除が適用されず、介護保険料や施設入所者の食費・居住費等の負担が発生する事例が生じていることは承知
しており、市町村に対し、土地の買い上げの際には、事前にその影響を詳しく説明するように働きかけてきました。
県では、介護保険料については、市町村自らの判断で減免を行うことが可能であることを情報提供しており、また、現行制度の中では、市町村が対応できない食費・居住費への補足給付については、国に対し、「土地譲渡代金等を含まない所得に応じた段階を適用し、給付を可能とする特例的な扱い」を要望しております。
国からは、「制度的な対応は困難」との回答があったところですが、県としては、国に対して、被災者を取り巻く厳しい実情を伝えるとともに、要介護者の負担軽減を図るための特例的な取扱いの必要性について、引き続き要望していきます。
【斉藤議員】
(5)被災地の産業の再生と安定した雇用について
第五に、被災地の産業の再生と安定した雇用の確保は、被災地でくらし続ける不可欠の課題であり、復興の中心課題でもあります。漁業・水産加工業、商工業など中小企業の復興の状況、売り上げの状況と課題についてお聞きします。
グループ補助の決定状況と事業者の再建の状況はどうなっているでしょうか。小規模事業者も参加できるように、手続きも簡素化すべきと考えますがいかがでしょうか。仮設店舗・仮設商店街の本設への抜本的な支援が必要です。本設希望、仮設店舗での営業継続の希望等の状況はどう把握されているでしょうか。
沿岸被災地での雇用保険被保険者は全体で2550人増加しています。しかし、基幹産業である食料品製造業では1450人減少しています。地場産業の雇用・人材の確保にさらに一層取り組むべきですが、県の対策はどうなっているでしょうか。
今議会に、中小企業振興条例が提案されています。昨年末示された商工業振興条例素案の内容が大きく見直され、条例の制定を求めてきた中小企業関係者が歓迎する条例案となったことを評価したいと思います。見直した経過と条例制定に基づく取り組みの基本方向と推進体制を示していただきたい。
【商工観光部長答弁】
ア、グループ補助金の決定状況と事業者の再建の状況について
まず、グループ補助金の決定状況についてでありますが、平成26年度は3回の公募を行い、10グループ、25事業者に対し、8億円を交付決定し、平成23年度以降、これまで121グループ、1,269者に対し、790億円を交付決定しているところです。
また、沿岸地区の商工会議所、商工会の調査によると、平成27年2月1日現在、被災した会員事業所の74%が事業再開をしております。
小規模事業者については、新たにグループを組成することが難しい場合でも、既に計画認定したグループに加わることにより補助金の利用が可能となっており、引き続き、商工団体と連携して小規模事業者がグループ補助金を活用できるよう、支援してまいります。
イ、仮設店舗・商店街の本設移行等の希望状況について
次に、仮設店舗・商店街の本設移行等の希望状況についてでありますが、県が昨年8月に実施した「被災事業所復興状況調査」によりますと、仮設店舗や仮設事業所で再開した事業所のうち、約7割が本設での再開を予定していると回答しております。
また、仮設店舗での営業継続の希望状況につきましては、平成25年10月に岩手県産業復興相談センターが実施した調査によりますと、約8割の事業者が仮設店舗での営業継続を希望していると回答しております。
このようなことから、県といたしましては、市町村や商工団体と連携しながら、本設店舗への移行を希望する事業者に対しては、グループ補助金や津波立地補助金などの補助制度の活用を促すなどの支援をするととともに、仮設商店街に対しては、いわて希望ファンドや国の助成金などの活用を促すなどにより、売上向上やにぎわいの創出を支援してまいります。
ウ、地場産業の人材確保対策について
次に、沿岸被災地における地場産業の人材の確保についてでありますが、県といたしましては、これまで、関係機関と連携した企業見学会や面接会の開催など企業と求職者とのマッチングの促進や、DVDを活用し水産加工現場のイメージアップを図るとともに、企業向けセミナーの開催により職場定着を支援してきたところです。
また、本年度は、水産加工業への就業意欲を高めるため、業界団体に対し、賃金や労働条件等の改善を要請するとともに、U・Iターンを呼びかけるメッセージ・ムービーの作成等により人材確保に取り組んでいるところです。
こうした取り組みに加え、平成27年度の当初予算案においては、県内中小企業が大手就職情報サイトを活用するための経費への補助や、ジョブカフェいわてへのU・Iターン就職相談窓口の設置経費、さらに、水産加工業者が新たに人材を確保するために必要な宿舎整備等への補助を盛り込むなど、人材確保の取り組みを強化することとしております。
エ、中小企業振興条例について
次に、中小企業振興条例についてでありますが、中小企業振興により商工業の振興を図り、持続可能で活力ある地域経済の振興を目指すという観点から、「岩手県商工業振興条例(仮称)」として骨子案をとりまとめたところでありますが、その後、県議会及びパブリック・コメント等でのご意見を踏まえて、中小企業の振興がより明確となるよう、「中小企業振興条例」としたものであります。
この条例に基づく取り組みの基本方向といたしましては、中小企業者の自主的な努力が促進されるよう、人材の確保・育成をはじめ、地域資源を活用した新商品の開発や生産、販路の開拓、雇用環境の整備等への支援を行うこととしております。
また、条例制定後に、長期的目標や具体的な施策等について、中小企業者や県商工観光審議会等のご意見を伺いながら基本計画を策定するとともに、毎年度、施策の実施状況を公表することとしており、従来にも増して、総合的、計画的に中小企業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
【斉藤議員】
(6)JR山田線、大船渡線の早期復旧について
第六に、JR山田線、大船渡線の早期復旧について質問します。JR山田線は、30億円の移管協力金と車両の無償譲渡等の条件で三陸鉄道に移管されることになり、3月7日にやっと起工式が行われることになりました。三陸鉄道が昨年4月5日、6日に全線開通したことと比べると、あまりにも遅きに失したJR東日本の対応と言わなければなりません。今後の復旧の見通しはどうなっているでしょうか。運賃等が被災者にとって新たな負担とならないよう対応すべきですが、どう検討されているでしょうか。
JR大船渡線については、昨年2月19日、突然、山側ルートへの変更案が示され、総事業費が400億円、うち地元負担が270億円と言う無謀な提案がなされました。ところがその後1年以上にわたってその根拠を示すことなく、何の動きもないことは、JR東日本の不誠実さを示すものではないでしょうか。JR東日本は、昨年3月期末決算では、経常利益が3325億円、内部留保が2兆6075億円となる超優良企業です。こうした利益は本来、東日本大震災津波からの早期復旧にこそ最優先で使うべきではないでしょうか。これまでの県の取組とJR東日本、政府の対応を示していただきたい。
【政策地域部長答弁】
ア、JR山田線の復旧見通しについて
JR山田線の復旧見通しについてでありますが、去る2月6日に、県、沿線市町、三陸鉄道及びJR東日本の4者で基本合意したことを受け、JR東日本では、3月7日に復旧工事に着工することとなったところであります。
県としては、一日も早い全線の復旧・運行再開をめざし、引き続き、JR東日本に対し、働きかけていくこととしております。
具体的な復旧スケジュール等につきましては、沿線市町や三陸鉄道の意向が重要であることから、現在、沿線市町の復興まちづくり事業の状況等も踏まえながら、関係者間で協議・調整を行っているところであります。
イ、被災者の新たな負担について
次に、被災者の新たな負担についてでありますが、沿線市町は、JR山田線の運営が三陸鉄道に移行することに伴い、運賃差額が生じることに懸念を示していたことから、今回のJR東日本との協議の中で、一定の配慮を行うよう、強く要請してきたところであります。
鋭意交渉を進めた結果、JR東日本では、「赤字想定額の補填」及び「災害時、施設・設備更新時の費用負担」のほか、沿線市町が行う運賃差額の補填を総合的に勘案した上で、移管協力金の中に反映させたものであります。
なお、具体の運賃差額の補填方法等につきましては、利用者の負担増を回避する観点に立って、今後、県、関係市町及び三陸鉄道において、協働して検討していくこととしております。
ウ、JR大船渡線に係る県の取組とJR東日本、政府の対応について
次に、JR大船渡線に係る県の取組とJR東日本、政府の対応についてであります。
JR大船渡線については、これまで被災前のルートで復旧させることを前提に、地元市、県、JRとの間で、箇所ごとの復興事業と鉄道との整合性について調整を進めてきたところであります。
ルート変更はその区間に新線を引くことに等しいと受け止めておりまして、用地取得等に大幅な時間がかかること、また、JR東日本がかかり増し分の費用負担を地元に求めるなど、復興やまちづくりに与える影響は非常に大きいと認識しております。
そのため、県としては、地元市の意向も踏まえながら、JR東日本に対して、現行ルートでは乗客の安全の確保が困難とする理由について、復興調整会議の場で説明するよう働きかけてきたところであります。
しかし、未だJR東日本からの説明を受けていないところであることから、引き続き明確な説明をおこなうよう求めてまいりたいと考えております。
国に対しては、折に触れ、JR東日本に要請している内容等について説明をおこない、復興調整会議の開催を要請しているところであり、同様に早期開催を求めてまいりたいと考えております。
2、子どもの医療助成の拡充について
【斉藤議員】
次に、子どもの医療費助成の拡充について知事に質問します。12月県議会での全会一致での請願採択と3万筆を超える署名など県民運動の広がりの中で、県は10年ぶりに子どもの医療助成について、一部負担があるものの窓口無料化の現物給付と入院に限定されましたが小学校卒業まで対象年齢を拡充することになりました。遅きに失したとはいえ評価したいと思います。現物給付化はいつから実施できるのか。その対象はどこまでか。入院限定の小学校卒業までの拡充はいつから実施するのか財源を含めて示していただきたい。県民の願いは、中学校卒業までの拡充です。県内市町村の子どもの医療費助成の状況、来年度の拡充の状況をどう把握しているでしょうか。県としてさらなる子どもの医療費拡充の見通しは持っているのでしょうか。すでに全国では、通院を含めた小学校卒業以上までが11都府県、うち中学校卒業までが5都県となっています。年次計画でさらなる拡充を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
【達増知事】
次に、県の医療費助成の拡充についてでありますが、現物給付化の対象は、県が実施している子ども医療費助成のほか、重度心身障がい児、ひとり親家庭の各医療費助成事業を含めた「未就学児」及び「妊産婦」とし、実施時期は、県や市町村のシステム改修、受給者証の様式改正などの準備期間を考慮し、市町村等と協議のうえ、受給者証の更新時期に合わせて、平成28年8月を目途に県内統一して実施したいと考えております。
また、入院の小学校卒業までの対象拡大は、県のシステム改修や市町村が発行する受給者証の更新時期等を考慮し、平成27年8月からの実施を想定しています。
今回の現物給付化及び対象拡大に要する経費として、小学生の入院分の県費負担額及び県医療費助成システムの改修経費と合わせて、一般財源により約9千3百万円を当初予算案に計上しています。
次に、市町村の医療費助成の拡充状況についてでありますが、昨年10月1日現在、子どもの医療費助成の対象年齢を拡大しているのは、28市町村で、その内訳は、高校卒業までが5町村、中学校卒業までが11市町、小学校卒業までが10市、うち1市が入院のみ、小学校3年生までが1市、小学校1年生までが1町となっています。
また、来年度拡大する市町村は、現在調査中ですが、現時点では7市町が4月から拡大予定と聞いています。
次に、今後の拡充予定についてでありますが、県としては、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、市町村と協議のうえ、今回、窓口負担の現物給付と併せて、入院のみではありますが小学校卒業まで拡大することとしました。
子どもの医療費助成の対象を更に拡大するためには、多額の県費負担が見込まれるところであり、県単独政策において、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、現在の厳しい財政状況の中では、助成対象を更に拡大することは直ちには難しいと考えております。
3、高すぎる国保税の引き下げについて
【斉藤議員】
高すぎる国保税の引き下げは、県民の最も切実な課題です。平成24年度の国保税の平均課税所得額は78万9千円です。国保税調定額は13万9千となっており、負担率は17.62%と過去最大となっています。耐えがたい国保税の負担は、国庫負担率削減によるものと思いますが、負担増の実態とその要因をどうとらえているでしょうか。この間、被災地に対する特別調整交付金の交付と来年度からは低所得者対策の支援金が交付されます。それぞれどれだけの交付金となるでしょうか。一関市や花巻市では来年度国保税の引き下げを実施しますが、交付金を活用して引き下げるよう指導すべきではないでしょうか。滞納者に対するペナルティーである資格証明書と短期保険証の発行、給与など生活を破壊する資産の差し押さえは中止すべきと考えますが、実態を含めて県の対応を示していただきたい。
【保健福祉部長答弁】
次に、国保税についてでありますが、国保税の負担率は、年々増加の傾向にありますが、その要因は、医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加している一方で、震災の影響や厳しい経済状況により県民の収入が伸びない状況にあるためと認識しております。
岩手、宮城、福島の被災3県に対する国の特別調整交付金による追加財政支援について、平成25年度の本県分の実績は、約10億4千万円となっています。
また、低所得者が多い保険者の財政基盤を更に強化するため、来年度からは、全国で約1,700億円の財政支援が拡充される予定です。
国保財政は、市町村自ら責任をもって運営するものであることから、交付金の使途や国保税額についても、市町村の判断で決定すべきであり、県としては、市町村からの求めに応じて助言等を行うなどにより、国保財政の適切な運営を支援していきます。
県内市町村における資格証明書及び短期被保険者証の交付対象世帯は、平成27年2月1日現在、資格証明書が220世帯、短期被保険者証が8,353世帯、また、差し押さえは、平成25年度実績で、3,820件、約13億円となっております。
県としては、市町村に対し、滞納者個々の事情に十分配慮し、きめ細やかな対応をするよう要請しております。
4、介護保険の改悪・介護報酬の引き下げの影響と対策について
【斉藤議員】
介護保険の大改悪によって、要支援の高齢者の介護予防サービスが切り捨てられ、市町村の総合事業に変えられます。しかし、全国的にも来年度から市町村が総合事業を実施しようとしているのはわずか7%、県内では住田町と西和賀町だけとのことであります。すでに破たんしていると言わなければなりません。実施できない要因は何でしょうか。県内2町はどのように実施しようとしているのでしょうか。介護報酬が2.27%削減されます。介護職員の待遇改善を除けば、特養ホームでは6%の削減と過去最大規模の削減であります。特養ホームの待機者が全国52万人、県内でも6642人に及び、介護職員の確保ができない状況で、介護報酬を削減すれば特養ホームの整備も介護職員の確保もできなくなるのではないでしょうか。介護職員は必要数に対してどれだけ不足しているでしょうか。私は陸前高田市の特養ホームから話を聞いてきました。年間で2000万円の減収になるとのことでした。介護報酬削減の県内介護施設への影響を具体的にどう把握されているでしょうか。介護保険法の改悪と介護報酬引き下げの撤回、見直しを強く求めるべきではないでしょうか。
【保健福祉部長答弁】
次に、介護保険制度と介護報酬についてでありますが、新しい総合事業について、多くの市町村が平成27年度に移行できない要因として、サービスの担い手の確保などがあるとしており、平成29年度4月までに一定の時間をかけて実施する意向です。
来年度から移行予定の2つの町のうち、4月に移行する住田町では、既存の介護事業所に加え、シルバー人材センター等の活用により、担い手を確保し事業を推進する予定であり、来年1月に移行予定の西和賀町では、現在検討中と伺っております。
介護報酬改定により、県内の特別養護老人ホーム整備が取りやめられるという動きは、現在のところはない状況であり、介護人材については、介護職員処遇改善加算が拡充され賃金改善が図られることとされていいますが、今後、動向を注視することが必要と考えております。
また、介護人材不足については、市町村の介護サービス見込量を基に、県が需給推計を行った結果、次期計画最終年度となる平成29年度の需要数は27,667人、供給数が23,943人と推計され、県内全域で3,724人、うち沿岸被災地では823人の介護人材不足が見込まれております。
介護報酬改定による県内の介護施設への影響について、現時点では把握していませんが、全国老人福祉施設協議会では1施設あたり全国平均で1,500万円程度の減収になると試算しております。
今後、介護施設・事業者団体等から介護報酬改定による影響の把握に努め、現場の声を聞きながら、国に対して必要な要望を行っていきます。
5、県立病院の再建整備と看護師等の増員について
【斉藤議員】
被災した高田、大槌、山田の県立病院の再建整備に、来年度予算では62億円余が盛り込まれました。大槌病院と山田病院は再来年度には新病院で開業の予定であります。医師・看護師の確保の見通しはどうなっているでしょうか。高田病院は計画通りに進んでいるのでしょうか。
今年度から、新しい県立病院の経営計画に基づいて医師・看護師等の増員計画が進められていますが、増員の実績はどうなっているでしょうか。その結果、看護師の9日夜勤や年次休暇の取得率は改善されたのでしょうか。私は先日、中央病院、胆沢病院の看護師さん等から実態を聞いてきました。7対1の看護体制のために、看護師が不足し、外来から病棟に引き上げるとともに、それでも足りなくて他病院からの応援が増加しています。ますます年次休暇が取りにくく労働強化となったと訴えられました。看護師確保のためにも大幅な増員と労働条件の改善が必要と考えますが、来年度の見通しを含め示していただきたい。
【医療局長答弁】
(1)被災した県立病院の再建整備について
まず、被災した県立病院の再建整備についてでありますが、医師においては、現在、大槌病院は常勤医師4名体制、山田病院は常勤医師3名体制となっており、新病院における入院再開に向けて、引き続き関係大学への派遣要請や即戦力医師の招へいに努めるとともに、新たに導入した医師の任期付職員採用制度を活用し、必要な医師の確保に努めてまいります。
看護師については、「岩手県立病院等の経営計画」に基づき、再建後の入院機能の再開等に伴い必要となる職員数を確保することとしており、大槌病院分として、本年度の職員採用選考試験において21名を確保したところです。
山田病院分については、来年度の職員採用選考試験により、必要となる人員を確保していく考えであり、具体的な配置については県立病院全体の職員の配置換えの中で対応していきます。
また、高田病院の建設については、本年度中に病院設計プロポーザルを実施し、平成27年度において、設計委託を行うこととしています。
引き続き、地元陸前高田市とも密接に連携を図りながら、予定する平成29年度の開院を目指して取り組んでまいります。
(2)看護師等の増員について
次に、経営計画における職員配置計画に対する本年度の増員実績についてでありますが、医師については、勤務医は14名、初期研修医は12名の増員を計画したところ、初期研修医及び後期研修医の採用が計画数を下回ったことや、過去に招へいした医師の退職などにより、平成26年度末において、勤務医は19名、初期研修医は11名それぞれ計画数を下回る見込みであり、大変厳しい状況となっています。
一方、看護職員については、大東病院の入院再開や退院調整に携わる看護師の専従配置など36名の増員計画に対し、年度当初においては、国家試験不合格による採用事態などの欠員が生じたものの、特別募集の実施により、最終的には計画を2名上回る38名を増員したところです。
次に、看護師の月9回夜勤と年次休暇の取得状況についてでありますが、平成26年度の月9回夜勤は、第3四半期までの実績で延べ350人となっており、前年同期比で164人減少しています。
年次休暇の取得状況は、平成26年は7.8日となっており、平成25年と比較して0.3日減少しています。
次に、看護師の増員等に係る来年度の見通しについてでありますが、先ほど申し上げた被災病院の再建に係る増員のほか、7対1入院基本料に係る施設基準の維持に必要な人員として11名を追加配置するとともに、産前産後休暇や育児休業等の取得者に係る代替職員についても可能な限り正規職員で補充することとしており、こうした取り組みを通じて勤務環境の改善を図ってまいります。
6、子どもの教育と高校再編問題について
【斉藤議員】
次に教育の課題について、教育委員長に質問します。学力テストの実施によって、学校では学力テストのための朝学習や過去問題の取組が強化されています。こうした実態をどう把握されているでしょうか。県教委はさらに中学校1年生でも来年度は4月に独自の学力テストを実施します。これでは小学校の序列化になると危惧の声も聞かれます。学校もゆとりがなくなっています。国連子どもの権利委員会の日本政府に対する第3回勧告(2010年6月)では、「高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢にある子どもの間のいじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退及び自殺に寄与しうることを懸念する」「極端に競争的な環境による悪影響を回避することを目的とし、学校及び教育制度を見直すことを勧告する」と指摘しました。この指摘を踏まえて改善をはかるべきと考えますがいかがでしょうか。県教育委員会はこの勧告について協議・検討したことがあるのでしょうか。
教育長に質問します。昨年、県内でもいじめがかかわるのではないかと思われる中学生の自殺事件がありました。残念ながら市教委や中学校の調査では解明されず、第3者委員会での調査・検討が行われています。こうした事態をどう受け止めているでしょうか。「いじめはどの学校でも起こりえる」「いじめの問題を許されない人権侵害の問題として全校挙げて対応する」という原則を、全ての学校で研修と討議を踏まえて確立すべきと考えますが、いじめの実態と学校における対応を示していただきたい。
「今後の高等学校教育の基本的方向(改訂案)」が示され、地域説明会も開かれました。日本共産党は具体的な提言を行いました。その内容は、第一に、東日本大震災津波の教訓を踏まえて、地域に必要な高校、地域に支えられ、地域に貢献する高校をめざすべきこと。第二に、高校授業料無償化の実施を踏まえ、全ての青少年に高校教育を保障し、成長を支える高校。高校中退をつくらず、中退しても再教育が可能な体制の構築、第三に、1学年3学級以下の高校が42%を占める中で、「4〜6学級が望ましい学校規模」とすることは実態に合わないこと。地域にとって望ましい学校規模を多様に検討すること。第四に、地域に必要な小規模校は存続し、多様な支援を強化することを明記すること。第五に、特別に支援が必要な生徒が急増しており、教員の大幅な増員とともに特別支援学校及び高等部の整備を進めることが必要と提起しました。こうした課題について具体的な対応と答弁を求めます。
文科省は1月27日、「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」を示しました。その中で必要とされる学級数は、小学校では1学年1学級以上、中学校については1学年2学級以上、望ましい学級数は、小学校で1学年2学級以上、中学校で3学級以上とされています。県内の学校でこの基準に達しない学校はどれぐらいあるでしょうか。広大な岩手県では、全国一律の基準で統廃合を進めることなく、とくに小学校の場合は地域の文化と絆・コミュニティの拠点であり、地域の中で教育を進めることが特に重要と考えますが。県教委の基本的な考えをお聞きします。
【教育委員長答弁】
(1)学力テストについて
学力についてでありますが、学力調査はあくまで明らかになった課題をもとに指導改善を行い、児童生徒の学力保障につなげるために実施するものでありますので、いわゆる調査直前の「テスト対策」を主眼とした取組は厳に慎むよう指導しているところであります。
このことについては、議員も昨年からご指摘いただいたことも受けまして、年度当初の校長研修会等において改めて指導するとともに、昨年12月には各市町村教育委員会を通じて各学校に指導したところであります。
また、平成27年度から中学1年生の4月に実施する新入生学習状況調査は、これまで10月に実施していた調査を4月に実施するものであり、中学校入学当初の生徒一人一人の学習状況を把握するとともに、小学校での学習や生活習慣に関するアンケート調査を基に、小・中学校における指導の一層の連携を図り、児童生徒の学力保障に役立てるものであります。
調査結果の取り扱いにつきましては、他の調査と同様に、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分に配慮してまいります。
国連子どもの権利委員会の勧告等については、子どもの権利条約にある生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利は、子どもたけでなく、その親や学校教育現場、社会全体で実現、確保されるものと認識しております。
教育委員会といたしましては、国の見解やこの条約の理念を尊重し、例えば今議会に提案されている「いわての子どもを健やかに育む条例案」について、「異存がない」旨を申し上げましたし、個々のいじめや不登校問題についても、十分協議し対応してきたところです。
また、教育委員会議では、過去に議員から勧告に係る質問があったことも報告しておりますし、今後とも、しっかりと情報共有をしながら勉強し、取り組んでまいります。
【教育長答弁】
(2)いじめの問題について
いじめの問題についてでございますけれども、まずこの第三者委員会は、生徒の自殺という重大事案の発生、当該生徒の保護者等からの要請を踏まえまして、いじめ防止対策推進法に基づき、医療の専門家や弁護士など有識者5人で構成されているものでございます。昨年9月に設置以来、これまで15回の委員会が開催されていると承知いたしております。
この間、第三者委員会におきましては生徒アンケートや保護者など学校関係者からの意見聴取も行いながら、専門的知見からの調査や協議が進められていると聞いております。
県教委といたしましては、事の重大性に鑑み、事案発生以来これまで、市教委からの求めに応じてスクールカウンセラーの緊急派遣や、情報提供などを含め必要な助言を行ってきているところでありますが、現在、第三者委員会の調査が進んできているところでありますので、まずは、この調査の動向を注視してまいります。
次に、各学校におけるいじめ防止等についてでありますが、法施行以来これまで、各学校に対して昨年4月に策定した本県の「いじめ防止等のための基本的な方針」などを参考に、「学校いじめ防止基本方針」の策定を指導してきたところでありますが、ほぼすべての公立学校において策定が完了しており、現在は各学校においてこの方針に基づく取り組みが行われているところでございます。なお、いじめの実態につきましては、平成25年度問題行動等調査によりますと、小学校で467件、中学校で241件、高等学校で120件、特別支援学校で9件、合わせて837件と把握いたしております。
県教委といたしましては、様々な取り組みをした中においても、児童生徒が集団生活を営む中で、いじめやトラブルは常に起こり得るとの認識を持ちながら、市町村教委や関係機関とも十分に連携しつつ、不断に、未然防止の推進に取り組むとともに、事案が発生した場合においては適切、かつ丁寧な対応をはかってまいる考えであります。
(3)高校再編に係る諸課題について
次に、高校再編等についてでありますが、それぞれの高校が、地域と結びつき、支えられながら、地域に貢献することは大事な視点と認識しており、地域との連携・協力の在り方については、今後におきましてもそれぞれの地域、市町村からのご意見を伺いながら、その具体化を進めて参りたいというように考えております。
まず、高校教育の保障につきましては、県教委においては、生徒達が安心して高校教育を受けられるよう、経済的理由で修学が困難な生徒に対して、岩手育英奨学会の奨学金制度などを通じて支援に努めてきており、また、本年度からは、授業料以外の教育費の負担を軽減するため、低所得者世帯の生徒に対して、「奨学のための給付金」の支給を行ってきているところであり、今後も引き続き支援してまいりたいと考えております。
基本的方向改定案における望ましい学校規模については、生徒自身の進路目標をより一層実現できる体制としえ、一定の学校規模が必要であること等を考慮し、検討委員会からの報告等を踏まえ、原則1学年4〜6学級としているものでございます。
また、この学校規模については、1学年3学級以下の小規模校であっても、地域の意見を丁寧に伺いながらその在り方を慎重に検討する考えでございます。
一方、今後入学生の減少が一層進行し、極端に生徒数が減少した場合には、統廃合を検討せざるを得ない状況等も想定されますが、小規模校の地域における重要性については、様々な意見をいただいているところであり、人口減少社会への対応も見据え、小規模校の教育の質を維持するため、教員配置のあり方やICTの活用など多面的な対応を検討して参ります。
高校における特別な支援が必要な生徒への対応については、こうした生徒への個別の支援を担う特別支援教育支援員の配置のほか、特別支援学校との人事交流による専門教員の配置、学校個々の実情に応じた柔軟な定数配置など、適切な教職員の配置に努めているところです。
また、特別支援学校の整備については、現在、地元自治体や教育関係者などとの協議をしながら、具体的な検討を進めているところであり、今後も特別支援教育環境の充実に努めて参ります。
(4)小中学校の統廃合について
次に、小中学校の統廃合についてでありますが、まず、今般、文部科学省が策定した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」において、検討の対象としている学校数については、少なくとも1学年に必要とされる学級数は、小学校で1学級以上、中学校で2学級以上とされており、こうした学級数に達していない県内の学校は、小学校で101校、29.6%、中学校で78校、39.1%となっております。
また、1学年に望ましいとされる学級数につきましては、小学校で2学級以上、中学校で3学級以上おされておりますが、県内の小学校では264校、76.5%、中学校では114校、67.5%が達していないと把握いたしております。
統廃合における基本的な考えについてでありますが、学校配置を具体的に検討する場合においては、通学距離や通学時間も含め、児童生徒の教育条件をよりよくすることを基本とした上で、学校が地域のコミュニティの核としての性格を有する場合も多いことから、県教委といたしましては、市町村教委に対して、「魅力ある学校づくり」の視点を踏まえながら、保護者や地域の十分な理解と協力のもとに丁寧に進められるよう助言しているところでございます。
7、県警本部の不祥事等の対策について
【斉藤議員】
県警本部の不祥事の実態と対応について県公安委員長に質問します。昨年度の県警本部の不祥事件数は全国最悪でありました。過去5年間における懲戒処分者の状況はどうなっているでしょうか。公安委員会としてその実態と要因をどう検討し、具体的にどう対応をしてきたでしょうか。また、県警本部職員のサービス残業の改善を私は繰り返し指摘してきましたが、実態をどう認識し解決しようとしているのでしょうか。
県警本部長に質問します。新任の本部長となりましたが、東日本大震災津波からの復興が県政最大の課題です。被災地の状況と被災地の住民の安全の確保等についてどのように受け止めているでしょうか。来年度の課題をどう設定し取り組もうとしているのか示していただきたい。
【公安委員長答弁】
はじめに、県警察の不祥事の実態と対応についてであります。
平成22年から平成26年までの間における県警察の懲戒処分者数は、合計23名となっております。処分種別では、5年間で、免職が3名、停職が6名、減給が7名、戒告が7名となっております。
具体的対応についてですが、公安委員会といたしましては、特に、平成25年において懲戒処分者数が10名を数え、危機的状況となったことから、その防止のため最大限の対策に努めて参りました。
公安委員会では、都度、事案の背景、経緯及び要因等について報告を受け、発生要因等を踏まえながら議論を行い、県警察に対しては、非違事案の発生要因を踏まえた再発防止対策の徹底について、機会あるごとに指示してきているところであり、特に、職員の心に響く教養・指導の実施について助言するなどの対応をして参りました。
公安委員会といたしましては、非違事案発生の背景・要因は、○法令順守の模範となるべき立場の警察職員としての職務倫理意識、自覚の欠如、○幹部による業務管理、身上監督、指導が十分ではなかったこと、にあると考えており、それらを踏まえた具体的な防止対策といたしまして、○各警察署総合監察において、警察署長に対する各種取組の確認と督励、幹部との非違事案防止座談会陪席による助言、指導、○公安委員が直接警察署や警察学校等に出向いての「職務倫理講話」の実施、などを実施し、これらを継続しながら、再発防止に取り組んでいるところでございます。
その結果、そもそも非違事案はあってはならないものではありますが、平成26年中の懲戒処分者数は2名と、前年の10名と比べ大幅に減少し、一定の成果があったものと考えております。
引き続き緊張感を持ちながら、非違事案の絶無を図るべく、県警察を管理して参りたいと考えております。
次に、県警察職員の超過勤務についてであります。
平成25年度における県警察職員一人当たりの超過勤務の状況は、○月平均超過勤務時間数が約22.2時間、○月平均支給時間数が約17.6時間、○平均超過勤務時間数に占める平均支給時間数の割合は約79%であり、年々改善が図られていると県警察から報告を受けております。
公安委員会といたしましては、超過勤務を縮減することが公務能率の向上、職員の健康の保持などの観点からも重要であると認識しておりますことから、引き続き県警察から超過勤務縮減の取組状況の報告を受けつつ、警察職員に適正な処遇が図られるよう督励して参りたいと考えております。
【県警本部長答弁】
はじめに、被災地の状況と住民の安全確保についてであります。
先日申し上げました通り、まちづくりや生活再建自体が未だ途上であることに照らし、県警察として、被災地の安全・安心の確保を図り、復旧・復興に寄与することが極めて重要と考えております。
ここで、被災地の犯罪、そして交通事故の発生状況につきまして、かいつまんで申し上げます。
被災地を管轄いたします大船渡、釜石、宮古、岩泉、久慈の5警察署管内における平成26年度中、昨年中の刑法犯認知件数は764件、前年比−134件、率にして14.9%減少しております。これ、震災前の平成22年と比較しましても−268件、26%減少しております。
次に、昨年中の交通事故発生件数、同一の5署管内でありますが、合計で355件で前年比−80件、率にして18.4%減少しております。ただし、死者数は、19人でありまして、前年に比べて6人増加となっております。同様に震災前に平成22年と比較いたしますと、発生件数は−183件、34%の減少でありますが、死者数は4人の増加となっております。
次に、主たる今後の課題とそれへの取組についてであります。
1点目は、震災による行方不明者の捜索活動の継続と犠牲者の身元確認であります。
関係機関と連携を図りながら節目、節目の捜索を継続してまいります。それとともに、DNA鑑定、似顔絵、ご遺体の特徴、所持品等の情報公開を進め、一日も早くご家族にご遺体をお返しできるよう身元確認に努めて参ります。
2点目は、被災地の交通安全対策についてであります。
先程申し上げました通り、被災地における交通事故死者数が残念ながら増加しております。したがいまして交通機動隊の集中投入など、街頭活動を強化いたします。それとともに死者の中でも高齢者が約7割を占めている実態を踏まえまして、関係機関・団体と連携しつつ、高齢者宅への家庭訪問等の対策を推進して参ります。
また、被災地におきましては、ご承知の通り、土地のかさ上げ、区画整理事業のほか、復興道路の整備等新たな交通環境が構築されていますことから、これに対応する交通安全施設の整備等を計画的に実施して交通事故防止に努めて参ります。
このほか、引き続き仮設住宅への巡回、そして刑法犯が減少傾向にあるとはいえ、犯罪抑止対策に取り組むほか、復旧・復興事業に介入を目論む暴力団の排除対策、警察施設の早期復旧による治安基盤の強化等に努めて参ります。
8、安倍政権の暴走から県民のくらしと雇用、平和を守る課題について
【斉藤議員】
(1)消費税10%増税の中止について
次に、安倍政権の暴走政治が国民のくらしと地域経済、平和を脅かしています。国の悪政から県民のくらしと地域経済を守ることは「福祉の増進」を目的とする県政、地方自治体の重要な課題です。知事に質問いたします。
第一に、昨年4月に強行された消費税8%増税によって、経済の6割を占める個人消費は昨年1年間、過去20年間で最大の落ち込みとなりました。日本経済は深刻な危機に陥っています。県民のくらしと県内経済への影響はどうなっているでしょうか。消費税の10%増税の中止を求める請願・意見書が昨年9月県議会で採択されましたが、知事としても中止を求めるべきではないでしょうか。
【達増知事答弁】
次に、消費税の増税についてでありますが、昨年の県内経済は、復興需要や内陸部を中心に製造業の生産活動が活発化していることなどを背景として上向いてきたところですが、実質賃金については円安に伴う物価上昇や消費税率引き上げの影響により低下したところであります。
消費税の増税については、被災地の経済の再建や復興の推進に影響を及ぼすことも懸念されますことから、これまでも国に対して慎重に判断するよう要望してきたところであります。
今後におきましても、国に対しては、復興の進捗や被災地の経済状況を十分に見極め、適切に対応するよう求めてまいります。
【斉藤議員】
(2)非正規雇用について
第二に、非正規雇用が4割近くまで広がり、不安定雇用と賃金が落ち込んでいる中で、安倍政権は、国会に「生涯派遣」「正社員ゼロ」に結びつく労働者派遣法の大改悪と残業代ゼロ法案を提出し、強行しようとしています。今必要なことは、非正規から正社員への流れをつくることではないでしょうか。サービス残業とブラック企業を根絶し、「残業は月45時間まで」と定めた「大臣告示」を法制化し、異常な長時間労働を正すことではないでしょうか。中小企業への支援を強化し最低賃金を時給1000円以上に引き上げることも必要です。東京都は、昨年12月に示した「東京ビジョン」で、非正規から正社員へ年間5000人、3年間で1万5000人増やす計画を示しました。県内における非正規労働者の実態を含めて知事の見解を求めます。また、岩手県としても非正規から正社員化の計画と目標をもって県政の重大課題として取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
県内最大の工場となっているトヨタ自動車東日本岩手工場は、フル生産体制となっています。しかし、2750人の従業員のうち、正社員は1880人、68.4%にとどまり、期間社員が596人、21.7%、派遣社員等が274人10.0%となっています。リーマンショック前の2008年(平成20年)度には期間社員から106人が正社員となりましたが、その後は10名前後で低迷をしています。現状・実績を示していただきたい。トヨタ自動車東日本に強く正社員化を求めるべきと考えますが、どのような取り組みを行っているでしょうか。
【達増知事答弁】
次に、正規雇用の拡大の取組等についてでありますが、本県における平成25年の一人平均年間総労働時間は1,908時間と、全国平均の1,791時間より117時間長く、また、平成24年の正規従業者等の割合は、62.4%と、5年前の平成19年と比較して4ポイント低下しているところであります。
こうした状況から、賃金や労働条件の改善、正規雇用の拡大など雇用の質の向上を図る必要があると考えます。
このため、平成27年度の経済・雇用対策の取組方針において、長期・安定的な雇用の創出・拡大と正規雇用の拡大を掲げたところであります。
この方針に基づいて、産業振興施策や雇用対策基金を活用した雇用の創出・拡大を図るとともに、今後とも、岩手労働局などと連携しながら、「働き方改革」の推進、雇用管理改善等の促進及び雇用の維持、確保等について関係団体に要請してまいります。
次に、トヨタ自動車東日本岩手工場における期間社員の正社員化についてでありますが、平成21年度からこれまで、概ね毎年度10名から10数名の期間社員を正社員に登用していると聞いています。
トヨタ自動車東日本には、企業訪問や各種会合など、機会をとらえ、期間社員の正社員化を要請してきているところであり、今後とも、安定的な雇用を確保するため、様々な機会をとらえて要請してまいります。
【斉藤議員】
(3)農協改革と米価下落対策について
第三に、安倍政権は、農協「改革」を「戦後以来の大改革」の冒頭にあげました。しかし、この「改革」は農協と農業の現場から出たものではありません。TPP反対の中心となってきたJA全中、農協をつぶすことがその狙いではないでしょうか。その背景には、120兆円とも言われるJAバンク、JA共済の運用資金を狙っているアメリカと日本の大銀行・大保険会社の圧力があるのではないでしょうか。農協の改革は、協同組合にふさわしく自主的に行うべきと考えますが知事の見解を求めます。
当面の最大の課題は、米価暴落対策であります。円安による生産費の高騰も懸念され農村は未曽有の危機に直面しています。山形県は、独自に種もみに対する補助を実施します。岩手県としても国に必要な対策を求めるとともに、県独自に具体的な支援策を講じるべきではないでしょうか。
【達増知事答弁】
次に、農協改革についてでありますが、本来、農協は、組合員の相互扶助の精神に基づく自律、自助の独立した組織であり、組合員の意思と責任により、自主的・自律的に、自らの手で組織・事業改革を進めていくことが基本と考えています。
今後、国会への関連法案の提出が予定されていますが、これまで農協が果たしてきた役割や当事者である農業者・関係団体など現場の意見、地域の実情をしっかり踏まえ、改革の目的としている農業者の所得向上と農業・農村の活性化につながるようにすすめてほしいと考えております。
次に、米価下落への支援策についてでありますが、今般の米価下落は、全国的な米の需給の緩和によるものであることから、国による対策が必要と考え、北海道・東北地方知事会等を通じて、過剰米の市場からの隔離などを要望してきたところであり、国では、米価下落対策として、平成26年度補正予算で、資材費の低減等を支援する総額200億円の稲作農業体質強化緊急対策事業を創設したところであります。
一方、米の需給は引き続き緩和しており、県では、これまで以上に高品質・良食味米の生産や販売対策の取組を強化するため、「いわての美味しいお米生産・販売戦略」に基づいて、新たに設置する「県産米戦略室」を中心に、国の事業も活用しながら、直播栽培の導入拡大による生産コスト低減に向けた取り組みや、県産米の消費拡大の取組を支援してまいります。
【斉藤議員】
(4)日本とアジア諸国との「和解と友好」について
第四に、戦後70年の歴史的節目に当たって、今年が日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう新たな一歩となることが求められています。
安倍政権の集団的自衛権の行使がめざすものは、「戦争する国づくり」であり「若者を戦場に駆り立てる」ものであります。世界に誇る憲法9条を事実上改悪するものであります。県議会は昨年6月議会で、集団的自衛権の行使容認に反対する意見書を採択しました。知事としても反対すべきと考えますが答弁を求めます。
教育長に質問しますが、高校生等の自衛隊・防衛大学校等への入隊・進学の状況(昨年度と過去3年間)はどうなっているでしょうか。安倍政権が「海外で戦争する国づくり」を進めようとしている中では、自衛隊への進路指導を慎重に行うべきと考えますが答弁を求めます。
アジア諸国との「和解と友好」のためには、@「村山談話」「河野談話」の核心的内容である「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫び」を引き継ぐこと、A日本軍「従軍慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すこと。B少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立すること。C民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶する断固たる立場に立つこと。D「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力を尽くすこと―が必要と考えますが知事の見解を求めます。
壇上からの質問は以上ですが、答弁によっては再質問いたします。ご清聴ありがとうございました。
【達増知事答弁】
次に、集団的自衛権についてでありますが、政府においては、昨年7月の集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定を踏まえ、今国会で、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進める方針を表明し、関連法案を提出すべく準備を始めたと認識しております。
安全保障法制の整備については、集団的自衛権の行使の是非も含め、様々な議論がなされ、今なお慎重論や反対論が多いことから、政府において、国民的な議論を十分に尽くし、国民が納得の上で行われることが必要だと受け止めております。
次に、アジア諸国との「和解と友好」に向けた見解についてでありますが、アジア諸国との関係は、我が国にとって大変重要であり、岩手県としてもアジア諸国との地域間交流を発展させており、これが国同士の友好にも資すればと思っております。
政府の施策や姿勢については、様々な考え方ややり方があろうとは思いますが、地方自治体による地域間交流発展への努力が、実を結ぶよう進めて行っていただきたいと考えております。
また、ヘイトスピーチについてでありますが、本県においては、国籍や民族等の違いにかかわらず、すべての県民がお互いの文化的背景や考え方を理解し、地域社会を支える主体として共に生きる「多文化共生社会」の実現を目指した「岩手県多文化共生推進プラン」を推進しており、これと相反するものでありますので、あってはならないと考えます。
【教育長答弁】
次に、自衛隊・防衛大学校等への入隊・進学の状況などについてでありますが、高校生の入隊・進学の状況につきましては、平成23年度は自衛隊が81名、防衛大学校が2名、防衛医科大学校が2名、平成24年度は自衛隊が93名、防衛大学校が2名、平成25年度は自衛隊が92名、防衛大学校が6名となっております。
また、高校教育におきましては、発達段階に応じた全ての教育活動を通じて、自らの人生観や世界観、価値観を形成し主体性を持って生きる意欲を高める教育を推進しております。
進路指導に当たりましては、こうした点も踏まえつつ、職業選択の自由の中で特定の業種に片寄った誘導をすることなく、あくまでも生徒本人の意欲や能力、関心とともに、保護者の思いなどを受け止めながら対応しているところでございます。今後とも丁寧に対応して参ります。
《再質問》
・新たなコミュニティの確立について
【斉藤議員】
答弁ありがとうございました。
まず最初に、知事に、私、阪神淡路大震災の教訓ということで、1,097人に及ぶ孤独死を岩手では絶対、繰り返してはならないということを指摘をしました。
実は復興公営住宅に入ってからの孤独死というのが800人以上を占めるんですよ。毎年40人から40数人、阪神では今でも孤独死が続いています。
それで、仮設団地の場合は、これから大規模に移動して取り残されるという方々、今まで以上にたいへん厳しい状況におかれます。だから数が減るからということで、支援員の体制を絶対弱めてはならない。
もう一つは新しい復興住宅に、生活支援相談員が巡回するのはいいんですよ。それだけでは絆作れないのです。私は、一定規模の復興公営住宅には、支援員配置して、いつでもそこに入居者が、被災者が行けるようにしないとね、絆っていうのは簡単にできないんですよ。
阪神淡路大震災の最大の教訓ということで、復興公営住宅でコミュニティが崩壊したということが言われているんです。いわば、震災でコミュニティが崩壊し、避難場所からまた仮設でコミュニティが崩壊し、仮設からまた公営住宅でまたコミュニティが崩壊する、と。これが被災者の現状なんです。そして最も困難なのは、復興公営住宅での絆なんですよ。コミュニティの確立が最も困難です。
復興というのは箱ものではできないんです。人と人との関係なんですね。
私はだから、ぜひ復興公営住宅にきちんと支援員を配置して、机、いすはもちろん、これね私、先の政府交渉で、「復興交付金の対象になる」と聞いてきましたから。机、椅子の配置はね。そしてカラオケセットもね、仮設団地はみんなありますよ。仮設にあるものはみんな配備すると。あらゆることをしてですね、私は、復興公営住宅の新たな絆、コミュニティの確立に取り組むべきだと。
阪神の場合、確かに共有スペースを作ったんです。ところが、誰が電気代を払うんだ。誰が維持管理するんだ。結局は使われなかったというのが、これまた阪神の教訓ですから、そのことをぜひ、いろんな事業ありますのでね、市町村はそこまでまだ目が行き届かない、思いが行き届かないということもあります。しかし、今年、来年が災害公営住宅建設のピークです。今年が勝負なんです。そういう手立てをぜひ、とっていただきたい。
【達増知事答弁】
まず、仮設団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立についてでございますけれども、私も今年、阪神淡路大震災からの20周年ということで、神戸行きまして、井戸知事や神戸のみなさんに会い、やはりこの、仮設、災害公営住宅段階でのコミュニティの確立が非常に重要だと、そういう生活復興の観点が非常に重要だということを改めて、伝えられたところであります。
岩手県としても生活復興の視点にたった復興を進めていかなければならないと考えておりまして、ご意見参考にしながら、この特に、災害公営住宅段階でのコミュニティ確立につとめていきたいと思います。
・被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置の継続について
【斉藤議員】
それとですね、被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置の継続ですが、現状を、おそらく夏、秋にかけて検討するということになりますが、これまた、私、先の2月13日の政府交渉で、県、市町村が免除措置をやった場合には、国は10分の8補助やります、と明確な回答をいただいてきました。これは制度としてあるんだと。期限はないんだと。こういうことですから。実際に、この1年かかっても、災害公営住宅は2,121戸、土地区画整理や高台移転で整備される区画は2,316戸です。4,437戸整備される計画だけど、これはマックスです。ここまで行かないと思うけれども。これだけが整備されてもですよ、応急仮設住宅は半分以上残りますよ。私はそういう意味でね、被災者の状況に変化はおきるけれども、生活苦が深刻になっている中で、私は早く、被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置というのは、継続を検討すべきだと。12月末っていうのは、年度途中なんです。これでは不安は解消されないのですよ。そのことを2番目にお聞きしたい。
【達増知事答弁】
次に、医療費・介護保険利用料等の免除措置についてでありますけれども、まずは今、必要に対して措置された免除への財政支援を続けさせていただきたい。
・住宅再建へのさらなる支援について
【斉藤議員】
3番目に、これも知事ですが、住宅再建へのさらなる支援ですけれども、坪70万、大手ハウスメーカーの場合ね、30坪の家で、660万円負担増なんですよ。住宅支援公庫がありますけれども、住宅金融支援機構。これね、自力再建の費用は、平均して2,829万円。2年間で380万円増えた、と。借入額は1,533万から1,866万。333万円借入額も増えている、と。建築費も借入額も300万、400万近く増えているんですよ。県の支援、市町村の更なる支援というのはね、私、貴重で評価しています。しかし、それではですよ、自力再建が果たせないというのが今のね、被災者の状況です。実際に大槌ではね、防集の希望が減って、災害公営住宅がですね、計画の110%になったという話もあります。全体的にそういう状況をどういうふうに把握しているのか。災害公営住宅の建設が今年ピークです。今支援しなかったらね、自立再建あきらめるということになってね、災害公営住宅にさらに移動することになりはしないかと。財源の問題があるので、たいへん私は困難な課題だと思うけれども、やっぱり緊急性、必要性、私はどっかでこれ判断してね、支援をしなければダメなのではないかと。
【達増知事答弁】
住宅再建の支援策については、建設費の上昇、まさにその通りでございまして、こういった被災地の実態をきちんと国に伝えながら、単なる個人資産の増大に税金を投入するということではないんだということを、国に対して理解を求めていきたいと思います。
・被災者の実態と希望に対応した災害公営住宅の建設について
【斉藤議員】
4番目。これは土木部長にお聞きしましょう。県土整備部長に。被災者の実態と希望に対応した災害公営住宅の建設を私、質問いたしました。県営住宅の空き室が多いんですよ。その具体的理由はね、3DK、これね家賃が高くて、入れない人が多いんです。そして、木造長屋に見直したということもありましたが、被災者のニーズっていうのは絶えず変化しています。私は、そういう間取りにしてもね、形式にしてもね、絶えず被災者のニーズにあった災害公営住宅の建設にとりくむべきではないかと。大槌町では支え合いハウスを作るということも、私、指摘をしました。介護施設に入るまでにはいかないけれども、自分たちだけでは不安だという80代、90代の高齢者いますよ。私、釜石で聞いてきたらね、90になる高齢者世帯、仮設から命がけで車運転して買い物行ってるんですよ。だから、そういう高齢者が入れるようなね、住宅が必要だと。ぜひ災害公営住宅にそういうメニューもあるんですから、そういうニーズもしっかり受け止める必要があるのではないか。
【県土整備部長】
被災者のニーズにそった災害公営住宅の整備についてでありますが、入居の希望地区、あるいは間取りについては、意向が変化していくなかで、私どもといたしましては、最新の意向調査等をふまえて、できる限り整備戸数や間取りを見直ししていくとともに、入居要件等の緩和も含めできる限り柔軟な対応につとめてまいります。
・子どもの医療費助成の拡充について
【斉藤議員】
知事に改めて聞きますが、子どもの医療費拡充、10年ぶりの拡充でありました。今年はね、システム更新に5660万円かかっているんです。来年からなくなるんですよ、これは。私は、このシステム更新費にね、さらにプラスして小学校卒業までの通院まではね、ぜひ拡充をする必要があるのではないか。そのための必要な財源も示していただきたい。それを検討していくということでないと、人口減少、少子化対策に私は対応できないと思いますよ。
【達増知事答弁】
県の医療費助成の拡充についても同様でございますけれども、27年8月、28年8月からのそれぞれの実施、対象拡大、現物給付化、まずは今決めたことについてこれしっかり取り組ましていただきたいというふうに考えております。
【保健福祉部長】
先ほど、子どもの医療費の関係でですね、小学校の卒業通院まで拡大した場合の県費負担額のご質問ありましたが、粗い試算でございますけれども、約3億1千万円というふうに試算しております。
・県警の不祥事について
【斉藤議員】
公安委員長にお聞きいたします。不祥事対策取り組まれているという答弁でした。私ね、26年度減った、本当に減ったんなら評価したい。しかし、不祥事隠しがあるんじゃないか。今年の1月末に、県警本部の警察官が簗川大橋から飛び降り自殺をはかった事件がありました。数日後に死亡しました。公安委員長は、この報告は受けているでしょうか。私に対する指摘ではね、裏金帳簿の作成の強要に異議を唱えて、逆にいじめられた結果だと。32才の警察官ですよ。若い警察官が自ら命を絶つなんてことはね、簡単なことではないんですよ。この報告は受けましたか。受けていたとしたらね、公安委員会としてどう検討対応したか示していただきたい。
【公安委員長】
職員の自殺事案があったとして、県警本部から報告をうけております。自殺事案については、個人のプライバシー及び死者の尊厳にかかわることでございますので、原則非公表であると承知しております。よって報告の内容につきましては、答弁を差し控えさせていただきます。
《再々質問》
・復興公営住宅への支援員の配置とコミュニティの確立について
【斉藤議員】
復興公営住宅への支援員の配置とコミュニティの確立、これ本当に私は来年度のね、たいへん重要な課題で、思い切ってこれに取り組まないと仮設住宅にね、配置したように取り組まないと、私は本当に大変なことになるし、実際に今作られた災害公営住宅の集会室は使われていません。人もいない。何もありません。これじゃダメなんです。そういう実態も踏まえて様々な事業を活用できることも示されていますのでね、ぜひこの点については、機敏に、徹底して、最優先の課題として、復興の最優先の課題として、私は取り組んでいただきたいと思います。
・被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置について
【斉藤議員】
被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置はね、おそらく今年度であれば、9月議会で知事が表明したと。そういうところの判断になると思うけれども、国の制度は変わりませんから、国の制度で切られるということはないので、県が市町村が判断すれば、被災者の医療費の免除措置はこれ継続できるのでね。私たちが被災者と懇談して一番切実に言われるのは、この医療費・介護保険利用料の免除措置です。命綱だと。
陸前高田市の住宅再建推進協議会というのが、最近意向調査をやって、これが『東海新報』の2月15日に出ましたけど、現在抱えている不安、生活資金の不安、59.0%で第1位です。仮設で避難している方々は生活資金で一番困っているんですよ。その時に病院にだけは、介護だけは安心して使えるっていうのがまさに命綱になっている。私は、これが孤独死を防止する最大の防波堤にもなっていると思うので、ぜひそういう立場で、できるだけ早く、年度途中の話ですから、そういう方向を示していただきたいと思います。
・住宅再建へのさらなる支援について
【斉藤議員】
住宅再建への更なる支援の問題については、なかなかここで知事がやりますというわけにはいかないかもしれませんけれども、しかし緊急性、必要性、そしてこの1年、2年が勝負っていうね、ここを逃せば本当にあきらめざるをえないっていう状況にね、あきらめつつあるっていってもいいですよ。これは聞きますけどね、防集や区画整理などでね、希望者は減っていると思いますけれども、この1年間で、希望者がどう減っているか把握しているでしょうか。
【復興局長答弁】
今、斉藤議員のほうから何点かお話ございましたが、住宅再建の支援については、われわれも非常に喫緊の課題と認識をしております。議員お話しあったように、災害公営住宅の整備も今、急ピッチで進んでいますが、一方で面整備もかなり進んできていますので、そうしますと、被災者の方々が自力再建でご自宅を建設するという段階に次、移りますので、そういった時に資金手当てがしっかりしていないと、建てれないという話はその通りだと思っております。今、国の方で、被災者生活再建支援金の制度があり、あと県と市町村で100万円の補助をしております。別途市町村に交付しました震災特別交付税を活用して、市町村では、金額の多寡はありますけれども、多い所では300万円、そういった独自の支援制度もございます。ただ、それで十分かというお話はございますので、資材の値上がりが進んでいるっていう状況もございますので、われわれとしては、引き続き国のほうに対してですね、早急な対応を求めていきたいというふうに思います。
それから防災集団移転事業の希望者が減っているのではないかということでいま、その資料は持ち合わせてはおりませんが、大槌町でも先般、防集の、いわゆる高台移転の希望者が減って公営住宅の方に一部流れているっていうか、そういった報道もされております。いまわれわれの方では、各市町村の方に、あらためて被災者全員の住宅再建の意向を、最新の意向をまた、一人づつ全員しっかり把握をしてほしいというふうにお願いをしてございます。そういったデータも踏まえながら、公営住宅の数であるとか、自力再建がいったいどれぐらいになるのか、といったようなところをしっかり押さえて、被災者の方々をしっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。
・子どもの医療費助成のさらなる拡充について
【斉藤議員】
それと子どもの医療費については、先ほども指摘しました。システム更新費、来年度分の予算の5660万円はなくなるわけですから、私はこれ、なくなるので終わりっていうことではなくてね、やっぱり県はさらにそこに補充をして、例えば小学校6年生まですぐ行かなかったら、小学校3年生までとかね、そういうのは、県の経費は次の年度は減りましたということでなく、そこの経費をさらに積み増しして、なんぼでも拡充するっていうこともね、考えるべきではないのかと。これば実務担当の部長に聞きましょう。経費を減らすのではなくて、さらに拡充に検討していくことが必要ではないのか。
【保健福祉部長答弁】
被災者の医療費等の一部負担金免除でございます。知事からも答弁ありました通り、被災地の生活環境、それから被災者の住状況、動向等勘案しながら、いずれあらためて検討させていただきたいと思います。
それから子どもの医療費についてでございますけれども、27年8月の実施を想定しながら今、拡充を進めておりますので、まずはこれに取り組ませていただきたいと考えております。
・県警の不祥事について
【斉藤議員】
それと公安委員長。報告は受けているということでした。私ね、単なる自殺案件じゃないから聞いたんですよ。そういうことがあるんじゃないかと。そういうことで聞いたんですよ。そういう件数があったらね、不祥事減ったことにならないんですよ。そういうことで聞きましたので、どういう報告を受けているのか、不祥事に関わらないのか、関わるのか。答えていただきたい。
【公安委員長答弁】
斉藤議員から県警が隠ぺいしようとしているのではないかというようなニュアンスのお話がございましたけれども、繰り返しになりますけれども、公安委員会として、事案の詳細、原因、動機等も含めて報告をうけております。不正行為等がないことも、調査の上、確認していると、承知しているところであります。
・国連子どもの権利委員会の勧告について
【斉藤議員】
せっかくですから教育委員長に。子どもの権利条約っていうのはね、法制的には法律の上位にある憲法につぐものです。この3回にわたる勧告っていうのはね、極めて重要なものですよ。世界のグローバルスタンダードから見て、日本の教育は異常だと指摘しているんですよ。その典型が学力テスト体制なんですよ。教育委員長は、様々な場で、そうあってはならないと言ってきたけど、現場は変わっていません。そして、中1で学力テストやったら、小学校の序列化になるんですよ。あなたの小学校1番でした。5番でした。こういうふうになっているのが実態なんです。そういうことを国連子どもの権利委員会の勧告を私はきちっと教育委員会として検討・協議して生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【教育委員長】
斉藤議員のおっしゃる通り、子どもの権利条約については、上位の方であるっていうことは十分に認識しております。先ほど答弁いたしましたけれども、いろいろなテストをやる場合に、過度な競争に陥らないように、あるいは序列化にならないように、再三指導しているところでありますし、もし徹底していないとすれば、私の不徳とは言いませんけれども、指導の足りなさでもあると思います。
ただ学校の取組として、テストの結果をもとに落ち込んでいるところとか、弱いところがあれば、それを伸ばしてやりたいと思うのが教師の愛情でありますし、子どもたちは力をつけたいと思いますし、親は力をつけてほしいと願うのは当たり前じゃないかと思っています。小学校から中学校に行く子どもたちのいろいろなインタビューを今、聞きますと、中学校に行って勉強を一生懸命やりたい、もちろん部活もやりたいんですけれども、子どもたちは本来勉強したいと思っていると。中学校に入って教科も増えます。人も増えます。その中で頑張らなければならない。そして、その先には、高等学校があります。それは高等学校に行きたい。これは親も子どももそうだ。その先はさらには大学に行きたいという子もいるんじゃないか。議員の質問にもありましたが、医者になりたいという子どももいる。医学部に行きたい。こうなると全国との競争をしなければならないと。ですから、われわれは力をつけて、それがもし過度の競争に陥るのであれば、それは今後ともきちんと指導してまいりたいと思います。以上です。