2015年3月3日 商工文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・被災した学校の整備状況について
【斉藤委員】
県立高田高校は3月末までに何が整備されて、それ以降に延びるものは何か。
被災した小中学校の再建の見通しはどうなっているか。
【学校施設課長】
3月末までに完成予定、あるいは完成している建物は、第一体育館は平成25年度事業で完成しており、すでに供用開始している。校舎は、3月19日に完成・引き渡しの予定で、4月9日には新校舎における入学式が挙行される予定である。そのほか、第二体育館や柔剣道場、実習室も3月19日に引き渡しの予定である。
残りの施設について。部室については、27年度に仮設の部室を建設を予定で、本設の部室については、第二グラウンドに現在仮設住宅があるので、仮設住宅撤去後に建設となる計画である。第一グラウンドは、現在仮設グラウンドということで、27年度から供用開始予定で、今後、市の都市計画により換地がなされるので、換地によりさらに面積を確保できる見通しだが、完成年については都市計画の進展次第である。第二グラウンドは、仮設住宅の撤去後に供用を再開する予定である。研修会館は、仮部室を現在建てる予定があるわけだが、仮部室の跡地に建てる予定であるので、仮設グラウンドに連動して、仮部室が撤去後に建設する。艇庫・漁具庫については、すでに設計を昨年度に終えているが、広田地区の港湾工事の遅れから、28年度に整備予定となっている。プールおよび職員住宅は、第二グラウンドと同じように、都市計画による換地で用地を確保のうえ、着工予定となっている。
市町村立学校の復旧状況は、現在までに完成したのは、山田町立船越小学校1校のみである。現在、5市町村13校において整備事業が実施されている。当初のスケジュールにより、完成が1年ないし2年遅れる見通しであり、多くのものは28年度、さらに29年度以降に完成が延びると考えられるものもある。
【斉藤委員】
3月までに高田高校はかなりの程度整備されるが、野球部以外に部活動に支障をきたすということはないのか。授業・その他支障をきたすものはあるか。
【平賀次長】
学校の下のところにグラウンドが造成中であるというのは、この間見てきたところだが、野球部に関しては、やはり萱中校舎の方をお借りして練習しなければならないということにはなろうかと思うが、体育館等も整備し、校舎自体は敷地面積が狭いが、室内でできる競技等についての練習場所としては、ある程度確保されていると思う。サッカーなどについては、いま整備中ではあろうかと思うが、27年度からの面積をとりあえず確保して何とか工夫しながらやろうというところではないかと現在把握しているところである。
【斉藤委員】
いろいろ不便はあるが、野球部以外は基本的には、新校舎の中で対応できるということでいいのか。
【平賀次長】
そうとらえている。
【斉藤委員】
小中学校の整備が28年度、29年度以降とずれて、一番優先されるべき子どもたちの学び舎が残念ながら遅れているということも、県教委としても心に留めてやっていただきたい。
そして、学校の建設の場合は、予定価格が低くて、入札不調が多い。陸前高田市の高田東中学校、21億円の予定価格で、最低で出したのが27億円だったと。このぐらい開きがある。また設計し直して、額を上げて、何とか赤字覚悟でやってもらうことになったという話だが、設計労務単価やその他は公共事業は引き上がっているが、教育関係の場合も、それに見合って単価や建築費は上がっているのか。
【学校施設課長】
設計額と実際価格の差異だが、最近の学校関係の入札不調の例によると、おおむね1.4〜1.5倍程度と考えている。人材不足や人件費の高騰が要因だと聞いている。
県においては、国交省の積算基準に準拠し、県土整備部が定める積算単価を学校建設に使用している。県営建設工事の積算ということでやっているわけだが、最近の入札状況の不調等の状況を踏まえ、施工確保対策として、単価等については機動的に改善するといったことがされており、市町村にたいしても、県土整備部を通じ、これらの入札不調対策について、情報提供だとかさまざまな支援を行っていると承知している。
県教委としても、それぞれの事業において、市町村に対して必要な相談支援を行っているところだが、いずれできるだけ早期に入札が整い整備が進展するように努めていきたい。
【斉藤委員】
大槌の小中学校も入札不調でかなり延びると。延びてはならないものがこういうことで延びるということにならないように、丁寧にやっていただきたい。
都南支援学校が今移転整備で、建設費がどうだったのか。やはり1.5倍ぐらいになったのか。いつ完成するのか。そして、以前教育長が、都南支援学校の移転跡地に高等部の新設を考えたいという重要な答弁をしたが、これは早く具体化していただきたい。跡地利用で具体的方向性を示していただきたい。
二戸の高等部の分教室は、来年度予算で、福岡工業に整備費が予算化されたが、釜石・北上の請願が採択された支援学校の整備、分教室の取り組みなど示していただきたい。
【学校施設課長】
都南支援学校については、建設工事については平成27年度から着工する。現時点で、約38億円の事業費を見込んでいる。当初の積算と比べると大幅に延びており、主な要因として、療育センターと一体的に整備する建物であるので、病院施設等の関連から、階高を合わせなければならなかったということ、あるいは消防法の規制により、分煙施設等合築であるので、各室にスプリンクラーを設けなければならなかったとか、その他さまざまある。いま建設単価の高騰もあいまって38億円という見通しとなっている。完成予定は、平成29年度に県立療育センターとともに開所という予定である。
【特別支援教育課長】
移転後の空き校舎の活用について、活用の方向性を検討するため、昨年9月に、岩手県特別支援学校PTA連合会長などの特別支援教育関係者を交えた「盛岡都南支援学校移転にともなう空き校舎活用検討委員会」を開いた。この検討会において、盛岡みたけ支援学校の児童・生徒の増加にともなう教室不足の解消のため、空き校舎を、新設の知的障害対象の特別支援学校として活用すべきという意見をいただき、今後教育委員会において、この方向に沿って具体的な整備を検討していきたい。
北上市の状況だが、北上市とは昨年8月に要望を受け、請願前に協議を始めていたものであり、要望を踏まえて、分教室の設置を中心に協議を進め、現在北上市教委と協議をしており、設置形態などの具体的なことについても、引き続き協議を検討していきたい。
釜石の状況は、昨年9月に第1回の釜石祥雲支援学校環境整備検討協議会を開催し、1月に第2回目を開催している。これまでの協議では、請願提出者や釜石市教委などの関係者の、整備についての考え方をうかがっている。次回は5月の予定だが、これまでの協議で、具体的な移転先も出ていることから、これらの状況を確認しながら、協議会としても考え方を整理する予定である。
二戸分教室は、二戸地域を含めた県内内陸部については、これまで県立の特別支援学校高等部がなく、地域で暮らしながら、小中高と一環した教育を受ける環境が未整備だった。このため、今般高等部設置にかかる整備費を、27年度当初予算に計上した。
【斉藤委員】
盛岡都南支援学校の移転跡地は、特別支援学校の新設という方向で検討されているということで、早く具体化していただきたい。
・県立学校児童特定災害共済給付金について
【斉藤委員】
これが1357万円あるが、これは学校事故があったということなのか。学校事故の状況を含めて示していただきたい。
【学校企画課長】
災害給付制度についてだが、これは独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付にかかるものであり、学校の管理下における児童・生徒の災害、負傷・疾病・傷害または死亡に対して、災害給付医療費傷害見舞金・死亡見舞金の支給を行っており、運営に要する経費は、国・学校の設置者(県)・保護者の三者で負担している。
今回計上しているのは、通常過去5年間の災害給付金の平均を予算計上している。その中には、死亡見舞金も平均で1400万円ほど計上させていただいているが、その年により給付の状況により予算が足りなくなるという恐れがある。そこで、今回医療費の支払い実績を勘案しながら、2月補正で予算計上させていただいている。
実績だが、26年はまだ経過中なので、25年度の状況では、発生件数2247件、うち給付額は9124万円ほどである。その中でもっとも多いのが、ケガ・疾病で2241件で、うち高校の発生件数が2146件に当たる。なお、発生件数は、年により異なっており、だいたい2100〜2400の間で発生している。
・神奈川県川崎市の中学1年生殺害事件について
【斉藤委員】
大変ショッキングな、重大な事件が発生して、本当に心痛む思いだが、文科省からも通知が出たと思うが、どういう内容で、県教委はどういう対応をしているか。不登校の児童生徒への対応も含めて示していただきたい。
【生徒指導課長】
文科省から2月27日付で、児童生徒の安全に関する緊急確認調査というもので依頼があった。2月27日付だが、我々で確認したのは昨日(3月3日)の朝だった。趣旨としては、亡くなった生徒と同様の危機にさらされている可能性がある児童生徒を的確に把握するとともに、把握した内容について、組織として緊急に対応していくことを目的とするという趣旨であり、その中には、警察や児童相談所などの関係機関との連携も含まれている。調査対象は、教育委員会の方は公立の小中高と特別支援学校ということになり、知事部局では私立の小中高も対象となっている。調査内容は、@2月27日時点で7日間以上連続して連絡がとれない、生命または身体に被害が生ずる恐れのあると見込まれている者、A@に該当する者のほか、学校外の集団(成人が主たる構成員であるものも含む)との関わりの中で、生命または身体に被害が生ずる恐れがあると認められているもの、ということで、昨日の午前中のうちに各市町村教委や県立高校には依頼し、3月5日までに該当する児童生徒がいたら報告することと、そのようなことが確認された場合には、至急関係機関と連携しながら的確な対応をとるようにという中身である。県の状況等をまとめて、文科省には3月9日までに報告ということで、これまでも、3日間学校に来なければ、すぐに家庭訪問等も含めての対応をするということは県としてやっていたが、今回の事案を受けて、以上のような調査をするとなっている。
【斉藤委員】
報道を見る限り、殺害された生徒は、SOSを発していた、殺されるかもしれないということも言っていたが、抜けだせなかった。それを学校も大人もキャッチすることができなかった。やはり思春期特有の中学生の時代の特徴、また、子どもたちは知っていたと。それを学校や大人が把握できなかったというのが重大な教訓であり課題ではないか。やはり子どもたち一人一人の不登校だとか、そういう問題を抱えている子どもたちに、本当に学校がゆとりを持って、優先して手立てをとると。これは重大事態に至らなくても、必要なことではないか。
ぜひこれは他県の話ということにしないで、昨年は自殺事件もあったわけなので、子どもたちの命をこういうことで絶対に失ってはならないと思う。そういう点で、文科省の通知に基づく必要な調査や対応をすることと合わせて、この世代の子どもたちの健全な成長、命を守るのは最優先課題で、そういう形で取り組みを強化すべきと思うがいかがか。
【教育長】
今回の事件は連日報道されている中で、背筋が凍るというか、人間社会でこういうことがあっていいのかという大きな衝撃的な事件だと思う。これまでも学校現場や児童生徒が関わった事件というのは、大阪の事件もあった。さまざまな事件に子どもたちが巻き込まれる可能性というのは、これから予期できないようなさまざまな危険性を持ち合わせていると思っている。そういう中で、それぞれの学校において、子どもたちの動向等をきめ細かく見ながら守っていくということに関して、学校において教職員一人一人が一生懸命頑張っていると認識しているが、なおこれからどういうことが起こるのか、常に意識しながら、これまで以上に社会から子どもを守る取り組みを推進していく必要がある。
これは単に学校のみならず、警察や福祉団体等を含め、学校関係者の総力をあげて見守るということと、子どもたちを育てていくというような、これは大きな社会に突き付けられている課題だと思う。そういう中で、まずもって学校が責任を持った出来うる限りのことを講じていくということが大事だと思っており、できる限り子どもたちを危険から守るということも十分常々の教育活動の中で展開していく必要があると思う。また市町村教委と情報共有を図りながら、そういう気持ちを強く持っていきたい。
これまで発生した事件、これは対岸の火事ということではなく、まさに他山の石とするというような思いをもつ機会だと重く受け止めながら教育を推進していきたい。