2015年3月3日 商工文教委員会
商工労働観光部(補正予算)に関する質疑(大要)
・緊急雇用創出事業について
【斉藤委員】
緊急雇用創出事業費が7億円余の減額だが、事業費が確定というのは結論で、7億円使い切れなかったと。緊急雇用創出事業と聞くと、これには触りたくないと県職員はみんなびくついてしまう。これは大変な事態で、必要な事業は積極的にやっていくということが必要だと思うが、今年度の緊急雇用創出事業の実績はどうなっているか。
緊急雇用創出事業というのは、集中復興期間が終了する来年度で終わるものなのか、継続するものなのか。
【雇用対策課長】
26年度における実績の見込みとしては、補助企業としては、市町村に対する補助事業は、最終的には305事業34億9100万円余になろうかと思う。これは、市町村としてはいろいろ事業をやりたかったというところはあるが、なかなか求人を出して応募がなかった等の事情もあり、減額したものと聞いている。
今後の見通しだが、26年度までに行った事業については、継続事業として行うものについては27年度まで。27年度に開始したものについては28年度までとなっている。
【斉藤委員】
34億円の事業費だったと。問題は、雇用人員がいくらだったかということである。
【雇用対策課長】
緊急雇用の雇用人数としては、県・市町村合わせて、当初は2200人ぐらいを見込んでいたが1900人程度の数となると思っている。
・事業復興型雇用創出事業について
【斉藤委員】
いま事業復興型が使われているということだが、事業復興型は今年度はだいたい申請額は全部決定されて支給されたのか。
【雇用対策課長】
事業復興型雇用創出事業だが、4600人ぐらいの申請があり、現在審査している。まだ最終的な決定には至っていないが、1月末時点で2800人余まできているが、助成する要件に満たないもの等が一定程度あり、要件を満たすものについてはすべて助成できると見込んでいる。
【斉藤委員】
そうするとだいたい2800人余で終わるということか。審査・決定が遅れているのだから。
【雇用対策課長】
最終的には4000人程度になるものと見込んでいる。
【斉藤委員】
もうこれは締め切って半年近く経つので、本当に被災事業者は頑張っているのだから、そういうところに対して早く審査して決定して、必要なものはきちんと出すと。一人当たり210万円で労働条件の改善にもなるし、さらに雇用を拡大する要因にもなるわけだから。良いものは早く行うべきである。
・起業支援型地域雇用創出事業費補助について
【斉藤委員】
10億9200万円余の予算で10億円余減額と。ほとんど使われていない。予算化したときの見込みがあまりにも不十分だったのではないか。
【雇用対策課長】
事業を実施するにあたり、県事業として実施するとしていたが、事業の応募がなかなかなかったといったところが大きな理由である。これは事業者が県に対して深くケアするという形をとったが、それについてなかなか負担が重かったのではないかと思う。また事業の前提として、一定期間継続し、終わった後も雇用を継続するという条件にしているが、そういったところもハードルがあったのではないかと思っている。何より大きいのは、岩手・宮城・福島同様だが、事業復興型の助成金があり、そちらが優先的に活用されたという事情もあるのではないかと考えている。
【斉藤委員】
予算化するときの見込みが甘かったのではないか。やってみたら応募がなかったというのは話にならない。
【雇用対策課長】
6月補正で措置したが、その時点では国からくるお金を見込んで事業があるかなと見込んでいたが、なかなかなかったということで、県としても掘り起こしが一工夫必要だったのではないかと反省している。
【斉藤委員】
こういうムダなことはやるべきではない。10億円というのはものすごい金額である。他のところに回すとかそういう提言を国にしっかりして、使えない事業ではなくて、使いたい事業にこういう財源を回すと。そういうことをしっかり国とやりとりして、使えなかったから終わりという風にしないようにすべきではないか。
【商工労働観光部長】
我々としても、当初の目論見から大きくかい離している状況については反省している。事業ニーズというものを、新しい事業として国が提案した際に、県としてはさまざまな県内の地域ニーズに応えていく必要があると、そのことを加味して、県としても国で示した新しいメニューについては、それなりに検討し予算措置を講じたものだが、その後の県内の反応がなかなか思うように進めることができなかったという点については反省すべき点としてとらえており、今後国に対して、地域の実情・ニーズとは何かというものはしっかり訴える中で、新しい事業の創設がなされるようにそこはしっかり取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
緊急雇用創出事業については、28年度までとしか国からは示されていない。やはり復興に関わる緊急雇用事業というのは必要な事業あるので、そういうところはきちんと精査して、国はそもそも復興の28年度以降の財源は何も示していないので、そういうところに組み込めるようにきちんとこの間の取り組みを精査して、必要な事業に予算をつけると言っているので、必要な事業をしっかり提案できるようにしていただきたい。
・職業訓練校費について
【斉藤委員】
県内の産業技術短大を含めた職業訓練校の今年の卒業生の県内就職状況、来年度の入学者の状況はどうなっているか。
【労働課長】
所管している県立職業能力開発施設5施設における1月末現在での就職率の見込みは93.8%と見込んでいる。県内就職率は69%を見込んでいる。
来年度の入校見込みは定員にたいし129%程度を見込んでいる。
【斉藤委員】
69%というのは今までから見ると低いのではないか。
【労働課長】
前年同期比61.7%で、最終的には62.75%だったので、昨年よりは良いのではないかと思っている。
【斉藤委員】
県内の高校でも今年3月卒の県内就職率は63%である。職業訓練施設で69%というのは決して高くないと思う。もっと県内で就職できるような手立てをお願いしたい。
・商工観光風評対策緊急事業費について
【斉藤委員】
351万円余の減額になっているが、風評対策でどういう対策をやって、その結果どうだったのか。
【企画課長】
この事業については、おおまかに2つ取り組みがあり、1つは、県内の商工事業者等が今般の原発被害にともなう風評被害に対する相談、庁内の関係各所だとか弁護士会等と連携しながら、東電からの賠償を受けられるように、あるいはADRからの仲介を受けられるようなさまざまなサポートをするのが1つ。もう1つは、県内の観光需要について、沿岸地域はなかなか戻っていないということで、積極的な観光のPRをしていこうということで、県内のいくつかの振興局に情報発信をするスタッフを置き、ブログで情報発信するという事業を展開しているところである。
これにともない、現時点で当方で取りまとめている風評被害への支援対策だが、昨年度から実施している事業だが、おおむね30件近い事業者からの相談を受けながら賠償に対するサポートを続けており、情報発信の方については、楽天さんの方にサイトを設けているが、その中でもランキング上位のアクセス数があるということである。
・新素材加工産業集積促進事業について
【斉藤委員】
863万円余の減額になったが、これはどういうものが対象で、この取り組みはどう事業化されているのか。
【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
コバルト合金をはじめとする新素材を使った事業化による企業の取り組みを支援し、新素材の生産・加工産業の集積を図り、雇用を増やしていくものである。
コバルト合金の「コバリオン」という商品名で、岩手県ならではのものとして進めているわけだが、ニッケルが入っていないということでアレルギーが少ないなどの利点がある。ただ価格面で高く、サンプル出荷で医療関係だとか宝飾関係などに出しているが、量産化につながるところまではなかなかいっていない。
・いわての県産品販売促進事業について
【斉藤委員】
主に県外の顧客に向けて、インターネットやアンテナショップで県産品の割引販売を展開する、割引率は3割と。国のメニューなのでおそらくこれは全国で取り組まれるのではないか。岩手だけやれば目立っていいかもしれないが、全国で3割引なので、ただのバーゲンセールにしかならないのではないか。例えば県産品といった場合に、ららいわてはどうするのかと。ここに観光客が来た場合に3割引にならないのかと。
例えば6次産業化で、農家の生産組合や漁業者が直接通販でやっている。こういう人たちは参加できるのか。
【産業経済交流課総括課長】
ららいわてにおいての販売での適用については、本事業の国のスキームとしては、県の事業の役割として、主に域外の消費を喚起するものとなっており、そういうことからして、ららいわてについては県内店舗ということで割引の対象には予定されていない。
各地で6次産業化の中で通販をされている方々については、いずれ岩手の県産品であるものについては、広くこの事業で対象になり得るように、事業の具体的なスキームについて国と相談しながら進めたい。
【斉藤委員】
6次産業化でさまざまな組織・団体が岩手ならではの物を独自に販売しているので、広く対象にして生産者・事業者を励ますようなものにしていただきたい。
【産業経済交流課総括課長】
域外のとらえ方、事業実施において、県内の店舗での割引販売の可否だが、これまで本事業のスキームについて国からの通知やら説明をいただいている中で、このタイプの割引販売の事業について県内の店舗で県が実施する場合に割引対象とできるかについては、できるという話は今のところ聞いていない状況で、ご質問の趣旨を踏まえて国の方にさらに確認したい。
・いわてに泊まろう誘客促進事業について
【斉藤委員】
これは50%の割引で大変なバーゲンなのだが、これも全国でやられる。本会議の答弁では、域外の顧客を確保することが目的だと。しかし県内でも販売すると。それで域外の顧客を増やすことになるのか。旅行者が割引で旅行できるだけにしかならないのではないか。
経済波及効果ということが言われたが、14億円の消費だから最大36億円と。旅行客が増えた分だけ経済波及効果がある。増えなければ経済波及効果はない。安く旅行できただけにしかならず、あの計算は全然間違っている。岩手だけでなく全国で取り組まれ何割旅行客が増えるのか。言っていることとやっていることが違うのではないか。
【観光課総括課長】
この事業は全国の都道府県が交付金の対象になっているので、全国で同じようなスキームで実施されることが想定される。その中の競争で、いかに岩手県にお客さんを呼び込むか、そしていかに観光消費を増大させていただくかということに主眼を置いて、今般旅行券の発行スキームと合わせて、いわて観光再生プロモーション事業費、いわて国際観光事業費を計上しており、PR隊によるプロモーションの強化や、お客様が来ていただいて満足していただくような環境を整備するということでWi-Fiの整備支援などを計上させていただいている。
そのような中で、単にお客様には宿泊消費してもらうだけにとどまらず、割引になるのでそれに合わせて1つ贅沢な食事をしていただくとか、土産物をたくさん買っていただくとか、そういうサービスもグレードアップしたものを受けていただくという、さまざまな対象品の喚起を目指している。特にも、宿泊施設だけにとどまることなく、例えば三陸観光応援バスツアーなどの支援もさせていただき、お客さんも沿岸に足を運んでいただいて消費していただくというような仕掛けも相まって行い、リピーターの確保を図っていきたい。必ず+1で消費していただくような仕掛けを地元の方々と協力して作りだして、できるだけ多くの消費をしていただくことで効果あるものにしたい。
【斉藤委員】
これは県内でも販売すると。しかし県内で県産品を販売するららいわては対象ではないと。域外の消費喚起というが、ダブルスタンダードではないか。旅行券は県内でも販売すると。県産品は対象にしないと。対象にすべきである。その方が県内事業者の波及効果があるのではないか。
部長も本会議で答弁しているが、経済波及効果について。旅行客が増えた分だけ経済波及効果は発生する。だから14億円の消費で36億円というのは架空な話で、根拠がない。ましてや全国でやられるので。宮城に行こうと思ったら宮城のを買えばいいだけになる。それで岩手がどれだけ増えるか。5割引なので若干は増えるかもしれないが、全国いっせいにやったら1割2割増えるのかということではないか。
シーズンオフで来てもらえばメリットがある。大型連休や夏場にやっても意味がない。どういう時期に実施するのか。何ヶ月ぐらいを考えているのか。件数的にはどのぐらい販売を見込んでいるのか。
【観光課総括課長】
この事業の実施については、広く民間企業から運営のあり方について企画提案を受け、コンペを実施し、そこと契約を結び事業展開することを想定している。期間については、いろんな提案を受けて最終的に決定するが、私どもの現在の考えとしては、来年度秋冬期に観光キャンペーンを展開する予定である。GWや夏まつりシーズンは宿泊施設はほぼ満杯状態になるので、そういう時期に使用できる期限、インターネットでの予約も想定しているので、予約できる期間についてもそういうお客様の入れ込み状況等を分析して設定していきたい。
事業の規模だが、想定しているスキームとしては、旅行券、こちらは現金に換えて宿泊施設等に支払うための旅行券は15万枚の発行、インターネットにおける宿泊・旅行予約サイトにおいて、一定の割引をするクーポンというものを考えている。こちらについてはおおむね12万券、計27万枚の発行を予定している。
【商工労働観光部長】
経済波及効果については、さまざまな算定方法があるわけだが、定まったものはないと理解しているが、答弁申し上げた内容については、直接投入する金額約9億円、それが5割引で実際にはもたらすのは2倍の18億円になるという想定で申し上げたものである。
【斉藤委員】
私が言ったのは、増えた分だけが新たな経済波及効果ではないかと。観光客が同じ数だったら経済波及効果は出てこないのではないか。その点を指摘したので。
・中小企業被災資産復旧事業について
【斉藤委員】
3億1300万円ほど減額になったが、今年度の実績見込みはどうなっているか。
【経営支援課総括課長】
現時点で24件・1億2000万円ほどの実績になっている。
・グループ補助金について
【斉藤委員】
9億1700万円余の繰越になっているが、件数ではどうなるか。自己繰越、再交付、繰越の内訳を示していただきたい。その要因も示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
25社にたいして8億円程度の交付を予定している。繰越については、明許繰越は25件、再交付150件、自己繰越は現在支払い作業をしており、その結果完了できない事業者の方が自己繰越となるので現時点では作業中である。トータルで250程度の事業者が来年度も継続して事業すると見込んでいる。