2015年3月3日 商工文教委員会
商店街の再生、雇用対策等に関する質疑(大要)
・被災地の商店街の再生、仮設店舗の状況について
【斉藤委員】
この間、大船渡市・陸前高田市・釜石市・大槌町と、首長にも会って聞いてきた。区画整理事業が一番遅れる。区画整理事業が終わってから商店街の再生ということになって、全体とすれば事業着手というのはそれなりに進んでいるとは思うが、その中で一番遅れているのが区画整理事業である。
例えば、陸前高田市の場合、先行的に中心市街地の再生のために、かさ上げが進んでいる。そこに100店舗以上の希望者があり、中心市街地を形成しようとしているが、共同店舗「リプル」という地元のスーパーを中心に、共同店舗を中心市街地に再生すると。約20億円かかると。津波立地補助金というのがあるが、これは被災企業だけではなく、新しい企業も参加して補助も受けられると。補助率は違うが。しかし上限が5億円である。特に陸前高田市の場合、一定の集積した共同店舗と個店、そして公共施設という形で中心市街地を計画しているが、5億円の補助金では全く足りないという声も聞いてきた。こういう中心市街地に対する支援策、県はどのように相談に乗り対応しているか。
【経営支援課総括課長】
リプルを中心とした共同店舗の計画については、事業者の方からお話をうかがっており、先に国からも説明を求めて説明会を設置するなどしている。事業費の見通しについても、相当額が大きくなるという話は聞いている。
【斉藤委員】
津波立地補助金の上限が5億円で、リプルの場合20億円かかり全く足らない。中心市街地をいくつかの街区に分けてもいけない。大船渡市は、いくつかの街区に分けて津波立地補助金を活用する計画だと思う。一定の地元のスーパーを合わせて共同店舗を形成する場合にそういう形になるので、その点で、県も知恵を出す、国に対しても被災地が求めるような支援策を考えるべきである。そういう点で県として検討しているのか。
【経営支援課総括課長】
津波立地補助金については上限5億円ということで、被災企業だけでなく被災していない企業もテナントに入れるような特別な補助金である。陸前高田市の例でも、それを超えるような事業の見通しもあるということで、そういった状況を国にも伝えており、要望という形でお伝えし、想定よりも大きな事業費になっているということについては、私も中小企業庁や復興庁に行き、直接話もしている。
【斉藤委員】
東日本大震災津波の被害というのは、戦後最大、とりわけ陸前高田市や大槌や山田のように、中心市街地が壊滅した、ゼロからの出発、借金を抱えてマイナスからの出発。10m前後かさ上げして商店街をつくるというのは、日本全国を見てもそういう事業というのはないと思う。だから、そういう被害状況、再建の特殊性、そういうものを是非一体となって、中心市街地というのは町の顔である。それが形成されなかったら復興にならないと思う。大事業なので、被災自治体、商工会が中心になって知恵も出しているが、一緒になって知恵を出して、必要な支援策を実現する取り組みをしていただきたい。
仮設店舗の状況について、本設展開を予定しているのが7割、仮設店舗の継続的な営業を希望しているのが8割ということで、微妙な関係にあるが、5年間と言われた仮設店舗で引き続き営業したいという方々が少なくないので、この点の手立てはどうなっているか。例えば、民有地の場合には土地を返してほしいということになりかねない。それから、5年経った後、今は地代も含めて手当されるが、5年後はなくなってしまうとなると、なかなか継続は難しいのではないか。例えば、民有地にどれだけ仮設店舗が整備されているのか。すでに立ち退きを求められているところがあるのか。
国は、区画整理事業などのために移転する場合にはきちんと補助をするということも打ち出しているが、今後仮設商店街が、まちづくりなどの事業で移転が迫られている状況をどう把握しているか。商売というのは、中断したら途切れてしまう。せっかく再開して頑張っているので、継続しながら本設展開と。こういう点で状況をどう把握しているか。
【経営支援課総括課長】
民有地に建設されている仮設店舗は、契約期間等もそれぞれ借り方によりいろいろだが、昨年度末時点では76件ぐらいが満期を迎えたと聞いているが、すべて契約期間を延長したと聞いている。
また、移設が生じる場合もあり、移設については、今年度では全体で10ヶ所、うち5ヶ所は公共事業による移設ということで、公共事業での補償の対象になると聞いている。
事業者の中には、仮設店舗で営業継続している方も多くあるので、そういった営業がきちんとできるように、店づくりの専門家を派遣したり、イベントに補助したりとこれまでやってきているが、継続してやっていきたい。
【斉藤委員】
おおふなと夢商店街の共同組合とも懇談させていただいた。あそこは県内でもいち早くモデル的な、先駆的な役割を果たしたと思うが、やはり新しい段階を迎えている。本設展開、新しい商店街の形成ということで。印象的だったのは、阪神大震災の時の長田の商店街の再生のときの平均年齢が40代だったと。大船渡の場合は60代だと。だから、これから借金を抱えながら再建するという、長田の場合は大規模な不相応なものを建てて成功しなかった。岩手の場合の再建というのは、平均年齢も60代という中で、中心市街地の中枢を占めるこういう方々がどうやって再建して、営業を継続するのか。私は大変大きな課題だと。阪神大震災のとき以上に困難な課題で、それだけに多様な、抜本的な支援が必要だと思うので、最後の最後に商店街の形成ということになるので、この点をしっかりサポートしていただきたい。
・雇用対策について
【斉藤委員】
たしかにいま有効求人倍率は高いが、県内の中小業者に聞くと、全然人材が確保できないと。全国的にも求人が多いというので、例えば盛岡市内の中堅の中小業者に話を聞いたら、今年の採用はほとんど難しいと。今まで高校を回れば、歓迎されて、優秀な卒業生を送りたいと言っていたのが、今年はもうダメですと。優秀な人材は大手に行ってしまったと。有効求人倍率が高いというのは復興事業の反映だが、地元中小業者にとってみれば、今まで以上に人材確保の困難な状況を迎えているのではないか。雇用状況をどう把握しているか。
そして、やはり県内の中小企業がしっかり人材も確保して、元気になると。中小企業振興条例も提案されて、せっかく県がそういう姿勢のときに、必要な人材も確保できない中で、本当に必要な対策を講じていくべきではないか。
【雇用対策課長】
今年3月の高卒者の就職状況は、県内就職率は非常に高く、内定率としては1月末時点で96.3%と平成8年以降で最高の数値というのが労働局から発表されている。高校を卒業して就職を希望する方はだいたい決まってしまっているという現状にあると認識している。人が集まらないということだったが、高卒者に関しては、就職活動の終盤を迎える前に、生徒自身が地元の企業なりをよく知っていただく取り組みが重要だと改めて思っている。これまで、ものづくりネットワークだとか、久慈地域では、地元の企業のガイドブックを独自に作成し取り組んでいるが、そういった取り組みを引き続きやっていかなければいけないと思っている。
これからの復興を進める上で、将来産業界を支える高校生・大学生の人材確保というのは大きな課題だと思っているので、今後においてもハローワークとの連携により、企業説明会・面接会等を引き続きやっていかなければいけないと思っており、U・Iターンに関しても、当初予算に大手就職サイトの補助事業などを盛り込んでいるので、そういったことに取り組みながら、少しでも人材確保を図っていきたい。
【斉藤委員】
高校生の就職率は高いし県内就職率も69%でそれなりだが、高校生全体の数が減っているのであまり変わっていない。特に内陸などの場合には、大学の場合には、今から3年生に就職説明ということになるが、大手は12月からインターンシップを行う。これでだいたい内定してしまう。8月から面接が始まるときにはほとんど決まっている。県内企業は8月から面接をやる。こういう状況もよくつかんで対応する必要があるのではないか。
人材確保の問題で、岩手大学の廣田先生も強調されたが、岩手出身の県外に行っている大学生の名簿というのは、同窓生名簿でだいたい分かる。こういうところにきちんとダイレクトメールを送って、県内の就職説明会とか関係資料を送るなどのことはやらないと、県内での人材確保というのはさらに前に進めることはできないのではないか。
【雇用対策課長】
就職の採用時期が今年の大学生に関しては、3年生から時期が遅くなっており、県内中小企業としても、採用が先に越されるのではないかと言っている。県としても、就職採用時期の変更に合わせた、ふるさと岩手定住財団の面接会等の時期を工夫しながらやることにしている。
同窓会名簿の利用については、教育委員会との相談になると思うが、個人情報の問題等あるかとは思うが、相談したい。
【斉藤委員】
これは人材確保だけではなく、U・Iターンとも関わるので、思い切って大胆に。情報戦である。例えば、被災地で住宅再建を行っているが、大手ハウスメーカーが8割を占めているが、2度3度ダイレクトメールを送っていると。全然営業力が違う。経済対策というのだったら、こういうところにお金をかけてやるべきだと思う。今までの延長線上ではなく、必要な人材を確保する、U・Iターンを成功させようと思ったら、どこもやっていないような取り組み、しっかりした情報を持って系統的に働きかけることが必要ではないか。
非正規から正規の問題で、一般質問でトヨタ自動車東日本の問題を取り上げた。トヨタ自動車東日本は、平成26年3月期末決算で利益剰余金が721億円だと。岩手工場は、アクア全量生産でフル回転。それなのに、正規社員は7割弱。実は従業員の数が数年前から100人減っている。フル生産しながら100人減って、3割強が期間工・派遣だと。岩手を代表するトップ企業がこれでいいのか。強力に非正規から正社員化を働きかけるべきだと思うが、この間具体的にどういう要請をしてきたか。
【自動車産業振興課長】
今年度に入っても、知事の企業訪問や各種会議等で、役員との意見交換、要請する場がある。そういった場で、知事と話をするということのほかに、当課においても、定期的に本社や岩手工場の幹部の方々と意見交換をしている。そういった中で、雇用の問題等について、特に正社員化等についてお話させていただいている。
【斉藤委員】
ぜひ県議会でこれだけ問題なっているということを含めて要請していただきたい。リーマンショック前は100人を超える期間工を正社員化させた。この実績を踏まえて、あのとき以上にフル生産しているので、強力にやっていただきたい。
・DIOジャパンのコールセンター問題について
【斉藤委員】
これが議会で取り上げられてからかなり経つが、本会議の答弁では、「現在立地市町において、返還請求額の確定に向けて調査を行っている」と。いつまでやっているのか。盛岡市が2400万円の所得があったと把握をしたが、何がどこまで把握されているのか。
3月18日に債権者集会が開かれるが、「債権の届け出は不要とされている」という答弁があった。債権届け出も支払う能力がないので意味がないということなのか、これはどういう意味か。
【雇用対策課長】
先日、盛岡市では、決算書から売り上げがあるということを発表しており2400万円余と。ただ、緊急雇用創出事業というのは、売り上げから事業にかかる必要経費を控除することになるが、控除すべき経費というのはなかなかはっきりしないということで、その辺はまだ調査をしている。これについては、県としても厚労省と考え方を確認するなどして、市町を支援するということである。それ以外の市町についても、同じように調査している。ただ、取り扱いなどまだ決まっていない部分があり公表になっていない状況である。
債権届け出が不要ということについては、東京地裁の方から、破産管財人の方で調査するので、当面の間は債権の届け出は不要と文書が出ている。
【斉藤委員】
大雪りばぁねっと。の時には、証明のないものは全部不正支出にした。売り上げが2400万円あると、まともな説明ができなかったら不正という形でやらなかったら決まらない。相手は協力していないのだから。補助金の正当性が認められないとすれば不正は出る。そのようにしてきちんとやらなければならない。
答弁では、「県としても、対象経費の取り扱いについて、国と協議するなど、立地市町を支援している」と。国との協議の中身を示していただきたい。特にリース料、買い取りよりも高いリース料など全く不当だと思う。そして買い取りより高いリース料は、リース会社と結託したとしか思えない。リース会社の責任も追及すべきだと思う。実際にリース料は2年目、計画では買い取り並みのリース料が事業計画では出されていない。それが5月の皆さんが指摘した通知でダメだとなった。認められたら、高いリース料を2年目もとるという計画だった。これは当事者だけの知恵だけではないと思う。リース会社もボロ儲け、2年目もボロ儲けしようとしていた。リース会社とDIOジャパンは結託していたのではないか。そこにも返済義務があるのではないか。そこも含めて徹底して調査すべきだし、国の対応にもきわめて曖昧さがあったと思う。現時点で破産した会社なので、不正額を出せば出すほど返還を求められているという深刻な矛盾である。やはり国の責任もきちんと追及しながら、不正はしっかり解明するが、まじめにやればやるほど痛みが伴うということでは、これまた国の責任が不明確になるので、そういう点も含めて国とどういう協議をしているのか。県はどういう調査をしているのか。
【雇用対策課長】
現在、厚労省と協議しているが、事業期間中のリース料の取り扱いや、事業期間中の収入を確定させるための売上高から控除する経費の取り扱い、業務従事かOJTかという判断の基準、消費税の納付の確認等について、国の見解を確かめながら市町の調査を支援している。
リース料については、その中で国と引き続き協議しながら対応していくということになる。
【斉藤委員】
厚労省は後で言い方を変えたりするので、しっかり協議の中身を明らかにした方がいいと思う。フタを開けたら最初と最後が違っていたと。それは秘密で内部でやるからである。1つ1つ明らかにしてやった方が逃げ道がない。
DIOジャパン本社が破産になった。本社採用の従業員にもきちんと未払い賃金が出されたことを確認しているか。
【雇用対策労働室長】
国との協議だが、やはり県としては、各市町から、公平にやってほしいとか取り扱いの要望があるので、各市町が困らないようにしっかり支援していく必要があると思っており、国に対してもしっかり要望していきたい。
【労働課長】
本社に籍を置いている県内の元従業員については、破産管財人から1月下旬に、案内書とともに本人宛に立て替え払い請求書が送られ、本人記入欄に記入いただき、返送いただき、チェックが終わって2月に機構にそれらの書類が提出されていると聞いている。振り込みまでおよそ1ヶ月程度かかると聞いている。
・山田町のNPO問題について
【斉藤委員】
第三者指摘が出たと思う。県議会の指摘よりは優しいと思うが、県議会の指摘の方が具体的で厳しい指摘があったと思っているが、それでもあなた方の検証報告書はきわめて不十分だと。特に御蔵の湯については、きちんと対応すべきだった。そして1年目に問題があったのに、2年目の7億数千万円の事業計画を認めたのは二重の問題だと、そういう指摘は県議会では何度もされているが、第三者からもそういう指摘があったのはきわめて重要なことだと思う。
検証の不十分さを指摘されたわけなので、会計検査院の動向も無視はできないが、しっかり踏まえて、県民・県議会が納得のいく対応をしっかりやるべきではないか。
【商工労働観光部長】
それぞれの専門の立場から今回ご所見をいただいたわけだが、補助委託事業を実施していく際の一層の適正化に向けて参考にさせていただきたいと思っており、いずれ今般の所見をいただいたことをもって決議への対応が終了したとは考えておらず、今後、会計検査院による検査結果等を踏まえ、必要に応じて対応を検討していきたい。