2015年3月10日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・県立病院の収支について
【斉藤委員】
今年度から消費税が8%増税になったと。今年度の消費税負担額、3%分の増税額はいくらか。その結果、今年度の収支見込みはどうなるか。
予算説明で、来年度3億1900万円の黒字ということだったが、25年度が27億円、大幅に収支が後退するという感じを受けたが、その主な要因は何か。
【経営管理課総括課長】
26年度の決算見込み数値を用いて消費税負担額を試算すると、27億1000万円余となり、税率改定による影響額が10億1000万円余の負担増加と見込んでいる。
今年度の収支見込みについて、前年度と比較すると、入院・外来ともに医療連携による推進により患者数が減少しているが、患者一人一日当たりの収益―いわゆる診療単価が増加しており、医療収益は若干増加を見込んでいる。医療外収益が、一般会計の繰入金の減少などにより減と見込んでおり、収益全体では8億1600万円余の減収となる見込みである。
一方、費用においては、給与改定や消費税増税等による材料費や経費の増加などにより、医業費用は増加を見込んでいる。また、会計基準の見直しにともなう退職給付引当金などの特別損失があるので、費用全体では295億5100万円余の増加となる見込みである。その結果、差し引き損益が25年度と比較し、303億6700万円余悪化し、275億9400万円の赤字、経常損益でも19億6700万円余の減益となるが、10億1500万円余の黒字を見込んでいる。
【斉藤委員】
消費税の増税分だけで10億円の負担増と。診療報酬は実質マイナスなので、ほとんど補てんされないと見なければならない。やはり消費税増税が、我々の暮らしだけではなく、県立病院の経営にも重大な打撃を与えているということが浮き彫りになった。何としても10%増税は許してはならない。
・医師確保、診療科の体制確立について
【斉藤委員】
今年度から新たな経営計画に基づいて、職員の増員計画、配置計画が示された。来年度の計画に対する医師・看護師・薬剤師等の増員の見込みはどうなっているか。
先日、胆沢病院に行ってきたが、小児科で入院ができない、脳神経外科でも緊急の手術ができないという深刻な話を聞いてきたが、小児科・脳神経外科の現状と拡充の方向はどうなのか。本会議で、ダヴィンチ(内視鏡手術ロボット)が導入されるという答弁があったが、これは大変うれしいニュースだったと思う。これはどういう形で予算措置されているのか。
【医師支援推進監】
経営計画における職員配置計画では、医師については、平成27年度は、初期研修医10名、勤務医15名の増員を計画した。これに対し、初期研修医は、今後発表される国家試験の合否にもよるが、医師臨床研修マッチング等の結果、現時点では、5名の増員を見込んでいる。また、勤務医は、年度間を通じての増員計画であるので、現在、関係大学の医局において人事異動の調整等を行っている段階であることから、4月1日時点での人数を示すことは難しいと考えている。一人でも多くの医師を増員できるよう取り組んでいく。
胆沢病院について。27年2月1日現在の常勤医師数は、小児科1名、脳神経外科3名となっている。小児科や脳神経外科などの診療科については、専攻する医師が少なく、主な派遣元である関係大学の医局自体の医師の絶対数が不足していることから、現時点で胆沢病院の小児科および脳神経外科の医師の拡充を図ることは困難な状況になっているが、今後とも引き続き、関係大学への派遣を要請するため、新たに導入した医師の任期付採用職員制度を活用した即戦力医師の招へい等に積極的に取り組むほか、保健福祉部等と連携し、28年度以降本格化する、奨学金養成医師を計画的に配置するなどにより、必要な診療体制の確保に努めていきたい。
【職員課総括課長】
看護師・薬剤師等の職員配置計画と来年度の見込みは、看護師については36名の増員計画に対し、予定している大槌病院の入院再開に必要な人員として21名、教育担当看護師の専従配置9名などを加え、7対1入院基本料にかかる施設基準の維持に必要な人員として11名を新たに配置するなど、職員体制の見直し等を含め、計画を上回る48名の増員を見込んでいる。また、薬剤師等については、医師や看護師などの負担軽減、薬剤療法の有効性・安全性の向上のため、薬剤師の病棟配置を進めるほか、リハビリテーション提供体制の充実などをはかることとしており、24名の増員計画にたいし、おおむね計画通りの増員を見込んでいる。なお、いずれも医師と同様だが、今後発表される国家試験の合否によっては、見込み数を下回ることもあり得る。
【経営管理課総括課長】
内視鏡手術ロボット:ダヴィンチについてだが、先に議決いただいた2月補正予算に盛り込んだところであり、医療機械費の中で措置したところであり、額の増減がなかったということで、議案には出てきていない。
【斉藤委員】
おそらく保健福祉部が財源を措置して、医療再生資金を使ったのか。
【経営管理課総括課長】
財源については、地域の元気づくり交付金を活用しており、議案としては、重要資産の項目の中に書きこんでいる。
【斉藤委員】
医師の見込みはまだ調整中ということで、看護師は36名の計画に48名で計画を上回る増員というのは評価したい。
しかし、看護師をめぐる状況はきわめて深刻で、この間、胆沢病院の看護師や中央病院の看護師さんとじっくり懇談して実情を聞いてきた。
例えば、中央病院の場合、7対1看護体制で、看護師が足りなくて、業務応援の他の5つの病院から6人、中央病院の外来から病棟に十数人充てられている。それで何とか7対1を維持している。その結果、土日の休みが一度もない人が多い。子どもの参観日に休めない。本当に深刻で、今回の増員でも、20病院、基幹病院もたくさんあり、大きく変化させることはできないのではないか。看護師の実態をどう把握しているか。
【職員課総括課長】
中央病院は県立病院の中で、高度急性期医療を担うセンター病院として位置付けており、主に重症度の高い患者のケアを担っていると認識している。医療の質の向上に向けた安全、感染対策等の強化もあり、業務量は増加傾向にあり、超過勤務等も増えているものと考えている。また、育児等を要因として、夜勤に従事することが困難な職員をカバーするため、月9回夜勤なども発生していると考えている。
こうしたことから、負担軽減という形にもなるが、薬剤師の病棟配置、看護助手の夜勤導入などにより、軽減を図るとともに、夜勤専従制度の導入なども行い、夜勤の要因の確保などにも努めているところであり、今後においても、負担軽減につながるような取り組みを進めていく必要があると考えている。
【斉藤委員】
看護師確保対策検討委員会をつくって、この間、実態から対策から検討されてきた。その資料をすべて見させていただいた。現場からの訴えもあったが、驚いたのは、普通退職、50歳以前に辞める人が若年層を中心に発生し年々増加傾向にあり、20代を中心にほぼすべての年代で増加している。いわば50歳まで働けない職場になっている。平成25年度の普通退職の状況、全体の退職者の中でどういう比率を占めているか。
【職員課総括課長】
25年度の退職者は、合計で159名、うち定年が33名、勧奨退職が29名、普通退職が97名となっている。
【斉藤委員】
実に退職者の6割以上が普通退職、50歳以前に辞めざるをえない。それも20代30代が多い。働きざかりの世代にいろんな矛盾が集中している。
7対1看護体制について、検討委員会報告書では、入院基本料7対1看護を取得している病院において、「導入による勤務時間管理が行われるようになってから、基準維持のため年次休暇が取得しづらくなっている」「業務が多忙な中、年次休暇が取得できないでいる」「委員会の数が多く、超過勤務につながっている。委員会業務は超過勤務としていない場合もある」と、私が指摘しているようなことを検討委員会は指摘している。7対1で11名今回増やすが、本当の意味で、7対1看護体制をとるのにどれだけの看護師の増員が必要なのか。勤務時間外に委員会・研修、これも検討委員会報告では「必要なものは勤務時間内にやるべきだ」と言っているが、改善すべきではないか。
【職員課総括課長】
7対1看護体制に必要な看護師は、来年度は11名の増員と予定しているが、患者数に基づいて必要になる看護師数が基準上決まってくるということであるので、患者数の見込みをどう見るかで変わってくる。今年度については、過去の1年間の実績の最大値をもって見込んで増員を図るという形で考えたところである。
【業務支援課総括課長】
看護師の病院内による研修だが、業務に必要な研修は、原則として勤務時間内に開催することが望ましいところである。ただ、外部講師の都合だとか、日常の看護業務に支障がないような時間設定とすることから、やむを得ず時間外に開催する場合もある。
今年度については、1月までに11名において時間外での研修の開催があった。研修内容としては、認定看護師等専門資格者を講師とした看護技術の向上を目的とした研修、看護職員養成にかかるキャリア研修、看護診断・看護研究等にかかる研修となっている。このような時間外の研修については、超過勤務として取り扱っている。
今後とも、院内研修の実施方法については、それぞれの病院の実情に応じて必要な見直しを行うこととしている。例えば、当該研修をビデオに撮影し、参加できない職員等に情報共有を図る病院もあるので、こういった取り組みを周知していきたい。
【斉藤委員】
時間外でやっている研修のほとんどは時間外手当の対象になっていないのが実態である。しっかり改善していただきたい。それでなくても超過勤務が多いのだから。夜勤明けになっている、休みになっている人もそういう研修に参加させられているのも実態なので。
・被災県立病院の再建整備について
【斉藤委員】
山田病院について、これから契約ということで入札はうまくいったということか。
機能病院だが、高度急性期・急性期・回復期・慢性期、これは995床・2809床・123床・92床と答弁があった。病院数と病棟数でどうなっているか。
【経営管理課総括課長】
山田病院の入札だが、先日入札を行ったところ、建築・電気設備・機械設備とも落札者が決定し、現在契約手続きを進めているところであり、3月中に打ち合わせを行い着工をする見通しである。
病棟の関係だが、高度急性期は4病院20病棟。急性期は51病棟、回復期が3病棟、慢性期が2病棟である。(詳細は後ほど資料配布)