2015年3月12日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・ごみ処理広域化計画について
【斉藤委員】
県北ブロック(岩手北部広域環境組合)の広域化計画の経過と現状はどうなっているか。
【資源循環推進課総括課長】
平成22年4月に、岩手北部広域環境組合が設立され、焼却施設の統合に向けた事業を進めていたが、25年4月に、正副管理者会議において、ごみ処理施設等の整備事業の中止および岩手北部広域環境組合の解散方針が決定された。同組合の解散については、25年12月に、構成8市町村中7市町村で可決されたものの、九戸村議会が否決したため、同組合は解散されず、平成26年3月に九戸村を除く7市町村において、同組合脱退議案が可決された。
現在、久慈・二戸地区において、当面はそれぞれの現有施設を使用しつつ、今後についても引き続き協議を続けるとしている。
【斉藤委員】
県北ブロックの広域化計画がこういう形で、1ヶ所集中の焼却炉建設は中止すると。最大の要因は何だったのか。
【資源循環推進課総括課長】
当初、久慈・二戸地区において、将来試算等を行い、統合案が有利だという結論が得られ、統合に向けて走っていたが、その後、国において、施設の長寿命化等に対する交付金措置等もあり、そうしたところも含め検討したいということで聞いている。
【斉藤委員】
県南ブロック(県南地区ごみ処理広域化検討協議会)も、当初の計画が見直されたと思うが、どのように見直されたのか。
【資源循環推進課総括課長】
25年11月に、県南地区ごみ処理広域化基本構想が、県南地区ごみ処理広域化検討協議会において、各構成市町首長の方々の合意により承認された。
構想の内容は、現在一関市内にある2つの焼却施設を1施設に新設統合し、奥州地区にある焼却施設は、基幹改良を行うことにより、当面ブロックの中で2施設体制として、そして将来のあり方については、社会情勢の変化等に応じて、引き続き検討を行うものである。
当初との変更ということでは、この地区は、かなり長い間広域化に向けて協議を続けており、当初のものがあったというわけではない。ただ検討の過程において、県北と同じように、長寿命化の考え方も国から示され、また県南ブロックについては、福島原発事故にともなう放射性物質汚染により、廃棄物処理施設の整備に影響が生じていると。さらに、汚染された廃棄物の処分のための対応も求められており、そうしたことから、当面、一関・奥州の各地区において、新設、長寿命化等へ対応する等の旨の見直しを行ったと。最終的には1ブロック1施設を目指すものである。
【斉藤委員】
県北・県南ブロックで、当初1ヶ所集中という広域化計画、今の段階では見直しされている。
そもそも、岩手県ごみ処理広域化計画というのは、平成11年3月に策定された。いわば、ダイオキシン問題が起こったときに、あわてて作られた。そのときに、県下6ブロックに1ヶ所ずつ大規模な焼却施設を建設するという、ダイオキシン対策という最大の名目で作られた。いま平成27年である。16年も経って、こういう昔の広域化計画は本来見直されて当然だと思う。
問題は、県央ブロックで、実は16年経って今大問題になっているのが、県央ブロックでのごみ処理広域化計画である。1月22日に協議会が開かれ、葛巻から紫波まで、広域化計画を盛岡に一極集中するという計画が出され、十分住民に説明することなく進められようとしているところに一番の問題があると思う。
ダイオキシン対策というのは、基本的には今解決されているのではないか。大規模焼却施設を造らなくても、技術も向上しているのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
平成11年当時、正確にはその前からだが、ダイオキシン問題が非常に大きな問題となっていたのは事実である。また、ごみ処理広域化計画もその時期に策定したというのも事実だが、ごみ処理広域化計画の目的については、当時ダイオキシン問題もあったが、長期的に将来、廃棄物処理事業コストの低減だとか、排熱等のエネルギーの有効活用、リサイクルの推進など、他にも引き続き実現を目指していかなければならない目的が含まれている。
ダイオキシン対策については、技術的にもだいぶ知見が得られ、実際に所規模施設だとなかなか管理が大変だが、技術的にはどういった国内の施設でも、十分規制が守られるような状況になっている。
【斉藤委員】
情勢が変わったといえば、そういう技術の向上によりダイオキシン対策はかなり改善された。
そういう中で、たしかに広域化計画には、リサイクルの推進や廃棄物処理コストの低減などある。すでに1ヶ所に集約されたところもあるが、そこではリサイクルは進んでいるのか、ごみの量は減っているのか。
【資源循環推進課総括課長】
ごみ処理広域化で、一般的には地域内の先進的な市町村の取り組みに引っ張られていくということがあり、結果的にそのブロック全体で減量化につながるという考え方がある。
県内の例でいくと、沿岸中部広域、宮古市を中心とした広域ブロックだが、ごみ処理広域化計画をつくった平成11年度だと、一人一日当たりの排出量が1117g、これがその後順調に減り、25年度末で985gといったところまできている。
【斉藤委員】
宮古の例を言われたが、そこはそもそも宮古だけしかなかったと。
沿岸南部はどうか。釜石に集約し、ここは何でも燃やせるということで、ごみは減っていないのではないか。そして、他の地域と比べて、広域化したところが改善されたのか。
【資源循環推進課総括課長】
広域化をした17年度で、一人一日当たりのごみ排出量は1103g、25年度においては868gに減っている。
【斉藤委員】
全県の平均と比べて広域化したところは進んでいるのか。
【資源循環推進課総括課長】
全県は、やはりごみの減量化に取り組んでおり、減っている。付け足しだが、震災以降若干全県的に増える傾向がある。
ただ、いずれ良い取り組みに引っ張られるということで、リサイクルを進めるということが行われている。
【斉藤委員】
質問にきちんと答えていただきたい。
一番の題目だったダイオキシン対策は、基本的には技術的に解決されている。リサイクルでも、他の地域と広域化したところと比べて顕著な改善があるかといえば、それはない。全県的に減っている。残るはコストのみ。
盛岡の対象面積・人口、葛巻から紫波まで、これだけ広大な面積を盛岡一極で日量500トン燃やすと、大型焼却炉をつくる理由がどこにあるのか。盛岡市には、公害防止対策協議会がある。クリーンセンターの公害防止対策協議会だが、ここでは、「広域化の検討にあたっては、1施設集約化ではなく、コスト面の差異がない3施設建て替えも含めて検討を行うこと」という提言をしている。実は10月2日に、この協議会に盛岡市から出されたライフサイクルコストで見ると、ほとんど差異がなかった。そしてもう1つ大きなごまかしがあり、3施設建て替えの場合には、県の計画に合わないから国の交付金が使えないと、とんでもなく高い建設費で比較して同じぐらい。市町村も合意して3施設にしたいというのなら、交付金活用できるではないか。なぜ片方が交付金活用できなくて施設整備が320億円、1ヶ所集中の施設整備費が170億円という、アンフェアな計画を盛岡市は出しているのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
10月2日の資料については、盛岡市のクリーンセンターの協議会に、盛岡市の方が説明にうかがった際に、最初にその場で提出した資料にいくつか問題があるのではないかという指摘を受けて、そして担当の方がその場であわてて急きょ修正したと聞いている。その際に、単価として適当でない単価を誤って入れ、それを渡したと聞いている。あくまでも、正式なものとしては、1月22日の協議会で認められたものが正式なものである。
【斉藤委員】
10月2日に示した試算も、1月22日に示した試算も、3施設案は、交付金が活用できないという、320億円の整備費で試算している。どちらもこの点では同じである。なぜこんなアンフェアな比較になるのか。3施設案がまとまれば、当然交付金活用できるはずである。県北ブロックがなぜ長引いたかというと、あなた方が交付金は使えないと言っていて、組合の方々が直接確認したら、交付金が活用できるとなり、県北は中止になった。
あなたは1月22日の協議会に出て、県の計画に一致しなければ交付金活用できないと説明している。そもそもどういう案がいいかということを検討する場で、1ヶ所しかないというような、比較でも何でもないではないか。そういうアンフェアなやり方でいいのか。
実は12月の盛岡市議会でこの問題が議論になり、3施設建て替えの場合に交付金が入っていないと。中川環境部長は「3施設建て替えでも交付金の活用ができるとすれば、1施設集約より財政的にはメリットがある。交付金の活用は、国・県の通知の整合性を図ることが前提だ。3施設建て替えでも活用できると仮定すればそうなる」と答弁している。そして、このコストを試算したのは八千代エンジニアリングである。こことの契約が去年の3月末までである。基本的にはデータは出ているはずである。ところが都合が悪くなったから、あなた方は1月22日に向けて試算の仕方を変えたのではないか。八千代エンジニアリングとの契約は3月21日に終わっている。途中で試算を変えたのは、盛岡市当局だったと思うが違うか。
【資源循環推進課総括課長】
私の発言に関しては、協議会に参加し、発言を求められ、その時には、「『国から、1施設に統合しなくても、交付金の対象となるとの回答があった』と、二戸等でそういう話があるということだったが、それについては複層施設の整備であっても、長期的に見てそれが1施設等よりも合理的な計画であれば、否定するものでないというのが本来の趣旨だろう。言い換えれば、1施設への統合が合理的という結果が出ていれば、それはやはり1施設に統合するべきという趣旨だろう。そういう趣旨からごみ処理広域化計画と整合を図る必要がある」と申し上げたものである。
12月市議会での部長の答弁については確認していない。ただ、1月22日の協議会の結果で、広域化促進協議会が試算した結果を見る限りにおいては、やはり財政的な部分も含め1施設統合の方が合理的という結果になっていると理解している。
【斉藤委員】
そもそも、広域化計画そのものが、最初に1ヶ所になるか、当面3ヶ所になってそこを通じて広域化を考えると。県南はそうである。最初から1ヶ所しかないというアンフェアな、片方は交付金を認めないというようなコストを10月2日にも、1月22日にもそういう試算を出すのはおかしいのではないか。コスト比較をするときに、条件が違っていたら比較にならないのではないか。10月2日に出したのと1月22日、基本的に八千代エンジニアリングに対する試算というのは、データは全部出ていたのではないか。それをわずかの間に条件が変わって、アンフェアな比較の中で1施設がより良いという、まったくやり方としてはあまりにもひどいのではないか。
【環境生活部長】
盛岡市をはじめ、関係市町協議会からの話を聞いているところでは、10月2日の資料というのは、現場で対策協議会の求めに応じて、その場で担当者が急きょ作成したという暫定資料だと聞いており、その後、パブリックコメント等での意見も踏まえ、内容を見直し、本年1月22日に承認された基本構想が正式な試算であると聞いている。
あくまでも試算については、最初からありきということではなく、丁寧に広域化推進協議会の中で議論が行われ、比較資料が作られたと考えている。
【斉藤委員】
市議会の議事録を紹介したが、県からそう言われているからアンフェアなコストを出した。3施設の場合でも交付金が活用できるのなら、3施設の方が財政的メリットがあるというのが答弁である。最初からアンフェアな比較しか出していない。
こんな広大な面積で、中継地から10トントラックで持ってくると。運搬の安全性や経費はまったく適さないと思う。
盛岡紫波環境組合は、一番リサイクル・ごみの減量に取り組んでいる。こういうところの取り組みが弱まってしまうと思う。もっと地域の努力を生かすような、そういう方向にすべきである。盛岡広域といえば愛媛県に匹敵する。山あり谷ありのところで一極集中すること自身、地理的にも安全性からいっても、省エネ・減量・リサイクルを進めるという点からいっても逆行するのではないか。
盛岡市の場合には、クリーンセンターの公害防止協定というのがあり、同じところに建設しようとする場合には、必ず事前に地域住民と話し合うと。おそらく今のクリーンセンターのところが最重要候補地だと思う。これまた住民の合意を覆すことになってしまう。一関の二の舞になってしまう。そういうことをやってはらないと思うがいかがか。
【資源循環推進課総括課長】
広域化のコスト試算は、収集運搬も考慮している。
盛岡市のクリーンセンターの関係だが、この構想では「盛岡市内とする」と書いているだけである。いまあるクリーンセンターの場所ということでは、そこに決まっているというものではないと理解している。
【斉藤委員】
盛岡紫波環境組合が、リサイクル・ごみの減量で大きな成果をあげておりモデルである。いろんな取り組みの差異がある中で、1ヶ所集中したらそういう取り組みが弱まってしまうと思う。
盛岡市のクリーンセンターのところでは、汚染物質は毎日毎日の基準は超えてても、この期間でみると2000トンを超える化学物質が蓄積されている。だから、同じところにはこういう施設をつくってはならない。だから一関の場合も地元の人たちが反対した。
一関は盛岡以上に長期間蓄積されている。覚書の協定があるにも関わらず、そこに仮設・本設焼却炉、処分場もつくるなど、三位一体の押し付けをやろうとするやり方は、住民自治・民主主義からいったら絶対に許されないことだと思うが、こんなことを押し付けたら絶対に解決しない。そういう考え方でいいのか。環境変化と言うなら何が環境変化したのか。広域化処理の方が環境変化している。住民との関係は全然変化していない。
【環境生活部長】
広域化については、やはり処理の責務を負っている市町村が廃棄物処理事業のコストの低減、排熱等の未利用エネルギーの有効活用、リサイクルの推進などの目的のもとに協議・議論されて決定していくという流れである。その中で、ごみの減量化ということについても、決して広域化したからできないということでは決してないと思っており、引き続き減量化にもどの市町村も頑張っていただきたい。
施設が同じ場所にずっとということだが、これはあくまでも一般論だが、きちんと環境基準等あるので、蓄積されたものが影響を及ぼすことには決してなっていない。
市町が各地域と覚書を結んだことについても、具体的に県の立場で申し上げる立場にはない。