2015年3月23日 最終本会議
議案および請願不採択に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第24号、第27号から第29号、第32号、第61号に反対し、請願陳情138号、145号、146号の不採択に反対の討論を行います。
 
 議案第24号、第27号、第28号と第32号は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴い条例を改正するとともに新たに条例を制定しようとするものです。
 この内容は、安倍内閣の「教育改革」の一環で、教育委員会制度を改悪し、国や首長による教育内容への政治介入を可能とする極めて重大なものです。具体的には、教育委員長と教育長を一本化し、首長が直接任命する新教育長を教育委員会のトップとするものです。一方で、教育委員会の教育長に対する指揮監督権は奪われます。
 また、地方自治体の教育政策の方針となる大綱を、首長が決定するとしています。大綱には、学校の統廃合や愛国心教育の推進など、教育委員会の権限に属することまで盛り込むことができ、教育委員会にその具体化をさせる仕組みとなっています。
 これでは、教育委員会を首長任命の教育長の支配下に置き、教育行政への首長の介入に道を開くことになりかねません。
 安倍内閣による教育委員会制度改悪のねらいは、侵略戦争美化の愛国心教育の押し付けと、異常な競争主義を教育に持ち込むことにほかなりません。
 日本共産党は、こうした教育委員会制度改悪のねらいと運用を許さず、教育委員会が住民、学校現場の多様な教育要求を施策に反映させ、教育の自主性を大切にする機関として改革・活性化するよう力を尽くすものであります。
 
 議案第29号と第61号は、総括課長級以上の幹部職員と小中高等学校の校長以上の管理職教員の管理職手当を削減しようとするものであります。この削減は本来、一時的な措置で実施されたものですが、来年度も実施されると11年連続の削減となります。事実上の賃金削減となっていることは制度上も問題であります。削減額は約8800万円余ですが、見直すべきと考えます。
 
 請願陳情138号は、「安全安心の医療・介護実現のための夜勤改善、大幅増員を求める」請願です。この請願は、第一に、看護師など夜勤交代制労働者の労働時間を1日8時間、週32時間以内、勤務間隔12時間以上とし、労働環境を改善すること。第二に、医師・看護師・介護職員等を、大幅に増やすこと。第三に、国民(患者・利用者)の自己負担を減らし、安全・安心の医療・介護を実現することを―を求めるものです。
 夜勤交代制労働は、健康リスクや安全リスクが高い勤務です。ILO(国際労働機関)夜業条約・勧告では、「や業に従事する労働者の労働時間は、昼間同じ仕事に従事する労働者より少なくする」としています。
 厚生労働省自身が2011年6月17日の5局長通知で、「看護師等の勤務環境の改善なくして、持続可能な医療提供体制や医療安全は望めない。夜勤交代制労働者の勤務環境改善は喫緊の課題」と指摘しています。2013年2月8日の6局長通知では、「医療分野の雇用の質の向上のための取組について」の指摘もされています。県立病院においても、厳しい労働環境のもとで、昨年度看護師の50歳前の普通退職が97人に及び、退職者の6割を占めるなど増加していることも深刻な実態を示すものです。医師・看護師・介護職員等の大幅な増員は国民的な緊急課題となっているのではないでしょうか。国民の医療費・介護保険料・利用料等の負担は、先進諸国と比べても異常なもので、その負担軽減は切実な課題です。こうした請願を不採択とすることは、医師・看護師・介護職員の深刻な状況の改善に背を向けるものであるとともに、県民の願いにも背を向けるものであり、請願の不採択に反対するものです。
 
 請願陳情145号は、「三陸の海を守るため六ヶ所再処理工場放出のトリチウム濃度を原発並みに規制するよう関係機関に求める」ものであります。
 東京電力福島第一原発事故による汚染水の海洋放出については、トリチウムの濃度は1500Bq/Lとなっていますが、六ヶ所再処理工場からは1億7千万Bq/Lの排水は海洋に放出されました。これは、福島第一原発事故の基準の11万倍に相当するものです。六ヶ所再処理工場は現在試験段階ですが、本格操業となればさらに深刻な事態となることは明らかです。せめて福島原発事故の基準で六ケ所再処理工場のトリチウム濃度を規制することは当然の要求であり、課題ではないでしょうか。復興の途上にある三陸の漁場は、六ヶ所再処理工場による汚染水の排水の下流に位置し、その影響は極めて重大です。現在でも福島原発事故による風評被害に直面しており、これ以上の放射性廃棄物による汚染を許すわけにはいきません。こうした立場から請願の不採択に反対するものです。
 
 請願陳情146号は、「住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能の充実を求める」ものであります。これは、究極の構造改革と言われる道州制の導入に反対するとともに、東日本大震災津波からの復興の教訓を踏まえて、国民の安全・安心を確保する国の出先機関の存続と充実を求めるものであります。道州制には、全国町村会が強く反対し、地方6団体からも反対、懸念、疑問の声が示されているものです。東日本大震災津波からの復旧・復興を進めるためにも、今後の大規模な災害に備えるためにも、国の出先機関の存続はもとより充実強化をはかることは重要なことではないでしょうか。
 
 以上申し上げ、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。