2015年4月16日 臨時県議会本会議
議案に対する質疑(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めることについて、質問します。
 今回の条例改正は、地方税法等の一部を改正する法律の改正等に基づくものであります。その内容は、国民には消費税の大増税を押し付ける一方で、法人税率を引き下げ、大企業には2年間で1兆6千億円もの減税を行うものであります。また、その穴埋めを外形標準課税の拡大によって行おうとするものであります。地方税に関しては、今回は資本金1億円超の大企業が対象となっていますが、安倍首相は国会での答弁で、外形標準課税の中小企業への拡大について、「慎重に検討」すると答弁し、否定しませんでした。

1、法人税の減税について

【斉藤議員】
 知事に質問します。第一に、消費税増税で国民には耐えがたい負担を押し付ける一方で、莫大な利益を上げ、285兆円もの内部留保をため込んでいる大企業には1兆6千億円もの法人税の減税を行うことは、税制の民主主義に反する逆立ちしたやり方ではないでしょうか。1兆6千億円もの財源があれば、東日本大震災津波からの復興や社会保障費3900億円の削減をやめるべきと考えますが、知事の政治姿勢の問題としてお聞きします。
 
【達増知事】
 斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。まず法人税の減税についてでありますが、今般の法人税の改正は、課税ベースを拡大しつつ法人実効税率の引き下げを目指すものであり、税収中立で制度設計がなされていると聞いています。また、復興や社会保障など、地方が必要とする経費については、国が責任を持って確保に努める必要があるものと考えております。

2、外形標準課税の中小企業への拡大について

【斉藤議員】
 第二に、法人事業税の外形標準課税、付加価値割と資本割の税率が引き上げられます。外形標準課税は、赤字の企業にも負担を強いるとともに、人件費等が課税の対象となって、派遣や請負への置き換えがさらに進むのは明らかです。中小企業への拡大についても安倍首相の答弁を見ても検討課題となっており、また、与党税調の税制改正大綱に盛り込まれています。税制の大改悪と言うべきものと考えますが知事の見解を求めます。
 
【達増知事】
 次に、法人事業税の外形標準課税の中小企業への拡大についてでありますが、被災地の中小企業は、依然として厳しい状況にありますことから、中小法人への外形標準課税の拡大は、慎重な検討が行われるべきと考えます。地方税制については、地方公共団体が住民に身近なサービスの提供主体であることにかんがみ、地域の偏在性が少なく、安定的な地方税体系となるよう、地域経済の実態も踏まえながら、制度の構築がなされるべきと考えています。
 その他のお尋ねにつきましては、総務部長から答弁させますので、ご了承をお願いします。

3、外形標準課税の拡大について

(1)外形標準課税の対象となる企業について

【斉藤議員】
 総務部長に質問します。第一に、今回の外形標準課税の拡大の対象となる資本金1億円超の企業の実態(実数、率)はどうなっているでしょうか。赤字の企業はどうなっているでしょうか。赤字の企業の増税の見込みはどう推計されるでしょうか。

【総務部長】
 まず、外形標準課税の対象となる企業についてでありますが、本県における資本金1億円超の企業は、平成27年3月末現在、1,591法人であり、法人事業税申告法人数22,596法人の約7%となっております。このうち、平成26年度に法人事業税所得割の税額が生じていない法人は、196法人となっております。
 また、これらの所得割の税額が生じていない法人の税制改正による影響額は、各法人の年度間の所得等の経営状況もあり推計は困難でありますが、仮に前年度と同じ所得とした場合には、約1億1千万円余と算出されるところであります。

(2)外形標準課税の拡大による税収への影響について

【斉藤議員】
 第二に、今回の外形標準課税の拡大による税収、所得割はどう推計されるでしょうか。県税収入への影響はどうなるでしょうか。

【総務部長】
 外形標準課税の拡大による税収への影響についてでありますが、今回の税制改正は、法人事業税の4分の1に導入されている外形標準課税を平成27年度から2年間で2分の1に拡大し、所得割を4分の3から2分の1に縮小するものであります。
 地方財政計画の数値を基に推計すると、本県では平年度ベースで外形標準課税分は約50億円の増、所得割分は約50億円の減となり、概ね税収は中立と見込んでおります。

4、幼保連携型認定こども園について

【斉藤議員】
 第3に、今回の条例の一部改正には、幼保連携型認定子ども園の通園バスについて、自動車税の軽減税率の対象となります。県内の対象となる幼保連携型認定子ども園はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 次に幼保連携型認定こども園についてでありますが、県内の公立以外の幼保連携型に認定こども園の数は、23法人、26施設でございます。以上でございます。


≪再質問≫

【斉藤議員】
 知事に再質問いたします。私は今回の県税条例の一部改正は、国のいわゆる税制改正に伴うものだと。県税の場合は、確かに税制中立なんですよ。しかし、外形標準課税の比率が高まるっていうことは、私は、税制度としてはね、変質だと思います。国の方はそうじゃないんですよ。1兆6千億円の減税の財源はね、国の方は賄えないんですね。先行減税なんですね。国民には消費税、そしてぼろ儲けしている大企業には、財源の見通しもないのに、先行して1兆6千億円もの減税をするというのは、逆立ちではないのかということを、私、知事に、税制改正の内容としてお聞きしたので、そのことをきちんとお答えいただきたい。
 それと2つめは、外形標準課税というのは、そもそも赤字の企業にも課税する、そして人件費も課税の対象になるというので、これはボロ儲けしている大企業のために、赤字の企業に負担を強いるっていう、これまた今までとの発想が大きく変わるものだと思いますね。そして、質問でも聞きましたけれども、人件費に課税されるということになると、正社員から派遣・請負への置き換えが進むっていうのは、これはっきりしているんですよ。今、非正規雇用が拡大しているという時に、こうした税制改正の中身でいいのかと。その点で私は逆立ちしているんではないか。あまりにも大企業優先ではないのかと。いうふうにお聞きしたので、そうした今の安倍政権の異常な大企業の利益優先の税制改正の中身について、しくみについて、政治家としての知事のね、考え方を改めてお聞きします。

【達増知事】
 復興や社会保障など、地方が必要とする経費を国が責任をもって確保につとめるということがまず必要であります。そのなかで、減税による景気浮揚とマクロ経済政策については、様々な工夫があり得ると考えております。そして、外形標準課税については、中小法人への、被災地の中小企業が依然として厳しい状況にありますことから、中小法人への外形標準課税の拡大については、慎重な検討が行われるべきと考えております。
 また、外形標準課税の付加価値割が報酬・給与額が増加すれば、単年度損益が減少するため、税額が増加しない仕組みとなっています。また、その上でさらに雇用に配慮して、報酬・給与の比率が高い法人については付加価値割額から一定額を控除する雇用安定控除の措置もあるところでございます。