2015年7月8日 6月県議会最終本会議
議案に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、第3号、第5号、第7号に反対の討論を行います。
 議案第1号と第7号は、番号利用法、いわゆるマイナンバー制度の施行に伴い個人情報保護条例と住民基本台帳法施行条例の一部を改正しようとするものです。
 マイナンバー制度は、社会保障と税の一体改革の中で出されたもので、社会保障費の削減と増税を目的としたものであります。日本年金機構からの125万件の個人情報が流出した事件にも示されているように、マイナンバー制度には解決できない4つの問題・危険性があります。第一に、100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムを構築することは不可能なこと、第二に、意図的に情報を盗み売る人間がいること、第三に、一度漏れた情報は流通・売買され取り返しのつかない事態となること、第四に、情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃しやすくなることであります。マイナンバー制度はこうした根本的な欠陥をもつものであり、その実施の中止こそ必要です。
 また住民基本台帳ネットワークシステムは、県税の賦課・徴収に利用されているのが実態で、県民の利用は旅券の申請程度であり、年間の維持管理費が約8700万円となっていることは、県民の立場からみて、経済効率性の低いものだと言わなければなりません。住民基本台帳ネットワークシステムもそのあり方が根本から問われています。
 議案第3号は、職員の退職手当及び再任用に関する条例の一部改正であります。地方公務員の共済年金の厚生年金への一元化に対応するものであります。
 この年金制度の見直しによって、県職員の場合、月額2000円程度の減額になることが、国から示されていることは問題です。県職員の場合、平成24年度の退職手当の改正で、約390万円の減額となっており、さらなる減額となることは問題です。
 議案第5号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例です。法人税の引き下げを行う一方で赤字企業にも課税する外形標準課税の割合を4分の1から2分の1に段階的に拡大するものであります。
 本来、税制は、所得に応じて課税する応能負担が原則です。しかし、外形標準課税は、赤字の企業にも課税するとともに、人件費等も課税の対象となることから、正社員の派遣、請負への一層の置き換えが進むことは明らかです。外形標準課税の拡大は、応能負担という戦後の民主的税制の原則を破壊し、一部のボロもうけしている大企業の利益優先の税制と言わなければなりません。さらに、与党税制調査会は、税制改正大綱で、外形標準課税を中小企業まで拡大することを提起しており、中小企業への大増税になりかねません。
 県内の資本金1憶円以上の企業の場合、所得割りの税額が生じていない、いわゆる赤字企業は約200法人で12.5%となっていますが、資本金1憶円以下の企業では、赤字法人は約12000法人で57.1%となっています。消費税大増税の上に、外形標準課税の増税が加われば、県内中小企業は倒産に追い込まれかねません。
 以上申し上げ、私の各議案に対する反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。