2015年7月8日 6月県議会最終本会議
安全保障関連法案の廃案を求める意見書に対する高田一郎県議の賛成討論
日本共産党の高田一郎でございます。
日本共産党を代表して、発議案第1号「安全保障関連法案の廃案を求める意見書」に対し賛成討論を行います。
安倍政権が国会に提出した「国際平和支援法」及び「平和安全法制整備法」は、「平和」「安全」とは名ばかりで、海外で戦争をする国づくりを進める「戦争法案」そのものであります。
「戦争法案」には3つの問題があり、「安全保障関連法案」は憲法違反の法案であることは明らかです。
第一に、海外派兵の恒久法の新設、周辺事態法改定によって、米国が、世界のどこであれアフガン戦争・イラク戦争のような戦争に乗り出したさいに、自衛隊がこれまで行けなかった「戦闘地域」とされる場所まで行って弾薬補給、武器の輸送などの軍事支援を行うことができるということです。その結果、相手から攻撃され、殺し殺されることになります。安倍総理自身も国会の中で、「戦闘現場になる可能性はある」「身を守るため、任務を遂行するために武器使用はありえる」と認めました。自衛隊が、戦後初めて、殺し殺される戦地に踏み込むことは明らかです。
「武力行使と一体でないから憲法違反ではない」と主張していますが、「後方支援」とは日本独特の造語であり、国際的には「兵たん活動」です。武力行使と一体であり、軍事攻撃の目標とされることは国際的には常識であります。
第二に、PKO法改定では、国連が統括しない国際治安支援維持活動にも自衛隊を参加させ、形式上「停戦合意」がされているが、戦乱が続いている地域に、自衛隊を派兵して、治安維持活動に取り組むことを可能にしていることです。これが可能となれば、アフガニスタンで展開したISAFのような活動に自衛隊を参加させることが可能となります。ISAFは米国主導の「対テロ」掃討作戦と混然一体となり3500人が戦死しています。「殺し殺される」戦争に参加することになり、武力行使を禁じた憲法9条に反することは明らかです。
第三に、武力攻撃事態法などの改定によって、日本がどこからも攻撃されていないのに集団的自衛権を発動して、米国の戦争に自衛隊が参戦し海外での武力行使が可能となることです。
これまで歴代政権は、「日本への侵略行為、武力の行使があった場合には必要最小限の自衛の措置として武力の行使ができる」というのが憲法解釈であり、集団的自衛権そのものは認めてきませんでした。しかし、日本がどこからも攻撃もされていないにもかかわらず、集団的自衛権を発動して地球の裏側まで行って活動する。これは憲法違反であることは明白です。
自公政権は、「武力行使の新3要件は、非常に厳格な要件で自国防衛を大前提にした要件だ」としています。しかし、新3要件、すなわち、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が覆される明白な危険」―こうした曖昧な要件を満たすかどうかは、時の政権の裁量に任されており無制限に広がる危険があります。
米国が先制攻撃を行った場合には、安倍総理は国会の中で、「総合的、客観的に判断する」と、集団的自衛権の発動を否定しませんでした。国連加盟してから今日まで、米国による国際法上違法な侵略戦争であったベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争など大義ない戦争に一度も反対したことのない日本が、米国の要請で集団的自衛権を発動することは明らかではないでしょうか。
6月4日の憲法調査会では、「従来の政府見解の基本的な論理の枠内で説明がつかない」と自民党推薦の憲法学者を含め3人のすべての参考人が違憲立法であることを表明しました。また、6月22日の衆議院安全法制特別委員会の参考人質疑では、元内閣法制局長官が「法案提出は法的安定性を大きく揺るがすもので違憲立法である」と発言し廃案を求めました。地方公聴会でも同趣旨の発言がおこなわれ、政府が59年の最高裁判決や72年の政府見解を持ち出し合憲といっている合理性は全くなくなっており、憲法に基づく立憲主義に反することは明らかです。
「戦争法案」は、審議をすればするほど国民の多数が反対を表明しています。世論調査では法案反対が約6割、政府の説明が不十分との声が8割にも達しています。中でも、戦争法案を「違憲だ」とする回答は、6月末に発表された世論調査では「共同」56.7%、「日経」56%、「産経」57%と過半数を超え、調査するほど「反対」の声が広がっています。主権者は国民であり国民の多数が反対することを数の力でごり押しすることは、国民主権に反するものであります。自公政権は、戦後最長の会期延長を強行し、通常国会での強行を狙っています。しかし、どんなに会期延長しても「違憲」には変わりありません。まかり間違っても与党が数の力でこれを通すということは絶対あってはなりません。
憲法9条は、310万人の犠牲になった先の戦争の反省の上に作られました。以来70年間一人の戦死者も作らなかった、大きな力になっているのが9条です。紛争地域などで活動する海外ボランティア団体のみなさんは、「日本が戦争しない国として大きな信頼があるから活動できる」といって戦争法案に反対しています。この枠組みをはずしてしまえば、世界の民衆の目は大きく変わってくるのではないでしょうか。若者が戦場で活動し世界で活動している日本人を含めて日本全体がテロに脅えるような国にしてはなりません。
与党推進勢力は、「安全保障環境の激変に対応するために必要だ」としていますが、具体的な立法事実を示すことができていません。北朝鮮や中国との問題でも、軍事的な対応が突出しすぎて外交戦略がありません。軍事的な圧力で他国を封じるというのではなく、あらゆる紛争課題を平和的な話し合いで解決する。こうした理念を掲げて条約を結んでいる東南アジア友好条約に学び北東アジアにも広げる、9条をもつ日本でこそこうした外交努力をすべきであります。
過去の戦争を間違った戦争とは言えない歴史観をもつ安倍総理、戦争法を批判するマスコミに「懲らしめてやる」「つぶせ」などメディアの報道の自由に対する乱暴きわまる暴言を繰り返す自民党の国会議員―。こういう人たちに日本を戦争できる国に作り変える戦争法案を出す資格はありません。
戦争法案の違憲性や国民世論から見ても、「戦争法案」は廃案・撤回するしかありません。
以上の理由から、「安全保障関連法案の廃案を求める意見書」に賛成するものです。
ご清聴ありがとうございました。