2015年10月15日 9月定例県議会・本会議
千田美津子県議の一般質問(大要)
【千田議員】
日本共産党の千田美津子でございます。初めての一般質問でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1.憲法違反の戦争法について
まず最初に、安全保障法制―いわゆる戦争法について、達増知事に質問します。
9月19日未明に強行採決された戦争法は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法であります。この法律に盛り込まれた「戦闘地域」での平たん、戦乱が続く地域での治安維持活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使など、そのどれもが憲法9条を蹂躙して、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。また、国会審議の中で、すでに「軍軍間の調整所の設置」や「南スーダンのPKO活動での駆けつけ警護の実施」など、国会と国民にも知らせないまま、戦争法の成立を前提とした具体化が図られていたことは極めて重大な事態であり、日本の平和と国民の命を危険にさらすこのような法律を、一刻たりとも放置するわけにはいきません。
このような中で、日本共産党は、「戦争法廃止、立憲主義を取り戻す」―この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して「戦争法廃止の国民連合政府」をつくろうと呼びかけ、取り組みを始めました。また、岩手県議会においては、先の臨時議会の最終日である9月24日、衆議院議長をはじめとする国の関係機関に対し、「安全保障法関連法の廃止を求める意見書」が圧倒的多数によって可決されたことは、全国初の素晴らしい出来事でした。
戦争法に対しては、圧倒的多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない広範な方々が憲法違反と指摘し、批判しました。重大な憲法違反である戦争法は、直ちに廃止すべきではないでしょうか。
そこで、強行採決された戦争法と、戦争法の廃止をめざす国民連合政府実現のよびかけについての知事の考えをお聞きします。
【達増知事】
先の通常国会で可決された安保関連法は、多くの憲法学者から憲法違反であるとの指摘がなされているほか、マスコミの調査でも国民の多くが今般の安保法制に反対であるとの結果が出ており、さらには岩手県議会においても安保関連法の廃止を求める意見書が可決されており、私も廃止するのが適当と考えます。
日本共産党から提唱されている国民連合政府構想は、安保関連法に反対する、あるいは疑念を持つ国民の民意を形にしようとするものであり、その民意を尊重する姿勢についてはおおいに評価するものであります。
国家・国民の大事に関わるものであり、各政党や政治家が真剣に議論し、民意が反映される政治を実現していただきたいと思います。
2.東日本大震災津波からの復興と被災者のいのちと健康、くらしを守る取り組みについて
・被災者の心と体の健康、コミュニティの確立について
【千田議員】
今議会初日の知事演述において、達増知事は、大震災津波被災者の医療費や介護保険利用料等の窓口負担の免除を来年末まで1年間延長することを明らかにされました。これは、何よりも被災者の切実な要望に応え、継続を求める請願を全会一致で採択した県議会の意志に応えるものであります。また、日本共産党が先の県議会議員選挙において、復興の最大の課題の一つとして免除継続を訴えてきたという点からも、今回の知事の決断を高く評価をするものです。
岩手県保険医協会が実施した被災者アンケートによれば、「正規の仕事につけず、低収入のままで生活が大変です。震災後病状が悪化しています」「なかなか働く場がなく、子どもも3人おり、医療費の負担が厳しい状況です」「何もかも失くした者には、医療費無料というのは神様にも似てすごく助かります」等、切実な声ばかりです。知事は、被災者の声と実態をどう受け止め、決断されたのかお聞きします。
私は、今回の質問に当たり、釜石市や大槌町、陸前高田市などの現状を見るとともに、懇談をしてきました。被災地では、災害公営住宅の整備や区画整理事業などが進められています。被災者の目から見ればまだまだ遅れていますが、着実に復興事業が進んでいることを実感してきました。しかしながら、8月末での災害公営住宅の整備完成戸数は2095戸で、計画の36%に過ぎず、応急仮設住宅とみなし仮設住宅には、ピーク時の43738人に対し、いまだに24495人(56%)が生活されています。被災者の皆さんからは、「間もなく復興住宅に入れるが、家賃や駐車場料金がかかる。物価も高く、国民年金なので住宅に入る喜びも半減して眠れない」「家も土地もお金もない。心が貧しくなるばかりです」などの悲痛な声が寄せられています。被災者のおかれた状況は深刻と言わなければなりません。
そこで、被災者支援の現状ですが、1点目は、被災者の心と体の健康の現状について、どう把握しているかお聞きします。
2点目は、コミュニティの確立が重要と思いますが、その取り組みはどうなっているかお聞きします。
3点目は、支援員の配置についてお聞きします。仮設住宅から公営住宅にと被災者の環境が大きく変わるため、支援員の配置を仮設住宅並にしっかり進めることが重要だと考えますが、対応の状況はどうでしょうか。
4点目は、災害公営住宅の集会所への机や椅子、ストーブ、カラオケ等の備品はどれだけ整備されているかお聞きします。
【達増知事】
応急仮設住宅等の入居者は、ピーク時の約6割に減少したものの、いまだ多くの被災者が不自由な生活を余儀なくされており、こうした応急仮設住宅等の居住者については、自宅が被災しなかった方々に比べて、心の健康や生活習慣病の有所見者が多い傾向が見られる状況にある。来年1月以降の対応について、県から市町村等にたいしその意向を確認したところ、免除対象者の見直しや免除の終了の検討についての意見もあったが、最終的には国保・後期高齢者医療制度・介護保険・障がい福祉サービスについて、すべての市町村等において現行制度のまま実施するとの回答を得たところである。これらを踏まえて、被災者が引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保を図る観点から、来年12月までの1年間、これまでと同様に県内統一した財政支援を継続することとしたものである。
【保健福祉部長】
被災者の心と体の健康の現状については、岩手医大が23年度以降沿岸4市町を対象に毎年度行っている東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査の平成26年度の調査結果によると、「健康状態が良くない」と答えた被災者の割合は、男性で13.4%、女性15.3%となっており、主観的な健康状態には大きな変化が見られないものの、睡眠障害のある方、心の健康に所見のある方については減少傾向にある一方で、高血圧、糖尿病、脂質異常症の有所見者は徐々に増加傾向にある。これを居住形態別にみると、応急仮設住宅等の居住者については、自宅が被災しなかった方々に比べて、睡眠障害のある方、心の健康や生活習慣病の有所見者が多い傾向が見られた。特に、不眠症の疑いのある方の割合は、男性で36.3%、女性53.0%となっており、応急仮設住宅等居住者の方が、男性で11.0ポイント、女性で13.2ポイント高い状況にある。
【復興局長】
災害公営住宅におけるコミュニティの確立については、これまで災害公営住宅に入居している住民相互の交流をうながすための集会所等を整備するとともに、入居募集に際しても、グループ募集を行うなど、コミュニティの維持に努めてきた。また見守り体制として、生活支援相談員の活動範囲を、災害公営住宅や自力再建した世帯まで拡大し、地域全体を対象とした見守り活動を展開している。さらに、応急仮設住宅から災害公営住宅へ転居した後で孤立することのないよう、受け入れ先の地域における支援体制づくりや関係者の意識の醸成を図るため、生活支援相談員や自治会長などの皆さんを対象に、災害公営住宅への移行研修を行っている。今後も市町村や社協等関係機関と連携し、災害公営住宅におけるコミュニティづくりを支援していく。
災害公営住宅における支援員の配置については、現状では、災害公営住宅に常駐する形で支援員は配置されていないが、復興支援員制度などを活用することにより、市町村の判断で、常駐を含めて支援員を配置することは可能であることから、県では市町村がこれらの事業を活用するなど、被災者の方々に寄り添った対応をするように要請している。なお、復興庁では、来年度概算要求において、被災者支援総合交付金により、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を実現することとしていることから、国や市町村の社協等と連携し、引き続きしっかりした見守り体制の構築に努めていく。
【県土整備部長】
災害公営住宅における備品の整備については、備品は災害公営住宅の各管理者により順次整備が進められているところである。県が管理する災害公営住宅の集会所には、復興交付金の効果促進事業を活用して、事務用机・イス・書棚・石油ストーブ・ガスコンロ・ホワイトボード等の必要な備品を整備することとしており、入居が始まっている8団地においては、今月までに納入される予定である。
・住宅再建への支援について
【千田議員】
住宅再建は、被災者にとって切実かつ重要な問題です。しかしながら、建設費の高騰などで、思うように進まない現状があります。先日、陸前高田市を訪問した際にお聞きしたのは、建築費の坪単価が80万円との話もお聞きしました。建築費の高騰の現状をどう把握しておられるかお聞きします。
私はこのような現状からも、重要なのが被災者生活再建支援制度の拡充だと考えます。これまで、国に対して支援金を500万円に引き上げるよう求めてきましたが、国の検討状況をどう把握していますかお聞きします。
また、岩手県は市町村と力合わせて「被災者住宅再建支援事業」を実施されてきましたし、県議会でも拡充を求める請願が採択されましたが、県独自にもさらなる支援策をどう検討しているかお聞きします。
【復興局長】
県ではこれまで国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してきたが、国では、個人の資産形成につながる支援の拡充については慎重な姿勢をとっている。このため、県では制度の拡充に向けて、限られた財源の中で、最大で100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施してきたところであるが、県独自でのさらなる支援の拡充については、厳しい財政状況を勘案すると難しいものと考えている。
国は、資材高騰等の物価上昇等にたいし、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費やグループ補助金の額については引き上げをしており、被災者の住宅再建支援についても同様に扱うべきと考えられることから、国に対して被災者生活再建支援制度の支援額の増額など引き続き強く要望していく。
【県土整備部長】
建築費の高騰について。県内の建築士・設計事務所・工務店・林業木材産業関係者などからなる、岩手県地域型復興住宅推進協議会では、被災地に建設された復興住宅の工事費等の調査を定期的に実施している。その調査結果では、岩手県では、震災前の平均坪48.5万円だった工事単価が、今年7月の調査では坪56.7万円と約17%上昇している。
・災害公営住宅の整備について
【千田議員】
災害公営住宅の整備が進められていますが、基本は、被災者の希望を踏まえた公営住宅を整備することが必要だと考えます。先日訪問した災害公営住宅では、台所の流しに取りつけられた蛍光灯に手が届かず、自前で設置せざるを得なかったなど、高齢者にとって大変不都合な点が沢山あったことが訴えられました。そして、事前に入居者の意見や要望を聞くシステムが無いのかなどの声も出されました。
建設は今後も続きますので、被災者のニーズをしっかりと把握し、対応すべきと考えますが、対応の現状についてお聞きします。
【県土整備部長】
各市町村において、地域の障がい者団体、高齢者団体、子育て支援団体などから意見をうかがっているほか、入居される方々への事前説明会での要望を受け、漁業従事者の方の合羽置き場の設置、ペット飼育に対応した災害公営住宅の整備、支援員等が活用できる事務室の設置などに取り組んできた。また、高齢の入居者への配慮として、各住戸の浴室・トイレ・廊下や共用部分には、手すりを設けるなどのバリアフリー化を図っており、今後とも被災者のニーズにできるだけ対応しながら災害公営住宅の整備を進めていく。
・産業再生と雇用について
【千田議員】
被災地の産業の再生と雇用の安定は、復興を進める上でもまさに中心課題であります。
そこで、仮設店舗や商店街の本設移行の問題ですが、仮設店舗の撤去費用等への補助は現状では5年間となっており、復興事業の遅れによって、現状は5年以内の本設展開は出来ない事業者も多いのではないでしょうか。これらの状況や意向をどう把握されていますかお聞きします。また、これらの事業者には、これまで通りの支援策の実施が必要ではないかと考えますが、お聞きします。
雇用の確保の問題で、被災事業所復興状況調査結果では、現在の課題として、第1が顧客・取引先の減少、第2が業績の悪化、第3が雇用・労働力の確保困難となっています。特にも、被災地の雇用・労働力の確保という点で、県としても一層の取り組みが必要ではないかと考えますが、お聞きします。
【商工労働観光部長】
仮設店舗等の本設移行について。中小企業基盤整備機構が整備し、市町村に譲渡した仮設店舗等に入居している商業・サービス業者は、本年6月末現在で577事業者となっている。県が8月に実施した調査では、仮設店舗等で営業している事業所のうち、本設再開を予定しているのは71%となっている。仮設店舗等については、市町村が撤去等を行う際の費用を国が助成する制度があるが、完成後5年以内の撤去が対象とされており、区画整理事業などの進捗によっては5年を超えて使用される場合も見込まれることから、こうした施設の撤去等について市町村に負担が生じることのないよう、5年を超える施設の撤去等も助成対象とすることについて、本年6月に国に対して要望した。県としては、引き続き国に要望していくとともに、本設移行のためのグループ補助金等の活用に向けた支援や、集客イベント等ソフト面への助成など今後ともさまざまな支援を行っていく。
被災地の雇用・労働力の確保について。県としてはこれまで、ハローワークや市町村等の関係機関と連携した企業見学会・面接会の開催など、企業と求職者等のマッチングの促進や、DVDを活用した水産加工現場のイメージアップを図るとともに、企業向けセミナーの開催による職場定着支援などを実施し、被災事業所の復興を支援してきたところである。また企業収益を上げて賃金等の処遇の改善につなげていくという観点から、労働生産性の向上につながる設備等の高度化への支援や、改善の導入を進めているところである。これらに加え、今年度から地域外からの人材確保のため、県内中小企業が大手就職情報サイトを活用するための経費への補助や、ジョブカフェいわてへのU・Iターン就職相談窓口の設置、水産加工業者の人材確保対策のために必要な整備等への補助などを行っており、引き続き被災地における人手不足の対策に取り組んでいく。
3.子どもの医療費助成の現状と課題について
【千田議員】
知事は先の知事演述において、「子どもを産みやすく、子どもを育てやすい」と感じる社会経済環境の実現を推進すると力強く表明されました。このことは、子育て中の皆さんはもちろんのこと、これから子どもを産み育てたいと考えておられる皆さんにとっても、とても頼もしいメッセージとなったことと思います。また、未就学児童及び妊産婦にかかる医療費助成の現物給付化は、来年8月から実施されることを表明されたことも評価したいと思います。しかし、演述の中身からすれば、子どもの医療費助成は小学校卒業までは勿論のこと、中学校卒業まで拡充すべきです。県内では、入院・通院とも小学校卒業まで無料が6市、中学校卒業までが5市7町、高校卒業までが6町4村となっています。県としても、早急に小学校卒業までの対象年齢の引上げと現物給付化を進めるべきと考えますが、お聞きします。
【達増知事】
人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、県では、厳しい財政状況ではあるが、市町村等と協議の上、本年8月から助成対象を小学校卒業の入院まで拡大するとともに、来年8月から未就学児および妊産婦を対象とした窓口負担の現物給付を行うこととしたところである。
総合的な子育て支援施策については、今般策定するふるさと振興総合戦略における重要なテーマであると考えている。また国においても、子育て支援や地方創生の観点から、子どもの医療制度のあり方等に関して、有識者による検討を開始したところである。
本来子どもの医療費助成は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても、同等な水準で行われるべきであり、本年6月に実施した県の政府予算提言要望において、子どもの医療費助成の全国一律の制度の創設および地方単独医療費助成事業の現物給付化による国庫負担金の減額調整の廃止について国に要望したところである。全国知事会からも同様の要請を行っており、今後とも国に対する働きかけに積極的に参加していく。
4.介護保険制度の現状と課題について
【千田議員】
介護保険制度は今年の4月から大幅に改悪されました。介護保険料が大幅に引き上げられ、介護報酬も全体の改定率は−2.27%ですが、特養などは約−6%、通所介護や短期入所生活介護などは約5%の引下げとなりました。また、一定以上の所得のある人には利用料が2割となり、特養への新規入所は要介護3以上に、低所得者等の食費や居住費を補助する補足給付の打ち切り、そして予防給付の地域支援事業への移行などであります。そこで、今回の改悪等により、閉鎖・休止に追い込まれた事業所はどれ位でしょうか。また、今回の改悪が介護現場に及ぼした影響と、補足給付の打切り、予防給付の地域支援事業への移行について、現状と課題についてどう把握されていますか、お聞きします。
次に、介護職員の人手不足の実態ですが、この間、被災地を初め介護事業所等を訪問して参りましたが、介護専門学校の卒業者は勿論のこと、新規高校卒業者でさえもなかなか採用できなかったとする事業所が大半でありました。まさに、介護職員の不足は深刻だと考えますが、どう把握されているか、対策を含めてお聞きします。
【達増知事】
本年4月から9月までに県内で廃止・休止を届け出た事業所は、廃止25休止21の計46事業所であり、うち報酬引き下げを理由として挙げてきたところはない。
制度変更等が現場に及ぼした影響について、全国老人福祉施設協議会が行った緊急調査の速報では、本年3月と4月との比較で、特養ホーム1施設あたり月額約54万円の減収になっており、県でも事業者から直接「経営が厳しくなった」との声を聞いている。
補足給付については、8月末までに申請を行った約15000人のうち、約500人が資産等の新たな要件により給付対象外となっている。
地域支援事業については、今年度中に4市町が予防給付の一部を総合事業に移行する予定であり、移行手続きや生活支援サービス提供の仕組みづくりが課題である。
介護職員については、8月の介護職の有効求人倍率が県平均で1.83倍と、全産業の1.27倍を大きく上回り、特に大船渡や釜石地区では3倍近くに達し、人材不足が顕著である。県内の介護福祉士養成校を見ても、入学者が定員の4割を切るなど、若者が介護職を志望しない傾向も見られる。また本年度前半に廃止・休止した46事業所のうち、人材不足を理由とするものは、廃止8休止15の計23事業所となっている。県では、介護人材のマッチング支援、労働環境整備改善促進、介護の仕事の魅力発信などの取り組みを行っており、今後とも関係機関と連携しながら介護人材の確保に取り組んでいく。
5.県立病院の再建整備と胆沢病院の充実、看護師等の増員について
・医師・看護師確保の見通しについて
【千田議員】
被災した高田・大槌・山田の県立病院の再建整備が進められており、来年度からは、大槌と山田病院が開業の予定にあることは、被災者を励ますものと考えます。そこで、開業される病院の医師・看護師の確保の見通しについてお聞きします。
また、県立病院全体として、医師不足・看護師不足の実態が聞こえてきます。私の地元の胆沢病院等で聞き取りを行いましたが、7対1の看護体制となったため、看護師不足は深刻で、今日は内科、明日は別の科へと日替わりでの勤務状況であることや、別の病院では、他の病院への応援も頻発していると聞きました。年度途中での退職が増えているとも聞いています。看護師確保のためにも、大幅な増員と労働条件の改善が急務であると考えますが、現状と見通しについて、お聞きします。
【医療局長】
平成28年度に開院予定の大槌・山田病院の医師については、現状の体制を基本としつつ、引き続き関係大学への医師派遣要請や、即戦力医師の招へいに努めるとともに、圏域の基幹病院および圏域を超えた県立病院との連携や、地元医師会との連携を図りながら、当直医など必要な診療体制の確保に努めている。看護師については、岩手県立病院等の経営計画に基づき、再建後の入院機能の再開等にともない、必要となる職員数を配置することとしており、大槌病院分については、昨年度の職員採用選考試験において、必要な看護師を確保し、現在釜石病院をはじめとした各県立病院において勤務させている。山田病院については、本年度の職員採用選考試験により必要となる看護師を確保できる見通しである。
看護師等の増員について。看護職員確保については、経営計画における職員配置計画に基づき、被災病院の再建や退院調整に携わる看護師の専従配置を進めているほか、7対1入院基本料にかかる施設基準の維持に必要な人員を配置するとともに、勤務環境の改善等に向け、産前産後休暇や育児休業等の取得者にかかる代替職員の配置の見直しや、看護職員の教育などに携わる看護師の専従配置などを行い、26年度からの2カ年で72名の増員計画に対し95名を増員したところである。今後においても、山田病院など被災病院の再建にかかる人員の配置や、医療の質の向上を図るための体制強化を行うこととしているほか、産育休等の取得者にかかる代替職員の正規職員による配置の拡充などを通じて、看護師の負担軽減や職員が働きやすい職場環境づくりに努めていく。
・胆沢病院の充実について
【千田議員】
奥州・金ヶ崎地域の医療の現状は、とりわけ産科と小児科が深刻となっています。産科は市内で開業されている医師により対応していただいておりますが、今般そのうち複数の医師がいた医療機関が突然9月で産科をお辞めになったために、里帰り出産は勿論のこと、若いお母さん方には地元で出産できなくなるとの不安が一気に広がっています。また、小児科は、入院の大半を市立病院が担っており、県立・市立とも常勤医師が少ない上に高齢化しており、子どもの入院がいつ出来なくなるかわからないという状況にあります。このように、胆沢病院における、産科と小児科の充実は、急務であります。
知事は、これらの地域の現状をどう把握され、また充実についての見通しについてお聞きします。
【達増知事】
本県の医師数は、すべての診療科で不足しているが、特に小児科医については人口当たりの医師数がすべての二次医療圏で全国平均を下回っている。胆江地区においては、産婦人科・小児科ともに人口当たりの医師数が県平均を下回る状況にある。こうした中県では、医師の絶対数の確保のため、即戦力医師の招へいや奨学金による医師の養成などに取り組んできており、いわゆる地域枠を含む3つの奨学金制度を活用した医師が来年度から順次地域の医療機関等で勤務する見通しである。また県では、県内4つの周産期医療圏を設定し、胆江地域については、県南圏域の中で医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の確保を図っている。
胆沢病院の産婦人科および小児科の診療体制については、周産期医療圏における機能分担に基づき、産婦人科については応援体制により週一回の外来診療を行っているところであり、小児科については常勤医師1名を配置し、地域の小児救急医療等に対応しているところである。今後においても、県南地域の地域周産期母子医療体制の推進を図っていく中で、関係大学や他の医療機関と連携を図りながら、胆沢病院の診療体制の充実に努めていく。
6.子どもの教育と高校再編問題、特別支援教育について
・いじめ対策について
【千田議員】
7月5日、矢巾町内の中学2年生のいじめによる自殺事件が起きました。昨年の滝沢市内の中学生のいじめ自殺に続くものであり、これは看過できない問題です。そのため、日本共産党岩手県委員会と県議団が、教育委員長と教育長に対し、7月14日に緊急の申し入れを行ったところであります。具体的には、@学校と町の教育委員会が徹底した調査を行い、事件の経過と学校の対応、問題点と課題について明らかにすること。A「いじめは人権侵害であり、暴力」であること。「子ども・生徒の命と安全にかかわる問題」であることを徹底し、学校では「子どもの命最優先」の課題として取り組むことを徹底すること。Bいじめの情報については、様子見せずに、すでに深刻な事態となっているとの認識で全教職員が情報を共有し、保護者にも知らせ、連携した取り組みを行うこと。C子ども・生徒の自主的活動の比重を高め、いじめを止める人間関係を作ることを重視すること。D被害者の安全を確保し、加害者には「いじめ」を止めるまで、しっかり対応すること。そのためにもスクールカウンセラーとともにスクールソーシャルワーカーの配置を抜本的に強化すること。E教員の多忙化や成果主義等が教職員の共同を妨げる要因となっていること。過度の競争的な教育制度など、競争と管理主義の教育の見直しを図るべき―の6項目であります。この日本共産党の緊急申し入れについて、県教育委員会はどのように受け止め、検討し、具体的にどう対応されたのかお聞きします。
【教育長】
日本共産党岩手県委員会からの申し入れについては、矢巾町における事案の発生を受け、臨時の総合教育会議が開催された7月14日の午後に、県委員会の皆さまから県教委に対する6項目の緊急申し入れがあり私が対応させていただいた。県教委においては、申し入れの内容の教育委員の間での情報共有を図りつつ、その内容の趣旨をも踏まえ、これまで当該校や矢巾町教委への人的な派遣や、第三者委員会設置にあたっての職能団体との調整などの必要な支援・助言を行うとともに、本県の全児童・生徒一人一人に自他の命の尊重と、いじめ防止を訴える知事と教育委員長連名によるメッセージの発出や、学校いじめ防止基本方針の実効性を高める目的での全校調査、臨時の校長研修会の実施など、全県への取り組みを進めてきている。
今後においても、滝沢市・矢巾町の痛ましい事案を教訓に、子どもたちの命を絶対に守るという信念を持ち、いじめのない学校づくりに向けて粘り強く取り組んでいきたい。
・高校再編問題について
【千田議員】
高校再編については、これまで地域検討会議が2回、意見交換会がそれぞれ1回ずつ開催され、一定の地域の意見等が集約されたものと思います。そのような中で、いま、県民の心配は、地域からかけがえのない高校がなくなるのではないか、ますます地域が疲弊してしまいかねないということであります。県教育委員会が出した今後の基本的方向として、望ましい学校規模を原則として、1学年4から6学級程度としていることから、この心配があります。胆江地域では、2クラスの高校が前沢高校、3クラスの高校が水沢農業、水沢商業、金ヶ崎高校などであります。地域の実情等を考慮し、さらには教育の機会の保障の観点からも、是非、生徒へのきめ細かな指導を保障するとともに、地域の声を反映したものとすべきと考えます。この間の検討を経て、今後どのようにしていくのかお聞きします。
【教育長】
県教委においては、本年5月以降、県内9ブロックごとに、今後の県立高校のあり方に関しての地域検討会議や意見交換会を開催し、県民の皆様や市町村長など、地域の団体を代表する方々から多くの貴重な意見をうかがってきているところである。こうした場において、それぞれの地域における高校の重要性にかんがみ、できる限り高校を存続してほしいといった意見、統合する場合でも中学生の選択肢が維持できるような学科の配置を求める声を多くいただいている。
新たな高校再編計画の策定にあたっては、一定の学校規模を維持することにより、教育の質を保障する観点のほか、教育の機会の保障の観点もきわめて重要であると認識しており、単に望ましい学校規模に満たないという理由だけで統合を進めるのではなく、今後の中学校卒業者数の推移や、広大な県土という地理的条件、人口減少問題への対応、地域の交通事情等さまざまな観点から慎重な検討を行っている。引き続き開催する地域検討会議などにおいても、地域の皆さんのご意見を丁寧にうかがうとともに、平成21年度までの高校再編の経緯等も踏まえながら、自立した社会人としての資質を有する人材の育成、ふるさとを守る人材の育成において、新たな計画の策定を進めていく。
・特別支援教育について
【千田議員】
平成25年度から30年度までを計画期間とする「いわて特別支援教育推進プラン」には、目指す姿として、@障がいのある子どもも障がいのない子どもも地域の学校でともに学ぶことが出来る教育環境が整備されるとともに、就学に当たっては早期からの継続的な相談、支援の仕組みが定着しているA幼稚園から高等学校までの特別な支援のための教育環境が整い、特別支援学級や通級指導教室が充実しているB特別支援学校や学級の児童生徒が自宅のある地域での学校で、日常的に交流及び共同学習を行っているC特別な支援の必要な幼児、児童生徒1人ひとりの支援内容が各学校段階に引き継がれ、卒業後の進路実現に向けた支援を受けることが出来る体制が整備されている―と4つの目標が掲げられています。まず、これらの目標に対し、現状はどうかお聞きします。
具体的な問題として、この間、北上市を始め、関係する自治体から、特別支援学校の新設や分教室設置等の要望が出されており、これらについて県教育委員会は具体的に今後どう対応しようとしているのでしょうか。
また、花巻清風支援学校の児童生徒の44%が北上市の子どもたちであることから、北上市への特別支援学校設置の要望が出されていますが、期限を決めた取り組みが必要と考えますが、どうでしょうか。
【教育長】
特別支援教育推進プランの目指す姿の目標値等の推移は、早期からの継続的な支援体制については、幼稚園・保育所が関係機関と連携し、子どもの障がいの状況や、教育的ニーズを記録する就学支援ファイルの作成を進めてきているが、昨年度の作成市町村数は、プラン策定前の3年前と比べ、20市町村増の29市町村となっている。
特別支援学級は、本年5月1日現在の学級数は3年前と比べ、133増の663学級、在籍児童・生徒数は350人増の1800人余となっており、通級指導教室は3年前と比べ、学級数は4増の101学級、在籍児童・生徒数は129人増の1300人余となっている。
地域の学校での交流および共同学習を行った特別支援学校の児童生徒数は、全県実施を開始した24年度に比べ87人増の320人余となっている。
各学校段階で学習支援内容が引き継がれる幼稚園・小中学校・高等学校における個別の指導計画の作成率の平均は、26年9月現在で2年前に比べ8%増の80.7%となっている。
推進プランに掲げる取り組みは進んできているが、今後においてもプランに掲げる目指す姿の実現に向けしっかり取り組んでいく。
関係自治体からの要望については、特別支援学校の新設や分教室の設置については、二戸市と北上市からの要望を受けている。二戸地域は、その広域圏に特別支援学校高等部がないことから、昨年度二戸市から特別支援学校高等部設置の要望を受けたところだが、盛岡みたけ支援学校高等部二戸分教室を福岡工業高校内に来年4月に開設する予定で、現在改築等を進めている。北上市からは昨年度、北上市内への特別支援学校または分教室の新設の要望を受けた。県教委においては、その直後から北上市等との協議をはじめ、遠野地域などにおける分教室の設置モデルに、北上地区の子どもたちがともに学びともに育つ教育の場として、また地元の学校で学ばせたいという保護者の皆様方の思いに、現実的で速やかに対応できる北上市内の小中学校への分教室の設置を中心に現在検討を進めている。具体的な開設時期等については、今後北上市や関係者の皆様方との協議を詰めていきたい。
7.農業・コメ問題について
・TPP交渉について
【千田議員】
環太平洋連携協定いわゆるTPP交渉は、参加12カ国の閣僚会議で「大筋合意」となりました。安倍首相がTPP交渉入りを表明したのは、2013年3月のことであり、交渉ではTPP反対の公約を破り、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の農産物重要5品目を守るとした国会決議をないがしろにしてきました。しかも、TPPはモノの関税だけではなく、投資の自由化や知的財産、電子商取引、国有企業の活動、環境問題など、幅広い分野で多国籍企業に有利な経済ルールを作ろうというものです。地域経済、雇用、農業、医療・保険、食品の安全等、国民生活と営業にはかり知れない重大な影響を与えるものであります。このような国民の不安を払拭するため、政府は9日にTPPに対応するとして全閣僚による総合対策本部を設置し、「農家の不安解消に向け総合的なTPP関連政策大綱」を策定する等としています。しかし、自民党も賛成した2013年4月の国会決議では、「交渉により収集した情報は国会に速やかに報告」し、「国民への充分な情報提供を行い幅広い国民的議論を行うよう措置する」と明記していました。この重要な国会決議に背く行為は断じて許せるものではありません。大筋合意はしましたが、まだ最終合意ではありません。今こそ、公約違反、秘密主義で農業者・国民をだまし討ちにしたTPPの協定書作成作業から撤退し、調印を中止すべきと考えますが、如何でしょうか。
知事は、この合意を受けて、早速、対策本部を立ち上げ、国に対して緊急に要望したとのことでありますが、TPP交渉の大筋合意が行われたことなどに対する知事のお考えをお聞きします。
【達増知事】
今般、国民に対する十分な情報開示や説明、国民的議論がないままに、畜産物の関税率の引き下げ・撤廃や、米の無関税輸入枠の設定等について合意されたことは残念である。
県としては、本県の農業に影響を及ぼすことがないよう、国の責任において必要な対策を十分に講ずること、東日本大震災津波からの復興の途上にある被災地の活力を決して低下させないことなどについて、10月6日に国に対し緊急要請を行ったところである。また同日、TPP協定の本県の農業等への影響について、全庁的な情報共有と総合的な対応を図るため、岩手県TPP協定対策本部を設置し、10月9日には第1回本部員会議を開催し、情報の収集や必要な対応の検討について各部局に指示した。
今後TPP協定の締結・発効には、交渉参加国による署名、国会承認手続きを経る必要があるが、協定の内容や国による必要な対策が示され、国会を中心に十分な国民的議論に付されるよう政府に求めたい。
・米価暴落問題について
【千田議員】
さて、安倍内閣の農政によって、米価暴落が続いています。農業関係者は「このままでは、来年はコメ作りを止める農家が続出する。政府はすぐに対策を取るべき」と訴えています。農水省は、日本の主食・コメを作り続けるためにどのくらいの費用がかかるかの試算をし、全国平均で1俵60キロ当たり約1万6千円としています。今年の生産者米価の基準となる農協の概算金が発表されていますが、昨年より少し高くなっているものの、稲作が続けられない低米価のままです。労賃や農薬代が出ない「赤字米価」です。このような現状をどう考えているかお聞きします。
また、米価下落の大きな原因は、民間に流通する過剰米の存在です。しかも、TPPが本格稼動すれば、今の比ではない過剰米が発生し、米価はどこまで落ちるかわかりません。政府は、TPP大筋合意により、アメリカとオーストラリアへの無関税輸入枠を年間7万8400トンとしたことから、政府備蓄米の年間買い入れ量を現在の20万トンから33万トンに増やす方針だと伝えられています。しかし、これはあくまでもTPP対応の一時的なものであります。抜本的な米価下落対策が必要だと考えます。
今こそ政府が、市場原理に委ねるのではなく、過剰米を買い入れる等の需給安定責任を果たすべきではないかと考えますが、お聞きします。
【達増知事】
平成27年産の主要主食用米は、全国的な飼料用米の作付拡大等により、国の生産数量目標を下回り、需給が引き締まったことから、米穀情報誌によると、本県ひとめぼれの取引開始時の相対取引基準価格は、60キロ当たり12600円で、26年産米に比べ700円上昇したものの、依然生産者の状況は厳しい状況にあると受け止めている。
このため県では、平成27年2月に策定した、岩手のおいしいお米生産生産販売戦略に基づき、県産米の消費拡大の取り組みと合わせ、高値で取引されるよう、大消費地での販売促進活動の展開や、県オリジナル品種の早期ブランド化による県産米全体の評価向上に取り組んでいく。
米の需給安定については、県では平成26年産の米価下落は、全国的な需給の緩和によるものであることから、国による対策が必要と考え、北海道・東北知事会等を通じ、過剰米の市場からの隔離などを要望した結果、国では26年産米約36万トンについて、27年11月以降に市場に出回るよう対策を講じたところである。また国では、平成27産米から、従来の生産数量目標に加え、民間在庫量を適正な水準まで下げるための目安として、農業団体等が自主的に取り組む参考値を示し、これに沿って作付を行うよう促した。これを受け、全国的に主食用米から飼料用米等への転換が進んだ結果、いわゆる過剰作付が解消され、28年6月末の民間在庫量は適正とされる200万トンに近い水準になる見通しである。
県としては引き続き、国が需給見通しや需要実績、販売、在庫などの情報を明らかにしていくとともに、これに即した生産が着実に行われるよう助言することなどにより、米の需給安定が図られることを期待している。
≪再質問≫
・被災者支援について
【千田議員】
コミュニティの確立などさまざま対応されているが、現実に、災害公営住宅に行ったときに、「仮設のときは来てくれたが今は来ていない」という声を聞いた。やはり地域によって差があるのかなと思うが、今年になって自殺者も出ているという点からいえば、せっかく助かった命、孤立を防ぐという点では、支援員の配置をもっときちんとして、そういう手立てをやっていただきたい。
集会所への備品はだいぶ充実されているようだが、引き続きお願いしたい。
【復興局長】
一つは、生活支援相談員の方々にしっかり災害公営住宅もカバーしていただくと。支援員についても、災害公営住宅にも制度上は配置できるということなので、通知等については市町村なり市町村社協とも連携をとりながら被災者に寄り添った対応をしていただくよう要請していきたい。
また災害公営住宅に移られた場合、将来的にそこで自治会等を立ち上げていただいて、入っている方々がお互いに助け合うという仕組みづくりも大事だと考えている。そういったことについても合わせて、研修会その他を通じて、住民相互が助け合うような形にもっていきたい。
・住宅再建支援について
【千田議員】
国が個人の資産形成に疑問を呈しているということでなかなかうまく進んでいないということはあるが、しかし災害公営住宅の建設費の資料をいただいたが、面積はそれぞれだが、木造平屋住宅の建設には約2000万円、3階建67平米では1800万円ほどの公費が投入されていると。そういう点からすると、やはりもう少し引き上げなければ、なかなか自立再建できないのではないかと思うので、国にもっと働きかけると同時に、厳しい財政ではあるが、グループ補助金の増額ということもあったので、何とか検討していただきたい。
・仮設店舗について
【千田議員】
5年を超えることもあるということで、助成が引き続きできるように要望していただいたということで、引き続きそういう支援を強化していただきたい。
・子どもの医療費助成について
【千田議員】
知事は前向きにとらえ、この間もやられてきており、先ほどの答弁にもあったように、ふるさと振興の柱の一つにあるわけで、拡充はされたが、もっとやっていただきたい。
知事選にあたっての候補者アンケートが子どもの医療費助成拡充を求める岩手の会からあったと思うが、その際に、会の求めるものは、すべての子どもの医療費を中学校卒業まで現物給付として、全額無料とすることを求めているが、それに知事はどう考えるかという問いに知事は、「少子化が進む中で医療費についても負担軽減を進める必要がある。その進め方は国においてやるべきだが、地方においても努力していくべきもの」と回答している。ぜひ私は、一気にとはいかなくても、実施に向けた次の段階の検討を開始すべきではないかと思うので、お聞きしたい。
全国ではすでに、12県が小学校卒業以上まで実施されて、東北では山形・秋田・福島が岩手の水準を超えている。そういった点では出生率の向上をめざす知事としては、ぜひ遅れをとらないでやっていただきたい。
一昨日の同僚議員の質問で、子どもの医療費一部負担なしで拡大した場合には、約9億3000万円かかると答弁されたが、もし一部負担があるままで対象年齢を小学校卒業、中学校卒業まで拡大された場合に、どれくらいの財源が必要になるのか。
【達増知事】
やはり子どもの医療費助成の拡充というのは、医療のあり方からしても人口減少対策としても大事だと。そういう中で地域医療、岩手における医療のあり方として、他のさまざまな医療やその関連の施策との中で総合的に判断し、また人口減少対策という観点からも、人口減少対策の全体の中で総合的に判断していくが、その中で、国の役割、地方の役割ということについても、原則として国が全国一律にという考え方はあるが、絶対そうでなければならないということにこだわって、一方で国が全然それをやらないでいると結果として受けるべきものがうけられない状態が続くこともあってはならない。そういった中で適宜判断して先に進んでいくようにしたい。
【保健福祉部長】
所得制限および受給者負担は現行のまま対象を小学校卒業の通院まで拡大した場合の県の負担額は、粗い試算ではあるが約2億9000万円、同様に中学校卒業まで拡充した場合は約5億円増加すると見込まれる。
・胆沢病院の充実について
【千田議員】
知事からは、胆沢病院についても充実の方向だと。ただ今医師不足の中ですぐには…ということで、実は県北も大変なようだが胆江地区も大変で、頼りにしていた方がやめられたわけで、そういった意味では、10月5日に胆沢病院の院長と開業医さんと奥州・金ヶ崎の行政が一緒になって、岩手医大に行かれたようで、ただ良い返事があるわけではないので。奥州では820人年間で出生している。これまでは市内で65%の子どもが取り上げられ、今回一人辞められたということで、このままでは半分しか地元で産むことができないということで、非常に危機的な状況にあるということで、本当に医師が倒れるのではないかという状況も懸念され、それらについてぜひ前向きな取り組みをお願いしたい。
県内4つの周産期医療圏でこれから対応するという構想があるわけだが、それはリスクのあるところは大きなところに集中するが胆沢病院もいずれ医師の確保を見ながら再開できるという見通しと伺ってよろしいか。
【保健福祉部長】
奥州地域で分娩を取り扱っている開業医のうち1施設が今般分娩を取りやめたということから、圏域における今後の分娩の取り扱いが大きな課題となっているということは承知している。ご指摘のあった、地元関係者が関係大学に今後の対応について相談に行ったこともうかがっている。県においては、4つの周産期医療圏を設定し、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めているということで、そこに開業医の先生方も含めてのことだが、合わせて、ICTを活用した医療連携にも取り組み、全県単位で取り組んでいくこととしている。一方で、国では周産期医療のあり方に関する検討を進め、今年度中に指針を示す予定と聞いており、県としては新たな指針が示されたならば、それに基づいていろいろ検討していきたい。
・いじめ対策について
【千田議員】
あっさりした答弁で残念でしたが、8月になってから文科省が2回通知と依頼文書を出している。私は2回目の依頼文を見て、文科省が学校現場に危機的な状況だということをとらえた文書だと。いじめに当たるか否かの判断は、生徒が心身に苦痛を感じているかという視点に立って判断すること。それから、いじめは初期段階のものも含めて積極的に認知し、対象に向けたスタートラインに立っていると肯定的に評価すると。いじめの認知件数で、むしろ多い方が文科省は肯定するんだと、結局隠すなということで、今の現状が隠しているという状況でいろんな問題が起きているという現状からの文書だったと思う。
これらで県教委が、現場の実態をどのようにとらえて改善を促しているのか。
【教育長】
矢巾町において発生した事案は7月5日であり、その直後に先生と生徒でのやりとりの生活記録ノートが報道され、その状況を学校が知らなかったと。共有がなかったということもあり、いじめとの関わりは高いなという前提で県教委としても早急な対応が求められていると意識したところである。
文科省の考え方だが、26年度の問題行動等調査の中で、そのうちのいじめ調査について、矢巾事案も踏まえ、全国的な調査を行うということで取り組んでおり、その趣旨についてはまさにその通りであり、各都道府県教委を通じて調査が行われており、県教委としても、いじめに関しての早期発見・早期対応、学校全体での共有が必要だということも、緊急の校長会議等でも徹底しており、いじめというのは、集団生活を営む中で、いじめ・トラブルというのは起こり得るという前提のもとで、丁寧に子どもたちに対応するということを行っていかなければならないと考えており、国の考え方と同様の視点で、岩手の教育の中で2年連続で事案が続いたということも重く受け止め、再発防止に全力で取り組んでいきたい。
≪再々質問≫
・いじめ対策について
【千田議員】
お話を聞いていて、学校現場でそれがしっかり認識されていないと。矢巾町教委からもうかがってきたが、今回の事案を通じて、何を取り組んでいるかというと、本当に些細なことでもいじめではないかと疑うようにしている、何かあったら先生方が共有・可視化すると。いじめの担当者をきちんとつくって、学校や行政の窓口を知らせると、そういうことを徹底しようとしている。それが他の地域でやられているかというと、残念ながらやられていない。
今月に入り、小学校がいじめがあり相談され学校に行ったが、そしたら、いじめかケンカかの見極めをしているという校長の話、担任もその通りだった。保護者がしかるべき方に相談に行っても何の対応もされなかった。だから児童相談所まで行かれた。それで学校は大変だとなって動き始めた。どこにもあり得るのだが、何らかが起きないと動かない。先生方が、矢巾で取り組んでいるようなことは皆でやらなければならない。いじめかケンカか見極めしてから時間が経ってから取り組むのはウソである。これをもっと末端まで徹底する努力が必要だと思うので、ぜひお願いしたい。
【教育長】
具体的な事案の紹介があったが、それに対する対応については、議員の指摘を真摯に受け止めさせていただきたい。
全県でのすべての学校が策定しているいじめ防止基本方針がある。具体的に方針に従った取り組みがなされているかどうかを調査して先月公表させていただいた。それは実態を把握することだけでなく、調査を通じ、これからの具体的な行動につなげていくということを目指して調査したが、それを行う際に、いじめを積極的に認知すると。今まではどうしてもいじめの実態を把握するときに、できれば学校にいじめがないという方がいいというようなとらえ方も一部にあったと思う。それをいじめ問題に具体的に対応することにより、子どもの安全を守る、将来の夢を実現させるための環境をつくるというようなことで、積極的な認知を行おうということで、これまで開催した校長研修会においても徹底している。
いずれ、先ほどいただいた提言についても十分に受け止めて具体的な行動をとっていきたい。
・子どもの医療費助成について
【千田議員】
私は知事の前向きな姿勢を評価したい。ただ一気には難しいかもしれないが、段階的に検討するなどやるべきではないか。
・看護師確保について
【千田議員】
95人を増員されたと。現状は、長期休暇の方もいるので、本当に現場はオーバーワークで離職が増えている。本当に年休がとれない、医療水準がキープできるニーズではない、ブラック企業と言われても仕方ない、インフルエンザになった子どもを一人置いて仕事に来いと言われた、そういう環境では新たな方々を採用することもそうだが、もう辞めたいという現状になっている。ここにもっと丁寧な調査をしながら、現状は人手不足である。努力は評価するが、現状はもっと大変だとシビアに見ていただき対応していただきたい。
【医療局長】
県立病院の看護師の退職状況は、年度ごとのばらつきはあるが、年間約30人前後で推移している。ご指摘もあったが、離職者対策、離職防止対策も含めて、昨年度医療局では、看護職員確保対策検討委員会を立ち上げ、看護職員の受験者対策もそうだが、働きやすい職場環境づくりを進めて、離職者を防止するという対策を点検いただいた。これまでもさまざま夜勤手当の充実など労働条件の改善にも努めてきたが、今後においても委員会からの提言をもとに、職員が働きやすい環境づくりに努めていく。
・周産期医療について
【千田議員】
新たな指針が出てから検討すると。ただ、これから若い方々に住んで産んでもらいたいという点からすれば、周産期が集約の方向にだけいくのでは若者が定住するような地域とはなりえないと思う。ですから、本当に若い皆さんがその地域で安心して子どもが産めるように、ぜひ周産期・小児科の充実を図っていただきたい。
【保健福祉部長】
分娩を扱う医療機関においては、その性格上、24時間365日の対応が求められているということで、医師をはじめ医療関係従事者の方が非常に疲弊しているという話もある。国においても新たな指針を検討しているところだが、関係する学会等からは、特にリスクの高い分娩を扱う施設においては、よりドクター等を集約しないと従事者がもたなくなるという提言もなされている。
産科の医師は、徐々には増加傾向になってきているが、一方で女性医師の方も多いということで、女性医師の方自身が妊娠・出産・子育てということで、フルで勤務できないということも指摘されている。そういった限られた医療資源の中で、いかに全県的に産科医療、周産期を守っていくかという観点から検討を進めていきたい。
≪再々々質問≫
・周産期医療について
【千田議員】
周産期医療等は限られた資源の中でという話があった。現状は本当にリスクのある分野は敬遠されがちだが、産科や小児科医をどうやって増やすか、そういう視点で取り組む必要があると思う。これまでも3つの奨学金で351人が貸与されているが、やはり政策的に育成していくという取り組み、押し付けではなく本当に必要な医療だと、知事が先頭に立って、奨学生の皆さんと懇談して、ぜひやってほしいという話もやっていく必要があるのではないか。でないと今いる先生だけでは何ともならないので、その点いかがか。
【達増知事】
奨学金を受けて大学で勉強を始めたばかりの医学生との懇談や、最初の段階の大学での教育を終えていよいよ初期研修をスタートさせる段階での学生との意見交換等ももっており、また沿岸地方を中心に高校生と県政懇談会をやる機会にも医療の分野を目指そうという話をすることもある。
来年は岩手で全国的な産婦人科関係の学会も開かれると聞いており、県民的なオール岩手で命を育み守る、そういった産婦人科・小児科中心に医療は大事だと。そして岩手は県民が医師と力を合わせて、地域医療を支えるという県民運動の側の代表が知事であるので、そういう県民みんなで、専門家と一緒に看護師も含めて地域医療を守り続けていくという意識が共有されるよう努めていく。