2015年10月22日 決算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)
・議会費決算の不用額について
【斉藤委員】
議会費の決算で、不用額801万円余となっているが、この主な内容は何か。
【議会事務局長】
議会費の旅費が443万円余であるが、これは2月定例会や委員調査等の議員への費用弁償等に不足が生じないよう予算を確保したものだが、見込みを下回ったものである。
事務局費の旅費が51万円余、使用料および賃借料が44万円余であるが、これも委員会調査等に要する費用に不足が生じないよう予算を確保したものだが、見込みを下回ったものである。
今後は、適切な予算の要求・執行を行い、多額の不用額が生じないよう努めていきたい。
・県議会傍聴者の状況、県議会への意見等について
【斉藤委員】
昨年度における県議会傍聴者の状況とこの間の推移はどうなっているか。傍聴者アンケートの県議会に対する意見、要望とそれへの対応はどうなっているか。
【議会事務局長】
延べ1150名が傍聴しており、6月定例会293名、9月定例会283名、12月定例会219名、2月定例会355名となっている。傍聴者の推移は、23年度992名、24年度1194名、25年度848名となっており、26年度と25年度を比較すれば302名の増となっている。
傍聴者アンケートは、26年6月定例会から、開かれた県議会に生かすことを目的として実施しており、27年6月定例会までのアンケート結果を取りまとめたところである。議員に関することとしては、「質問者の声がよく聞こえない時があった」との意見があったことから、27年5月に本会議場の質問席のマイクを1本から2本に増設する工事を実施した。また事務局の対応に関することでは、「請願の受理番号が分からず、どの議案が何なのか分かりづらい」との意見があり、今年の9月定例会から傍聴者用資料に、請願陳情審査報告書を添付するよう改善を図っている。その他議員に関することとしては、「居眠りしている議員がいる」「緊張感のなさそうな議員がいて残念」といった意見、執行部に関することでは、「答弁が分かりにくく具体性に欠ける」「答弁が聞き取りにくい」といった意見が寄せられており、広聴広報会議への報告後に、全議員および執行部に情報提供を行っている。
【斉藤委員】
これからも県民の声、傍聴者の声を大事にして、日々議会の改革に努めていかなければならないと思う。
・県議会の海外視察について
【斉藤委員】
県議会の海外視察の全国の実施状況について、実施していないところはどれだけか。実施していない理由は何か。
【議会事務局長】
実施している都道府県は、震災前の21年度・22年度が19都道府県、23年度が11都県、24年度14県、25年度23都道府県、26年度27都道府県となっている。震災の影響により23年度は減少したものの、その後は増加傾向にある。
26年度に全国で海外行政視察を実施しなかった県は20府県ある。理由としては、「財政悪化や震災の影響による休止」が本県を含めて11府県、「議員からの希望なし」が8県、「制度の見直し中」が1県となっている。
【斉藤委員】
震災の記憶が風化するごとに全国も海外視察が増えてきたと。それでもまだ20府県が海外視察を実施していない中で、残念ながら改選された岩手県議会は、議会運営委員会において海外視察予算を計上すると。きわめて残念である。この4年間岩手県議会は、東日本大震災津波からの復興予算に充てるために海外視察を休止してきたと思うが、どれだけの経費削減になったか。
【議会事務局長】
議員の海外行政視察については、東日本大震災津波発災にともない、財源を復旧復興に充てることを目的として、23年度から26年度までを休止した。予算ベースでの削減額は、平成19年に改正された議員派遣の運用に基づく基準で、議員一人につき任期中1回、90万円を限度するということで試算した場合、4年間で4320万円の削減となる。
【斉藤委員】
4320万円経費を削減してきた。いま東日本大震災津波からの復興の途上であり、これからが正念場である。被災者はいまだピーク時の半分以上が仮設住宅で暮らしている。こういう中で、被災県の岩手が海外視察を再開するというのは県民の理解が得られない。
同時に、全国20府県がやっていないときに、被災県が再開することはいかがなものか。
さらに、政務活動費で海外視察をしている議員もいるわけで、必要なら政務活動費を活用してやるべきだと。私はこのことを議会運営委員会で指摘したが、これは新聞でも報道され、県民が大変驚き怒りをもって受け止めたのではないか。議会や県庁に県民から声は届いているか。
【議会事務局長】
議会事務局あてにはそういったご意見などはきていない。県については広聴広報課で取りまとめているが、そちらは確認していない。
・政務活動費の執行状況について
【斉藤委員】
昨年度の政務活動費の執行状況―未執行による返還額はどうなっているか。
政務活動費を活用した海外視察の状況はどうなっているか。
【議会事務局長】
議員45名にたいし1億6740万円を交付し、うち1億4160万円余が執行され、2575万円余が残余となった。84.6%の執行額で、前年度より0.1ポイント増加している。返還額が生じた議員数は31人で68.9%となっている。なお、一人当たりの執行額は314万円余となっており、交付額372万円から差し引いた返還額は57万円余となっている。
26年度の政務活動費を活用した海外視察は、国際定期便の就航関連や、ILC誘致関連などの調査を目的として、台湾・アメリカ・スイスを訪問した実績が報告されている。海外視察にかかる経費を充当した議員数は延べ20人であり、一人当たり20〜50万円程度が充当されている。
【斉藤委員】
2575万円が返還され、実際に20人が政務活動費を活用して海外視察をしている。政務活動費でできるのにもかかわらず、なぜ議会として海外視察を再開することを決めたか。これは県民から理解を得られない。特に県議会の海外視察というのは、県議会議員になれば任期中1回はできるという、いわゆる特権的な制度である。そういう意味でも、この問題は県民の理解を得られない汚点ともいうべきものではないか。