2015年10月22日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・中期財政見通しと26年度決算について
【斉藤委員】
中期財政見通しと26年度決算はどうなっているか。
261億円余が黒字となったが、その要因と活用はどうなっているか。
不用額489億円があったが、その内容はどうなっているか。これは今年度はどういう形で新たな財源になるのか。
【財政課総括課長】
中期財政見通しについては、中長期的な視点に立った財政運営を行うための参考資料とすべく、各年当初予算ベースの収支ギャップを推計したものである。27年度当初予算では、236億円の収支ギャップが生じると見込んでいたものだが、実際の27年度当初予算編成においては、地方財政計画において、前年度を上回る一般財源総額が確保されたこと、予算編成過程を通じて、財政の見直しに努めたことなどにより、実際の収支ギャップは192億円に縮小したところである。
26年度決算において、実質収支が261億円余の黒字となり、今補正において2分の1を法定積み立て分として財政調整基金に積み立てたことから、財源対策基金残高は、中期財政見通しを上回る額となっている。しかし今後、多額の震災復興特別交付税の清算等が予定されており、本県財政は依然として厳しい状況が続く見込まれることから、今後とも限られた財源の有効活用を図りつつ、予算の効果的・効率的な執行に努めていきたい。
261億円の黒字の要因だが、大部分については、事業費の確定にともなう震災復興特別交付税の清算予定額や、国庫補助金返還予定額によるものである。今後、基金の取り崩しが予定されるものである。また、今後の財政事情も勘案すると、本県財政は依然として厳しい状況が続くものと考えている。
不用額の主な内訳は、大きい額のもので、補助金先の事業実績が計画を下回ったこと等による中小企業等復旧復興支援事業費補助の減が98億円、まちづくり計画等の調整、入札不調、発注計画の見直し等による漁港災害復旧事業費の減が97億円、事業の不採択による補助金の減により東日本大震災復興交付金積立金の減が38億円、用地買収に時間を要したこと等により漁業集落防災機能強化事業費補助の減が14億円となっている。不用額は、基本的に歳出予算額に対する執行残であり、この不用額には、不用となる歳入予算と表裏一体のもので、いわゆる県の財政的な余力=キャッシュを表す部分にはなり得ないといいますか、不用となる歳入部分も削った上で算定する必要がある。それがこの調整を行ったのが歳入予算から未収分を差し引いた歳入決算額と歳出決算額の差し引きが実質収支になるので、実質収支の部分が県の財政力=余力分ということになる。
【斉藤委員】
261億円の黒字というのはさまざまな中身があると。同時に、厳しい中でも一定部分は活用できるということも事実だと思う。必要な財源を県民要求の実現に回して積極的に活用すべきだと思う。
不用額の場合は、繰越にもならなかったと。今年度は今年度で予算措置されるということだと思うが、それだけ情勢が厳しかったという側面もあったのではないか。
・消費税8%増税の影響について
【斉藤委員】
消費税8%増税が昨年度実施された。改めて、県民一人当たり、1世帯当たりの負担増はどうか。県民全体の負担増の総額はどうなっているか。
県民の消費や、地域経済への影響はどう把握されるか。
【税務課総括課長】
個々の事業者や申告地域が違うので、26年度においては税率引き上げの結果が平年度化されていないということで、25年度の地方消費税額などからの推計でお答えしたい。国・地方合わせた消費税額の増収額から推計すると、県全体の家計負担分に対する総負担増は年間で316億2000万円と推計され、これは27年9月1日現在の県内の人口・世帯数から推計すると、1世帯当たり年間約60700円、一人当たり年間で約25800円の負担増と見込まれる。
税率引き上げ前の駆け込み需要による収益増や、引き上げ後の反動減というようなこともあり、税収面から影響を把握することは困難だと思っている。一方で所得に対する課税である個人県民税や法人事業税については、27年度が税率引き上げの影響が平年度化してくるということである。9月現在における個人県民税や法人事業税の申告状況を見ると、ほぼ前年並みで推移している。今後ともその推移については注視していく必要があると考えている。
【斉藤委員】
推計で316億円というのが総額の負担増で、これは本当に大変な負担増で、全体として今日本経済も落ち込んで、アベノミクスは破たんという状況になって、もっとも大きな要因になったと思う。
・入札問題について
【斉藤委員】
昨年度における入札不調の実態、それによる影響はどうなっているか。1者入札の実態はどうか。今年度はどうなっているか。
県庁舎管理業務における異常な低入札が問題になったが、実態と今年度の状況について。2月議会では、最低制限価格の導入を検討しているという答弁もあったが、検討はどうなっているか。
県の入札全体にも、最低制限価格制度の導入を図るべきと指摘してきた。低入札価格制度というのは、業者にとって大変評判が悪い。入札全体に関わる最低制限価格制度の導入はどう検討されてきたか。
【入札課長】
26年度においては、発注工事件数1304件のうち272件が入札参加者や応札者のないなどの理由により入札不調となっており、その発生割合は21%と前年度と同じ割合となっている。27年度の9月末までの状況では、発注工事件数614件中49件で8%となっている。具体的影響だが、予定していた工事の発注・着手が遅れる等の影響が生じることとなるが、入札不調となった後に設計内容や工事発注規模の拡大などの見直しを行い、再度入札を行ったり、あるいは随意契約への移行などにより、工事発注の迅速に努めている。1者入札の状況は、26年度は29%となっており、前年度(26%)より増加している。今年度は6月末までで、落札件数145件中30件で1者入札、割合は20.7%と昨年度よりやや低くなっている。
【管財課総括課長】
県庁舎管理業務委託の低入札の実態について。予定価格が100万円を超える一般競争入札で落札率が予定価格の80%を下回る入札では、昨年度全体42件のうち8件・19%である。今年度は6件・14%となっている。なかでももっとも低い落札率で見ると、清掃業務で32.8%、自動火災報知機設備点検で23.0%だった。
県議会や業界等からの要望等も踏まえ、入札制度の環境変化をとらえ、最低制限価格制度の導入について、県庁舎および地区合同庁舎の管理業務委託にかかる一般競争入札対象業務を対象として、28年4月に開始する契約業務にかかる入札から導入しようと考えている。これは当分の間試行として実施したいと考えている。
【入札課長】
県営建設工事入札の最低制限価格制度の導入については、入札価格の最低制限価格を下回った場合はすべて失格とするという制度だが、本県では県営建設工事の競争入札においては、低入札価格調査制度を導入しており、この制度については、調査基準価格を下回る入札があった場合、その入札価格で適正な工事の施工が可能であるかどうかについて審査する制度であり、不適格業者を排除しつつ入札参加企業の技術力や企業努力等が価格に加味されて、より低廉で良質な調達が可能となるという点などにおいて、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりもメリットがあるという観点から導入してきた経緯がある。
また、ダンピング防止のため、低入札価格調査制度の中において、一定の価格を下回る場合には、自動的に失格とする基準=失格基準価格を設けており、最低制限価格の場合と同様に、一定額を下回った場合は失格としている。ダンピング防止をする一方、適切な競争性を確保する観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また総合評価落札方式も効果的に活用しながら、適切に取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
ぜひ改善するところは改善してやっていただきたい。
今年度に入って、入札不調も減少しているということなので、業者間でも一定の調整がつきつつあるのではないかと。それでも1者入札が2割近くあるので。
・オスプレイの飛行問題について
【斉藤委員】
9月12日にMV22オスプレイが本県上空を飛行した。知事は遺憾の意を表明したようだが、実は10月16日に防衛省は、今度はCV22オスプレイを青森の三沢基地で、実弾で訓練をすると。全土でオスプレイの訓練を実施すると発表した。
CV22というのは、特殊作戦部隊で使われるオスプレイで、MV22以上に危険で墜落事故の比率も高い。MV22の無通告の飛行も許せないし、ましてやCV22特殊作戦部隊の訓練は絶対に許してはならないと思うが、県はどう考えて対応しているか。
【防災危機管理監】
9月12日にMV22オスプレイが二戸市上空を飛行したことが確認されたが、東北防衛局からは、横田基地を離陸あるいは三沢飛行場に着陸といった情報は伝えられたものの、具体的な飛行ルートについては説明がなかった。このため9月16日に、東北防衛局長らが別件で県庁を訪れた際に、知事から直接「安全性について住民への説明が十分ないまま、飛行ルートを明らかにせずに本県上空を飛行したことについて遺憾である」と伝えるとともに、オスプレイの安全性について県民に丁寧な説明を行い不安の払しょくに努めること、オスプレイが飛行する場合は飛行ルートなど具体的な飛行内容について事前に明らかにすることなどについて口頭で要請した。さらに9月28日には、本県職員が東北防衛局を訪問し、同様の趣旨を伝えた知事名の文書を提出し、改めて申し入れた。
10月14日に防衛省から、米軍所属のCV22のオスプレイの横田飛行場配備に関する環境レビューが発表され、この中で、青森県三沢対地射爆撃場が訓練基地として記載されていた。県としても、本県に関わりのある部分が含まれているにも関わらず、事前に具体的な説明もなく公表になったことについて、ただちに遺憾の意を表すとともに、今回の環境レビューの詳細や今後の対応等について、関係自治体に説明すること、オスプレイの安全性について県民等に対して丁寧な説明を行い不安の払しょくに努めること、オスプレイが訓練飛行を行う場合は、ルートなど具体的な飛行内容について事前に明らかにすることなについて要請した。その後説明に訪れた東北防衛局の職員によれば、具体的な訓練内容については現段階では明確でないということだったが、本県上空に三沢対地射爆撃場に関わる訓練区域は拡大することはないということを確認した。
今後も、オスプレイの飛行に関しては、引き続き国に対して安全性についての十分な説明、具体的な飛行内容の明記について要請していく。
【斉藤委員】
この点では、県はしっかり対応しているのが分かった。ただ、米軍というのは、まったく日本の主権、国民の安全を無視して傍若無人な訓練をしているのも事実なので、許されない。厳しく対応すべきだと思う。
・自衛隊について
【斉藤委員】
自衛隊についてだが、戦争法が強行採決され、自衛隊も重大な状況にあると思うが、東日本大震災津波の際に、救援復興で自衛隊が大変献身的な大きな役割を果たしたと、被災者は大変感謝している。実際に、県内にどれだけの自衛隊の方々が救援復興の活動に参加したか。
戦争法が強行される前後だが、自衛隊の勧誘のチラシが町内会の回覧板で盛岡市内を回っている。これは就職活動にとってもやってはならないのではないか。こういうことを県は把握しているか。やりすぎではないか。
【防災危機管理監】
大震災では延べ数で約61万人の自衛隊が活躍したと確認している。
自衛官の募集については、自衛隊法の定めにより、地方自治体が行うこととなっている法定受託事務として対処しているものである。
【斉藤委員】
盛岡タイムスがまとめた冊子を見ると、実際12000人という紹介があるが、詳細に分かるか。
就職活動でやっていいことと悪いことがある。自衛隊だけが町内会の組織を使って、就職あっせんをすることは正しくない。そういう認識はないのか。
【防災危機管理監】
自衛官の災害派遣時の人数は、日にちにより違うということで、例えば3月14日は6600人、22日には12000人、7月9日には6800人というように日々変わっている。
募集等について、町内会に関する部分については市町村が担当しており県としては携わっていない。
・公共施設マネジメントと旧盛岡短大跡地利活用について
【斉藤委員】
県が公共施設マネジメントの取り組みを始めているが、どう検討されているか。
私の地元で、旧盛岡短大跡地利活用の要望を県や盛岡市に出しているが、その中で検討されているか。
【管財課総括課長】
現在県が保有している行政庁舎や社会教育施設等の公共施設の多くは、高度成長期から昭和50年代にかけて整備されたものであり、今後一層の老朽化が進み大規模修繕や更新の時期を迎えることから、計画的な更新や長寿命化、施設配置の最適化による財政負担の軽減をはかるなど、長期的な視点に立ったマネジメントの取り組みが必要と認識している。このような中で昨年4月に総務省から、インフラ施設や公営企業施設を含むすべての公共施設の総合的かつ計画的なマネジメントを推進するための基本計画となる「公共施設等の総合管理計画」の策定を速やかに取り組むよう、各都道府県・市町村にたいし要請が行われてきた。これを受け県では、27年度中の計画策定に向け、昨年10月に庁内の関係部局による会議を設置し、現在公共施設等の現況把握やマネジメントの基本方針の整備など、計画策定作業を進めている。
【管理課長】
旧盛岡短大跡地利活用について。公共施設マネジメントの質問があったが、公共施設マネジメントについては施設の長期化や修繕といったことが主眼であるので、本来の用途で使われていない旧盛岡短大跡地についてはその対象になっていないものと考えている。
現状については、県の文書保管等で使われており、今後は県の関係部局や盛岡市に要望をいただいているので、そういったことを踏まえての検討になるかと思う。
・県職員の正規職員の減少について
【斉藤委員】
大震災があった中で、県職員の正規職員数が減っている。異常なことだと思う。全国から応援を受けていて、正職員の数が減少しているというのは岩手県のやる気が問われる問題ではないか。正職員の採用状況はどうなっているか。
任期付職員の待遇改善と正職員化については、任期付職員は今年で4年目を迎える方々もいるので、待遇改善と正規職員化は具体的にどう進められるのか。
【人事課総括課長】
正規職員が少なくなったのではないかということだが、退職者等を見込み採用計画を立てて採用試験を行ったが、技術系職員を中心として民間企業との競合化が、必要数の採用が確保できなかったということが実態である。
任期付職員については24年度から採用しており、現時点で189人配置しているが、諸軍の改善・待遇の改善ということだが、一定期間継続して勤務した任期付職員のうち、勤務成績が優秀で一定の要件を満たした職員については、勤務意欲の維持や高揚を図るため、今年4月に主任への任用を行った。任期付職員を任期の定めのない職員として選考のうえ採用するということは、県行政を担う即戦力となる人員を確保できるメリットがあるものと考えており、こうした選考・採用については、人材確保の見通し等を踏まえつつ、現在選考方法など人事委員会とも検討を行っている。任期満了職員の再就職活動に支障をきたさないよう、適切な時期に対応方針を示したい。