2015年10月22日 決算特別委員会
総務部に対する高田一郎県議の質疑(大要)


1、自主防災組織について

高田一郎委員
 まず最初に地域防災力の強化について、自主防災組織の問題についてお聞きします。現在の自主防災組織の組織率と活動状況というのは、どういうふうになっているでしょうか。先ほども議論ありましたけれども、被災地や県北地域において、組織率が低下しているっていう話もありました。岩手県民計画実施状況報告書によりますと、この問題に対する達成度がCとなっております。東日本大震災から4年7カ月経ちましたけれども、全体として地域防災力が低下しているんじゃないかとそういう思いをしているんですけれども、その辺も含めて答弁をお願いします。

小向総合防災部防災室長
 まず、自主防災組織の組織率でございますけれども、平成27年の4月1日現在で、84.1%ということで、26年度から1.5%向上したところでございます。25年度以降は全国平均を上回って推移している状況でございます。活動状況につきましては、県や市町村の防災訓練における避難訓練、避難所運営訓練等への参画、独自の訓練の実施、地区防災計画の策定、研修会の実施など、災害時の適切な組織運営にむけた活動を自主防災組織で行っているものと承知いたしております。
 次に県北・沿岸地域において、組織率が低迷している要因ということでございますけれども、県北地域につきましては、他の地域に比較してこれまで大きな災害経験が少ないといったこと、あるいは沿岸地域においては仮設住宅からの移転等により新たなコミュニティを構築している過程にあるといったことが組織率が低い原因となっているものと考えていることでございます。今後は組織率が低迷する地域を重点的に支援するなど、県全体としての底上げを図ってまいりたいと存じております。

高田委員
 それで、先ほども人材育成に取り組んでいくという話がありましたけれども、具体的にお伺いいたします。岩手県の地域防災サポーターの活動状況、それから防災ワークショップの開催状況、これが実際にどういう活動が展開されているのか、伺います。

小向室長
 地域防災サポーターにつきましては、平成26年度につきましては、15回派遣してございまして、家庭での防災対策、自主防災組織の活性化等をテーマに講演や研修会を行っているところでございます。また、サポーターが講師となったワークショップにつきましては、昨年度3回実施してございまして、自らが住む地域における危険個所や避難所等を記載した防災マップづくりなどを行っておりまして、具体的には北上市と滝沢市で行っているところでございます。

高田委員 
 岩手地域防災サポーターというのは、いろいろ調べてみますと県内に39人、サポーターがいるんですね。ボランティアでありますけれども、それぞれの地域に行って防災マップの作成を行ったり、様々な防災教育を行っている。たいへん重要な役割をはたしているんですけれども、サポーターの数からしても、非常に少ないと思いますし、防災ワークショップの開催についてもね、非常に少ないと思うんですね。全国的に比率は高くても、組織率は高くても、その中身が問題だと思うんですね。組織を作っても、なかなか魂が入らないと、という状況になっているではないかなと私の身近なところに見ても、そう思っております。それで、地域の皆さんが、行政主導でやるのではなくて、自ら自主的に活動すると、そういう方向に仕向けるような取り組みが必要だと思うんです。その地域の危険個所が、どこに何があるのかっていうことをしっかりと情報提供して、そして地域の皆さんが自主的に活動し、そして引き続き続けられていくような、そういう仕組みを作っていくことがね、行政に求められているという風に思うんですけど、その辺について、県としてどのように考えているのか、お伺いいたします。

小向室長 
 自主防災組織のいわゆる活動の質の問題ということでございます。県では、自主防災組織のリーダー研修会というものも実施してございますし、また自主防災組織の連絡会議といったものも実施しておりまして、それによってリーダー研修会によるスキルアップであるとか、あるいは連絡会議による情報共有と、同じ悩みをもっているリーダーであるとか、防災組織を引っ張っているような人について、一緒に勉強してもらうというような場も設定しているところでございます。また、やはり、委員おっしゃった通り、継続的に取り組むということ、質を高めつつ継続的に取り組むということにつきましては、やはり市町村がある程度、バックアップしていかなければならないというところもございますので、県におきましては、県の担当職員が市町村を巡回して、訪問して、(  )の方針とか制度について、こういったサポーター制度についてもお知らせしておりますし、また、自主防災組織の活性化の事例であるとか、そういったものも紹介しながら、企画であるとかワークショップ開催への支援といったことも行っているところでございます。今後とも市町村と連携しながら、そういった自主防災組織の活動の質が高まるように、またこれが継続できるように支援してまいりたいと存じております。

高田委員 
 私、先ほど、組織を作っても魂入らないという話をしましたけれども、しっかりやっているところもあるわけですよね。この間、2度の大きな災害うけて、自主防災組織の果たしてきたた役割っていうのはたいへん大きいと思いますので、組織率を高めると同時に、質の面でもね、大いに拡充、しっかりと取り組んでいくように、しっかりと県としても市町村に様々な支援をお願いしたいと思います。

2、栗駒山の火山防災対策

高田委員
 次に栗駒山の火山防災対策について伺います。
 栗駒山というのは、いわゆる火山改正法見直しに伴って、警戒地域に指定されている全国50の火山の一つであって、しかしその中でもハザードマップが策定されていない9つの火山の一つとなっております。この間、火山防災協議会も開催されてきましたけれども、この間、火山防災対策にどのように取り組まれてきたのか、ハザードマップや避難計画の策定の見通し、これについても、お伺いいたします。

小向室長
 栗駒山につきましては、本県とともに、秋田県、宮城県ともまたがる活火山ということでございますので、本年3月に本県が主体になりまして、宮城県、秋田県に呼びかけまして、共同で栗駒山火山防災協議会を設置・開催いたしまして、関係自治体および関係機関が連携して警戒体制等を構築していくということを確認したところでございます。その後、各県の方で事務的な詰め的なもの、あるいは協議的なものを続けておりますけれども、委員ご指摘のいわゆるハザードマップ等が作成されていない、というようなご指摘がございますけれども、これはハザードマップ、避難計画っていうものは警戒避難体制の中核という部分でございますので、本年、委員ご紹介の通り7月に活火山法の改正がございました。そういった趣旨を踏まえまして、他の活火山に比べて噴火所について調査研究が進んでいないという、栗駒には非常に難しい問題があるわけでございますけれども、まずはその火山対策の基礎となるのは、その中でもハザードマップという部分が一番大切なものでございまして、これを作成するのが第一と考えてございます。これにむけて今、3県で鋭意協議をすすめているという状況にございます。

高田委員
 すると協議会が3月に始まったばかりであるので、ハザードマップの見通しを聞いたんだけれども、まだ見通しは、始まったばかりで、いつ策定できるかわからない、ということで、理解していいんですね。

小向室長
 今まで協議をしてこなかった3県が集まって、協議をして方向性を定めて、今、鋭意検討、ハザードマップ作成が第一だという共通の認識のもとに協議を始めているということでございまして、できるだけ早く策定できるように頑張ってまいりたいと思います。

高田委員
 できるだけ早く策定するように頑張っていきたい、ということであります。ただ、国はですね、早く協議会を作って対策をとれっていうふうなね、呼びかけをしていますけれども、そう簡単にできるわけじゃないんですよね。先ほど小向さんがお話ししたように、栗駒山そのものの、噴火所の解明をしなければいけないとか、あるいは観測体制も非常にずさんですよね。岩手が観測体制が全くゼロという状況の中で、しっかりとした観測体制や研究、栗駒山そのものを調査・研究しなければならないわけですから、観測体制の強化とか様々なことに取り組まなくちゃいけないわけですよね。そういう点では、3県だけではとても解決できない問題点があるわけですから、国に対してしっかりと予算の問題とか、人的な体制とか、そういうことをしっかりと要求をして、可及的速やかに策定しなければならないと思うんです。国の役割がたいへん大きいと思うんですが、国に対しては、どんな要求、要望を行っているのか、そして国の対応がどうなのか、その点についてもお伺いいたします。

小向室長
 国に対するいわゆる観測体制強化の要望についてでございますけれども、栗駒山をはじめとする火山の観測体制の強化につきましては、御嶽山の噴火災害をふまえて、これまで県単独、あるいは北海道・東北知事会、全国知事会を通じて、そういった強化を国に強く要望しているところでございます。気象庁におきましては、要望を踏まえまして、栗駒山に既存の4つの観測施設に加えて、新たに火口付近に熱映像監視カメラ、火口監視カメラ、傾斜計、広帯域地震計の4つの観測施設を今年度中に設置すると、いうようなことを予定しているということを聞いてございます。現在、設置場所等について、関係機関との調整を行っていると聞いておりますので、そうした点に十分注意しながら、また委員ご指摘のとおり、そうした観測体制、さらには研究体制の充実について、さらに要望を重ねてまいりたいと考えてございます。

高田委員
 日本の火山研究対策に対する対応っていうのは非常に脆弱ですからね、国に対してしっかりと要求していただきたいと。特に栗駒山は噴火警戒レベルが1ということですけれども、御嶽山も1だったんですよね。そういう点では、いつ爆発がおきるかわからないという、そういう可能性もありますので、しっかりとした対応をしていただきたいと思います。

3、私学助成について

高田委員
 次に私学助成についてお伺いをいたします。私学助成については現在就学支援金のですね、認定状況がどうなっているのか。そして県内の私学生のですね、年間の学校に納める納付金額、どうなっているのが具体的に示してください。

千葉私学情報公開課長
 就学支援金の認定状況についてでありますけれども、平成27年度は県の私立高等学校生徒6,680人のうち、90.1%にあたる6,018人を対象に、総額約10億1千万円余の支援を予定しております。
 次に生徒の年間納付金額についてでありますけれども、入学時の負担金を除いた場合の、年間納付額は生徒一人あたり37万815円となってございます。

高田委員
 入学時の、入学金を除いて授業料も除いてっていうことですね。実際にこの就学支援金を除く実質的な生徒・保護者の負担金がどの程度になっているのか、っていうことをお聞きしたいです。

千葉課長
 ただいま申し上げましたけれども、入学時の負担金を除いた額というのは、授業料も入ってございますので、年間の実質負担額は8万46円というふうになってございまして、なお入学時負担金を含む場合、1年生の場合でございますけれども、その場合につきましては、23万1200円ほどになります。

高田委員
 年間納付金37万8千円というこの数字はですね、おそらく学校によっても違うと思うんですよね。多いところでは40万とか50万とか、私学支援金が行われても40万、50万と納入せざるをえない、そういう状況になっています。そこで、今の経済的な理由によりですね、退学とか、あるいは修学旅行に行けない生徒とか、あるいはアルバイトせざるをえない学生とか、あるいは授業料の滞納とか、そういう実態については県としてどのように具体的に掌握しているのか、その点について、お伺いします。

千葉課長
 私学生における現状でございますけれども、経済的理由による私立学校の退学者数は平成26年度は2名でございます。このうち1名は、退学時においてですね、授業料が滞納状態であったということでございます。また、修学旅行についてでございますけれども、平成26年度において、対象学年生徒数2148名のうち、154名が不登校などの状態を含めまして、何らかの理由によりまして、旅行に参加していない状況にあります。次にアルバイトの状況についてでございますけれども、私立高校独自のデータはございませんが、平成24年の就業構造基本調査によりますと、本県、公立私立の高校生在学者の約1.9%にあたる800名のアルバイトを含めての有業者となってございます。

高田委員
 それで、その私学就学支援金が始まってもですね、私学、私立学校に通う子どもたちは、授業料は下がったわけですけれども、しかしそれでも高い学校では40万、50万とね、学校に納めざるを得ない、そういう中で、同じクラスの中でも修学旅行に行ける子と行けない子がいる。退学せざるをえない。こういう状況いまでも続いているんですよね。こういった現状をですね、どのように検討して、何かもう一つ、県独自のね、対策もあってもいいのかなっていうふうに私は思うんですが、それについていかがですか。

千葉課長
 経済的な理由によりまして就学が困難な生徒につきましては、先ほどご説明いたしました授業料を対象とした就学支援金、このほかに授業料以外の例えば修学旅行費に充当できる奨学のための給付金という制度もございます。これに加えまして、例えば不慮の災害等により家計が急変した世帯に対しましては、授業料減免補助事業等による支援とともに、被災者に対しましては、いわて学びの希望基金による教科書購入等の給付などにより、各種の事業により引き続き支援に努めてまいりたいと考えてございます。

高田委員
 いま課長の方から、様々な支援策があるという話がされました。家計急変による授業料の減免もあるといいましたけれども、実際に対応されているのは5人、26年度で5人ですね。いただいた資料見ますと。26年度から始まった就学給付金、これ返済なしの給付金制度が始まりましたけれども、これも460人。全体の2割にもなっていない。10数%ですか。これは生活保護家庭とか住民税非課税、市町村民税非課税っていうことですから、もう少し拡充してですね、年間6万、7万ぐらいの給付金がもらえて、返済なしになっているわけですね。これ、県独自にもう少し拡充してですね、こういった方々の支援をすると。今まで、就学支援金制度が導入される前は、県独自で授業料に対する助成措置をしてきました。就学支援金制度が始まってから県はそれを打ち切って、やめたわけですよね。こういったことも考えれば、さらなる拡充っていうものをね、やっていくべきだっていうふうに私は思うんですけれども、この点、今すぐ答弁できなくてもね、前向きに検討していくべきだって私は思うんですよね。その点についていかがでしょうか。

千葉課長
 県単独自の制度につきましては、就学支援金の制度が新しくなった時点で、新制度の対象者については実質取りやめになっている状況にございますけれども、低所得者向けの世帯に対しましては、先ほどご説明いたしましたとおり、奨学のための給付金というのがございまして、昨年度は確かに460人ということで対象が1学年に限られましたので、そういった数になりましたけれども、これから今年度は1学年、2学年、来年度は1学年、2学年、3学年ということで、対象者も増えますので、そういった形で支援に努めてまいりたいと存じます。

高田委員
 今議論しました、授業料の減免とか給付金ていうのは国の制度であってですね、県も少し負担はしておりますけれども、県独自のね、支援をして、支援金制度が始まっても、まだまだ公民格差が是正されていないわけですから、そういう対応をぜひ検討していただきたい。
 それでこの項目の最後にですね、私立学校の耐震診断、学校、体育館等の耐震診断の実施状況をですね、改修の実態というのはどうなっているのでしょうか。

千葉課長
 耐震診断の実施状況でございますけれども、平成26年4月1日現在の文部科学省の私立学校施設の耐震改修状況調査によりますと、県内の小中高校および特別支援学校については、耐震診断が必要となる昭和56年以前に建設された建物28棟のうち、耐震診断実施済の建物は15棟でございます。これによりまして、耐震診断実施率は53.6%となっております。また、私立幼稚園につきましては同様に昭和56年以前に建設された建物23棟のうち、耐震診断実施済の建物は4棟であり、耐震診断実施率は17.4%となってございます。

高田委員
 昨年もこれ聞いたんですけれど、数字的に全然前進してないですよね。それと耐震診断されてもですね、改修しなければならないと。きちっと改修されているんですか。

千葉課長
 耐震診断が進んでいないということについてでございますけれども、やはり耐震診断を行うということはもし耐震改築なり改修が必要だった場合ですね、そういったことも伴うということもありまして、なかなか学校法人の方で耐震診断に踏み切れていないということがあるのかなというふうに考えてございます。
 次に、改修の実施状況についてでございますけれども、耐震診断を行った学校については、いずれも改修の方向、例えばですね、現在小中学校では、現在1棟が改築をしておりますし、残る2棟も今後の改築を予定してございます。幼稚園につきましては、耐震補強が必要な建物は1棟であり、今後の改築を予定しているというふうに伺ってございます。

高田委員
 公立の学校はね、耐震診断も改修も行政の責任でやりますけれども、私学の場合はね、私学の経営もありますので、簡単にはいかないと思います。しかし、一日の大半を過ごす、子どもたちが一日の大半を過ごす学びの場所でありますので、やはり県もしっかりとしたね、支援策を少し強めてね、一層耐震診断、再建が進むようにね、取り組んでいただきたいと思います。

4、原発事故による賠償問題について

高田委員
 最後に、原発事故による賠償問題についてお聞きします。先ほども、岩手県、あるいは市町村の賠償の請求の状況、支払い状況お伺いをいたしました。それで確認しますけれども、先ほど示されたこの数字っていうのは、原発のADRの和解にもとづく・・・が入っている、そういう中の数字でしょうか。支払い状況が非常に悪いんですけれども、この第7次の請求をしただけで、その支払いが入っていないので低いのかなって思うんですが、その点をまず示してください。そして、原発の事故による賠償っていうのは、行政による損害賠償請求だけでなくて、農林水産、あるいは商工関係、観光関係、様々なところで被害をうけております。全体の請求状況、支払い状況についても示してください。そしてなぜ支払いが進んでないのか、具体的な理由についても示してください。

松本放射線影響対策課長
 原発事故による賠償についてでございますが、まず先ほど答弁した数値につきましては、原発ADRの和解分は含んでおります。ただし、今回の平成26年分の第7次請求の額がですね、岩手県の場合、32億ほどございまして、その分の額が加わっているために、支払い率が低くなっているものでございます。ちなみに支払いが進んでおります平成25年度分までの損害について県分でみますと、損害賠償請求額74億7千万円余に対しまして68億2千円余が支払い済みでございまして、支払い率は91.3%となっているところでございます。
 ほかの、いわゆる民間の賠償の状況でございますけれども、民間の賠償、主に農林水産業の損害賠償請求の状況、こちらは農林水産部で所管しておりますけれども、本年8月31日現在で請求額421億6千万円余に対しまして、373億5千万円余の支払いがなされておりまして、概ね請求に対して支払われている状況にあると聞いております。それから商工業、観光につきまして、観光業につきましては商工労働観光部で所管しておりますけれども、そちらにつきましても本年8月31日現在で東京電力からの損害賠償の支払いがのべ133件、約14億4400万円支払われているところでございます。
 賠償が支払われていない部分がある、未払いの部分がある理由でございますけれども、県、市町村分につきましては、政府指示等によらず自主等判断で実施した放射線影響対策業務に要した経費などについて、東京電力の方では必要性、合理性がないとして、支払いに応じていないところでございます。平成25年度までに賠償請求した損害のうち、現時点で未払いになっている主なものは、放射性物質状況、低減技術実証事業費や県土管理の空間放射線量測定経費、職員人件費などでございまして、これらについて引き続き支払いを求めていくというところでございます。