2015年10月23日 決算特別委員会
復興局に対する高田一郎県議の質疑(大要)
1、復興財源について
高田委員
それでは、私からまず最初に、復興財源、特に基金の活用状況と財源確保対策について、まずお聞きいたします。
まず、復興財源、基金はですね、これまで725億円の積立金が行われ、うち425億円がですね、市町村に交付されてきました。残る300億円のですね、これまでの活用状況と、現時点での基金残高について、まず示してください。
石川復興推進課総括課長
復興基金における県活用分300億円につきましては、これまで既存の制度では手の届かなかった事業、例えば住宅再建費用の一部助成等に約123億円、中小企業の被災資産の復旧等に約13億円、三陸鉄道の駅舎整備等に約21億円、また、国民健康保険、後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費などにあててございます。また、復興基金事業全体で平成27年度末までに、約197億円を充当する見込みでございまして、現時点の平成27年度末の残高は約107億円と見込んでございます。
高田委員
現在107億円の基金があるということで、金額的にはかなり厳しい財源だなというふうに思います。それで今、お話もあったように被災者住宅再建支援事業などこれからどうしてもですね、継続していかなきゃならない補助費もたくさんあります。今後とも充当しなければならない事業というのは具体的にどういう事業を言っているのか、それから想定される事業を見込んだ場合にですね、将来的に基金の残高っていうのはどのような見通しになるのか、それについてまずお聞きします。
石川総括課長
現在復興基金を充当している事業のうち、住宅再建や中小企業の被災資産の復旧補助のほか、応急仮設住宅の共益費など、被災者・被災企業への支援につきましては今後も継続せざるをえないものと考えてございます。また、仮に平成28年度以降も復興基金を充当してこれらの事業を行う場合、復興基金の残高は平成30年度末にはかなり少ないものとなるものと見込んでございます。
高田委員
具体的な数字っていうのは、なかなか示されないんですか?
石川総括課長
復興基金にあてます事業につきましては、毎年度の状況によりまして変わってくるものですから、今具体的な数字をあげることはできないという形でございます。
高田委員
これから住宅再建にしてもですね、なかなか揺れている方々がいらっしゃいますので、確定的な数字は言えないっていうのは、その通りだというふうに思います。ただですね、住宅再建支援補助金100万円補助とか、あるいは被災3県にはない医療費とか介護保険利用料の免除措置とか、そういったすぐれた施策をね、次々にやってきました。そうした、国がなかなか支援がされない、手が届かないところにかなり復興基金を使ってね、被災者のみなさんに寄り添った対策を行ってきたというふうに思います。そういう非常に財源が厳しい中で、岩手県は一般財源でもですね、200億円を超えるような財政措置をしてね、被災者によりそった対応してきたっていうふうに思います。総括質疑の中で、中村復興局長は、被災者の新たなニーズに対応できるようにね、活用していきたいっていう、そういう答弁がありましたけれども、なかなか今の基金の残高の状況の中では、なかなか被災者のニーズにこたえるっていう点では、なかなか財源的な余裕がないのではないかっていう思いをね、しているんですけれども、それについて局長いかがでしょうか。
中村復興局長
先ほど石川課長が申し上げた通り、いま継続している事業のなかで、なかなかやはりやめるわけにはいかない事業がかなりあるということのなかで、30年度末にはかなり残高も少ない状況になるのではないかなというふうには見込んでございます。ただ、一方これからまた復興のステージがいろいろ変わってまいりますと、被災者の方々のいろんな支援のニーズも変わってくる事態も想定されますので、そうしたことに全く対応しなくていいのかという、また一方の課題もございますので、そこは全体基金残高の状況も勘案しながら、また対応しなければならない課題の緊急度等を勘案して、毎年度毎年度の予算編成のなかで、どの事業に充当するかといったようなことについては、検討してまいりたいと考えております。
高田委員
現時点での107億円の基金残高っていうのは、たいへん厳しいね、私は数字だと見なければならないと思うんですね。住宅再建にしてもですね、いわゆる国の住宅再建支援金の、いわゆる加算支援金を受けている方々っていうのは、全体の割合からすれば、まだ半分にもなっていないわけですよね。こういった方々がこれから再建をしようというときに、全部、全員の方々がね、この自力再建をしようとすると、かなりの財源がね、必要になってくるわけでありますよね。これからも長い人では3年、4年と仮設暮らしをしなければならない、こういった人たちにも、これまでも1年1年延長してきましたけれども、医療費の免除措置だって継続しなければならないと。こういうことを考えますとね、かなり厳しい基金の残高だって思うんですね。200億円もの一般財源も使って、被災者に寄せた対策もしてきたと。これは、今後の復興の新たなステージを考えると、国に対して、取り崩し型復興基金のね、追加措置とか、強く求めていかなければならないというふうに思いますし、同時に被災自治体においてはですね、人口が大幅に減少している中で、これから地方交付税もどう措置されるんだろうというね、そういう不安もあるわけです。地方交付税の算定の特例措置についても、やっぱり国がしっかりと対応してもらわないと、財源ていうのは非常に大事な問題でありますから、これをしっかりと要望していかなければならないと。要望していると思うんですけれども。この取り崩し型復興基金の問題とか、地方交付税算定の特例措置について、要望していると思うんですけれども、国の対応というのは今、どうなっているんですか。
石川総括課長
復興基金の追加措置につきましては、これまでの要望に対しまして、復興大臣は、新たにどんな需要があるのか見極めて、必要があれば積み増すというコメントをされておりますが、今後における復興のステージの変化による新たなニーズにも十分対応できるよう、引き続き、地域の状況を説明いたしまして、要望を行ってまいりたいというふうに考えてございます。また、地方交付税算定の特例措置についてでございますが、被災自治体の財政運営に支障が生じないよう現在総務省において、特例措置の検討が進められておりまして、平成28年1月頃までには方向性が示される予定というふうに聞いてございます。
高田委員
復興を前に進めるうえで、財源というのは一番大事な課題でありますのでね、繰り返し繰り返し国に強く求めて、取り組んでいっていただきたいなと思います。
2、被災者支援について
高田委員
次に被災者支援について、お伺いいたします。
先ほど、県外に避難されている方々に対する対応の質問がありました。私は、内陸に避難している方々の支援策について、伺いたいと思います。3千数百人を超える方々がですね、被災地を離れて、内陸部で避難しているわけですけれども、これに対する支援策、どうなっているんでしょうか。
小笠原生活再建課総括課長
内陸に避難されている方への支援でございますが、基本的には県外の方と同様に、被災地のまちづくりの状況等の進捗状況等についての情報提供、これ定期的に行っておりますほか、職員が出向いての交流会への参加、あるいはフリーダイヤル等でも相談、希望される方には直接訪問して相談、ということをやっております。そのほか、内陸におきましては、市町村も独自に支援策を講じておりまして、例えば盛岡市ですと、盛岡復興支援センターを設置しまして、ここで交流会を開催したり、盛岡に避難されている方の戸別訪問、行ったり、あるいは当方と連携いたしまして、専門家、行政書士やファイナンシャルプランナー等の相談業務を、相談会を行ったりしております。同様に北上市におきましても、避難者生活支援センターを設置しまして、ここに生活支援相談員を配置いたしまして、巡回訪問、相談等の業務を行っていると、いうところでございます。
高田委員
盛岡や北上の取り組みっていうのは先駆的な取り組みだと思うんですよね。しっかりした支援センターを設けて、人が配置をして、そして訪問活動をするなど様々な活動を展開しております。しかし、それ以外の自治体に避難している方々がきちっとした支援が行われているのかどうかということなんです。被災地に行けば仮設住宅で集団で暮らしをし、そこに支援員も配置されて、見守り活動も行われていると。さまざまな課題ありますけれども、しかし、内陸に避難している方々っていうのは、被災地で暮らしている方々よりも、孤立感が高いと。支援の手も差し伸べられないという状況にあるんではないかなと思います。盛岡とか北上は先ほど言ったような、支援センターなどを設けてね、人的職員も配置してやられているんですけれども、その他のところに避難されている方々がしっかりそういう支援の手がね、差し伸べられているのか、見守りがされているのか、相談活動がしっかりやられているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
小笠原総括課長
申しわけありません。先ほどのちょっと私の説明足らずでございました。基本的に内陸の市、町におきましては、生活支援相談員を配置しておりまして、その方々が見守り活動を行っております。付け加えまして、奥州市さんですと、ホープラザ奥州というのを設置して、やはりここに生活支援相談員を配置して、相談行ったりですとか、つなぎサポートセンター設置しまして、こちらに生活支援相談員を配置して、個別支援を行っていると、やはりそれぞれの市、町におきまして、独自にいろいろ工夫して、支援していただいているところでございます。
高田委員
被災地も含めてですね、今、支援員の数が十分配置されて、しっかりと対応されているのかどうかっていうところが問われていると思います。総括質問の中でも、量の問題と質の問題という議論もありました。私もこの間、釜石とか大槌に行きましてね、被災者のみなさんから様々な声が寄せられました。支援員の方々がね、中に入って、いろいろこう電球を直してほしいとか、あれやってほしいって言われても、そこまでのことはできないんだっていうお話をされました。この前の議論を聞けばですね、柔軟な対応できるんだっていうお話もありましたけれども、そもそも支援員の数についても、市町村によってずいぶん差があるんですよね。例えば大船渡市の68人に対して、陸前高田は13人とか、山田については13人とか、非常に落差があるわけですね。こういった支援員について、県当局としてはね、十分な支援員になっているのかということをお伺いしたいなと思います。
小笠原総括課長
被災者の支援にあたる方々といたしましては、まず県の社会福祉協議会が配置しております生活支援相談員という方々がいらっしゃいます。この生活支援相談員の数につきましては、市町村の社会福祉協議会からの要望をふまえて配置してございまして、今年度の配置計画は188人でございます。これに対しまして、9月末現在で179名が配置されておりますので、概ね計画通りの配置になっていると考えます。
もう一つ、各市町村が独自に配置している支援員、さまざまな名称ございます。これにつきましては、地域の実情に応じまして、各市町村の判断で、配置されているものでございますが、委員ご指摘の通りですね、被災者の生活ステージの変化に応じまして、この必要な数っていうのは変わってくるというふうに思います。したがいまして、そういった状況の変化に応じまして、弾力的に見直しをしていく必要があるというふうに認識しております。
高田委員
これから、仮設住宅から災害公営住宅に移るわけですけれども、仮設住宅の見守りをしなければならない、そして何カ所かに分散された災害公営住宅も回って、見守りをしなければならない。そして、今、被災地の現状を見ると、やっぱり仮設住宅の中によく入ってですね、そして、お茶飲んでもいいと思うんですよ。そして相談にのったり、被災者の変化を支援員のみなさんがよくつかんで、そこから必要なところと、方々と連携をするとか、保健師のみなさんとか、あるいは民生委員の方々に伝えたり、連携して課題を解決するということが大事になってると思うんです。そういう点では、私は今示された数というのは、決して多くない数字だと私は思うんですね。その点はどうなのかと、がひとつ。
そしてもう一つは、私、本会議の議案に対する質疑でもお話しをしたんですけれども、災害公営住宅への支援員の配置の問題です。これは、制度上できるんだっていうお話もされましたけれども、市町村がまだまだそういう状況になっていないという課題もあります。しかし私は、県として、災害公営住宅には支援員は必要なんだと、そういう立場にたって、やっぱり市町村を指導といいますか、助言していくという、こういう姿勢が必要じゃないかなと思います。被災者のみなさんは、すべての財産を失って、仮設住宅、つらい仮設暮らしをし、そして災害公営住宅に移ったら、なかなか交流がなくて、孤独死が生まれると。年々数が多くなっているわけですよね。そういう点では、やはり見守り活動、個別的な支援っていうのは本当に大事になっています。県として、災害公営住宅には支援員は絶対に必要なんだと、そういう思いで、やはり支援、協議をしていくべきだっていうふうに、私は思うんですけれども、それに中村復興局長、いかがですか?
中村復興局長
支援につきましては、先ほど小笠原課長が申し上げた通りでございますが、基本的には生活支援相談員さんと、支援員さんが本会議等でもですね、この議論若干ございましたけれども、その両者でしっかりと被災者をフォローしていくっていうことが大事だろうと思います。ですから、支援員さんの数だけ単純に比較して、多いとか少ないということではなくて、生活支援相談員さんの数も含めトータルとして被災者への対応がしっかりなされているのかどうかということが問題なのではないかと思います。で、支援員さんにつきましては、いわゆる当初は緊急雇用で、採用して配置したっていうこともあって、いわゆる被災者の方々がなかなか雇用の場がないということもあって、支援員さんの資格とかそういうことを問わずに、ある程度、単純な見守りでもいいから、できるだけ採用して、被災者の仮設を回っていただくというふうな形で当時配置をされていたものでございますので、その辺は先ほど小笠原課長が言ったように、いわゆる発足当初とはまたかなり果たすべき機能が変わってきているのではないかなというふうに思います。ま、そこはいずれ各市町村に最終的には判断にはなりますが、県の方としては十分市町村の方とも協議をしながら、しっかりしたケアができるような体制については引き続き求めていきたいというふうには思います。
それから、災害公営住宅についての支援員の配置につきましてもですね、いま生活支援相談員さん、支援員さんもそうですが、かなり災害公営についても、常駐というかたちでは必ずしもないんですが、巡回しながらケアをしている、フォローしているっていう状況もございます。ですから、絶対常駐しないとフォローができないのかっていうところはいろいろ議論があるところだろうと思いますけれども、ま、そこは一番よくやっぱり被災地、被災者の方々の状況を把握しております市町村、の方とわれわれとしては十分相談をしながら、しっかりとした公営住宅についても、対応をしてまいりたいというふうに考えております。
高田委員
震災から4年7カ月たちましてね、被災者の状況というのは大きく変わっています。やっぱり長い仮設暮らしの中で、本当に、いつ再建になるんだろうかと不安の思い、そして長い仮設住宅の中で、健康が悪化するとか、高齢化による様々な課題を抱えております。そして、災害公営住宅もあっちにもこっちにも作られる。そういう中で、仮設住宅も災害公営住宅も回らなければならない。当初の想定したときと比べても、支援員の果たす役割っていうのはね、たいへん大きくなってくるというふうに思います。そういう点では、実施主体は市町村でありますので、局長が言うようにね、市町村とよく協議をして、課題の解決のために取り組んでいただきたいなと思います。
3、防災集団移転事業、区画整理事業について
高田委員
最後に防災集団移転事業、区画整理事業についてお伺いいたします。
防災移転事業及び区画整理事業のですね、計画戸数がどうなっているのか、この1年間、どう変化しているのか、これについてお伺いいたします。そして、宅地整備の完成っていうのは全体としてどういう見通しになっているのか、その辺についてもお伺いいたします。
田村まちづくり再生課総括課長
防災集団移転促進事業や土地区画整理利用等の面整備事業による計画・区画数の過去1年間の推移でございます。県が公表している社会資本の復旧・復興ロードマップにおきまして、防災集団移転事業では、1年前の平成26年の9月末の2676区画から平成27年6月末では、2320区画と347区画の減となっております。また、土地区画整理事業では、5111区画から5286区画と175区画の増加となっております。また面整備事業にはもう一つ、漁業集落防災機能強化事業がございまして、そちらの方では476区画から468区画と8区画の減少となっております。これらの面整備の3事業の合計でございますけれども、8263区画から8083区画と180区画、全体の2%の減少となってございます。
次に今後のこの、これら3事業の宅地整備の見込みでございますが、来年度の平成28年度には5075区画、全体の63%が完成する見込みでございまして、平成30年度には、全体計画数の8083区画すべてが完成する見込みとなってございます。
高田委員
面整備の整備状況をお伺いいたしました。これは議会で質問するたびにですね、区画数減っているということで、住宅再建に対する、あきらめてほかの方法でね再建しようという、そういう方向に、回を重ねるごとに被災者のみなさんの意識が変わっているのかなというふうに思います。平成30年までにはすべての区画が完成するとなっていますけれども、しかしあと3年なわけですよね。仮設住宅暮らしが長期化している中で、もう3年。まあ、資材の高騰によるですね、建設単価も高くなっている。年をとるたびにですね、ローンの問題もありますね。こういった方々に対して、住宅再建に対するさらなる支援ということを求めてきましたけれども、先ほどの財源の問題を見るとなかなか厳しい側面もありますよね。こういった状況のなかで、どう住宅再建を進めるのかっていうことが復興の問題でも最大の課題の一つだなというふうに思うんですけれども、この点、復興局長いかがでしょうか。
中村復興局長
なかなか今、面整備事業の進捗の状況をお話を申し上げました。30年度にはなんとかすべて完成ていうふうなお話を申し上げましたが、実際それが完成してもその後、いわゆる住宅の建設ということになりますから、さらに実際にご自分のおうちに入れるのはさらにまた1年とか、時間を要するということでございます。われわれとしては、非常に重大な問題だというふうに一方では認識はしてございますが、いま委員の方からお話ありましたその住宅再建へのさらなる支援ていうことでございます。これについては、当然、気持ちとしてはですね、われわれとしても今、例えば県、市町村で単独事業としてやっている100万円の支援補助もですね、上乗せをしたいという気持ちは十分に持っているんですが、先ほど言ったような復興基金等の状況もありですね、さらなる追加の支援ていうのは、改めて国の方から取り崩し型基金等のですね、支援がないとなかなか厳しい状況にもございます。ですから、これはこの会議等でもお話しいたしましたけれども、生活再建支援金の増額でありますとか、今の震災特区を活用した復興基金のさらなる増額支援といったようなものを引き続き、そこは国の方にもですね、十分説明をし、要望していきながら、なんとか被災者の方々が1日も早い恒久的な住宅に入れるように、頑張ってまいりたいと思います。