2015年10月23日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)


・大震災津波行方不明者の捜索について

【斉藤委員】
 6554名の犠牲者の中で1129名がいまだに行方不明になっている。この間、警察は月命日を中心に行方不明者の捜索活動に取り組まれているが、この間の取り組みの実績、昨年1年間の実績を示していただきたい。

【刑事部長】
 現在も月命日を中心とした捜索を実施している。昨年1年間の捜索状況は、56回、警察官の延べ人数で1255人により捜索を実施している。しかしながら、23年8月11日に大槌町内で遺体を発見して以降、24年12月11日に陸前高田市での発見まではずっと期間が空いており、いずれその後も捜索を重ねているが、発見できるよう職員を動員して今後も継続していきたい。

【斉藤委員】
 行方不明者の方は、骨一本見つからないと。遺族はいまだに悲しみが癒されず「この悲しみは死ぬまで続くのではないか」と切実な思いでいる。
 7月24日に、陸前高田市米崎町の脇ノ沢漁港で、乗用車が海中から引き上げられ、白骨化した一人の遺体が見つかった。9月28日には、気仙町の福伏の沖合から、遺体は見つからなかったが車両2台が引き上げられた。多くは津波の引潮で海中深くに引きずり込まれたという方々が少なくないのではないか。沼の中や海中での捜索も、新たな視点で取り組む必要があるのではないか。

【刑事部長】
 ご指摘の通りであり、海中等における捜索活動については、発災以降、被災者の皆さんからの要望を踏まえ、山田町の船越漁港、田老地区の漁港、陸前高田市の古川沼、本年になってからは山田湾での海中捜索、水中探索機を使用して機動隊員が潜水して捜索しているが、残念ながら発見には至らなかった。
 いずれ今後の捜索活動についても、防潮堤の工事や復興工事の進捗にともない、捜索現場の環境も変化しているので、新たな視点で防潮堤工事に伴う排水作業などといった工事に合わせて、今後捜索活動をさらに範囲を広めて強化していきたい。

【斉藤委員】
 遺族の方々が具体的な要望も出していると思う。この間どういう要望があったか。そして4年7ヶ月余が経過しているが、毎月捜索活動やられていることに敬意を表するが、遺族の願いに応えた取り組みになるようにお願いしたい。
 発見された遺体で、身元不明なものが多々あると思うが、この状況と対策はどうなっているか。

【刑事部長】
 ご遺族からの要望だが、例えば、「山田町の海中捜索をしてほしい」とか「鵜住居の片岸川の河口での捜索をしてほしい」といった要望が重ねて出ており、こういったものを真摯に受け止め、今後も継続して捜索に傾注していきたい。
 震災による遺体については、9月末現在で4672体の検死を実施している。身元が判明していないものについては61体である。県警では、身元を確認するために、行方不明者のご家族や親族の方々から提供していただいたDNA型資料の鑑定や、歯科カルテの照合、似顔絵や遺体の特徴・所持品等の情報公開などの活動を進めており、本年も4人の方の身元を確認している。
 これまでも、警察本部や沿岸各署において、行方不明者の相談等を受け、身元追跡を実施してきた。さらに昨年2月以降、沿岸部を中心に行方不明者を探しておられるご家族等にお集まりいただき、行方不明者の情報収集と身元不明者の情報提供を行う活動も行っている。今後もこれらの活動を継続しながら、一人でも多く、一日でも早く遺体を引き渡せるよう身元確認に努めていく。

・捜査報償費について

【斉藤委員】
 この5年間の捜査報償費の執行額の推移を示していただきたい。

【警務部長】
 22年度は1712万8千円、23年度1499万円、24年度1234万1千円、25年度1149万円、26年度1067万9千円となっている。

【斉藤委員】
 5年間の推移を聞いたが、5年間で62.3%に縮小している。捜査報償費というのは、裏金の原資になっているのではないかと指摘してきたが、実際このように減少している事実はきわめて重要だと。
 ただその中で、各警察署単位で見れば、釜石署は25年度と26年度で倍以上に捜査報償費の執行額が増え、二戸署も1.5倍以上に増えた。これは何か特別な大きな事件があったのか。

【警務部長】
 その理由については、事件の規模・性質・形態・捜査の期間など、さまざまな要因によるものであり、個別の事例について一概に理由を申し上げることはできない。

【斉藤委員】
 個別の事件を聞いたのではない。倍に増えているということは、どういうことがあったのかと。そういうことも示されないのか。

【警務部長】
 繰り返しになるが、事件の規模・性質・形態・捜査の期間など、さまざまな要因があるので、なかなかお答えすることは難しいところである。

【斉藤委員】
 重大事案が増えたとか、何かあるのではないか。隠せば隠すほど疑惑が深まるので。

・警察職員の超過勤務手当の支給について

【斉藤委員】
 これを強く求めてきたが、昨年度の超過勤務時間、手当の支給はどうなっているか。この間の推移はどうなっているか。

【警務部長】
 支給額は、22年度は14億5636万円余、23年度18億3726万円余、24年度14億2517万円余、25年度12億6848万円余、26年度12億8457万円余となっている。職員一人当たりでは、22年度は66万円余、23年度81万円余、24年度61万円余、25年度56万円余、26年度57万円余となる。

【斉藤委員】
 支給率はどうなっているか。

【警務部長】
 超過勤務時間数に占める支給時間の割合は、22年度は59%、23年度72%、24年度76%、25年度79%、26年度86%となっている。

【斉藤委員】
 支給率は改善されてきており、取り上げてきた甲斐があったと。

・幹部警察官の天下りの実態について

【斉藤委員】
 幹部警察官の天下り・再就職の状況はどうなっているか。

【警務部長】
 天下りについての定義は明確ではないが、都道府県警察職員のうち、警視正以上の階級にある警察官の再就職先の名称等については、国家公務員法の規定により内閣が公表するものと承知している。

【斉藤委員】
 どれだけ、どういうところに再就職しているか。

【警務部長】
 内閣官房から、今年の9月に26年度分について公表された資料によると、公益財団法人日本防災通信協会、学校法人岩手医科大学、岩手県ハイテク交通共済協同組合といったところに再就職している。

【斉藤委員】
 この岩手医大への天下りというのが問題だと思う。岩手医大では、若林教授の覚せい剤疑惑があった。これは週刊誌でも取り上げられ、覚せい剤を打たれたという女性が、自ら社会的に告発した事件である。これは捜査されたのか、されなかったのか。

【刑事部長】
 記事の内容については承知している。個別の事件については、捜査しているか否か、その捜査状況など具体的なことについては答弁を差し控えたい。

【斉藤委員】
 捜査しないで、当時の刑事部長が岩手医大に天下りしている。病院長顧問というポストに。こんな絵に描いたような天下りがあるか。もみ消して岩手医大に刑事部長が天下るなど許されない。覚せい剤事件はあなた方はすぐ捜査するのに、捜査していないのではないか。

【刑事部長】
 個別の事件については、答弁を差し控えたい。
 一般論で申し上げると、警察は犯罪があると思慮するときは、法と証拠に基づき適正に捜査しているところである。

【斉藤委員】
 岩手医大には、当時の課長クラスの警察官も天下りしている。これと一緒になってもみ消したのではないか。犯罪の捜査をすべき警察がもみ消して天下るということは許されない。
 本部長はこの経過が分かるか。

【警察本部長】
 もみ消しという事実はない。

【斉藤委員】
 これだけ重大な覚せい剤疑惑が社会問題になって、捜査したかどうか分からないが、その岩手医大に刑事部長が天下ることは県民の理解を得られると思うか。

【警察本部長】
 退職者の再就職、これは民間企業その他受け入れ先がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかは、あくまで当該企業が独自の裁量と努力により決めるものである。再就職というのは、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知している。

【斉藤委員】
 正しいことと悪いことの区別がつかなくなっているのではないか。

・警察官の不祥事について

【斉藤委員】
 昨年1年間の不祥事事件は何件、どんなものがあったか。

【首席監察監】
 飲酒運転による物損事故で懲戒免職1名、減給処分1名、計2名を処分している。

【斉藤委員】
 相変わらず不祥事が続いている。
 5月17日に、酒気帯び運転で時速129キロで暴走した警察職員はなぜ逮捕されなかったのか。5月28日に時速50キロの制限速度を17キロ超過した一般県民は現行犯逮捕されて実名発表されている。こんな凶悪な酒気帯びの暴走がなぜ逮捕されないのか。

【首席監察監】
 逮捕の必要性については、個別の具体の事案により判断することになる。本事案は、刑事訴訟法などの規定により、在所や逃亡の恐れがないという判断で任意事件としたものである。

【斉藤委員】
 17キロオーバーした人が現行犯逮捕で、酒気帯びで129キロのこんな危険な事件を起こした人が逮捕されないと。警察官に甘い体質でいいのか。
 昨年紫波署に逮捕された元警察官が、今年9月12日に紫波警察署留置所で自殺未遂した。なぜ逮捕され、何度も逮捕され拘留しているのか。

【警務部長】
 被留置者のプライバシーに関することであり、答弁を差し控えたい。

【斉藤委員】
 この元警察官は、一昨年に脅迫・器物損壊で逮捕されて実刑を受けて、その後保釈後に仙人トンネル内で自殺未遂を起こし大事故を起こした。その後、警察のさまざまな裏金疑惑や違反もみ消しを明らかにすると公言して、また逮捕・再逮捕、拘留を続けていると。違うか。

【刑事部長】
 元警察官が逮捕・拘留されている事実はある。逮捕の理由については、知人の関係先等に、同人の名誉を棄損する内容のハガキを郵送し名誉を棄損した事実ということで8月5日に逮捕し、8月25日に同様の事案で再逮捕している。

【斉藤委員】
 新聞報道では、8月5日に逮捕して26日に再逮捕、本人は容疑を否認していると。これはきわめて重大な問題だと思う。留置所の中で自殺未遂を起こし、なぜか分からないが逮捕・再逮捕が続いている、拘留が続いていると。何か悪いことを隠そうとしているのではないか。本部長はこのことを知っているか。

【警察本部長】
 紫波警察署に逮捕・拘留されている事実はある。逮捕事実については、先ほどの答弁と同様である。