2015年10月27日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・盛岡広域ごみ処理計画について
【斉藤委員】
3市5町による盛岡のごみ処理広域化計画はどう進められているか。
【資源循環推進課総括課長】
23年1月に、県央ブロックごみ資源処理広域化推進協議会が設立され、27年1月に、既存6施設の延命化を図り40年度まで稼働させ、41年度以降1施設に統合する内容の基本構想が策定された。
今年度に入り、4月に同協議会の一部事務組合設立準備室が発足し、9月に第1回の整備候補地検討委員会を開催した。この検討委員会において、28年度中に3ヶ所程度に候補地をしぼり、29年度中に1ヶ所に決定するスケジュールで進めると聞いている。
【斉藤委員】
盛岡広域というのは3市5町で、この地域のごみ排出量は全体の中でどのぐらいを占めるか。
盛岡広域が1ヶ所に集約するという決め方は拙速だったと。試算もきわめてずさんで、1ヶ所にすれば経済効率性が良くなるということで決められたのではないか。1ヶ所集約の最大の理由は何か。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡ブロックのごみ排出量の全県に占める割合は、全県が45万2666トン、盛岡ブロックが18万3265トンで40.5%となっている。
1ヶ所に集約するということだが、県では平成11年3月に岩手県ごみ処理広域化計画を策定したところであり、県内6ブロックにおいて施設をそれぞれのブロックの中でつくるということを計画した。この中身は、ダイオキシン対策のほか、リサイクルの推進、廃棄物処理コストの低減ということで策定したところであり、こういった中でブロック内に施設をということで広域化計画を進めていただくよう示した。
【斉藤委員】
1ヶ所集約化というのは答弁の通り、平成11年3月にダイオキシン問題が社会問題化したときに、国が慌てて方針を決めて、岩手県の広域化計画がバタバタと決められた。16年前の計画が今実行されようとしている。最大の理由はダイオキシン対策だったが、この間の技術進歩・改良でダイオキシン対策は解決済ではないか。
【資源循環推進課総括課長】
ダイオキシンについては目標を達成している。
【斉藤委員】
そうすると、広域化計画の最大の根拠は崩れたと思う。小規模焼却施設でも、ダイオキシン対策は十分できるし、すでにやられている。
ごみ問題の基本は、減量・リサイクル・資源化だと思う。ごみを発生させない、最大限リサイクルし資源化すると。広域化計画は1ヶ所集約させて、それに逆行する。できるだけ狭い範囲で、自分の地域で責任をもって、ごみの発生を抑制する、最大限リサイクル・資源化すると。世界の中で、日本ほどごみを燃やしているところはない。ごみの減量・リサイクル・資源化という原点に立ち、広域化計画は根本から見直されるべきではないか。
【資源循環推進課総括課長】
ダイオキシンについては目標を達成しているが、ただ、その他の取り組み―リサイクルや減量化については、先進的な取り組みでブロック内に拡大されているという事実があり、そういったことに向けて効果があるので、ダイオキシン対策だけではなく、減量化・リサイクルをブロック内に拡大するという意味もあり、進める必要があると思う。
【斉藤委員】
いま各市町村単位で説明会がやられている。紫波はかなり努力して資源化に取り組んでいるが、不安が出されている。集約されたら紫波の取り組みができないのではないかと。葛巻も資源化率が高い。広域化されたら先進的なところが逆に遅れてしまう。現実に、1ヶ所集約を決めたが、減量・リサイクルの方針が全くないのではないか。この広域化でどのようにごみを減量してリサイクル・資源化するか。その結果として1ヶ所にするか3ヶ所にするか、こういうことであり、最初から1ヶ所集約ありきで、減量・リサイクルの計画も方針もない。そういう決め方でいいのか。
【資源循環推進課総括課長】
これまで、岩手県のごみ処理広域化計画の中では、広域化によりごみの減量化やリサイクルが進むということで進めてきたところである。実際に、広域化に加わった沿岸南部や岩手中部においても、広域化に向けて、統合までにごみの減量に取り組まれた結果、実際焼却施設等の規模もそれまでの焼却施設の合計よりもずっと少ない規模で設置されているものであり、ごみ処理広域化に向けての減量化が進んでいるものと考える。
【斉藤委員】
1ヶ所集約を決める前に、ごみの減量・リサイクル・資源化という方針が先にあるべきではないかと聞いた。その結果として焼却施設はどうあるべきかと。今までの焼却施設は過大な施設をつくっている。その反省に立たなければいけない。今回も先に施設ありきだと思う。
いま国も、ゼネコンと一緒になり大型焼却施設推進の方向に変わりつつある。それに乗っかっているだけだと。ましてや岩手県の場合には16年前のダイオキシン問題のときにつくった広域化計画を、亡霊のように復活させてやろうとしている。進め方がまったく反対だと思う。
実は、1ヶ所集約化を決めるときの試算というのは、盛岡のクリーンセンターに建設するということを前提にして試算されたのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
現盛岡クリーンセンターの場所に建設を前提に試算したものではないと聞いている。
【斉藤委員】
試算の根拠として、盛岡一極集中の場合には、盛岡クリーンセンターを前提にして試算されたのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
既存の施設の実績値だとか全国的な施設の建設炉を参考として算定したと聞いており、現盛岡クリーンセンターの場所に建設することを前提にして試算したものではないと聞いている。
【斉藤委員】
盛岡クリーンセンターに建設を予定して試算したというのではなく、試算の基準として今の場所につくった場合にはこれだけの整備費がかかるという試算の仕方をしたのではないかと。
【資源循環推進課総括課長】
既存の施設の実績値が参考としてつくられたということでは聞いている。
【斉藤委員】
盛岡一極集中の最大の問題点・懸念事項というのは、現盛岡クリーンセンターが最大の候補地になるということである。それで地域住民は「それでは困る」と、広域化計画の撤回を求める会をつくって署名運動も展開し盛岡市長にも要請している。一番の不安は、「焼却場周辺の盛岡市内の小学校は、ぜん息罹患率が市内全体の平均の倍以上」だと。春を呼ぶ会という方々が、盛岡市の情報公開で小学校の健康調査の資料を全部調べて出した資料で、盛岡市議会でもこのデータは間違ってないと教育長は認めた。どういう結果かというと、盛岡市内小学校の10年間のぜん息罹患率の平均値は2.1%、この期間における平均値の上位5校は、都南東小7.2%、手代森小5.9%、見前小5.8%、土淵小5.0%、東松園小4.2%だった。焼却施設と関係ないのは土淵小だけで、土淵小はインターチェンジの関係があると思う。しかし他のところは近隣に焼却施設がある。きわめて重大だと思う。
やはり焼却施設とぜん息罹患率は、行政が責任をもって解明しなければならない。盛岡だけではなく、関東や福島でも焼却施設の周辺で子どもたちの気管支ぜん息の罹患率がすでに報告されている。この点について、行政が責任をもって要因を明らかにすべきではないか。
【資源循環推進課総括課長】
ぜん息罹患率のデータについてはご指摘の通り、盛岡市議会でも答弁があったと聞いている。ただ、実際に調査するかどうかも含めて、設置者が判断すべきものと考える。
【斉藤委員】
そういう実態があるので、しっかり議論されなければならない。
特に母親が心配しているのはPM2.5である。いまPM2.5というのは気象情報で毎日報道されるほどの問題。おそらく焼却施設でのPM2.5は想定されていないと思う。いまPM2.5というのは県内・盛岡市内で、どの地点でどう測定され、結果はどうなっているか。
【環境保全課総括課長】
測定については、21年9月に、新たに環境基準に設定されたことから、岩手県内では10ヶ所、盛岡市内では2ヶ所で1ヶ所は上田公民館のところで自動車の排気ガスをターゲットにして24時間連続測定しており、また一般環境の方は都南総合支所で測定している。結果については、環境基準―1年平均値と1日平均値があるが、1日平均値については、上田は非達成、津志田は達成している。
【斉藤委員】
毎日基礎情報で流されるPM2.5が、県内たった10ヶ所、盛岡市内でたった2ヶ所しか測定されていないのはまったく不十分だと思う。上田局は、1年平均値でも1日平均値でも環境基準を超えている。ぜひ焼却施設周辺でもやっていただきたい。
【環境保全課総括課長】
PM2.5の測定体制だが、環境省の指針に基づき、人口7万5千人に1台程度ということと、地理的要因などさまざまな要因を含めて県で判断して設置するということで、全国的に見れば東北6県を見渡してみると、岩手県は多い方だと思っている。加えて、今まで環境基準というのは元々、より良い環境という数字であり、一方注意喚起しなければならない数字も環境省の指針で出されている。これは1日平均80マイクログラムという濃度になったときには、県からさまざまな媒体を通じて、過激な運動を避けるようになど、小中高・幼稚園などに伝達するような仕組みをつくっているが、制度をつくってからこれまで健康への影響が高くなると予想される濃度基準を超えることはなかった。したがい、今のところ県内10ヶ所の測定体制で十分ではないかと考えている。
【斉藤委員】
焼却施設とぜん息罹患率の実態が指摘されているので、焼却施設周辺でPM2.5の測定もやるということを強く求めたい。検討していただきたい。
・滝沢市に建設予定の産廃処理施設について
【斉藤委員】
滝沢市一本木地区に建設予定の産廃処理施設だが、地域住民の方々が水源地に近いということで725名の署名を集めて建設反対の陳情を岩手県にもしているが、この建設の動きはどうなっているか。
【資源循環推進課総括課長】
建設計画については、事前の相談を受けているところだが、現在法令の手続きに先立って行われる循環型地域社会の形成に関する条例に基づく事前協議の書類が提出されていない状況である。
・ニート・引きこもり対策について
【斉藤委員】
城内委員への答弁では、就業構造基本調査で県内のニートは6100人と「推計」されると。この実態調査が必要だと思う。ニートと引きこもりの分かれ目はないと思うが。なぜそうなったのか、何を求めているのか。こうした実態調査をやるべきではないか。
【青少年・男女共同参画課長】
ニートは、「非労働力人口のうち家事も通学もしていない者」と定義されている。引きこもりについては、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」と厚労省で定義されている。
引きこもっている状態ということもあり、引きこもりやニートについてはなかなか実態調査は難しい状況があり、県としては、ニート対策の取り組みの中で、市町村や保健所、ハローワーク等の会議をもち、そこでの情報共有を図りながら支援が必要な人について把握している。
【斉藤委員】
ニートと引きこもりはどこで線を引くかという定義はないと思う。
秋田県藤里町で、引きこもり対策に取り組み、劇的に改善を図ったという経験が何度かNHKで報道された。10月12日にも報道されて、ここは全戸訪問で3年かけて実態調査を行い、そうしたら当時3800人の人口のうち100人が引きこもりだったと。これは全国平均の5倍である。この引きこもりの実態はたくさんあり、東京でリストラされて地元に戻って、何回も就職活動をしたがスキルがある大卒の青年が就職できずに引きこもってしまったと。しかし、試行錯誤の末調べてみたら、みんな働く意欲を持っている。そしてヘルパー2級の講習の案内などを行ったら、そういう場に出てきたと。結論、100人の引きこもりのうち80人が働き始めている。そういう青年はすぐには出てこないが、結びついて系統的に情報提供して、例えば就労支援施設をつくって仕事をしながら物を売るとか、そういう中で100人のうち80人が仕事できるようになったと。この経験から学ぶ必要がある。
岩手県の引きこもり対策は、障がい保健福祉課の担当であり、これではいけない。多くがいろんな理由を持ちながら働きたいと思っている。いろんな形でそういう願いを引き出すようなさまざまな取り組みをすべきだと思うがいかがか。
【環境生活部長】
藤里町の取り組みだが、当部でも、研修会の中で、社会福祉協議会の活動として個別訪問活動、福祉の拠点の取り組みなど承知している。
今後、保健福祉部との関係もあるので、関係部や引きこもり支援センターなど連携しながら、ニート・引きこもりについてどうするか考えていきたい。