2015年10月28日 決算特別委員会
農林水産部(農業)に対する千田美津子県議の質疑(大要)


1、TPPについて

千田委員
 私はTPPと米価の下落対策の2点についてお伺いいたします。
 まず最初にTPPですが、午前中にいろいろ質疑がございました。TPPについて影響等は国が出していないから、なかなかそれらが出せないという答弁でございました。私としては、できるだけ詳細に影響について、それから影響額も出していただきたいなと思ったわけですが、影響額は難しいとしても、当県に対するTPPの影響をどのようにとらえているか、その点一つはお伺いをしたいと思います。
 それから午前中の質疑の中で、国会決議に対する、どう考えるかということに対する部長の答弁で、国会決議違反でないかというのに対して、国会が判断することっていう答弁がありました。ただそれを聞いて私はちょっとおかしいのではないかなというふうに感じました。というのは国会決議で、まいろいろあったわけですけれども、主要5品目については関税の撤廃の対象から除外すること、それから国民に将来不安を生じさせないため、情報公開を徹底し、利害関係者等の意見を、交渉過程に確実に反映する、このような項目があったわけですが、まったく今回の大筋合意は、これらから逸脱した国会決議違反だと言わざるを得ないんですけれども、その点、私はこれ、見ただけでも、明らかに決議違反と言えるのではないかと思うんですが、その点ひとつ。「大筋合意」ですから、これから国会で調印するかどうか決めるわけですが、私は当県に対する影響からすれば、撤回を迫るべきでないかなと思うわけですが、その点をお伺いいたします。

中村企画課長
 TPPの影響額でございますが、国におきまして11月下旬をめどに、その影響試算を含む経済効果の分析を行うと、いうことが言われてございます。方針とされて示してございます。これをふまえましてですね、県としましても、すみやかに県内の影響額なり、あるいはその影響等につきましてもですね、試算、あるいは検討をしてまいりたいという風に考えてございます。
 国会決議違反ではないかというお話でございました。いろんな議論はされてございます。きょうの報道でも、先ほど意見もございましたけれども、いろんな議論がされてございますが、いずれにいたしましても、それは国の方で判断すべきというふうなことでございます。そういう影響につきましてですね、きちっと国の方できちっとなぜそうなったのかということも踏まえてですね、示すべきだと考えてございます。

千田委員
 今の国会決議に対する答弁ですけれども、私は県としてもね、農業県、畜産県岩手を本当に守るっていう観点からすれば、そういう弱腰では本当にダメだというふうに思いますので、実は一般質問の答弁で、知事の方がもっと前向きな答弁を私はされていたように思うんですね。ていうのは、「協定の内容や国による必要な対策が示され」、それはいいんですけれども、「国会を中心に十分な国民的議論に付されるように、政府に求めたい」とそういうふうに答弁されているんですね。ですから、岩手県に対しても、農家に対する影響等がすごく懸念されるわけで、そういった点から十分国民的議論するべきだと、そういう表明を知事はされたというふうに私は思っているんですね。ですから、担当部としても、そういう姿勢で私はこれから対応していくべきではないかなというふうに考えるわけですが、これは県の農業どうするかっていう問題になりますので、農業だけではありませんけれども、それについて、部長にお伺いしたいと思います。

小原農林水産部長
 知事が答弁したのは、まさにその通りでございます。いずれまあ、やはりこれは国会決議か否か、国会決議違反か否かと、これは知事も述べておりません。これはこれで様々な意見がございます。ただ、岩手県にとって影響が大きいのはまさにその通りでございます。従いましてですね、まさにこのTPP協定で、本当にこれでいいのかどうかですね、これは国会にしっかりと議論していただきたいのはその通りでございます。本県のみならず、全国知事会もですね、その国の方では、全品目の関税等の結果については発表したんですけれども、依然としてこれは地方経済だとか、国民生活に与える影響っていうのはまだ行われていないと、いうところです。報道によれば11月中という報道もございますけれども、従いまして、政府において速やかな分析ですね、これについては10月26日全国知事会を通じて要望したところでございますが、これについては繰り返し国の方に働きかけてまいります。

千田委員
 いずれですね、今、地方説明会が開催されていますね。その中で、JAはじめ自治体、あるいは団体等から参加をされた方々が、本当に日本を真剣に考えている方々が増えてきたと、先行きを不安視する声が本当に会場では出されているという報道もありました。当局も参加をされていると思いますが、どういう状況だったかお伺いをいたします。

中村企画課長
 全国会議、それから東北会議、それぞれに品目ごと、分野ごとにですね、説明会が開催されたと承知してございますが、再三、会場の中でもですね、影響額等早急に示すべきというふうな話も出てたようでございますが、国の方からは何ら明確な回答が得られていなかったということでございますので、そういうことにつきましては、きちっといろんな機会を通じてですね、強く働きかけてまいりたいと思います。

千田委員
 いずれTPPについては、ぜひ農家を守る、岩手県を守るという立場で頑張っていただきたいなと思っています。

2、米価下落対策について

千田委員
 次の米価下落対策に移りたいと思います。
 昨年の米価は、本当に再生産ができない価格だと嘆いています。特に大規模農家ほど赤字経営となっている現状があります。この農家の現状をどのように把握されているかお伺いいたしますし、担い手農家はたいだい15ヘクタールくらいの方々が多いわけですが、15ヘクタールの農家の減収はどうか。それから集落営農と30ヘクタールぐらいのところが多いわけですが、30ヘクタールの集落営農等の減収はどうなのか、お聞きします。

松岡水田農業課長
 平成26年県産ひとめぼれの26年9月から今年8月までの相対取引の平均価格と国が公表した平成25年産コメの生産費調査により、規模別に試算いたしますと、15ヘクタール規模の経営体の場合、収入額は約1,899万円、生産費は約1,180万円、これを差し引きますと、820万円となります。また、30ヘクタール規模の経営体の場合、収入額は3,799万円、生産費は約2360万円、これを差し引きますと、1439万円となります。昨年との比較をして、減収額を試算いたしますと、15ヘクタール規模の経営体の場合で、およそ315万円の減収、30ヘクタールの経営体の場合、およそ630万円の減収となります。

千田委員
 ありがとうございました。15ヘクタール、担い手農家と言われる方々が315万円の減収だと、それから30ヘクタールで630万円ということでありました。これは生産費の出し方も違うかなと思いますので、生産費をどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。

松岡課長
 すみません。先ほどの答弁で1カ所訂正させてください。15ヘクタール規模の収入試算のところで、収入額から生産費を差し引いた金額、820万円と申しあげましたが、720万円の間違いでした。たいへん失礼しました。それから生産費でございますけれども、国が使って公表いたします生産費には何種類がございまして、そのうち、物財費、労働費を加えた費用合計から、副産物価格を差し引いた生産費を用いて試算しております。都府県の平均で11万4千円となっております。

千田委員
 ちょっと生産費の出し方で、私自身はちょっと違うなと思った部分はありますけれども、しかし本当に頑張っている担い手農家、あるいは集落営農の農家が本当に減収となっているわけなんですね。やはり、それらに対応する手だてが必要だというふうに思います。それで、今後の対応策としてですけれども、今言われるのは、今の生産費の出し方が説明ありましたけれども、農機具代、あるいは肥料代、農薬代だけでも9,666円と言われているんですね。一俵あたり。ですから、今の米価は労賃が全くでないものだと言われています。これでは農業経営は続けることができない。頑張っている方ほど、そのような声が聞こえています。私の近くにおられる担い手の方々も1町歩作って40万円減収だったというふうに言われております。ですから先ほどの生産費が非常に低い額で試算されましたけれども、現状は本当に中山間地を含めたところも、担い手の方々は頑張ってやっているわけですから、これらの頑張っている方々を支援するね、政策が私は求められているのではないかなというふうに一つは思いますので、その対応。
 それから、このままですと耕作放棄地がますます増えてしまうんではないかなというふうに思いますので、それらに対応する抜本的な対策が必要だというふうに考えますので、その点、お伺いをいたします。

工藤技官兼県産米戦略室長
 米価の安定にむけた抜本的な対策ということになりますと、米価の安定を見ますと、今年の動きなんか特に最たるものだと思うんですが、国の役割、これはすごく大きいと、いうふうに思っております。従いまして、国の方でですね、主力用米の計画的な生産、これをしまして、需給の安定を図る、こういう取り組みが必要だと、いうふうに思っております。したがいまして、今後におきましても、こういう状況見まして、国の需給見通し、そして需要の実績、販売在庫などの情報を明らかにしていくこととともに、これに即した生産が着実に行われるような、そういうような助言を国としていく、というふうなことにおきまして、需給の安定が図られること、これを期待しているところでございます。その上で、農業者の方々が経営安定対策に加入すると、こういう経営安定対策とのセットでやっていただくことが重要だというふうに考えております。

千田委員
 コメの問題で言えば、国の役割が重要なのはその通りです。ただ、国に対してどう農家の声を届けていくかという点では、本当に中山間地帯がたくさんある岩手県としても、もっともっとやっぱり農家の現状を上に示していくことが必要ではないかというふうに思います。それで、ナラシ対策なんですが、今年度から本当に認定農業者とか絞られるわけですけれども、どれだけの農家に絞られてしまうのか、それから今後の県の対応として、この間、様々オリジナル品種の開発とかそれらは非常に大事ではありますけれども、やはり抜本的な対応が私は必要ではないかというふうに思いますので、その点、お伺いいたします。

松岡課長
 まず、ナラシ対策についてでございます。本県における27年産のナラシ対策の加入申請状況は、件数で前年に比べ174%の3,602件に増えております。面積は主食用水稲作付面積48,100ヘクタールの49%にあたる23,653ヘクタールとなっております。今後も経営の安定にむけ、引き続き集落営農への参加や、農地集積の推進、認定農業者への誘導により、対策への加入を促進してまいりたいと思います。
 それと合わせて、そのほかの対策も必要ではないかというところで。すみません。昨年の米価下落の対策、米価下落と30年産からのコメ政策の見直しに対応できるよう平成27年2月に農業団体と連携いたしまして、岩手のおいしいおコメ生産販売戦略を策定したところでございます。この戦略にもとづきまして、直播栽培等の導入による労働費の低減を進めるとともに、地域の農業者に対しましては、鶏糞の活用などを啓発するチラシを作成・配布することなどにより、資材費の低減を進めているところでございます。引き続き、一層の生産コストの低減が図られるよう、進めてまいりたいと思います。

千田委員
 先ほど耕作放棄地が増えてしまうんではないかなというお話をいたしました。やはり今、農家の現状は高齢化して、それから後継者がいないコメ生産農家も多いわけですけれども、こういう農家が「もう農業やめてしまっていいのだろう」と言わんばかりの農業になっているわけですが、これで本当に日本のコメの生産基盤を守るっていう点からすれば非常に後退しかねない現状でもあるかなと、私は危惧します。ま、そういった点で担い手農家、大規模な農家も、育成していくこと必要ですけれども、小さな農家の、やってもらう、そういう農業でなければ自給率も上げることはできないんじゃないかなというふうに思います。で、私はそういうためにも価格保障、あるいは所得補償っていう制度がきちんと作っていく。これが必要でないかと思いますが、その点、お伺いをいたします。

松岡課長
 耕作放棄地が増えるのではないかというご危惧が、懸念があるということでございます。その通りでございます。コメの需要が減る中で、やはり需要に応じたコメの生産をしていただくということとあわせて、国の助成制度を最大限に活用しながら、園芸品目への誘導とか、飼料作物、ホールクロップサイレージ用稲など、助成を受けながら、コメ以外の作目への転換も進めてまいりたいと考えております。

千田委員
 確かに園芸とか他品目への誘導は結構なんですけれども、TPPの中で、野菜等もね100品目以上が関税撤廃になるとか、全然保証がないわけですよね。そういう中でコメから他の品目を誘導したからと言って、本当に農家がやっていけるかっていう大きな岐路にたっているわけです。ですから、本当に今の耕作地を守って、農業を続けられる、そういう県にしていくっていう、私は対策が根本的な対策が求められているんではないかな、というふうに思いますので、その点、部長に伺って終わりたいと思います。

小原農林水産部長
 コメに関しては、全国的なコメの需要の減少と、さらに人口の減少に伴って、コメ自体がなかなか、という状況にございます。一方、野菜については、まだまだ需要がありますし、TPPの場合でも、より鮮度なり、一応太刀打ちできるというふうに考えてございます。しかしながらですね、岩手県としてはいずれコメの主産地として今後維持できるように、しっかり進めてまいりたいと思いますし、あとは大規模農家は集約化なり、いわゆる強い農業でいいんですが、本県の8割はやっぱり中山間地域でございますので、そこはなかなか圃場整備も進まないといったようなことで、集積も進まないというようなところにございますので、今回9月で新たな県単助成措置も講じたところでございますが、今後とも岩手県全体が農業がよくなるようにつとめてまいります。