2015年10月30日 決算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)


・住宅再建の基本方針と現状について

【斉藤委員】
 平成25年9月推計で、岩手県住宅復興の基本方針では、災害公営住宅が約6100戸、持ち家再建が約10000〜11000戸、持ち家の補修が約3000〜3500戸、賃貸住宅が約3000〜3500戸となっていたが、現状の進捗状況と計画戸数はどうなっているか。

【建築住宅課総括課長】
 今年9月末時点で推計すると、災害公営住宅は約5800戸、持ち家の新規取得が約10000〜11000戸、持ち家の補修が約3000〜3500戸、賃貸住宅が約3000〜3500戸、全体を約22000〜24000戸と見込んでいる。
 進捗状況は、9月末現在で、災害公営住宅は2200戸が完成し、被災者生活再建支援金加算金の申請状況から、持ち家の新規取得は6588件、持ち家の補修は2978件、賃貸住宅は672件、合計12438件となっている。

【斉藤委員】
 災害公営住宅は被災者の意向を何度も確認しているので若干減った部分もあるが、あとはあまり変わりはないと。
 持ち家再建について、まちづくりの防集・区画整理・漁集で8083区画整備される。8月末で1417区画が完成しており、これから6666区画整備される。10000〜11000ということになると、すでに6588戸は自宅再建している。すると残り3500〜4500戸である。そしたら、まちづくりで整備した区画が余るということにならないか。ここの整合性はどうなるのか。防集にしても区画整理にしても余ったら大変である。そういう意味で、この方針が現状で妥当なのか。
 賃貸は、かい離が大きかった。3000〜3500件の計画だが実際は672件である。4年7ヶ月経過して、かい離が大きすぎるのではないか。この妥当性をどう見ているか。

【建築住宅課総括課長】
 区画と想定戸数とのかい離については、想定戸数はある一定の推計で行っており、災害公営住宅以外の部分については、統計等の数値からざっくりとした推計を行っているものである。面整備などの区画数については、土地区画整理事業では、それはその住宅として使われるか、それ以外の用途で使われるかといったことは考慮せずに、一定の割合で区画数を考えているので、その辺が推計との差として出てきているのではないかと思う。
 賃貸住宅は差が一番大きくなっているが、あくまでも推計であるということと、みなし仮設住宅が終わるタイミングでそのまま住む方がそれなりの数出てくると思う。その際に、賃貸住宅の加算支援金を受け取る方が出てくるのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 災害公営住宅は何度も被災者の意向を確かめてやっている。防集でも区画整理も、何度も意向確認して8083区画整備するとなっている。だから、すでに6580が自立再建して、本当にこの計画だったら3500〜4500戸ぐらいしか見通しがないのだから、これもきちんと見直していかないといけない。整備したが余ったということにはならないと思うので。
 計画というのは、これだけかい離していたら、実態に合わなかったら見直していくということも必要ではないか。

【県土整備部長】
 住宅復興の基本方針で示した各住宅再建の手法の戸数については、復興の進展にともない、データを直接とれるものもあれば、支援金等のデータから推測することもできるので、必要に応じて見直していきたいと思うが、防集については、基本的に住居系の高台移転であるので、戸数と1対1の関係と考えていいと思うが、区画整理事業については設定したエリアの中で仮換地していくということであるので、住居ではない部分も相当入って戸数が設定されるということになると思うので、そこの関連は非常に難しい話だと思うので、事業主体の市町村とよく相談していきたい。

【斉藤委員】
 区画整理事業で穴が開いたらまちづくりにならないので。建てるのか建てないのか、またはその土地を売りたいのか。大槌では、区画整理で家を建てる気がない人のところを買い上げて、災害公営住宅を町中に整備するということをしている。それがまちづくりである。おそらく市町村はもっと吟味していると思うので、きちんとそこの整合性を図っていく必要がある。

・災害公営住宅の整備について

【斉藤委員】
 計画戸数が、8月末の資料では5876戸、9月末では5766戸と1ヶ月で110戸も減少した。これはどういう被災者の意向調査の結果そうなっているのか。災害公営住宅というのはどんどん減る傾向にあるのか。かなり市町村が吟味して災害公営住宅の建設戸数を見ていると思うがいかがか。

【建築住宅課総括課長】
 災害公営住宅の整備戸数や建設場所等の徹底にあたっては、市町村が行った意向調査を基に検討しており、最新の意向調査の結果を踏まえて整備戸数の変更等も行ってきた。
 8月末から9月末にかけて110戸減ったのは、陸前高田市の今泉地区・長部地区などで計105戸、大槌町の安渡地区で5戸それぞれ減ったことによるものであり、いずれも最新の意向調査や入居希望の状況を踏まえて整備戸数を見直した。

【斉藤委員】
 岩手日報の調べで、まだどうするか決めていない人が500〜600人いるということで、これも幅のある話だと思う。自立再建か災害公営住宅が決め切れない状況が被災地にあり、内陸に避難している方々にもあると思う。
 木造災害公営住宅の整備戸数はこの間増加しており大変良いことだと思う。直近の整備戸数、戸建て・長屋の戸数、増加要因は何か。用地等の条件があれば、さらに木造の戸建て・長屋の災害公営住宅を増やすべきだと思うがいかがか。

【建築住宅課総括課長】
 今年9月末時点で1355戸の木造災害公営住宅が整備され、戸建ては941戸で長屋は414戸となっている。
 昨年6月末時点のロードマップでは972戸だったが、増加した要因としては、構造が未定だった地区において木造で建てることが決まったこと、木造以外で建てる予定だった地区において、意向調査を踏まえて木造に変更したことがあげられる。現在、ほとんどの地区で用地整備戸数・構造など決まっているが、今後も、用地に余裕があるなどの条件があえば木造災害公営住宅の整備を検討していく。

【斉藤委員】
 被災者の方々8割以上が持ち家で、大きな家で2世帯3世帯が当たり前という生活をしていたので、最大限被災前と同じような住居条件で、条件があれば大いに木造災害公営住宅を増やしていただきたい。
 県管理の災害公営住宅では、指定管理者において一人暮らし高齢者への訪問等を行う専門職員の配置をしていると。何人配置され、何人の一人暮らし高齢者を訪問しているか。災害公営住宅入居者で、一人暮らし高齢者、高齢者世帯がどれだけなのか。
 県管理の災害公営住宅の場合、集会所、支援員の事務室は活用されているか。

【建築住宅課総括課長】
 県営の災害公営住宅の高齢者世帯については、指定管理者が行う高齢者への訪問は、3名の専門職員が行っており、33世帯を対象にしている。災害公営住宅の単身高齢者は、9月末で76世帯・31.4%、高齢者世帯は122世帯・44.8%である。
 県営の災害公営住宅の集会所等の活用状況だが、入居が始まって間もない団地においては、集会所が使用されない傾向にあるが、時間を経てコミュニティが形成されてくると活用が進み、釜石市の平田団地や山田町の豊間根団地では、週1回から2回程度使用されていると聞いている。支援員の事務室については、今月中には事務机や書棚の設置が完了するので、今後、管理人や支援員等による使用が進むものと期待している。

【斉藤委員】
 やっと集会所や事務室に最低限の机やイスなどが設置されるということなので、本当にこれを軸にして、災害公営住宅のコミュニティの確立に全力をあげていただきたい。
 県営の災害公営住宅の場合は、少ないが3人の専門職員が見守りをしているということで、ぜひこの拡充を求めたい。
 すでに入居が始まっているところでも空き室があり、高齢者世帯が44.8%を占めている中で、5年10年経ったら空き室になりかねない。こうした空き室は、本来の市営住宅として転用して活用できるのか。最初から空き室の場合と、入居者がいた場合と想定されるが。

【建築住宅課総括課長】
 災害公営住宅で被災者の方が退去されて空き室になったもの、当初から空き室だったもの、これはいずれも県営の公営住宅として管理することができる。制度上は、東日本大震災の発災から3年を経過すると、そういう使用が可能となっているので、現時点でも制度上は可能となっている。ただ、現在災害公営住宅を建設している途中なので、建設しながら、一方では被災者を入れずに一般の低所得者を入れたりすると、いま建てているものがムダではないかという指摘を受けるので、災害公営住宅の整備需要がある程度終わる時期になってから、通常の県営住宅に切り替えたい。

【斉藤委員】
 災害公営住宅で遅れているのは、区画整理の中につくる災害公営住宅である。ある意味でいくと、町場の災害公営住宅が一番遅れるということになるので、そこが減らされることになったら被災者の希望にも合わないので、上手くやっていただきたい。

・被災者の自立再建について

【斉藤委員】
 区画整理・防集における整備区画数と、完了箇所における住宅再建の状況はどうなっているか。今後の住宅再建整備予定数はどうなっているか。
 9月末で、被災者生活再建支援金受給者のうち、6588件が住宅を建設購入となっているが、地元の業者の建設戸数、岩手県地域型復興住宅の建設戸数はどうなっているか。

【建築住宅課総括課長】
 完了箇所において実際どれだけの住宅が建っているかについては、具体的な数字を把握していないが、区画整理・防集の整備区画数は全体で7615区画を計画し、8月時点で1226区画の供給が完了しており、今後6389区画が供給される予定となっている。
 加算支援金建設購入の受給者が、どの建設会社で住宅を再建したのかは把握していないため、地元の建設業者による建設戸数は不明である。地域型復興住宅推進協議会の生産者グループによる建設戸数は、同協議会事務局の推計によれば、26年度末までで、1777戸となっている。

【斉藤委員】
 防集はだいたいのところで目途がついたと。今年度中には整備されると思う。区画整理が少し遅れるが、自立再建は本当にこれからが本番である。このときに、資材高や消費税も影響してくる。地域型復興住宅は1777戸だが、6588戸の27%弱である。それなりに健闘していると思うが、7割以上は大手ハウスメーカーなんだと思う。私がだいたい聞く範囲では、坪70〜80万円、100万円という話も出るぐらいなので、この住宅再建をしっかり支援していくことが必要ではないか。7割以上は大手ハウスメーカーが建設していると思うので、こういう実態も把握していく必要があるのではないか。そして住宅再建にたいする支援も、さらなる支援を検討すべきではないか。

【建築住宅課総括課長】
 大手ハウスメーカーによる住宅再建については、被災された方がどの建設会社で住宅を再建したのかは把握していないので、その代わりに、住宅着工統計によると、26年度の県全体の持ち家着工戸数は4333戸であり、うち大手ハウスメーカーのみが使っているプレハブ工法によるものは242戸ということで5.5%だった。さきほど加算支援金の受給者6588件のうち生産者グループが1777件、それ以外は全部大手ハウスメーカーではないかということだったが、大手ハウスメーカーもあるが、県内の中堅のディベロッパーだとか、中古住宅を購入された方も含まれているので、実際の比率としてはもう少し高いものになっていると思う。
 住宅再建支援だが、県ではこれまでもマッチングサポート制度だとか、無料の宿舎貸与により、できるだけ安価に被災者の方々が住宅再建できるような取り組みを進めてきたが、これからも地域型復興住宅推進協議会の活動を支援しながら取り組みを続けていきたい。

【斉藤委員】
 7割以上と言ったのは、被災地の実態を踏まえて、地元の建設業者の受け止めはだいたいそういう認識である。大手ハウスメーカーは、全世帯に何度もダイレクトメールを送ったり営業活動が全然違う。7割以上は大手ハウスメーカーと見るのが妥当だと思う。
 それで、大いに岩手の大工さん、建設業者に頑張ってもらいたい。新聞報道では、全建総連だとか全国の中小の建設業者と連携して、そういう体制をつくるということもあったので、その取り組みはどうなっているか。

【建築住宅課総括課長】
 岩手県のマッチングサポート制度は、去年6月から行っているが、これから住宅再建のピークを迎えるにあたり、岩手県内の職人だけでは手が足りなくなるだろうということで、全建総連やJBMと協議してきて、もし県内で職人が足りないときには、声をかけてくれれば登録されている職人を県外から派遣するという約束をいただき、今月からその拡大版のマッチングサポートを開始した。