2015年12月9日 商工文教委員会
高校再編、いじめ対策に関する質疑(大要)
・高校再編について
【斉藤委員】
基本方針の「原則として4ないし6学級程度」というのは、岩手の高校の実態に合わないと思う。一般質問でも高田県議が質問したが、この基準に合わない学校は43%もある。そうなると半分近くが統廃合の対象になってしまう。
1学級の高校、2学級の高校、3学級の高校はそれぞれ何校あるか。
【高校改革課長】
1学級校が4校、2学級校が13校、3学級校が10校である。
【斉藤委員】
43%が望ましい学校規模ではないということ自身が大変実態に合わない基本方針になったと思う。
議会では、「地域と連携した魅力ある学校づくり」「再編の計画の方向性について、生徒数の減少に対応するための望ましい学校規模の確保と適切な配置」「広大な県土等の地理的条件を考慮した教育の機会の保障」と。ハクセル議員の質問の答弁で、「近隣高校への通学が極端に困難な地域の高校などについては、特例として、1学級であっても一定の生徒数を維持できる限りは存続させていくことも含めて、全県において教育の機会が保障されるよう高校の配置やそのあり方について検討を進めていく」と。
この3つの基本が計画の方向性か。1学級規模の高校についても、こういう考え方で検討するということで改めて確認したい。
【高校改革課長】
計画の方向性だが、ご指摘の通り、現在検討している内容としては、当然生徒数に対応するための望ましい学校規模の確保と適切な配置という部分もあるが、一方で広大な県土の地理的条件を考慮した教育の機会の保障は当然考えていかなければならない。教育の質の保障、機会の保障という部分はどちらも考慮した上で考えていかなければならない。また、地域と連携した魅力ある学校づくりという部分も市町村と連携した上で進めていかなければならないという方向性で考えている。
【斉藤委員】
基本的な計画の方向性としては良いと思うが、1学級の問題について、「極端に通学が困難な地域の高校」と。これは何校あるのか。
【高校改革課長】
通学が困難な地域という部分で考えているところだが、地域検討会議等でも説明させていただいたが、今年の7月に中学生アンケートをとらせていただいた際に、通学時間をどのように考えているのかという質問をさせていただいたときに、「60分を許容する」と考えていた生徒が7割、「90分」が約2割という回答をいただいたこと、いま小中で統合等の関係でのガイドライン的な部分で、通学時間が「60分」ということを示されているということがあるので、高校においては若干長めに見れる部分もあるのかなと思っているが、そういったこと、そしてそれぞれの地域の公共交通機関の状況を見ながら、この通学が困難な地域というものを考えていかなければならない。
【斉藤委員】
どこからどこまで60分、90分かということである。60分だったら車でどの高校にも行ける。少し抽象的なので、だいたい今の高校に通うのに何十分もかかっている生徒がいる。どの起点から60分と考えるのか。
【高校改革課長】
地域検討会議のときに示した資料では、それぞれの鉄道等がある場合には、そういったところの時間がいくらになるのか、バスで移動した場合にはどのぐらいかかるのかということで、高校がある場所までの時間を参考として示したところだが、当然そこよりも奥から通われている方々も当然いるので、自宅からどのような形で、主に公共交通機関等を使って通学されるということになると思うが、そのようなことで考えていかなければならないと思っている。
【斉藤委員】
公共交通機関自身がいま不十分で、すべての高校生が公共交通機関を使って通学できている状況ではないことも率直に指摘しておきたい。最大限、地域に必要な高校は地域の要望に基づいて存続させるということも真剣に考えていただきたい。
この間、県教委は丁寧に議論を進めてきたと思う。問題はこれからで、年内に具体的な再編計画を示し、年度内に決めると。いわば、具体的に高校再編計画が示されてから、本格的な議論が始まる。今までは抽象論である。自分の高校がどうなるか分からないのだから。年内に皆さんが具体的に統廃合計画を示したときに、自分たちの高校はどうなるか初めて知り、そこから本格的な真剣な議論が始まる。ところが、年内に計画を示して、年度内には決めるというのでは、今まで丁寧にやってきたのに最後は一気呵成となってしまう。これからこそ、本当に丁寧な、徹底した、多くの地域の関係者が納得するような計画にしていかなくてはならない。年度内に決めるというスケジュールでやれば難しいのではないか。
【高校改革課長】
まずは再編計画案を今月中の公表に向けて、現在具体の検討を進めている。計画案を公表後は、来年1月から2月にかけてパブコメを行い、その一環として地域代表を対象とする地域検討会議、そして県民を対象とする説明会を県内9ブロックで開催するとともに、要請による出前説明会も開催するなど、これまでと同様に丁寧に意見をうかがっていくものである。その後、寄せられた意見の対応について、慎重に検討の上、来年3月中を目標に再編計画の策定を進めていくこととしている。
ただし、パブコメや議論の状況という部分では、意見交換をさらに重ねていくものであり、現時点では年度内の策定に向けて努力していきたい。
【斉藤委員】
具体的な再編案を示してからこそ、本格的で真剣な議論が始まるし、地域や住民の理解と納得が必要だと。そこを今まで以上に丁寧にやっていただきたい。
【教育長】
基本的な考え方を4月に公表させていただいたが、その際にも地域のご意見をおうかがいしたと。これまでの高校再編の中でさまざま議論があり、その中では、計画案を出すのが拙速だという話もあった。そういうことも踏まえつつ、また、ふるさと創生に全市町村が取り組むという中で、やはりこれは丁寧なご意見をうかがった上で、そういうご意見を十分に踏まえつつ、そして教育の質の保障という観点も含め、総合的に望ましい計画案を出したいということで、丁寧な意見交換等をしてきたということで、できるだけ県民の皆さんのご意見に沿った形での計画案の策定に向けて鋭意努力している。その上で、年度内を目途に計画を決定したいと現在考えている。
【斉藤委員】
これからがまさに本番というつもりで、丁寧にやっていただきたい。
・いじめ問題について
【斉藤委員】
岩手県いじめ問題対策連絡協議会第1回が開催されたが、どういう議論がされたか。
矢巾町のいじめ自殺事件で、当該校、町教委、第三者委員会の取り組み状況はどうなっているか。
【生徒指導課長】
12月2日に協議会が開催され、内容としては、事務局より、いじめ防止等に関わる三条例に基づく対応、26年度の問題行動等調査・いじめ調査の県内の状況、矢巾町の重大事案にかかる当該校・矢巾町教委・県教委の対応等について説明を行い、委員の方々の情報共有を図った。その後各委員から、いじめ問題に関する意見および各団体・機関の取り組みの紹介等があり、その一部を紹介すると、「子どもたちは成長の過程でしばしば人間関係上のトラブルを起こすことがある。このような中で、本当に防ぎたいのは自死であり、本当に守りたいのは人権だということを確認したい」、「学校において、多くの臨床心理士がスクールカウンセラーとして勤務している。子どもとの面談において丁寧に聞き取り、どのように学校と情報を共有していくかが課題だと考える。子どもの信号を一番早くキャッチできるのは保護者であり、保護者と教職員の距離を縮めて、心を一つにして取り組んでいきたい」という意見等があがっている。今後については、この記録を整理し、市町村教委や学校に提供し、いじめ問題の対策に生かしていきたい。
矢巾町の第三者委員会については、6人の委員で構成しており、9月7日に第1回目の委員会が行われ、12月3日までに7回行われている。現段階では、全校生徒や保護者、教職員へのアンケート等も行い、今その集約をし、今後聞き取り等に入ると聞いている。
【斉藤委員】
連絡協議会の議論の中でも、被害者と合わせて加害者の対策が必要だという意見もあったと聞いているが、その通りだと思う。やはり被害者を優先的に守るというのは緊急課題だが、合わせて加害者の問題を解決しないと本当に解決しない。当該校でもなかなか複雑だと聞いている。そういう点でいけば、加害者に対するさまざまな支援も含めて、当該校で最近は生徒会の集会なども開催されている。町教委としてどんな取り組みをしているか。
【生徒指導課長】
当該校では、2学期を迎えるにあたり、さまざまな職員会議も含めて職員間での情報共有等も図りながら、スタートをしっかり切れるようにというところで、取り組んでいる。ご指摘の通り、いじめ撲滅のための集会というものを1学期末に生徒の有志から出て、8月28日に行っている。その集会を受けて、生徒会等で検討した結果、12月2日の生徒総会で新たな合言葉が発表された。
いじめの当事者に関わる対応についても、大変重要な役割だということは認識しており、いじめの当事者に関わる対応についても当該校で行っている。