2016年1月13日 商工文教委員会
高校再編計画に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 高校生をめぐる現状について。3ページのところで、「中途退学や不登校、障がい等により特別な支援を必要とする等のさまざまな課題を抱えている生徒が多く在籍しており、そのような生徒に対しての早期発見や適切な指導・支援体制の充実が求められている」と。これは基本方針の検討委員会でもかなり議論された問題だと受け止めているが、支援が必要となる高校生の現状はどうなっていて、今度の計画ではどのように具体化されたのか。
 高校卒業後の進路で、高校卒業後の就職者のおおむね4割が3年以内に離職する実態もあると。最近商工労働部を通じて聞いたら、3年後の離職は47.6%だった。約4割というのは過小評価ではないか。これもきわめて深刻な問題である。専門高校の卒業生、普通高校の卒業生それぞれの離職状況を県教委は分析しているのか。そういう対策をこの高校再編では検討したのか。

【高校教育課長】
 特別な支援を要する生徒の実態については、毎年調査をしており、高校においては、医師の診断がある者、学校で判断した者を含めて、27年度は公立981名・3.41%となっている。この割合についてはほぼ3%台で推移している。そういった生徒についての支援について、再編計画でも取り上げてはいるが、それと並行してと言いますか、いわて特別支援教育かがやきプラン推進事業において、支援員の配置をしており、27年度は30校に32名配置している。わずかながらではあるが、年々増加している。また24年度までに全県立高校において、教員全員に特別支援教育について校内研修を行ってきた。そこで一旦24年度で終わり、27年度から新たに研修を再開している。27年度においては4校で研修をした。そういったことを通して、特別支援教育に対する教員の理解・充実を推進しながら、教員の力量も高めていきたい。
 離職率については、3年以内の離職割合が47%というご指摘だったが、従来は「七五三」と言われており、中卒の3年以内の離職割合が7割、高卒が5割、大卒が3割と言われていたが、さまざまな取り組みにより4割台にまで改善しているととらえている。その点については、さまざまな社会的な雇用環境の情勢があり、経済的には好転してきており、求人の割合も増えてはいるが、まだまだ雇用環境や待遇面、卒業生の働く意識といったさまざまな要因から、離職率を減らすことについては、さまざまな取り組みが必要と考えている。学校教育においては、キャリア教育や職業教育を通じて、働く意識や職業の理解を深めていく中で離職を防ぐことができるような検討を進めていくことを考えている。

【斉藤委員】
 特別な支援が必要な高校生が981人3.41%というのは高校の規模でいったら2校3校分である。こういう生徒にたいしてどういう対応が必要なのか、高校のあり方が問われる問題である。検討委員会であれだけ議論されたのだから、もっと踏み込んで、そういうことも含めた計画でなければならない。
 離職率が47.3%なのに「改善している」という認識はおかしい。私が聞いたのは、専門高校と普通高校の卒業生で、専門高校の定着率が高いのではないかという意味で聞いた。就職指導のあり方、このことも問われる。3年以内の離職が5割近いのは深刻な問題である。高校教育の課題もあるし、企業の側の問題もある。就職指導の問題としてもかなり踏み込んでやらないと、高校生の希望に応えた教育にならない。この点は不十分なので、最初に指摘しておきたい。
 今度計画の基本問題だが、望ましい学校規模が「4ないし6学級」と言いながら、学校の存続規模は1学年2学級だと。そして1学級の高校も今回は存続すると。どこに本音があるのか分からない。矛盾に満ちていて整合性がない。望ましい学校規模が4ないし6と指定することに無理がある。地域によっては、3学級が適切な規模の学校もあると思う。2学級でも残さなくてはならない学校もあると思う。しかし、望ましい学校規模が4ないし6とすると、3学級以下は望ましくないということになる。そうすると、3学級以下というのは、これからずっと統廃合の対象になるという位置づけである。やはりこの規定は実態に合わないし、今度の計画からいっても整合性がないものになっている。これは見直すべきである。2学級も1学級も残すというのなら、必要性があるから残すのではないか。望ましい学校規模が4ないし6というのは、実態にも今度の計画案にも合わない、整合性のないものになっているのではないか。

【高校改革課長】
 今回の再編計画では、基本的な考え方という中でも入れているが、生徒が減少する中でも望ましい学校規模を確保することにより適切な配置―ということで、教育の質の確保ということも当然考えていかなければならないが、広大な県土の地理的条件ということを考えると、教育の機会の保障という視点も十分考えていかなければならないということで、どちらも追及しようとするとなかなか難しいのではないかという点でのご意見かとは思うが、そこのバランスをどのようにとって岩手県の学びを実現していくのかということで、地域検討会議等でもさまざまなご意見をいただきながら、そういった中で地域における学校の必要性ということも配慮し、小規模な学校に通いたいという生徒の学ぶ機会ということを保障することも落としてはいけない観点だということで、どちらも配慮しながら高校のあり方を考えていくという視点で示したところである。

【斉藤委員】
 私が言っているのは、望ましい学校規模が4ないし6学級と大原則になっていて、学校規模が1学年2学級でも残すと。今回は1学級の学校も残すとなっている。必要があるから残している。だとしたらその大原則の整合性がない。4ないし6学級というのは、例えば大学進学をめざす普通高校や、教員配置の基準からみて必要な基準になる。地域にとって必要な基準ではない。地域にとって必要な基準というのは多様にあると思う。そういう点はきちんと整合性を持たせるべきではないか。小規模校でも必要なのは地域に必要な学校である。そういう位置づけが整合性を持って提起されるべきではないか。教育の質の確保と教育の機会の保障はその通りだが、ここに書かれている中身はバラバラである。あくまでも4ないし6学級が望ましい学校規模の大原則になっていて、あとは例外規定になっている。例外規定ではないだろうと。3学級も2学級の高校も必要があったら残すという意味で、ぜひ整合性について考えていただきたい。地域に多様な高校がある。それを1つの基準で割り切るのは無理がある。どういう意味で望ましいのかということを書くのであれば、限定して書かなければいけない。一番ネックになるのは教員配置基準である。
 具体的な統合案について。久慈東と久慈工については、野田村長が12月28日に「納得できない」と、震災復興にいま取り組んでいる最中に、これから地元の高校についても対応策を考えたいというときに統合が出されたと。地元の高校を守る努力の期間がほしいという要望だった。大変重い要望だと思うが、野田村長の申し入れの内容と受け止めについて教育長にお聞きしたい。

【教育長】
 野田村長が私に申し入れを行ったと。さまざまなご意見をいただいたが、特に大きなものとしては、久慈東と久慈工を統合することについて、自分たちが今後久慈工を盛りたてていくことをさまざま考えている中で再編と、自分たちの努力を見る期間をぜひともほしいというお話があった。
 今回の両校の統合については、全体的に卒業生が減少する中で、機能を維持する観点を踏まえつつ、戦略的な統合だということでご理解いただきたいと思っているが、今回いただいた村長のご意見も含め、また地域でさまざまなご意見をうかがっていく。統合の時期等の話もあり、さまざまなご意見が出てくると思うので、それらも踏まえつつ、最終的な成案に向けて検討していきたい。

【斉藤委員】
 野田村長の申し入れは大変重いものがある。とりわけ、震災復興に全力をあげ、復興が道半ばのときに、地元と思っている高校が統合されるのは、水を差すという受け止めにならざるを得ない。復興のことを考えたら、この点は十分考慮して、地元のさまざまな努力を保障する、そういうチャンスを与えることが必要ではないか。
 この間、それぞれの教育長や学校長から聞き取り調査を行った。久慈工については、いま2学科で電子機械と建設環境、今年度の入学は49人だが、実際に学んでいる学科は4学科である。電子・機械・建設・環境と。環境というのは土木で、沿岸で土木があるのは久慈工だけである。もう1つは、久慈ブロック全体で工業科というのは、種市の海洋開発はあるがあれは特殊なので、そうすると久慈工しかない。久慈ブロック全体で専門教育を受けたいと考えれば、やはり2学級を確保するということも、ブロック全体で考えたら必要なことではないか。そういう点は検討されたのか。

【高校改革課長】
 検討の中では、ブロック内の部分については、中学校卒業予定者と募集定員の差という部分、そして普通科と総合学科、専門学科の状況ということ等も勘案しながら、今後5年間の入学者推計でおおむね20人以上の欠員が生じること等を考えあわせて計画に盛り込んでいるところであり、久慈ブロックということでいくと、現状で中学校卒業予定者よりも募集定員が80人近く多いという状況等もあるので、そこからまた100人近く減っていくということ等も考え合わせていくと、地域にとって必要な学科というところではあるが、いかんせん生徒数がなかなか少なくなってしまうということ等も考え合わせ、その中で専門学科の選択肢を確保していくためにということでの統合による校舎制ということで専門性を確保できるような形で学科を残す方向ということを今回提案させていただいているので、そういったところも十分理解が得られるよう説明した上で、最終的な検討に進んでいければと考えている。

【斉藤委員】
 久慈工と久慈東については、野田村長の申し入れもあった。工業科というのは普通科と違うので、ブロック全体で考えていく必要がある。やはり専門高校の2学科・2学級規模というのは必要ではないかと思っている。実際には2学科だが学んでいるのは4学科なので、そういう自分が学びたい学科を学ぶ保障は考えているか。

【高校改革課長】
 このままの状況でいくと、1学科にするといった場合に、そうしたコース等の対応ということができるのかというところは、規模が小さくなるとなかなか難しくなる部分ではあるので、その学科のあり方という部分については、より精査していかなければならないが、総合学科という部分になると教員配置する中で、約半数近くが専門学科の教員という特殊性もあるので、そういったことも十分配慮しながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 遠野と遠野緑峰の統合について。資料を見ると、遠野緑峰は入学者の推計で見ると、平成33年以降も2学級規模を確保できる推計である。なぜ統合するのか。特別の要望が地元からあったのか。入学者の推計から見たら、遠野緑峰というのは2学級規模で存続できる見通しが10年間たっているが、なぜ統合の対象にしたのか。

【高校改革課長】
 遠野市の中学校卒業者で見た場合に、27年には241人ということだが、32年になると39人減という状況が想定されている。そうすると、現在遠野で4学級、遠野緑峰で2学級ということで遠野市で6学級の維持をしていくのが困難になるということで、その中で遠野の普通科なのか緑峰の農なのか商なのかというところを見ていった場合に、これまでの志願者の状況というところで見た場合に、商業の学科というところが欠員があるというところと、遠野における農業の重要性を考えて、遠野における専門学科として農業を残すということでの校舎制という提案をさせていただいた。

【斉藤委員】
 あなた方の推計からいっても無理があると思う。平成32年で遠野は推計入学者128名、これはギリギリ4学級規模、遠野緑峰は49人、その後55人まで増える時期もあり2学級で5年間は維持できる。後期で出されるのなら根拠あるかもしれないが、前期の5年の間に無理やり統合する理由はないのではないか。地元からそういう要望があるのなら別だが。根拠からいって無理な統合ではないか。
 宮古商と宮古工については、地元の要望があったと。地元の要望がどういう形で出たのか。

【高校改革課長】
 地域検討会議をこれまで3回行ったところだが、市町村の首長・教育長・PTA・産業関係者の方々が出席いただいた会議の中で、宮古地区の方向性ということで、宮古市内の再編という部分が避けられないだろうということ、そして山田や岩泉というように市町村に1校ある高校のあり方という部分は別に考えていかなければならないだろうということでのご意見があり、その中で検討していく中で、宮古市内について普通科の部分、専門学科の部分を再編していかなければならないという中で、皆さんから校舎制というものはどのようなことかといったこと、すでに統合している事例でのメリット・デメリットについて、他の地区にないような形での議論をいただいたこともあり、このような形で載せさせていただいた。

【斉藤委員】
 地元の要望というのは重視しなければならない。その根拠を後でいいのできちんと提供していただきたい。宮古工というのは、この5年以内で工業科2学科、商業科3学科で、存続する気になれば残せる学校である。それを統合するというのであれば、それだけの地元の要望や合意が必要だと思うので、丁寧にやっていただきたい。
 もう1つ今回の計画で大事なのは、1学級規模の高校も残すという風にしたのは1つの決断で評価したい。同時に学級減で対応するというのが特徴である。だから、いま2学級だが5年後には1学級にするという高校も少なくない。特に葛巻の方々は、学級減の計画が出されたことに大変な衝撃を受けている。今まで2学級を守るというので、だいたい年間1000万円をかけて交通費の支援など町は取り組んでいる。どういう不安かというと、1学級になったら、進学と就職それぞれの指導ができなくなる、教員も減らされると。そうすると学校の機能というのは2学級と1学級で大きく変わる。高校の存続が危ぶまれるのが1学級規模である。そういう点で、葛巻は何としても2学級規模で維持するという気概で、教育長や校長からもお話を聞いた。2学級規模で維持できれば、学級減は見直すということは可能か。

【高校改革課長】
 再編計画の学級減の計画だが、期間中の中学校卒業予定者の状況を踏まえて計画させていただいている。葛巻の場合でいくと、30名、31名ということもあるが、27年度から始めた山村留学の取り組みなどもそれに向けてやられていると考えている。現状で中学校卒業予定者の推移で見ていくと、40人を割り込んでいくことは想定されるため、1学級にせざるを得ない部分があると考えている。当然1学級校では、きめ細やかな指導ができるということはあるが、チームティーチングや習熟度別の学習というところは継続してやっていきながら、それに加え多様な進路への対応ということで、さまざまな課外の対応といったところで地域との連携というところも検討していければと考えている。

【斉藤委員】
 葛巻が頑張って2学級規模、40人以上の生徒が確保できると言った場合に、学級減の計画は見直すべきではないのかと聞いた。山村留学は今年1名、来年度は3名である。壱岐島などはかなりの規模で留学制度で成果をあげている。そういう新しい努力をしてるし、近隣からもできるだけ生徒を集めたいという大変な努力を葛巻はしている。生徒減少は事実だが、地元の高校を維持したいというのが葛巻の熱意である。2学級規模を維持できる見通しがあれば学級減は見直すことは可能か。
 1学級になった場合に、教員の配置を含めて、例えば30人だったら2つに分けて指導する体制、進学と就職でカリキュラムが違うので、それを保障して、残すだけでは教育の質は確保できない。そういうことはきちんと手当すべきではないか。

【高校改革課長】
 中学校卒業予定者数に回復の見込みがある場合など事情の変更がある場合、学級減を行わないことも考えていかなければならない。
 1学級においての進学・就職への対応だが、小規模校においての質の保障という部分で、近隣の高校との連携による教員の派遣のほか、遠隔授業の実施等も含めて当然考えていきたいと思っている。
 存続を求める地域と高校との連携という部分も非常に重要と考えているので、そういった地域の意向を踏まえつつ、教育の質の保障に向けた取り組みを行うことを想定している。

【斉藤委員】
 生徒減少の中で、総合学科制というのは見直しの時期にきている。今度の計画でも、一戸は2学級になる。総合学科制は成り立たない。総合学科制はこの間実践していて、限りなく普通科に近い取り組みをせざるを得ない。これは進学・就職の指導でも矛盾を起こしている。もう1つは、総合選択制―これは不来方と花巻南だが、これも限りなく普通科である。形を変えた多様化というのをきちんと見直す時期にきているのではないか。
 1学級40人というのを見直す時期にもきている。青森県では、実業高校だが独自に少人数学級を実施しているということも聞いているが、他県の少人数学級の取り組みをどう把握しているか。このこともタブーにしないで、少人数学級に踏み込むということが必要ではないかと思うがいかがか。

【高校改革課長】
 二戸ブロックの前期の部分でいくと、一戸の総合学科の学級減も提案させていただいているというところもあるので、2学級で総合学科が維持できるのかという部分も含めて、再編計画とは別の形での検討ということも考えていかなければならない。
 県立高校で少人数学級を導入しているのは、青森・秋田・福島の3県である。青森と秋田については、実習等を考慮して専門学科を中心に35人学級を導入しており、福島では、中山間のごく一部の分校で35人学級を導入していると聞いている。教員等の配置については、県単での予算措置による教員増は行っていないというところは聞いているので、本県においては、高校標準法による40人ということを基本とするとしていたが、震災の加配がいつまで続くのかということと、少人数にすることにより国からの財政支援が減額されるということ等もあるので、現状としては40人という形で計画案には盛り込んでいるが、今後の国の動向ということについては、これからも要望していくという形であるので、そういった状況等も踏まえて今後考えていかなければならないと思っている。