2016年3月4日 2月定例県議会・本会議
高田一郎県議の議案に対する反対討論


 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第121号について反対討論を行います。議案第121号は、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更契約の締結に関し議決を求めるものであります。
 今回の変更内容は、インフラスライド条項、詳細設計および地盤調査の結果による水門本体工や基礎構造そのものを変更するもので、当初契約70億3652万円から178億8005万円と実に108億4353万円、154.1%の増となっています。
 閉伊川水門工事について当時の宮古市議会は、「設計変更や工期延伸の内容、水門建設による生態系への影響、船舶航路の問題、津波来襲時の閉伊川洪水時の水門の遠隔操作など宮古市民に対する詳細な説明が十分とは言い切れない」と指摘し、「詳細な説明を求める決議」を全会一致で採択していました。
 閉伊川の津波対策は、宮古市と市議会が堤防のかさ上げを検討しており、県の説明でも「10.4mの防潮堤が整備されても水門整備と堤防かさ上げをした場合のシミュレーションは浸水地域には大差がない」との説明を行っていました。
 しかし県は「災害査定の段階で水門整備のほうが経済性・事業費と、L2(最大クラスの津波)時の浸水区域が狭くなる」として充分な宮古市における検討もなく押し付け、宮古市長が市議会との協議もなく独断で認めたことから、市議会と市民に疑問が広がった問題でした。2013年6月県議会に請負契約の議決を求める議案が提案されたとき、県議会で当時の県土整備部長は、「宮古市議会の決議を踏まえ、宮古市と調整を図りながら来月にも住民説明会を開催する」と述べるなど、宮古市議会と市民に理解が充分得られない中での議会への提案となりました。
 反対する第一の理由は、当初契約から2.5倍にもなる変更請負契約を県議会が認めていいのかということ、現地調査などを行って慎重に対応すべき議案であるからであります。震災直後で復興を加速するために入札を優先せざるを得ず、詳細設計による契約金額の変更はやむをえない対応でありました。しかし、今回の議案は、70億円の当初契約を2.5倍の178億円にもなるもので、岩手県の大規模公共事業で、充分な調査もなく議会が承認するような前例を作ってはなりません。
 第二に、県はこれまで、経済性・事業費からも水門整備が妥当であると説明してきましたが、178億8005万円余にもなっていたら水門整備になりませんでした。今回は水門本体工を変更するために基礎構造や仮設工を変更するものとなりましたが、当初契約に問題があったといわざるを得ません。
 
 以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。