2016年3月8日 予算特別委員会
千田美津子県議の知事に対する総括質疑(大要)
1.子ども・子育て支援新制度の現状と課題について
【千田委員】
日本共産党を代表して質問いたします。
まず第1は、子ども・子育て支援新制度の現状と課題についてお聞きします。
昨年4月から、子ども・子育て支援新制度が始まり、開始前から保育士や自治体関係者、保護者などから不安や問題点が指摘されており、ここで課題も出ています。
一例として、奥州市では園児を募集する時期になって、休日保育をやめる保育所が出て保護者の間に大変な混乱が起きています。奥州市では、H26年度には6箇所の保育所が休日保育を実施していましたが、H27年度には4箇所に減り、H28年度からは2箇所に減るとのことです。このため、市は急遽公立保育園での対応が必要として検討し始めましたが、まだ正式には決まっていないようです。なぜ休日保をやめるかその理由ですが、園はそれぞれ休日保育に35人、20人もの子どもたちが登録しており、休日保育のニーズは増えているのですが、職員を増やす余裕もなく、採算が取れないということが原因のようです。しかし、新制度で内容が充実することはあっても、保護者に混乱が起きるような事態は起きてはならないと考えるものです。実施責任は市にありますが、県も市町村任せではなく一緒になって取り組む必要があると思いますが、知事のお考えをお聞きします。
【達増知事】
子ども・子育て支援新制度における休日保育は、市町村が地域の実情やニーズを踏まえて策定した、市町村子ども・子育て支援事業計画に基づき実施されるものであり、休日保育を実施する施設については、減少している市もあるが全体としては徐々に増加している状況であるものと認識している。
県としては、市町村や保育所等の意見を踏まえつつ、子ども・子育て家庭にとってよりよい制度となるよう、必要な制度改正について引き続き国に要望していく。
市町村が、多様な就労形態などにより増大する保育ニーズに適切に対応できるよう、今後とも情報提供や助言を行うなど、国と連携を図りながら市町村への必要な支援を行っていく。
【千田委員】
これからも国に要望する、あるいは市町村に支援するということですが、いま県内で問題が表面化しているのは奥州市だけですが、いま知事がお話あったように、勤務形態が多様化している中で、保護者が仕事を辞めるか否かの瀬戸際に立っていて、本当に対応が必要です。
ぜひ、見守るというよりも市と一緒になって対応すべきだと思いますが、もう一度お聞きします。
【達増知事】
県は、保育士・保育所支援センターを設置し、保育士の確保に向けて効果的なマッチングに取り組むということもやっており、その事業内容や体制について市町村や保育所、潜在保育士のニーズを踏まえながら、県子ども・子育て会議など関係者の意見も幅広く取り入れながら検討し、効果的な事業の展開に努めていく。
ご指摘の通り、子ども・子育ては大変重要な分野であるので、県としてもしっかり対応していきたい。
【千田委員】
2点目は、新制度は子育て支援と待機児童解消が目玉でしたが、解消どころか待機児童が増えています。昨年10月1日現在、盛岡市の198人を筆頭に、北上市が151人など、県内では732人が待機児となっています。まさに働きたくとも、預けるところが無く働けないというのが実態です。
この原因ですが、そもそも市町村の整備計画が不十分ということではないでしょうか。また、国が進めようとしているのが、保育士配置が通常の半分でも良いとする小規模保育や家庭的保育であり、子どもの安全に問題があるとされるこれらの施設を増やすのではなく、思い切って安心して預けられる認可保育園を増やすべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。
【達増知事】
待機児童の解消は、それぞれの地域の実情や利用者のニーズに応じて幅広い選択肢の中で対応していくことが重要と認識している。
市町村においては、待機児童の解消のため、27年度から31年度までの5年間の保育ニーズや地域の実情を踏まえ、子ども・子育て会議の意見を聞きながら、市町村子ども・子育て支援事業計画を策定し、認可保育所等の整備や小規模保育事業所の設置などの取り組みを進めている。
県においては、市町村等が実施する施設整備にたいし財政支援等を行うとともに、保育士確保の支援に努めているほか、効果的な事業実施に向けて必要な助言等を行っているところであり、今後ともこうした取り組みを通じて待機児童の解消に向けて、保育の実施主体である市町村を支援していく。
【千田委員】
3点目は、保育士の処遇改善について、お聞きします。
待機児をなくすためには保育士確保が課題であり、その上でも保育士の処遇改善が重要です。
先日、奥州市内のある保育所を訪問した際、実習生が3名おり、うち2人は男性でした。しかし、園長の話では「民間の保育士は15年間勤務しても手取り15万円程度にしかならない。せっかく資格を取っても、特に男性保育士は早めに辞めてしまう人が多い」と説明していました。
いわて県民計画第3期アクションプランでは、保育士の処遇改善実施施設を毎年2%ずつ増加させるとしていますが、改善されているのでしょうか。現状についてお聞きします。
【副知事】
第3期アクションプランにおいては、処遇改善を実施する私立保育所の割合を目標値として掲げている。これは24年度の保育士の給与水準にたいし改善を図った場合に、公定価格の加算が受けられる制度となっており、26年度では私立保育所221施設中210施設(95%)で実施されている。
県においては、子ども・子育て支援新制度の導入にあたり、市町村を通じて処遇改善の取り組みについて働きかけてきたところであり、27年度には県内すべての私立保育所において保育士等の処遇改善が実施される見込みとなっている。
【千田委員】
実施施設が増えているのは良いことだと思いますが、ただ、中身がまだまだ足りないのだと思います。
実はさまざまな加算、例えば経験年数が平均して15年以上の保育園には、保育士1人分の加算ができる制度(チーム保育推進加算)がありますが、私立保育園で該当するのは10%しかないと言われています。これでは低賃金で働き続けられないということです。これらの状況をきちんと把握し対応すべきではないでしょうか。再度お聞きします。
【副知事】
処遇改善等加算は、24年度の賃金にたいして、その水準をこえた場合に、公定価格の算定に用いる単価にたいし、賃金改善要件分として2%から4%の加算がなされたものである。したがい、処遇改善が実施されている施設にあっても、より上位の加算が受けられる取り組みを進めるよう、また一時金支給で加算の適用を入れている施設では減額を行うことはないよう、さらなる取り組みの強化を促していく。
【千田委員】
4点目は、新制度では公定価格が設けられました。幼稚園の価格と保育園の価格を3歳児で比べるとほぼ同じ位ですが、開所時間は保育園は幼稚園の倍に近いのです。これは保育園の公定価格を上げないと保育士の処遇改善にはつながらないということです。保育所と幼稚園を同じ8時間で比べると、保育園は幼稚園の7割程度の運営費となっています。実態についてお聞きします。
【副知事】
公定価格は、幼稚園や保育所等におけるこれまでの私学助成や保育所運営費等の額を基準として、質の高い教育・保育を提供するために、必要なものとして、教育・保育に通常要する人件費や処遇費などの費用を勘案して算定されているものと承知している。
一方、一時預かり事業については、通常の教育・保育とは別に行われるものであるという考え方のもと、別途専任職員を配置して行う場合には補助対象となるところだが、通常勤務の中で兼務職員により行われる場合には公定価格で算定されることとなるため、一時預かり事業の補助対象とはならず、その場合、幼稚園と保育所における公定価格は約6万円程度ということで、大きな制度的な差はないと承知している。
県としては、地域の子育ての中核を担う専門職としての保育士の処遇改善を図ることはきわめて重要と認識しており、そのためには十分な財源の確保が必要であることから、これまでも国に対しさまざまな要望を行ってきたところであり、引き続き国に対する働きを強め、保育士等の処遇改善に努めていきたい。
【千田委員】
いまの答弁で少し認識が違いますが、ぜひ現状を調べていただいて、今後に生かしていただきたいと思います。
日本の就学前教育に関する財政支出はOECD加盟国で最下位となっています。保育予算を大幅に増やさないと保育は守れないと考えます。県として、国にもっと働きかけるべきではないかと考えますが、知事にお聞きします。
【達増知事】
子ども・子育て支援新制度については、保護者や子どもが利用しやすい制度にすることはもちろん、多様な保育サービスへの対応のほか、保育士等の配置基準の見直しや職員の処遇改善をはじめとする保育士確保対策など、教育・保育の質の改善を図るために十分な財源を確保することが必要であるので、これまでも国に対し要望してきたところだが、引き続き国への働きかけを行っていく。
【千田委員】
いま全国的に、保育所での死亡事故が問題になっています。2004年から2014年まで11年間に163人の子どもたちが保育所等で亡くなっています。その7割が認可外で起きているんです。ですから、このようなことがないように充実した環境をつくることを求めたいと思います。
2.県立病院の現状と周産期医療など医師確保対策について
【千田委員】
県立病院の現状についてですが、新しい県立病院の経営計画で、職員の増員計画が立てられていますが、特にも医師の増員については、増えるどころか減っているのではないでしょうか。現状と医師確保が進んでいない、その理由は何かお聞きします。
【副知事】
経営計画においては、26年度から30年度までの5カ年で109人の増員を計画し、うち26年度・27年度で51名の増員を計画したところであり、27年度末においては逆に11名の減員が見込まれており、大変厳しい状況になっていると承知している。
医師確保が進んでいない主な理由については、大学院等で専門医資格の取得を目指す医師の増加により後期研修医の採用が計画人数を下回ったこと、医学部卒業生の都市部や大規模病院志向等により初期研修医を計画通り確保できなかったこと、これまで招へいしてきた医師について想定していなかった退職者が相当数発生したこと、医師の派遣元である関係大学・医局自体においても医師の絶対数が不足していることなどの要因によるものと承知している。
【千田委員】
実態については分かりました。この間の県の医師確保に対する取り組みを評価はしていますが、一方では、せっかく来ていただいた医師をこれ以上減らさない取り組みの強化も重要ではないかと思いますがいかがでしょうか。
【副知事】
いずれ厳しい事態であるので、今後に向けては、招へい医師の定着や支援のためのフォローアップ面談等を継続して実施すると。加えて、初期研修医および後期研修医の受け入れ体制の充実や研修プログラムのPRの強化、あるいは奨学生養成医師の計画的な配置などにより、必要な実数の確保に努めていきたい。
【千田委員】
次に移りますが、2月22日、医師確保の問題で、日本共産党の国会議員、奥州市の共産党議員団と厚生労働省に要請してきました。担当者は、「医学生に周産期医療を強制することも出来ず、今のところ妙案はない」とのことでしたが、年内にも報告予定の検討会議の中間報告が出されますし、それとあわせて岩手への配置について、特段の取組みを要請してきました。私たちは、毎年のように各省庁に要請してきましたが、被災地の知事として切実な現状を繰り返し伝えることが重要だと考えますが、この間どうやられてきたかお聞きします。
また、医学生への働きかけも知事自らメッセージを出すことも重要ではないかと考えますが知事にお聞きします。
【達増知事】
本県では、産科をはじめ全ての診療科で医師が不足しているが、特に深刻な状況にある産科・小児科の医師不足を解消する施策を充実させるよう、国に対して継続して予算提言・要望をしている。
また地域医療の現状について、首都圏におけるシンポジウムの開催や全国紙への掲載などにより、被災地岩手から全国に向けて情報発信に取り組んできた。
医学奨学生に、将来本県の地域医療の核となる医師として活躍してもらうためには、地域医療の現状や県民の期待、県の取り組みを伝え理解してもらうことが効果的であると考えており、毎年度医学奨学生サマーガイダンスで私自ら講演しているほか、臨床研修医に対しては、毎年度開催している合同オリエンテーションにおいて、激励や意見交換を行っており、今後ともこうした働きかけを継続していく。
【千田委員】
自ら知事が講演をしたりさまざまな取り組みをしていると。ただやはり、県内における周産期医療については、私はこれまで以上に特別な対策、それが何かと言えないのがつらいが、それが必要だと考えます。知事を先頭とした政策的なリードが必要ではないかと考えますが、知事にお聞きします。
【達増知事】
周産期医療対策について。いわて県民計画に掲げる「共に生きるいわて」の実現に向けて、安心して子どもを産み育てる環境を整備していく上でも、周産期医療の確保は重要な課題である。
県では、本県の周産期医療を取り巻く厳しい環境に対応するために、県内4つの周産期医療圏を設定して、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきた。こうした中で、限られた医療資源のもとで効率的かつ質の高い医療提供体制を実現していくためには、県民の皆さんにも地域医療の現状を理解していただいて、県民自らも医療の担い手であるという意識をもって地域医療を支えていただくことも必要であるので、本県独自の取り組みとして知事が代表を務める「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」が中心となり、県民総参加型の地域医療体制づくりに取り組んでいる。
医師不足や医師偏在の根本的な解決に向けては、全国的な取り組みが必要であるにも関わらず、これまでの国における医師確保の施策の方向性は、都道府県ごとの取り組みにとどまっていることから、本県では国全体で医師の計画的養成と適正配置に取り組むことを主眼とする、仮称「地域医療基本法」の草案を独自に作成し、その制定の必要性を国に提言してきている。その実現に向けた機運を醸成していくために引き続き私も先頭に立ち情報発信等を積極的に行い、医師確保や偏在の解消に向けて取り組んでいきたい。
3.雇用対策について
【千田委員】
1点目として、正規雇用の拡大について。昨年11月に厚労省が発表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では、労働者に占める非正規雇用の割合が初めて4割に達しています。また、不本意非正規雇用者数が331万人となっているもとで、国も不本意非正規の正規化を言わざるを得なくなったということです。そのため、昨年9月から国と都道府県労働局に「正社員転換・待遇改善実現本部」を立ち上げ、1月28日には「正社員転換・待遇改善実現プラン」(5カ年計画)を策定し、若者や派遣・契約社員などの不本意非正規雇用の割合を半分に減らしていくというものです。さらに今後は、地域プランをつくるとのことですが、県としてもこのプランの推進を好機ととらえ積極的に取組むべきと考えますがお聞きします。
【副知事】
岩手労働局においては、非正規から正規への転換、処遇改善等の実現に向けた取り組みを推進していくため、局長を本部長として「岩手県正社員転換待遇改善等実現本部」を昨年10月に設置した。当該本部では、1月に国が策定した「正社員転換・待遇改善実現プラン」において、3月中を目途に、今後5年間の非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善実現に向けた施策や数値目標を盛り込んだ「岩手県正社員転換待遇改善実現地域プラン」を策定することとしており、現在策定に向けた作業に取り組んでいると承知している。県としても、この実現本部に商工労働観光部長が副本部長として参画しており、設置直後から一体となり正社員転換等についての要請活動などに取り組んでいる。
今後も当該プラン策定においては、盛り込まれる具体的な内容について、関係機関と連携しながら積極的に取り組んでいく。
【千田委員】
先日、水沢のハローワークを訪ね雇用の現状について説明を受けました。その際、「市町村等と企業を回って正規雇用の拡大をお願いしているが、逆に行政が正規雇用の範を示すべきと言われる」とのことでした。今、官製ワーキングプアが問題視されていますが、まずは行政が率先して非正規雇用から正規雇用への転換など改善すべきと考えますが知事にお聞きします。
【達増知事】
県では、地方公務員法の規定にのっとり、任期の定めのない常勤職員のほか、特定の経験を必要とする業務については、非常勤専門職員を任用し、緊急の場合や比較的軽易な業務については期限付臨時職員を任用している。
震災以降増大する業務に対応するために、新採用職員数を増やしているが、引き続き多様な行政ニーズに対応できる人員体制を構築するため、地方公務員法の規定にのっとり職員の採用に取り組んでいく。
【千田委員】
いま、軽易な仕事とのお話がありましたが、実際はそうではないと聞いています。
県の臨時職員は、出先を含めて630人とお聞きしました。人数もさることながら、その待遇は、例えば月20日以上働いても15万円以下、1年働いても200万円以下のワーキングプアが大半、県庁がそういうワーキングプアを創出しているのは改善しなければならないことではないでしょうか。
【総務部長】
非常勤職員および期限付臨時職員の報酬等については、一般職の職員の若年層の給与水準を考慮し決定しており、職員の給与改定の状況に応じて報酬額等の見直しを行っている。
27年度における報酬額等は、行政職に準ずる非常勤職員は、週5日の勤務で週の勤務時間が29時間である場合、22万3500円を限度として報酬額を決定している。事務・技術に従事する期限付臨時職員は、日額5900〜6870円の範囲内で決定している。
引き続き、将来の県が対応すべき行政ニーズの推移、職員の年齢構成のバランス等も勘案し、適正な規模の採用を行うとともに、これを補う形での任期付職員や臨時職員の任用を行っていきたい。
【千田委員】
ぜひ適正な雇用とあわせて、時給1000円に満たない状況を改善していくべきだと思います。
3点目として、障がい者の法定雇用率達成企業割合が半数程度となっていますが、どう支援し改善していくお考えかお聞きします。
【副知事】
岩手労働局が昨年11月に発表した調査結果では、県内企業での障がい者の実雇用率は1.99%・2765.5人といずれも過去最高となっているが、法定雇用率達成企業は54.1%となっている。このため県としては、岩手労働局と連携し、事業所における障がい者雇用にかかる理解を一層促進し、雇用の場を確保するため商工団体や経営者団体にたいし要請活動を行っているほか、国の外郭団体である独立行政法人高齢障がい求職者雇用支援機構岩手支部と連携し、障がい者を積極的に雇用し、かつ事業所において優秀な勤務実績の障がい者の方々の表彰等も行っている。
また、就職を希望する障がい者の方に対しては、就職に必要な知識・技能の習得等を図るため、教育訓練機関や企業等に委託して職業訓練を実施している。
さらに、障がい者本人や家族、事業所に対して就労支援を行う障がい者就業生活支援センターや、障がい者支援施設などに配置されている当該業務従事者について、専門的かつきめ細かな職場適応支援ができるようスキルアップを図るための研修なども行っているところであり、このような総合的な取り組みを通じ、障がい者雇用の一層の促進を図っていきたい。
【千田委員】
4点目として、若者の離職対策についてお聞きします。ハローワークでは、様々フォローアップに取り組んでいるが限界があること。そのため一番有効なのは、生徒の顔も事情も知っている、高校の先生が声をかけて、悩み等を聞いたり、アドバイスすることが大事だと話してくれました。
そこで、高校生の離職の実態と高校の相談体制を充実させることが重要ではないかと考えますがお聞きします。
【副知事】
岩手労働局の調査では、本県の高校卒業者の就職1年目の離職率は、ここ数年低下傾向にあるものの、3年目までの離職率は依然として高止まりの状況にあると承知している。
高校においては、進路指導担当教員が、卒業生の就職先事業所を訪問し、雇用主や本人との面談等を通じて就労状況の把握に努めているほか、多くの高校において県内外で開催される同窓会総会・支部総会に新卒者を招き激励する機会を設けているところである。
また、各広域振興局に配置した就業支援員が高校と連携し、高校生にたいし就職相談や面接指導などの支援を行っているほか、企業を訪問し就職後の定着支援も行っている。
今般設立した「いわてで働こう推進協議会」については、教育機関やPTA関係機関も参画しており、早期離職対策についても全県的に取り組んでいくこととしている。
4.放射能対策の現状と課題について
【千田委員】
3.11東日本大震災津波、福島第一原発事故から5年が経とうとしていますが、県内特にも汚染状況重点調査地域と指定された県南地域の放射能による汚染問題は、なお大きな問題となっています。
例えば、奥州市では、放射能に汚染された側溝汚泥や稲わらの問題があり、共同仮置き場を設置して、そこに搬入された汚泥の保管期間を3年と約束しており、その期限があと1年に迫っています。どこに移動するのかが課題ですが、国は何らの方針も示していません。
また、仮置き場を設置できず、側溝に放置されたままの汚泥は悪臭を放つ状態です。国は8000ベクレル以下は通常の廃棄物として扱うと言いますが、この汚泥を最終処分場に搬入することは地域の理解を得ることは極めて困難です。
また、汚染稲わらは、今なお多くの畜産農家、あるいは中間保管施設に保管されています。このような現状に対し、県も市町村任せではなく、いつまでにどう対応するのか、見通しを示すべきだと思いますが、知事にお聞きします。
【達増知事】
県では、処理を促進するために、県独自のガイドライン策定や財政支援など、課題解決に向けて市町村を支援してきた。
道路側溝汚泥については、空間線量率はほぼ問題ないレベルに低減しているところであり、一時仮置き場の確保については、一部地域では住民理解を得ながら徐々に進みつつあるが、最終的な処理については、国から処理基準が示され次第適切に処理されるよう市町村を支援していく。
農林業系副産物については、生活ゴミと混焼して焼却灰の放射性物質濃度が高くならないようにコントロールして安全に処理が進められている。稲わらについては、市町村による焼却処理が終了するまでの間、これらを適切に保管するために、一時保管施設等の整備のほか、中長期保管対策として施設の維持・管理等を支援している。
今後とも、地域住民の理解が得られるよう、住民説明会への県職員派遣など技術的支援等も継続するとともに、早期処理に向けて地域の実情に応じた支援や処理基準の早期提示を国に対し引き続き要望していく。