2016年3月10日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・盛岡広域のごみ処理広域計画について
【斉藤委員】
3市5町のゴミを盛岡一極集中で処理しようとするこの計画は、あまりにも無謀だと思うが、この広域計画はどう進められようとしているか。
【資源循環推進課総括課長】
新しいゴミ処理施設の整備を行う候補地を検討するため、県央ブロックゴミ処理施設整備候補地検討委員会が設置され、27年9月・11月・28年1月・2月と4回開催されたと聞いている。この検討委員会においては、候補地選定にあたって調査対象地域の抽出条件、候補地の評価方法などが議論され、28年2月の第4回検討委員会において第一次選定が決定され、今後進める二次選定方針等を協議したと聞いている。
また3市5町により構成されている県央ブロックゴミ・し尿処理広域化推進協議会と、28年2月5日に開催されゴミ処理施設整備候補地検討の状況の報告、今後想定される新組合設立スケジュールおよび課題について報告・協議された。
【斉藤委員】
第4回の整備候補地の検討委員会で、調査対象地を決定となっているが、何ヶ所か。
【資源循環推進課総括課長】
466ヶ所と聞いている。
【斉藤委員】
3市5町のゴミを盛岡一極集中するというのは、それだけ環境に対する影響が大きくなると。昨年9月の決算議会でもリアルに紹介したが、子どもたちの健康を心配している市民団体が、盛岡市内の小学校のぜん息罹患率を調査した。小学校全体の平均罹患率は2.1%だが、ゴミ処理施設の近隣にあった小学校は約5〜7%と2倍以上の罹患率だった。これは市もこの測定結果は認めている。だとするなら、この原因を行政はきちんと検証すべきである。焼却施設近隣の小学校ぜん息罹患率が高いというのなら、その要因は何なのか。焼却施設と関わりがあるのか、ないのか。これは行政が明らかにしなければ、今あるクリーンセンター、これまで使った焼却施設の場所は除外されるべきだと思うが、それはどうなっているか。
【環境保全課総括課長】
昨年の決算特別委員会でお話があり、文献等を調べさせていただいた。厚労省の調査では、ぜん息とPM2.5については因果関係はあるものの、ぜん息の主な原因の7割以上はダニやタバコの煙など身近なアレルギー物質によるものだという調査結果であった。
東京都環境公社において実施された都内のPM2.5の現状と発生源調査によると、PM2.5全体に対する廃棄物焼却施設の寄与率は非常に小さいものという結果を得ている。
一方、一般廃棄物焼却施設である盛岡市クリーンセンターにおいては、国の基準を上回る厳しい排ガス基準が設定されており、順守されている。さらに盛岡市クリーンセンターでは、焼却施設からおおむね1キロ範囲の松園地区・桜台地区に、大気の状況を24時間常時監視する測定器が設置されており、いずれも環境基準を下回っている。なお常時監視の測定項目の1つには、浮遊粒子状物質という項目があり、これにはPM2.5も含まれているが、東京都の調査結果では、浮遊粒子状物質の7割がPM2.5であるという相関関係が推計されており、このことからもPM2.5についてはことさら問題はないのではないかと考えている。
【斉藤委員】
今の答弁で重要だと思うのは、PM2.5とぜん息は因果関係があると。東京都の場合は焼却施設からPM2.5は少なかったと。盛岡市の調査でも、この15年間で有害物質は1000トン焼却施設の周辺に蓄積されている。この蓄積というのは、環境基準を毎日クリアしているから良いということにはならないと思う。そういう意味で、PM2.5についてきちんと、浮遊粒子状物質で把握されているのならそういう形できちんと公表すべきだし、予算書の中にもPM2.5の調査で1864万円の予算があるが、こういう市民・県民の不安解消を優先してやるべきではないか。
専門家も、環境基準をクリアしていればそれで健康が守られるかは単純ではないと言っている。15年20年蓄積された場合に、それがどういう影響を与えているかというのは、まさに人体実験のようなものである。そういうことも含め、きちんと県も盛岡市と一緒に検証し、しっかり公表していくということが必要ではないか。
【環境保全課総括課長】
焼却施設から15年間で1000トン放出されているということは、計算上はその通りだと思うが、それが付近に蓄積されているということになると、計算上はどうなるかは分からない。通常煙突から放出されると、大気中に拡散され広範囲に広がるので、必ずしも付近に蓄積されるというものではないと考える。また盛岡市においては、浮遊粒子状物質について24時間誰でも監視できるような姿になっており、情報が必要であれば開示していただけるものと理解している。
PM2.5については、研究の緒についたばかりということで、さまざま研究をされている機関があり、国においても、排出量の比率といいますか、発生源についての調査を実施しているところである。これが数年先に結果が出てくると聞いており、そういう結果を盛岡市などと共有しながら必要な対応をしていきたい。
【斉藤委員】
盛岡市民の一番の不安は、現クリーンセンターが再び候補地になるのではないかと。15年間でそういう有害物質が降り注いでいたのは事実なので、そして焼却施設付近の小学校でぜん息罹患率が2倍になると。当然の不安だと思う。そういう意味で、こういう焼却施設を同じ場所で20年も30年も使うということは好ましくないと思うがいかがか。
【資源循環推進課総括課長】
焼却施設については、人の健康を保護する観点から科学的な知見に基づき、法律で定められた排出基準を順守するように監視されている。そういった中で、環境への影響や蓄積等は問題になるレベルではないと認識している。
【斉藤委員】
壮大な人体実験だと指摘したが、15年・20年さらに同じところに、今度は倍近い大型焼却施設を造ったら、有害物質は倍近くになる。私は民主主義の観点からも、一部の地域の方々にそういう負担を押し付ける考え方が間違っていると思う。その場合には地域住民の合意は絶対に重要である。
盛岡市クリーンセンターの場合には、次に新しい施設を造るときには分散型にしてほしいという住民合意がある。分散型というのは、今の地域ではなくという意味で、そういう民主主義は守られるべきだと思うがいかがか。
【資源循環推進課総括課長】
そういった住民の方々との覚書については、県では申し上げる立場にはない。
今後の候補地選定については、検討委員会で選定していくものということで、設置者の判断になると考える。
【斉藤委員】
なぜここまで問題にするかというと、ゴミ広域化計画というのは、平成11年にダイオキシン問題が社会問題化したときに岩手県がドタバタと決めた計画だからである。その計画に基づいて、いま15年経って盛岡でやろうとしている時代遅れの計画である。すでにダイオキシン対策というのは完全に解決している。なぜ15年後に亡霊のような計画が進められようとしているのか。
【資源循環推進課総括課長】
ゴミ処理の広域化については、ダイオキシン対策のほか、長期的な廃棄物処理事業のコスト低減や廃熱などの未利用エネルギーの有効活用、リサイクルの推進などを目的として行っている。
【斉藤委員】
結局はコストになると思うが、コスト計算もずさんで、まともな検証に耐えないと思う。
ゴミ問題解決の一番大事な問題は何かというと、ゴミの減量・リサイクル・資源化である。しかし盛岡広域で検討されている減量の方針も、リサイクル・資源化の方針もない。大型焼却施設の整備、それも一極集中という結論が先にありきで、後から減量の計画を考えると。こんなやり方はない。順番が違う。ゴミの減量・リサイクル・資源化のために施設が必要だというのなら道理があるが、先に3市5町の焼却施設ありきで、県内の40%のゴミを盛岡に一極集中させると。それを提起する根拠がないのではないか。そして一部の現施設の方々に改めてそういう負担を押し付けるなどということは二重にあってはならないと思うがどう考えるか。
【資源循環推進課総括課長】
ゴミの減量化・資源化については、広域化の取り組みを始めてから、広域化に向かいどんどん進んでおり、その中でゴミが減量化されていくということになっており、地域内の先進的な市町村の取り組みがこの間拡大していき、資源化・リサイクルが広がり減量化が行われるということになっており、盛岡広域においても、関係市町村と協力しより高い水準で統一するよう調整を今後図っていくとされており、ゴミの資源化・減量化について図られていくものと考えている。
【斉藤委員】
測らずして順番が逆だということを認めた。だから今進んでいるところが困っている。一緒になったら今までの減量やリサイクルが進まないのではないかと。本当に平成11年の計画が一番大きなダイオキシン問題が解決されながら、15年後に提起され、特に現施設のあるところで大きな不安を広げている。このことをしっかり踏まえて県も対応していただきたい。これは県が押し付けようとしている計画なので、慎重に対応していただきたい。
・ニート対策について
【斉藤委員】
就業構造基本調査で、県内6100名と推計されているが、今年度のニート対策はどう取り組まれ、実績はどうなっているか。国が取り組んでいるものも含めて。来年度の対策についても示していただきたい。
【青少年男女共同参画課長】
ニートの青少年を支援するため、県では岩手若者ステップアップ支援事業を実施しており、本人や家族に対する相談対応、訪問支援、受け入れ企業の開拓、ジョブトレーニング等職業的自立に向けた支援を行っている。
27年度は、1月までの実績で、相談件数693件、訪問支援116件、受け入れ企業数(これまでの継続分も含め)267件、ジョブトレーニング実施件数27人・200日となっている。これらの取り組みを通じ24人の就職などの進路決定者が出たところである。
国の地域若者サポートステーション事業だが、こちらの実績は1月までに4022件の相談を受け付け131人の就職に至っている。
来年度については、これまでの取り組みを継続するとともに、引きこもりや不登校等のニートと関係する要因がさまざま考えられるので、県庁内他部局や関係機関の連携を深める対策を講じていきたい。
【斉藤委員】
県の取り組みで、委託で取り組んでいると思うが、最終的には24人の就職に結びつけたと。国の場合は131人の就職に結びついたということで、それなりの成果だったと思うが、6100人という数からみるとまだ手がかかったという状況だと思う。
ニート・引きこもりというのは境界線がない。昨年の決算でもお聞きしたが、引きこもり対策は障がい保健福祉課で部局もまたがる。そういう連携を密にして取り組みを効果的に進めるべきと提起したが、実際にどのように連携がやられているのか。
【青少年男女共同参画課長】
引きこもり対策を所管している保健福祉部との連携について。ニート対策については、ニートの原因が不登校だったり引きこもり、学校段階でのつまづき等が考えられるということもあるので、保健福祉部はもとより教育委員会や商工労働観光部等との連携が重要と考えている。それぞれの抱えているケースを踏まえ、適切な引きこもり支援センターだとか精神保健福祉センターなどに、相談者がつながるような橋渡しを行うために、当部では事例検討会というのを開催しており、年に2回開催しているが、そちらに保健福祉部・教育委員会・商工労働観光部等関係機関に参加いただき、検討を行っている。
今年度については、不登校・引きこもり・ニート等の社会生活を営む上で困難を有する若者への支援をテーマとした研修会を開催しており、こちらにも引きこもり支援センターや若者サポートステーションからも参加いただき、パネリストになっていただきパネルディスカッションを行うというような取り組みも行っている。
【斉藤委員】
昨年の決算でも秋田県の藤里町の取り組みを紹介した。つい最近も新しいレポートを読ませていただいたが、113人いた引きこもり等の若者が現在では25人に8割も引きこもりから脱して、さまざまな仕事に就けるようになったと。着実に取り組みが進んでいる。ここでの一番の特徴は、社会復帰をめざす意欲をどう引き出すかということで、113人の方々に系統的に情報を提供すると。いろんな職業訓練や行事など。そして個別訪問したときに、直接会った人は半年後に講座・取り組みに参加した。個別訪問で会えなかった人は2年3年経ってから紹介していた取り組みに参加してきたと。本当に社会復帰の道は段階的で時間もかかるが、ここは系統的にやっていることが大事である。また小さな町なので、コミットという長期不就労者の支援事業の施設をつくって、食事処の営業やさぬきうどんやティッシュの製造・販売などを行い、そういうところで訓練的な仕事をしながらハローワークにも応募して就職している。
いま委託でやっていて、委託されたNPOの方々も頑張っていると思うが、委託というのは毎年で、やはり3年5年と系統的に、安心感を与えてこういう方々にもう一度社会復帰できるという希望を与えていく取り組みが大事だと思うがいかがか。
【青少年男女共同参画課長】
藤里町の取り組みについては、内閣府主催の研修会においても紹介いただいている。藤里町では、社協の活動として、個別訪問・調査、福祉の拠点の開設など取り組みが行われていると承知している。お話あった通り、関係部や引きこもり・不登校等を所管する関係機関との連携が非常に大事だと考えているので、そういったことで県の取り組みとして、委託先が変わるようなことがあっても系統的に行われるような取り組みを行っていきたい。
【斉藤委員】
藤里町の当時の社協の事務局長は、「足りないのは社会的経験だけだ。思いがけず良かったのは、求職者支援事業への反応が高かった」と。いま引きこもっていても、社会復帰したい、仕事をしたいという思いを持っている。それをどういう形で自然な形で引き出すかと。
例えば、バリバリに働いていたがリストラされ、地元に戻ってきたが就職できなかった方など少なからずいる。どうしても委託事業というのは1年間の実績が問われるので、実績をあげることも大事だが、3年5年という見通しをもって、それ以上に引きこもっている若者や大人もいるので、しっかりこの問題を据えて取り組んでいただきたい。
【環境生活部長】
引きこもり対策と密接な関連があるということで、関係部や関係機関との連携は非常に大事だと思っている。やはり単独の機関でみるのは無理だと。さまざまな機関がネットワークを形成しながら専門性を生かすということが大事だと思っている。
来年度、子ども・若者育成支援推進法というのがあり、ここに岩手県子ども・若者支援地域協議会というものの設置をめざして、保健福祉部や教育委員会・商工労働観光部など、関係機関と相談しながら、相談体制や就労支援の体制を整備することを検討していきたい。