2016年3月10日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)


・孤独死の実態について

【斉藤委員】
 東日本大震災津波から明日で丸5年を迎えるが、警察庁が2月4日に公表した孤独死の実態について、その内訳を示していただきたい。

【刑事部長】
 岩手県は52人と公表されている。警察庁が公表した数字については、仮設住宅に居住し、死亡時に単身居住であった死者数について、仮設住宅内で死亡した状態で発見された場合だけでなく、外出先等で死亡した場合も含んだ数で、かつ自殺者数を含んだ数について公表しているものと承知している。
 県警察はこれまで公表してきた孤独死については、その定義が不明確なところはあるが、数字的には32名と20名ほど違った数になっているが、県警察は、県議会の答弁の内容や報道機関からの問い合わせにたいし、警察庁のまとめとは若干違い、他県警察において取り扱った死者のうち、死亡時に仮設住宅に単身居住し自宅内で亡くなられた後に発見された方の自殺者を除いた数ということで公表している。

【斉藤委員】
 私が聞いたのは、警察庁が発表した数の内訳である。

【刑事部長】
 内訳だが、数字的には52名と把握しているが、これはあくまで先ほど説明した通りで、ただこの中には自殺者数は含んでいないということでご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 質問に答えさせていただきたい。仮設住宅で自殺された方が8人で、外出先で死亡された方が10人と。
 災害公営住宅で孤独死された数は何人と把握しているか。
 震災関連の自殺はどうか。

【刑事部長】
 災害公営住宅の孤独死については、県警察で取り扱った死者の中で、自宅内で亡くなられた後に発見された方について計上しており、2名と把握している。
 震災関連の自殺者数は、これまで警察から震災関連の自殺者数については公表していない。

【斉藤委員】
 警察庁はきちんと発表している。県警本部長は知っているのか。

【刑事部長】
 震災関連の死者数については、当県警で扱った変死については、すべて警察庁に報告しており、その中から警察庁でこれに関連した内容ということで統計的に載っている数字であり、35名と発表されているかと承知している。

【斉藤委員】
 災害公営住宅での孤独死は、保健福祉部は5人と把握している。あなた方は6名と把握している。そのうち1人は連絡がとれていたということで保健福祉部は5人としている。

・大震災津波の行方不明者の捜索活動について

【斉藤委員】
 1124名におよぶ大変な数の行方不明者で、家族・遺族の方々は本当に辛い、悲しい思いを今でも募らせている。丸5年を迎えるということで、やっと表で声を出し始めた。ぜひ本格的な沼地や海底での捜査をしてほしいと。
 陸前高田市で、家族・遺族の方々が28125筆の署名を集めて市長に提出し、市議会にも請願を提出した。陸前高田市だけではなく、大槌町では400名以上の行方不明者を出しており、5年を迎える中で、こうした遺族・家族の方々の思いに応えて、今までも捜索活動は皆さんが大変誠実に継続していると思うが、やはり5年経って、海中に眠っているのではないか、沼地に残されているのではないか、この捜索活動をさまざまな海保や関係機関と連携し、強化していただきたい。明日も予定されていると思うし、海保は今日もやっているようである。
 この間の取り組み、明日の取り組み、来年度の捜索活動について示していただきたい。

【警備部長】
 大震災津波から5年という大きな節目を迎え、ご指摘の通り全力を尽くして真摯に対応するというのが基本的な考え方である。
 これまでの捜索活動については、23年は全国からの応援をいただきながら、連日捜索活動を行ってきた。24年以降は、月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動、節目となる3月と9月には内陸署・本部を動員して大規模な集中捜索を継続してきた。その上で、海岸線や河口付近における水際部分の捜索、河川・湖沼および海中などの水中捜索などを行ってきた。
 実績については、平成23年中は連日ご遺体を発見し収容していたが、その後の捜索活動による行方不明者の発見というのは、24年12月の陸前高田市内での発見以降、現在まで発見されていないというのが現状である。
 これまでの捜索活動の過程において、25年には亡くなられた方のリュックサック、26年には亡くなられた方の名前が記載されたヘルメットも発見され、それぞれご家族にお返ししている。
 行方不明者ご遺族・ご家族の願いに応える捜索ということで、陸前高田市における署名活動、要望書提出といった一連の活動については報道により承知しており、24年から27年までの間に、水中捜索については22回実施してきた。この中には、広田湾や古川沼におけるものも含まれている。また捜索を行うにあたり、行方不明者のご家族等の要望にたいしその都度対応してきた。昨年も同様である。今後も関係機関とさらなる連携をはかり、真摯に対応していきたい。
 明日3.11の集中捜索については、本県2台所有する水中捜索機で、大槌湾と山田湾に投入し、機動隊の潜水部隊要員により海中捜索をする予定であり、また釜石海上保安部、八戸海上保安部についても、本日は潜水で捜索しているが、明日も連携して捜索すると計画している。
 いずれ、ご家族の心情を真摯に受け止め、しっかり対応していきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ遺族・家族の思いに応えてやっていただきたい。

・警察職員の超過勤務手当の支給状況と捜査報償費について

【斉藤委員】
 2月末補正の段階で、今年度の支給状況は、超過勤務時間に対する超過勤務手当でどのぐらいの割合か。前年比で改善されているか。
 捜査報償費は5年間で62.3%に減少してきた。26年度の決算額は1067万円だったが、来年度の予算が1600万円と実績の1.6倍になっている。この間ずっと減ってきた中で、この予算計上はあまり根拠がないのではないか。

【警務部長】
 今年度の4月〜12月までの全職員の超過勤務時間総数が42万8663時間と前年同期比で2720時間減だが、職員一人当たりの月平均に換算すると21.4時間と前年同期比でほぼ同じとなる。超過勤務手当については、全職員への手当総額が9億5490万円余であり、支給時間数にすると35万4826時間で、職員一人当たりでは月平均支給時間数は約17.7時間である。今年度4月〜12月までの職員一人当たりの平均超過勤務時間数に占める平均支給時間数の割合は約83%であり、前年同期比で1ポイント減となっている。
 捜査報償費については、28年度当初予算の計上額については、基本的に前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案して積み上げたものとなっている。個々具体的には、捜査活動に支障があることから答弁は差し控えさせていただく。

【斉藤委員】
 26年度の実績は1067万円で、来年度の予算が1666万円で実績の1.6倍だと、その根拠はあるかと具体的に聞いた。

【警務部長】
 捜査報償費の予算額については、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因により異なるものであり、単純に時期が多い少ないということで執行の多寡が決まるものではない。したがい、増減理由については一概に申し上げることはできない。

【斉藤委員】
 5年間で捜査報償費が62%減ったのに、予算は実績に対して1.6倍という根拠を聞いたが、来年度はまだ事件は起きていないので。
 これは裏金の問題を抱えているので何度も聞いているが、まともな根拠は示せなかった。

・岩手医大の元教授の覚せい剤疑惑について

【斉藤委員】
 この問題について一般質問でも取り上げ、公安委員長に「捜査されているのか」と質問し、そして「この岩手医大に捜査のトップの刑事部長が天下りしたのはどういうことか」と質問した。答弁は「県警察から捜査状況に関する報告は受けていない」と。週刊誌にあれだけ掲載され、そしてこの元教授から覚せい剤を打たれたという女性が自ら告発した。この点について捜査したのか。捜査しているのだったら、捜査に関わる大学に捜査のトップが天下ることはあり得ないと思う。はっきり答えていただきたい。

【刑事部長】
 個別の事案については、捜査しているか否か、あるいは捜査状況など具体的な事案に関する事柄については答弁を差し控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 捜査中だったら、捜査に関わる職場に、捜査のトップが天下ることはありえない、あってはならないことだと思うがいかがか。

【警察本部長】
 9月の決算特別委員会でも答弁申し上げたが、退職者の再就職については、民間企業その他受け入れ先がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかは、あくまで当該企業が独自の裁量と努力により決めるものであり、再就職というのは、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知している。

【斉藤委員】
 質問に答えていない。覚せい剤疑惑、覚せい剤取締法違反に関わる。捜査中だったら、それに関わる職場に再就職できないのではないかと。捜査しなかったのではないか。もしくは刑事部長が捜査中止を命じたのではないか。その見返りに再就職ということになったのではないか。そう疑われても仕方のない事件である。

【警察本部長】
 刑事部長が答弁した通り、個別の捜査については答弁を差し控えさせていただきたい。
 これも9月議会で申し上げたが、さまざまな捜査上のこと、中止をしたという事実はない。

【斉藤委員】
 本当にこれは不可解で、覚せい剤を打たれたという女性が自ら告発した。第三者の話ではない。だとしたら捜査するのは当たり前ではないか。尿検査なり捜査すればすぐ分かる。清原選手の話を持ち出すまでもなく、やらなかったと思われても仕方がない。
 ましてや岩手医大は、すぐ調査委員会をつくった。しかしこの調査委員会の結果は公表されなかった。そしてこの教授は昨年3月末に知らないうちに退職した。もみ消しではないか。
 告発した外国人女性は帰国してしまった。証拠隠滅ではないか。まともに対応したのか。まともに対応したら公安委員会に報告すべき事項ではなかったのか。

【警察本部長】
 繰り返しになるが、何らの問題はない。したがい、公安委員会に特段報告するような話はない。
 なお、県警としては、犯罪があると思慮される場合には、法と証拠に基づき適正に捜査している。
 再就職に関してということを何度もご指摘されているが、そのような観点で捜査の中止を命じたなどという事実はない。

【斉藤委員】
 客観的な事実を踏まえれば、そう疑われても仕方がない事例ではないかと指摘している。
 一般論としてお聞きするが、捜査中の事件だったら、捜査に関わる職場に捜査のトップが天下ることはありえるのか。

【警察本部長】
 退職者の再就職というものは、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知している。

【斉藤委員】
 捜査中の事件で、捜査に関わる職場に捜査のトップが再就職しても差し支えないと、本部長の答弁はそういうことでいいのか。

【警察本部長】
 再就職については何度も申し上げている通りである。
 一般論でということだが、一般論で是非を申し上げるというのは、どのような形なのかというのは私としても答弁しかねるところである。

【斉藤委員】
 一般論といっても原則論である。覚せい剤事件に関わって、捜査中だったら、その捜査のトップがそこに関わる職場に再就職はありえないのではないか。そのことについて明確にあなた方が答えられなかったら、県警の信頼は崩れてしまう。残念ながらまともな答弁がなかった。本当に県警にとって重大な問題だと思う。

・警察職員の不祥事について

【斉藤委員】
 2月12日、盛岡市仙北町で当て逃げ事件が発生した。犯人は元刑事だったが、泥酔状態だったがなぜ逮捕されなかったのか。

【交通部長】
 個別の事件については答弁を差し控えさせていただきたい。
 一般論として申し上げると、逮捕の判断については、刑事訴訟法の規定等により、個別具体的に、証拠隠滅および逃亡の恐れなど、その必要性を判断している。

【斉藤委員】
 事実上認めたと。
 去年5月17日に発生した、時速125キロで暴走した警察職員も逮捕されなかった。50キロ制限で17キロオーバーした一般市民は逮捕され実名公表されている。警察官や警察官OBは、事件事故を起こしても逮捕もされないということでいいのか。
 昨年12月、県警本部のある課が、盛岡近郊の温泉で忘年会を開いた。2次会でホテルの役員を呼び出して接待させ、破廉恥行為もあったと。そしてこの課長にホテルから無料宿泊券が渡され、あとでこの課長は無料で宿泊したそうである。こういう形で無料宿泊券をもらって宿泊していいのか。こういうことが許されるのか。

【参事官兼首席監察官】
 17キロ超過した事案と、遠野署で検挙された職員が逃走したという話は、逃走していない。逮捕の判断については、刑事訴訟法の規定などにより、逃亡の恐れなど必要性を判断し行っており、一律に言えるものではない。
 ご指摘の忘年会の件だが、宿泊券で無料で泊まったという事実はない。破廉恥行為についてもそういう事実はない。会費制で忘年会をしたという事実はあるが、ご指摘の事実についてはない。

【斉藤委員】
 私はかなり配慮して課の名前も伏せたが、二次会でかなりのどんちゃん騒ぎをやって、破廉恥行為の中身もあまりにも言えないものだった。しかしそこで課長は無料宿泊券をもらってその後泊まっている。監察官はしっかり調べていただきたい。