2016年3月22日 商工文教委員会
高校再編、いじめ問題等に関する質疑(大要)


・高校再編について

【斉藤委員】
 最終局面ということで、計画公表後の地域検討会議や地域説明会、出前説明会での意見聴取状況、パブコメでの意見はどういう内容で、それへの対応はどうなっているか。
 県教委に直接陳情や申し入れはどこから何件あるか。

【高校改革課長】
 これまで29回行い参加者が約870人、パブコメでは約700件となっている。パブコメでは、計画案におおむね賛同する意見が約20%、統合・学級減に反対する意見が15%程度、計画案に賛同する意見も含めすでに計画案に盛り込まれ修正を要しない意見がかなりの部分を占めている。そうした対応について、統合に対しての不安の声、統合を直ちに決定するのではなく地域での努力の時間がほしいという意見、学級減についても同様の意見等をいただいている。そういったご意見の趣旨を踏まえ、現在総合的な検討をさせていただいている。
 県教委に直接申し入れがあったものは、これまで4件で、学級減の関係で花北青雲、水沢工業、遠野市の再編を考える市民会議、久慈工業の関係である。

【斉藤委員】
 高校再編というのは、関係者にとっても地域にとっても大変シビアな問題である。12月末に公表され、検討会議や説明会は1回やった、パブコメもやったと。県教委側から見れば、聞きっぱなしである。返しての議論がない。この間大震災があり、再編計画が中断してきているので、生徒減少が放置できない状況にきているのも事実で、県が提案した内容について、地域全体でどう考えるかという横の議論が必要だったのではないか。全体の生徒減少について地域でどう対応するのかということが必要だったと思う。学校関係者対県教委という関係になって、地域でどういう高校教育を守り拡充されるかという議論が地域で十分にできないまま、計画が決まってしまうのではないか。
 どちらかというと、基本方針を出して長く議論してきた。しかし具体的な学校名が出て統合計画や学級減が出てからこそ本格的な議論である。これはたった1回だけだと。具体的な中身で県教委もボールを返して地域でも議論するという合意形成が必要だったのではないか。そういうことをやらないと、今のまま29日の臨時会で決めたら、地域との合意ができたか判断できないのではないか。

【教育長】
 地域での高校のあり方の重要性はおっしゃる通りだと思っている。これまで一般質問や予算特別委員会の場等で、計画策定に至るプロセス等についてさまざまご意見をいただいた。そういう中で、基本的方向性を定めるという段階、結果を公表する段階、これまでさまざま地域との意見交換をしながら、地域の声がどこにあるのかということをさまざまな機会をとらえてお聞きした上で、それを十分踏まえた中で計画案の策定を行うようにしようという経緯を経てきた。
 これまでの地域検討会議や県民との意見交換の場においても、全体的なロードマップについては、12月に計画案を策定、3月末に成案にするというプロセスも示しつつ、計画案公表後地域での検討会議を行ってきた。そのほかに、それぞれ地域から求められた場合には出前説明会、また共産党県議団からも申し入れを受け、あとはそれぞれの遠野地区や野田地区の首長も含めた住民からの要望等についてもうかがってきた。そういう中で、地域においては、さまざまな議論が行われている。そういうことを全体的なパブコメも含めて、その意向については、大方の意見は汲み取ることができたと思っており、それらを踏まえたうえで成案化したいということで、地域の声に期間を区切って乱暴にやるということではなく、さまざま再編の検討を開始した時点以降、丁寧に聞いてきたということであり、一定の相互理解はいただけるのではないかと思っている。

【斉藤委員】
 前回モメたときは、具体的な高校名が出てからだった。基本方針というのは、ある意味では一般論なので、具体的な校名が出た段階で自分たちの高校がどうなるのか、ここで本音の議論が始まる。やはり最初の地域検討会議や住民説明会で出された意見について、大幅な生徒減少に対して地域全体の高校をどう守り拡充させていくかというのは、地域での議論が大事である。自分の学校のことは当然切実、ただ高校再編はそれだけにとどまらず、地域全体で必要な学校、小規模校も含めてどう守っていくのかということ、それが私が言っている合意形成である。だから12月末に発表し3月末で決めるというのは、もう一段階欠けていたと思う。もっと地域の学校をどう守り発展させるかという、そういう意味での合意形成が不足したのではないか。
 今回の計画は、1学級規模でも必要な学校は残すと、残す基準も示された。しかしその場合に、今まで2学級だったら進学・就職に分けられるが、それが1学級の場合にそういう教育の質は保障されるべきだと。1学級規模の学校を残すのであれば、教育の質を保障する手立ても具体的に示されないと、本当の意味で小規模校を残すということにならないのではないか。この点は現時点でどこまで小規模校の教育の質を保障すると言えるのか。

【高校改革課長】
 小規模校においても、英数国においては習熟度別の指導、進路を展望した指導ということをこれまでも続けてきている。今後の部分では、来年度予算にも計上しているICTを活用した遠隔授業という形の取り組み、学校間の連携ということでの教員の相互派遣ということ、今後地域の皆さんと協議していかなければならないのは教育の質、地域の学校における教育をどうするかということで地域の皆さんとの意見交換をしながら、よりキャリア教育を含めたさまざまな経験ができるための検討というところを今後も決めていきたい。

【斉藤委員】
 1学級規模になっても、就職も進学もきちんと対応するとはっきり明言していただきたい。ICTの活用もいいが、問題は1学級になったときに進学・就職に分けなければいけないので、そういうことはきちんと保障するということが言えるのかどうか。

【高校改革課長】
 現状の1学級校で40人弱生徒がいる住田高校においても、就職・進学への対応をして、習熟度別の指導という形で適切に対応させていただいている。

・いじめ問題について

【斉藤委員】
 今年度、重大事態と認定したいじめ事案は何件あったか。具体的にどう対応されているか。

【生徒指導課長】
 27年度については、まだ集計等が終わっておらず全体像は把握していない。
 26年度については、2件である。

【斉藤委員】
 年間の集約というよりも、発生した段階で重大事態と分からなければ、まとめるときに重大事態と分かるようなことでは意味がないので、重大事態は発生した段階で機敏に対応すると。そのために第三者委員会もつくっているので。まだ集約されていないというのはおかしいのではないか。

【生徒指導課長】
 最終的な重大事態というものについては、国の問題行動等調査の集計等をもっての件数ということになるので、先ほどのような答弁になる。

【斉藤委員】
 最近いじめの相談を受けて、きちんと対応してもらった事案がある。いじめを受けて不登校状態になって、一度は転校するとまでなったがうまくいかなかったということで相談された件である。
 この経過をずっと聞いてみると、いじめとして認知も対応もされていなかったのではないかと率直に思う。2年生の子どもで、系統的に1年生のときからいじめを受けているがきちんと対応されない。ところが、いじめた子どもと親、いじめられた子どもと親を、一緒に会わせて謝らせると。一番やってはいけないようなことをやっている。今もこんなことが起こっているのかと。それ以降いじめが悪化して不登校に陥るというケースだった。今でもこんなことが起きていることに背筋が寒くなる思いだった。
 いじめというのは、子どもの命・安全に関わる、学習権に関わる問題である。今でもいじめの認知という問題を繰り返しここで強調してきたが、そういう点できちんと対応されていなかったのではないか。いじめの学校の方針や組織もあったと思うが、機能していなかったのではないか。

【生徒指導課長】
 いじめの認知に関わる部分、組織的な対応にかかる部分については、やはり課題があったと。それが、矢巾の件でも報告書では直接に触れている部分もあるので、そこは大きな課題だと感じている。
 その対応等については、2月9日・10日に、教育センターで県の教育研究発表会がなされたが、開会行事の中で、私から安全安心な学校づくりに関するアピールというところで、自殺だけではないが、そういうことを防ぐためのものを出席した500〜600名ぐらいの先生方に対してアピールさせていただいた。具体的には、一つの部分としては、やはりさまざまな子どもの声・訴えをしっかり感じ取る教員自身の感性というものを磨かなければならないという部分、組織で対応するためには学校の中での教員の同僚性というようなものも深めていかなければならないというところで、個人として対応すべきところ組織として対応すべきところというところをアピールしながら、安全安心な学校づくりに向けてという話をさせていただいた。

【斉藤委員】
 つい最近、県内の小学校の校長先生がいじめの本を出して、私もすぐ読んだが、これはある論文募集で、いじめ克服の論文を出した校長先生のものを本にまとめたもので、実践的な本だった。ここで書かれているのは、いじめというのは、先生に隠れてやるから見つけにくいと。それだけに、子どもの変化について、本当に教員は注意深く見守る必要があると。特に強調しているのは校長の姿勢で、校長が子どもの命・安全を守るという点でしっかり指導することが学校の全体の雰囲気を変えるということで、その点でいくと、今回の事案というのは学校全体が緊張感が欠けていた。
 重大な問題を指摘すると、こじれた決定的な要因は、この生徒が生活記録ノートにいじめられたことを書いた。だから呼ばれた。そのときに学校の先生が、なぜこの会を催したか、その子どもが訴えたからだと。絶対秘密にしなくてはならないことをこうやって明らかにしたことが悪化させた。
 矢巾のときには、生活記録ノートに何度もいじめを訴えてもまともな対応がとられなかったということが大きな教訓だった。今回はもっとひどかったのではないか。その場で子どもは泣いてしまった。一番知られたくないことを先生によって知られる。この鈍感さ、全然いじめ対策になっていない。だからそういう意味で、緊張感を持って子どもたち一人一人の痛み苦しみに心を寄せて、いじめというのは人権の問題であり暴力なので、最優先で学校が総力をあげて取り組むということでやらないと、第三第四の事件が起きてしまう。
 何度もこういうことは取り上げたくないが、本当に緊張感をもって、校長先生の姿勢、学校全体の姿勢・受け止めを改革するためにさらに県教委が真剣に取り組む必要があるのではないか。

【教育長】
 いじめの問題に関しては、いずれこの2年間の事件を教訓に、最優先で取り組まなければならないと思っており、これまでさまざまな取り組みを行ってきたが、これは一定程度やれば終わりということではなく、将来的にこれをどのように生かしていくかということが大事だと。具体的には、何よりも保障されるべきものは子どもの命・人権、これを守っていくということがきわめて大事だと思っている。
 ご指摘の事案については、さまざまな子どもたちの発達段階、小学校低学年から高校生まで、そして個々人の資質によっても心の強さは千差万別だと思っている。このいじめの問題が出てきたときに、子どもの実情に合った対応をどうするかがきわめて大事だと思っており、自分の心の内を外にさらけ出すことにより傷つく場合も多分にあると思うし、一定程度高校生・社会人に近い段階になれば、きちんと謝ってもらわないと許せないというようなことで、きちんとそういう場を求める声があるのも、いじめられた側の意見としてある場合もある。
 これを画一的にやるということではなく、児童生徒一人一人に寄り添った対応をしていくということがきわめて大事だと思っているので、これまで我々が経験しているさまざまなこと、第三者からの意見等も十分に踏まえながら、きちんと対応していくことを学校関係者と情報の共有を引き続きやっていくという努力をしていきたい。

【斉藤委員】
 いじめられた側が謝罪を求めるケースがあると。私が言ったケースは求めていない。そういう会議でなぜ言われるかも意味不明だった。
 だいたいいじめ対策で、いじめた側といじめられた側を一緒に集めるというやり方は絶対やってはならないケースになっている。本当に子どもの安全を最優先で守るということを軸にしながら、いじめる側に対してもきちんとフォローして、痛みを感じさせてやっていくと。誤れば済むいじめなどないのだから。

【教育長】
 このいじめに関しては、いじめられた側の立場に立って適切に対応するということに尽きると思っている。しかしそういう中で、相手方との話し合いということが、もしもいじめられた側が強く求めるということであれば1つの方途としてという趣旨で申し上げた。そういうことで悪化するということが想定される場合にはやってはならないということは基本的な考えである。

・主権者教育について

【斉藤委員】
 県教委としては、届け出制はとらないと。
 届け出制というのは、例えば「日本共産党演説会に行く」と学校に報告するということである。そんな戦前の検閲のようなことは絶対にやってはならない。憲法違反である。それは校長の権限でもやらせてはならないことである。校内でもそうである。学校の中に憲法が生かされることがあっても通用しないことがあってはならない。校長の判断という曖昧なことではなく、届け出制は憲法に反することなので、念を押しておきたい。
 予算特別委員会で千葉絢子委員が、25年前の話ということで、「授業で南京大虐殺の資料と731部隊の資料を紹介された」と。南京大虐殺は教科書にもあり、731部隊は歴史的な事実である。これは侵略戦争の反省、憲法の前文に明記されたもので、国民に主権があると憲法がつくられた。このことを取り上げることは何の偏向教育でもない。日の丸・君が代が国旗・国歌法になったのは2001年で、25年前は法律にもなっていない。そして法律が制定されたときには「強制しない」ということで通した。「その先生は今もいる」ということだったが何の問題もない。そういう侵略戦争の反省というのは憲法の大原則で、平和教育の大前提だと思う。こういうことが問題にされるようでは異常なことではないか。

【教育長】
 現時点において、そういう届け出をやる考え方は岩手県教委としては持っていない。
 ただ一方では、生徒たちがどういう活動をするかだが、主権者としての活動というのは尊重されるべきものという基本的な認識に立って、ただ社会的にさまざまな混乱を先導するという動きが仮に出てくるとすれば、それはそういう対応というものも、学校としても県教委としても検討するという選択の余地を捨ててはいかがかと思っており、ただこれはレアケースだと思っているので、それはその時点で検討していきたい。
 南京大虐殺については、これまでも学習指導要領や教科書の記述についても、長い期間にわたり記載の内容や記載の有無、事実そのものにたいし国民的な議論がなされているということであり、これは歴史を十分に踏まえつつ、これからさまざまな専門家等を含めて明らかになっていく部分ではないかと思っている。
 政治家の皆さんはそれぞれの思いはあろうかと思うが、我々は学校教育の中できちんとそういう事実に向き合うような教育をやっていきたい。

・盛岡市の学校整備事業での県の誤りについて

【斉藤委員】
 新聞報道で、盛岡市の学校整備事業で、2件県の誤りがあって、盛岡市議会は最終日に予算の提出をやり直すと。なぜこんなことが起きたのか。どこに責任があるのか。

【学校施設課長】
 3月18日の新聞報道において、「盛岡市の学校工事費予算計上やり直し」「国補正と整合性とれず」との記事が掲載された。
 巻掘中学校の大規模改修、仙北中学校の増築という2件の事案がある。巻掘中学校については、前年度からの継続事業ではないということで28年度当初予算として対応すべきものだったが、市側から27年度補正予算に計上したい旨の相談を受けていた。その際、担当において国にこの点を確認せずに了承を与えていたと。その結果、市は27年度補正予算として要望していたところ、2月10日だったので、国から補正予算に該当しないという連絡を受け、再度28年度当初予算事業としての修正要望を行った。
 仙北中学校については、盛岡市においては28年度当初予算での計上を希望していた。国から27年度補正予算の事業の採択要件に該当する旨の連絡を受けたところであり、市としては27年度の国補正なので、自己繰越の可能性を懸念して、消極的だった。さらに国から、28年度繰越予算の採択の打診を受けて、市はこれを受けたが、その際に当初予算との2項目で要望するという形となっていたが、その際に担当において27年度補正予算についても触れるようなアドバイスを行っていた。その結果、市はその通り国に報告していたが、28年度の補正予算の要件になじむということで、採択要件通り優先採択ということで、27年度補正予算の内示を受けたところである。
 結果として、両事業とも、市の28年度当初予算および27年度補正予算への再計上が必要となったが、内示日が2月18日だった関係上、予算の計上の時期を失したものである。
 今回の件については、市側との十分な意思疎通および情報共有を行わなかったことが原因であった。今後このような事案が発生しないよう市町村との緊密な連携と組織的な対応を徹底したい。