2016年3月22日 商工文教委員会
岩手県中小企業振興基本計画(案)に対する質疑(大要)


【斉藤委員】
 この間の意見がどう反映され、修正されたところはどういうところか。

【経営支援課総括課長】
 大きい点としては、「目指す姿の達成度」をはかるための指標を設定している。「産業分野における就業者一人当たりの県内総生産」「新卒者の県内就職率」ということで、目指す姿全体をとらえるための指標ということで設定している。
 そのほかに、推進する施策として、「いわてで働こう推進協議会」の内容を盛り込んでいる。
 そのほかにも、計画策定後も外部の方のご意見をうかがう場を設けて、見直しをはかっていくということで、そういう外部委員会も設けるといったことを修正を行っている。

【斉藤委員】
 もっと正確に、どこがどう修正されたか、大事なところなので正確に示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 主なものとしては、「目指す姿の達成度」をはかるための指標を新たに設定したこと、25ページの「産業分野における就業者一人当たりの県内総生産」「新卒者の県内就職率」となる。
 第3章の推進する施策の人材の確保と若年者の就業支援、職業能力開発の項目に「いわてで働こう推進協議会」に関する記述等を追加したこと。
 第4章の計画推進に向けて、施策の実施状況の公表と見直しについて、中小企業振興施策に関して、外部委員のご意見をいただく組織を設ける旨記載したことである。

【斉藤委員】
 大きく3点ということで理解していいか。
 前回の議論でも、20ページのところに、中小企業関係団体・中小企業のヒアリングアンケートが載っているが、中小企業が取り組まなければならない経営上の課題ということで、一番目が「人材の確保・育成」、次に「既存の営業力・販売力の維持強化」、3番目が「後継者の育成・決定」と、中小企業が直面する三大課題といってもいい。この課題について、今回の基本計画ではどのような取り組みの具体化が図られたのか。

【経営支援課総括課長】
 人材確保に関しては、27ページからになるが、事業活動を担う人材の確保・育成および広報活動ということで、施策として盛り込んでおり、主なものとして、後継者や事業活動の中核を担うマネジメント人材の育成だとか、ものづくり産業人材の育成、観光人材の育成、人材の確保と若年者の就業支援・職業能力開発、伝統産業を支える人材の育成、高等教育機関等との連携による若者定着の支援、キャリア教育の実践といったことで、盛り込んでいる。
 既存の営業力・販売力の維持強化については、31ページになるが、新たな商品・役務の開発、研究成果の事業化、新たな販売先の開拓等による事業規模の拡大等の支援ということで、主な施策として、事業活動の経営革新に取り組む事業者への支援、商業・サービス業における経営力向上の取り組み、自動車・半導体関連産業の集積促進、地域クラスターの形成促進、新産業の創出、ものづくりの革新、食産業や地場産業における新商品の企画・開発といったことで、全体的に経営力の向上というものに関する施策を盛り込んでいる。 あわせて商業・まちづくりに関しても、商店街のにぎわいを創出するために、地域全体への普及に関する活動や商店街としての活動への支援といったものも取り組んでいく。
 後継者の育成に関しては、先ほど述べた人材育成の部分とあわせ、セミナーや相談体制を整備し、取り組むこととしている。

【斉藤委員】
 私も中小企業関係団体からも意見を聞き、業者の方々からも聞いたが、やはり人材確保と後継者育成はきわめて切実だと。計画案の19ページにアンケート結果が出ているが、商工会連合会の調査で「後継者がいない」というのが42.2%、中小企業庁の調査では「後継者が決まっていない」が62.2%という形で、だから事業承継という課題も出てくるのだと思うが、後継者の育成というのは今までの延長線上ではない取り組み・支援が必要ではないか。
 人材確保という点では、中小企業といっても圧倒的に小規模企業、大学や高校にも相手にされない、十分視野に入っていない。最近は岩手大学でも県立大学でも、地元企業の説明会がやられているのは一歩前進だと思うが、この取り組みをどう強化していくのか。高校の就職希望者は一定規模あるので、県内高校から地元の中小企業に就職する道筋を、かなり本格的に構築していく必要があるのではないか。

【経営支援課総括課長】
 後継者の育成については、経営力向上セミナーといったことで、若手で次代を担う方が経営に関する知識などを高めていっていただくといったこと、また盛岡商工会議所内に事業引継支援センターを昨年7月に措置し、事業承継に関する相談をしている。センターに聞いたところでは1件事業承継の事例が出ているということで、その他にも相談が寄せられているということで、具体的な取り組みをさらに進めていきたい。
【雇用対策課長】
 大学生・高校生の人材確保について。岩手大学では、中小企業団体中央会と連携し企業説明会をやっている。
 県としても、各地の地域ジョブカフェが地元のハローワーク等と連携し、就職活動の適切な時期に企業説明会等をやっており、ふるさと岩手定住財団でも県内企業の説明会等を滝沢市の方でやっている。
 これまでも、ものづくり関係でも、新卒者の地元定着を促進するために、企業の技能者・技術者を工業高校に派遣し技術講習会を実施したり、啓発のためのDVDを配布したりして、地元企業への関心を高める取り組みをやっている。
 28年度においては、ジョブカフェいわてと連携し、高校生に対するインターンシップの拡充の取り組みを検討している。

【斉藤委員】
 後継者の育成と人材確保は切実で緊急な課題なので、中小企業振興条例・基本計画を踏まえて取り組みをぜひ強化していただきたい。特に、県内の高校・大学への働きかけを。中小企業というのはやはり見えづらい。しかし小さくでもキラリと光る中小企業も少なくないので、どうやって光を当てていくか。そして中小企業のグループなんかをつくり、1つ1つではない魅力をつくっていくことが大事ではないか。
 31ページのところで、自動車・半導体関連産業の集積・促進とあるが、岩手県はここを目玉にして取り組んできたが、自動車・半導体関連産業の集積・促進の現状と課題はどうか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 自動車・半導体は、本県の経済をけん引する中核産業ということで、自動車については、名古屋方面からの誘致も合わせ、集積を進めてきている。新たな車種等に向けての一層な集積に努めていきたい。
 半導体については、大手デバイスメーカー等があるので、それらと地場企業の取引化を進めている。

【斉藤委員】
 58ページで、施策の実施状況の公表と計画の見直しとあるが、これは大事なことで毎年の取り組みを検証し、次の予算化・事業の具体化を図るということだと思う。千葉県はそういう点ではかなりしっかりした取り組みをしているが、これはどういう体制で実施状況を点検・公表し、次年度に結び付けていくのか。
 そして、中小企業基本計画に基づく事業化というのが34事業、予算額も示されたが、その主な中身も示していただきたい。

【経営支援課総括課長】

 今回計画を策定するにあたっても、県内中小企業者、中小企業関係団体の方々に委員に入っていただき、さまざま意見をいただいた。皆さんからも、策定した後も引き続きこうした場があった方がいいという話もいただき、それも踏まえ委員会を設けていきたいと思っている。具体的な構成については、中小企業者や関係団体の方が必要だとは考えているが、具体的な人選までは決めておらず、今後考え方を整備して委員会を立ち上げていきたい。
 推進する施策の主な新規の事業としては、人材の確保・育成については、ものづくり人材育成・定着促進モデル事業、いわてで働こう推進事業、新たな商品等の開発・新たな販売先の開拓と事業規模の拡大については、地域クラスター形成促進事業、商品の促進等については、岩手の食と工芸魅力拡大事業ということで、新規としては18事業を計画している。