2016年7月6日 6月定例県議会・最終本会議
発議案に対する賛成討論


 日本共産党の斉藤信でございます。発議案第1号、「東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護サービス利用者負担等の免除を求める意見書」に賛成の討論を行います。
 この意見書は、岩手県保険医協会と岩手県社会保障推進協議会ならびに東日本大震災津波救援復興岩手県民会議から提出された請願が、環境福祉委員会で採択されたことを踏まえて、国に対してその趣旨を提出しようとするものであります。
 岩手県が実施している、被災者の医療費と介護保険利用料等の免除措置は、家族を失い、家などの財産も失った被災者にとって、被災者の命と健康を守る「命綱」の役割を果たしています。
 岩手県保険医協会の被災者医療費窓口負担アンケートの中間集計では、1088人から回答があり、医療費の窓口負担が発生した場合、「これまで通り通院する」との回答が38.2%、「通院回数を減らす」が35.4%、「通院できない」が19.9%となっています。実に55.3%が「これまで通り通院できない」という回答です。すでに医療費の免除措置が打ち切られている被用者保険の被保険者の場合は、「これまで通り通院した」が42.6%、「通院回数を減らした」が35.6%、「通院できなくなった」が18.5%と、実に54.1%が「これまで通り通院できなかった」と答えています。
 被災者アンケートには、645件の切実な声が寄せられています。国保や後期高齢者医療の医療費を免除されている被災者は「現在、仮設住宅で年金生活を送っています。毎日が食費を切り詰めての苦しい生活状態です。蓄えも切り崩し使いました。私は持病を多々持っています。もし国保一部負担金免除が打ち切られたら、本当に死活問題です。・・どうか生活の基盤ができるまで薬を飲ませてください。現在までの医療費免除に対し、心から感謝申し上げます。命をありがとうございます」と訴えています。
 一方で、社会保険で医療費免除が打ち切られた被災者は、「ここ4年間、高血圧やその他で通院していますが、少しくらい痛い時は我慢しています。思い通りに医者にかかりたいと思います。国保の方で、働いて給料をもらっても医療費免除、社保には免除がありません。同じ被災者なのに不公平ではありませんか」という声です。
 社会保険の被保険者の医療費免除措置は、国の責任に関わる課題であり、被災者の保険の違いによって医療費免除に違いがあってはならないと思います。
 大槌町と陸前高田市の仮設住宅の被災者の健康調査を行った釜石・大船渡の保健所長の3月末の報告書では、「岩手県の応急仮設住宅入居中の住民に対しては、医療費自己負担免除が生活習慣病などの受診を促す効果は大きいと考えられ、これを継続することは費用対効果の観点からも望ましい」と提言しています。
 まさに、被災者の命とくらしを守る「命綱」となっている被災者の医療費・介護保険利用料等の免除措置は、本来、国の責任で行われるべきものです。
 社会保険の被保険者を含めて、国の責任で医療費・介護保険利用料等の免除を求める請願に反対することは、被災者の切実な願いに背を向けることになります。反対する自民党の態度は被災者から厳しく批判されることになることを指摘し、意見書への賛成討論といたします。

 ご清聴ありがとうございました。