2016年8月2日 商工文教委員会
来年度県立学校の編成に関する質疑(大要)


・平成29年度県立学校の編成について

【斉藤委員】
 今回の学級減の計画は、高校再編の計画で示された通りな訳だが、資料2の学級数調整にあたっての検討の4のところで、大槌高校の場合、平成29年度の大槌町内の中学校卒業予定者数が112人、27年は同じ110人で81人の入学者があったと。これは来年度かなりボーダラインになるのではないか。80人を超える可能性もあるのではないか。ましてや被災地の高校なので、無理矢理詰め込むというよりは、平成27年度の実績を踏まえれば、無理に来年度学級減にしなくてもいいのではないか。

【高校改革課長】
 大槌町の中学校卒業者数の推移から見て80人近いところにいくのではないか、3学級で維持すべきではないかということだが、今後の状況を見ていった場合については、やはり40人という部分だけではなく、適切な学級数の調整ということも必要だと考えている。そしてそのような中で、大槌町や学校の方にもいろいろ意見交換もさせていただいているが、進学・就職それぞれの進路実現というところをこれまで通り維持していける体制をとっていけるのであれば、これは前向きに町でも考えていかなければならないことだという話もいただいているので、今後学級数の調整というところは再編計画通り実施したいと考えている。

【斉藤委員】
 平成27年度は110人の中学校の卒業者がいて81人が入学している。来年は112人の卒業生なので80人を超える可能性がある。だから無理に学級減をする必要はないのではないか。そして、ましてや大槌高校は被災地の学校で、大変苦労しながら、復興の取り組みも含め生徒たちは大変頑張っている高校だと思う。だから、本当に来年も定員を割ってやむなしということであれば仕方ないと思うが、かなり微妙なラインにあって、あわてて来年度学級減にする必要はないのではないか。
 大槌高校・伊保内高校の昨年3月の卒業生の進学・就職の実績も示していただきたい。

【高校改革課長】
 震災があって、再編計画がないところでは、ブロックごとの調整を行わずに、管理運営規則による40人ということのみで調整を行ってきたということがある。今回の再編計画をつくるにあたり、管理運営規則の40人にとどまらず、一定程度の欠員が生じている学校については、ブロック内の調整を行っていかなければならないという考え方の下に、それぞれの学校の学級数、学科改編を乗せさせていただいている部分があるので、40人だから云々ではなく、やはりブロック全体としての学級数の調整ということを考えていかなければならないということで、こういう再編計画に基づいた形での実施が必要だと考えている。
 大槌高校の進路の関係だが、28年3月に卒業した70名については、就職32名、専修学校等への進学が21人、大学・短大が17人となっている。過去5年間の状況で見ると、管内ということでは、24年3月〜28年3月までで見ると、24年3月には管内就職が27.7%だったものが、今回は60.2%ということで、より管内への就職が高まっている。大学進学については、23年〜26年までは国公立が2名で推移していたが、今年は7名に増えている。
 伊保内高校については、27年度卒業生が25人で、就職が9人、専修学校等への進学が9人、大学・短大が7人となっている。管内就職は55.5%となっている。

【斉藤委員】
 大槌高校については、やはり学級減は1年早かったのではないか。ぎりぎりのところで、80人を超える可能性がある場合は、ましてや被災地でこれだけ頑張っている高校なので、あわてずにやることが必要ではないか。就職・進学の実績を聞いても、地元は深刻な人手不足の中で、管内への就職が高まっていると。国公立への進学も引き上がっていることを考えれば、もう少し見守っていくことが必要だったのではないか。
 伊保内高校については、就職・進学でそれぞれ成果を上げていると思うが、2学級から1学級になったときに、大学進学や就職へのそれぞれの指導がこれまで通り保障されるのか。その手立て・体制はどうなっているか。

【高校改革課長】
 一般的に学校の規模が小さくなる中で、近隣の高校への教員の相互派遣ということを、芸術・音楽等を中心にやっているところがあるが、これまで通り生徒の進路希望に対応した指導を行うこと、あるいはキャリア教育や部活動等においても地域との連携を深めていくということも進めていきたいと考えており、まったく2学級のときと同じ体制というわけにはいかない部分もあるかと思うが、十分地域との連携の上進路実現に向けた体制の確保に努めていきたい。

【斉藤委員】
 1学級規模で高校を存続させるという方向は、今度の高校再編計画で示された。これはこれで積極的な中身だと思っているが、その際、1学級規模でも進学・就職にそれぞれの指導体制が確立できるかというのが解決しなければならない重大な課題だと提起してきた。基本的にはそういう方向で取り組むという気持ちは分かるが、現実的な問題として、2学級から1学級になり先生がどれだけ減って、2学級ならクラス分けで進学と就職にできる。1学級になった場合でも、おそらくクラスの中でコース別ということになると思うが、1学級でコース別にした場合の教員の配置がしっかりできるのか。これは今後の高校再編の方向に関わる大事な問題なので具体的に答えていただきたい。

【高校改革課長】
 現実に、今回伊保内高校で1学級になる形での案になっているが、現実に1学級校は4校あるが、花泉は3年生が2学級だが、そうした学校の中でも、たとえば住田高校では、40人の定員に近い形での学級運営になっているが、そこでは進学・就職という体制というところを十分とりながら進めているので、そういったような対応ということを進めていかなければならないと思っている。

【斉藤委員】
 具体的に示してほしいのだが、住田でも努力されている話は分かるが、1学級校について、標準法に基づく教員の配置だけではなく、1学級校でも教育の質を確保する上での加配を含めて、具体的な手立てが必要なのではないか。たとえば住田高校では具体的にどう工夫されているのか。

【県立学校人事課長】
 住田高校での加配等については具体的な資料を持ち合わせていないが、各校の実情を校長先生方からヒアリングし、必要に応じて加配措置は行っていると。今回の伊保内高校についても、学級減ではあるが、加配措置は適切に配置していきたい。

【斉藤委員】
 1学級規模になった場合に、そういう加配の体制をとる、とっていると受け止めていいか。そういう形で進学や就職の指導体制、教育の質を確保していると理解していいか。

【教育長】
 それぞれの学校の学級減というのは、子どもたちや保護者の思いを考えれば、大きな課題だととらえている。したがい、今般の高校再編計画の策定にあたっては、地域とさまざまな議論の場を設けて丁寧に対応してきたと。
 小規模校とくに1学級校については、同じクラスで進学・就職の子どもたちがおり、それから特別な支援を要するような子どもたちへの配慮ということで、同一の学級で丁寧な対応をしていかなければならないという状況にある。
 教職員の加配措置については、小規模校については、習熟度別授業だとか、生徒たちの実態に応じた加配措置を講じてきており、相対的に言えば1学級校には手厚い加配をとってきた。これは仕組み的に、一律に標準法定数で措置されているものではないが、丁寧な教育を推進していくというのが我々の基本的な考えであり、教育の質の向上という観点から、昨年度・今年度・来年度の3年間継続して遠隔授業のモデル授業を取り組むこととし、岩泉高校と西和賀高校を対象に行っており、その辺の推進状況等も見ながら、本県の高校教育の充実に向けできる限りの取り組みをしていきたい。

【斉藤委員】
 1学級校の問題は、高校再編問題で大変大事なテーマだった。そして1学級でも、岩手の地理的条件を踏まえて存続させる方向を出したことは積極的な中身があるが、その際教育の質を確保する特別の手立てが必要だということを提起してきた。
 いま教育長は「1学級校に手厚く」という答弁だったので、その点は了解した。もう少し今後はリアルに答えていただきたい。
 大槌高校については、1年早いという感じはするが、高校再編計画の中で提起された課題なので反対はしないが、慎重に。被災地の学校で頑張って、進学でも就職でも成果を上げている高校については慎重に対応すべきと指摘しておきたい。

・特別支援学校の編成について

【斉藤委員】
 来年度、花巻清風支援学校の北上分教室・小学部中学部がそれぞれ開設される。これは保護者の切実な要望・運動があった。修業年限は6年・3年ということだが、いま花巻清風支援学校に北上市からどのぐらい通学していて、来年の分教室にはどれだけの生徒が移行する見込みか。

【特別支援教育課長】
 北上市から通学している児童生徒は53名である。53名のうち北上市に設置する分教室に全員移行するということではなく、現在保護者の方々に説明会を設けたりアンケートしたりして数を把握している。あわせて、北上市にもお願いして、現在北上市にいらっしゃる方々にたいし、対応が必要な方々にたいして、次年度の修学に向けての指導支援していただくということで進めている。

【斉藤委員】
 53名のうちの小中高の内訳を示していただきたい。
 そして、来年小学部中学部の分教室が開設されるが、父兄も含めて調査中だと。希望があれば、1〜6学年一気に分教室に移行することは可能なのか。
 南小学校と南中学校に分教室を開設するが、施設整備の状況はどうなっているか。

【特別支援教育課長】
 53名の内訳は小学部中学部合わせた数で、小学部21名、中学部32名、高等部45名となっている。各学年への移行は、それぞれの学部・学年で基本的には可能である。
 考え方としては、基本的に児童生徒が「学校が楽しい、行きたい」という思いを持って、一人一人が自分自身を高める場としての教育環境が、花巻もしくは北上がいいのか、それは希望を尊重しながら進めていきたい。
 教室の設備に関しては、校舎は現在北上市教委で進めていただいており、小学校は設計が済んでおり、中学校はやや遅れてはいるが計画的に進めている。

【斉藤委員】
 施設整備について、段階的に整備するのはないと思う。小学校6学年、そして障がいに応じても違うと思うので。どれだけの学級が整備されるのか、来年開設なので。だいたい見込みがあってやっていると思うが、具体的に示していただきたい。
 それから、通学している人数で、小学部で21名と少ないのはなぜか。前沢など他地域に行っているのか。中学部高等部と増える関係はどう見ればよいのか。

【特別支援教育課長】
 教室数の設置については、北上市との協議の中で、小学部中学部ともに教室のみでは3教室ずつ、それ以外については、小学校中学校と共用したりして、これまでの千厩分教室や遠野分教室と同じように、ともに活動していく場を共有していくという形をとるつもりである。委員からは、花巻清風支援学校に通っている者すべてというお話だったが、基本的には、保護者の方々が現在のところ全員北上に通うことを希望されている状況ではない。したがい、説明会をしたりアンケートをとったりして進めているところだが、やはり子どもたち一人一人教育的ニーズが違い、本人や保護者が求めるものも違うので、北上分教室の環境の方が即しているかどうか、十分に協議して、最終的に総合的に判断して選択してもらうことになる。
 小学部から高等部になるにつれて増えている理由については、一言では理由は申し上げられないが、社会の課題であり、1つの理由によって障がいがあるわけではなく、それぞれの子どもたちがその教育の段階において、どこの教育環境が適しているのかそれぞれであり、一人一人のケースが反映されている。

【斉藤委員】
 小学部が3教室だけということで、本当にそれで十分なのか。施設整備というのは、だいたい見込みがあってやられる。確定数はこれから決まるとしても、どのぐらい小学部中学部には移行することを想定しているのか。
 そして、小学部21人というのは、北上の支援学校に通うべき人が前沢などに通っているのではないかと。傾向が分かるかどうか。
 それから、この間問題になっていた釜石祥雲支援学校や県北の分教室、みたけ支援学校の都南支援学校移転後の空き校舎の活用はどうなっているか。

【特別支援教育課長】
 前沢に通っているのではないかということだが、基本的にはいない。
 釜石祥雲支援学校については、平成28年7月に環境整備検討協議会を開催し、移転新設に向けた方向性および候補地の選定について具体的な検討を進めている。
 県北の分教室については、今年4月に、福岡工業高校内に、盛岡みたけ支援学校高等部の分教室を設置した。本年度の分教室の設置にあたっては、地域で暮らしながら、小学部〜高等部まで一貫した教育を受ける環境の整備を進めてきた。
 みたけ支援学校の本校舎については、教室不足問題の解消として、盛岡都南支援学校移転後の空き校舎を活用し、知的障がいのある児童生徒を対象とした新たな独立した特別支援学校を設置する方向を含めて検討している。